4、予算特別委員会の質問等(3月3日〜3月11日)

中止・撤回しかない『後期高齢者医療制度』。高齢者には負担増・給付抑制・差別医療で格差拡大
第5日目(3月10日) ぬかが和子議員

○委員長 次に、共産党から総括質疑があります。
 ぬかが委員。
○ ぬかが委員 おはようございます。まず初めに、我が党の伊藤委員の質疑のときに、聞いたことに全く答えないで、延々と制度の説明をした部長がいました。初日に委員長からも話がありましたように、質問したことに簡明に答えていただく、このことを申し上げまして質問に入りたいと思います。

75才という年を重ねただけで国保や健保などから脱退させられ、給付抑制
 一昨年の医療改革法によって、区民委員会で坂田部長も数十年に一度の大改革と言われた制度改定と後期高齢者医療制度が4月から始まります。
 この制度の最大の問題は、75歳という年を重ねただけで国保や健保から脱退させられ、後期高齢者だけでつくる保険制度の中に囲い込んで給付を抑制することにあり、その背景には医療費の給付抑制があります。
 後期高齢者診療料は、包括払い定額制となり、患者一人につき一医療機関のみで、検査、画像、診断処置、医学管理をすべて含んで原則月6,000円です。通常の診療では、幾ら検査や治療をしても、医療機関に6,000円の報酬しか支払われません。

全国から怒りの声
 こういった中で、全国では、512の自治体から中止、撤回、見直しを求める意見書が上がり、今月の3日、岐阜県の大垣市では、後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書が自民党から提案され、可決されました。
 意見書は、高齢者への新たな負担や年金からの保険料の強制徴収を指摘し、高齢者の暮らしと健康保持にとって重大な悪影響を及ぼし、高齢者に大幅な負担増をもたらし、生存権を脅かすと書かれていました。
 この後期高齢者医療特別会計が、区にも新たに設けられました。広域連合議会で議決された後期高齢者医療の保険料は、多くの都民の声も反映され、47都道府県でも一番安い保険料に抑えることができました。しかし、これは経過措置でもあり、2年たてば大幅な負担増が待っています。

保険料負担は、大金持ちほど少ない
 そこでお伺いします。
 現在の国保料と比べて、年収が250万円、それから400万円の年金生活者、それぞれ幾らの保険料になるでしょうか。
○高齢サービス課長 年額でございますけれども、(年金250万円で)19年度、国保でございますと8万9,815円、後期高齢の方では10万1,400円でございます。1万1,585円がプラスになります。
 400万円では、国保の方が20万5,228円、後期高齢の方が18万8,300円で、マイナスの1万6,928円でございます。
○ぬかが委員 いまの国保料と比べますと、収入が少ない方は負担増になるんですね。多い方は負担が減ると。
 ちなみに、私もこれ見て驚きましたけれども、500万円の方はいまより5万円も安くなって、600万円の方は8万円も安くなると。だけど、収入少ない人はいまの国保料よりも負担がふえるんですね。

区独自の減免は可能
 この広域連合で決められた保険料ですけれども、自治体独自でも減免をすることは理論的には可能であると思いますが、どうでしょうか。
○高齢サービス課長 保険料の減免につきましては、広域連合が条例で定めるということで、区ではできませんが、区が保険事業として条例を定めた場合にはできるとなっております。
○ ぬかが委員 そうなんですね。去年の10月の厚生労働委員会の答弁の中でも、政府の方はそういうふうに答えているんですね。やる気になれば、区でも負担軽減もできます。ぜひそういったことも含めて、経過措置というのは期限が過ぎれば終わってしまうわけですから、検討もしていっていただきたいと思います。

「相談に応じて、65〜74才の年金天引きをやめ、分納できるようにします」
 次に、制度改定によって、65歳から74歳の前期高齢者もさまざまな変化や問題が生じます。その一つが、年金月額1万5,000円以上の国保加入世帯主は原則特別徴収、年金から自動的に天引きすることになってしまいます。
 そうなると、いままでは収入が激減したり、入院で払いたくても払えない、こういう厳しい方は分納約束をしてもらえましたけれども、それができなくなってしまいます。
 区民委員会では、私の質問に対して、足立では相談があれば状況に応じて判断し、特別徴収にストップにかけていままでどおりにやっていきたいと答弁されました。
 でも、そうは言っても、黙っていても年金から天引きされてしまうわけです。どのようにやっていただけるのか。また、過年度滞納分がある方も対応してもらえるのか、お伺いします。
○こくほ年金課長 確かに後期医療制度ができまして特別徴収ということで、高齢者につきましては始まるわけでございまして、国が大変厳しいような条件をつけております。
 ただ、私ども徴収に当たっては、地方税法を根拠にし、やっているわけですから、地方税法の中には徴収猶予とかいろいろな処分ができるということを考えれば、国は厳しいけれども、その中ではある程度考えていくことはできるだろうということが1点。
 それから、もう1点、二つ目のご質問でございます。いわゆる滞納繰り越しがあって、後期高齢の天引きが始まったら大変だろうと、こういう話だと思います。
 これにつきましても、私ども国のいろいろな情報を勘案すると、国の国保課長が、そういったところについては徴収をストップかけることは不可能ではないというような答弁をしてございますので、その点を引用して頑張っていきたい、そう考えております。
○ ぬかが委員 ぜひ実態に応じた納め方ができるように頑張っていただきたいと思います。

65〜74才の障害者手帳保持者は?
 二つ目の65歳からの問題は、74歳までの障害者手帳保持者の問題です。この方々は、後期高齢者医療保険と既存の国民健康保険、どちらかを選択できるとされているんですね。後期高齢者制度を選べば、医療費は1割負担だけれども給付の抑制の心配があると。国保の場合は、戻ると医療費が原則3割負担になってしまうと。どちらにしても、いままでより悪くなったり、また選択しがたく、どちらが有利かというのは個々のケースで判断せざるを得ないという状況です。
 ところで、この障害者の方が国保に戻った場合に、障害者手帳を返上するということはないですよね。
○高齢サービス課長 委員ご指摘のとおり、ございません。
○ぬかが委員 ところが、該当者全員に、大変誤解を招く表現の通知が送られているんです。
 これなんですけれども、ここではこう書いてあるんです。
 障害認定を受けて老人医療受給者となっている65歳から74歳の方は、障害認定の取り下げを届け出ることによって、後期高齢者医療制度に加入しないで引き続き国民健康保険または被用保険を継続することになります。認定の取り下げを届け出ることによって、と書かれているんですね。
 これでは、障害者手帳を返上しなければいけないのかと誤解を招きかねない。
 実は、これは老人保健制度上の障害認定の取り下げのことなんですけれども、障害認定の取り下げと言われれば、一般的には手帳の返上と思うのは当然だと思うんです。誤解したままでは、どっちの保険を使うのか、高齢者が適正な判断選択もできなくなってしまいます。
 そういう点で、これはどう訂正、対応を図るんでしょうか。
○高齢サービス課長 区民の方から多数のお声がございました。したがいまして、文章での説明につきましては限界がございますので、いま現在、障害者の団体の方と説明会について協議中でございます。
 また、視力をお持ちの方につきましては、点字のお知らせ、カセットテープ等のご用意をして、万全を期したいと考えております。
○ぬかが委員 本当にこれいろいろ調べてみたら、実は広域連合でつくったひな形だったということで、ですから東京都下のあちこちの自治体で問題になっているんです。
 通知を送ったのは2,000人ぐらいということで、いま文書では限界があるというお話もありましたが、やはりこの方々に訂正通知を出すとか、広報で訂正をする、こういうこともぜひやっていただきたいし、それを求めまして、次に移りたいと思います。

「健診は無料で存続を」と一貫して要求してきたのは日本共産党だけ。
ついに実現!!

 医療改革によって、健診も大きく変わろうとしていま。保険者が健診の実施義務を負うことになります。
 足立では、8月の区民委員会の時点で、健診の有料化の方向性も打ち出していました。私たちは、毎回の本会議や区民委員会で、5年後に受診率をいまの25%から65%にしなきゃならないのに、有料にするのは矛盾している。政府の案どおりだと2,000円を超えると、無料実施を強く要求してきました。昨年、区民委員会で無料でと主張し続けてきたのは共産党だけでした。
 区は、ほかの被保険者との均衡を保つためにも、自己負担金の導入を検討などという答弁を繰り返していましたが、区民からは、無料実施の強い要望がありました。ことしに入って変化が生じ、パブリックコメントの区民の意見などを受けて、ほかの区同様に無料で実施されることになりました。
 また、X線や必須項目から外れた眼底、貧血、心電図の検査などいままで受けられた項目も、私たち受けられるようにと言ってきたのですが、基本的に受けられるようになりました。区民の願いが反映されて、改悪に歯どめがかかったということは本当によかったのですけれども、まだこの健診問題では残された課題があります。

「サラリーマンの奥さんが、区内で健診を受けられなくなる」
−この問題の改善へ前進−

 一つは、サラリーマンの奥さんなど被用者保険の扶養家族の問題です。いままでは生活習慣病予防健診でしたから、区内の身近な医療機関で健診を受けられたのに、今度は受診できなくなってしまいます。
 委員会で繰り返し質問する中で、東京では、政府管掌保険とか健保組合など被用者保険側が代表保険者というのを決めて、そして東京都下の各医師会と集団契約をして、身近な医療機関で受診できるようにすると、こういう報告がありましたが、幾ら集団契約が結ばれても、各企業の保険者がその集団契約の束に入らなければ、参加しなければ、そのサラリーマンの奥さんは区内の病院で受診ができなくなってしまいます。
 そこでお伺いしますが、第1に、何割ぐらいの企業がこの集団契約の束の中に入る見通しなのでしょうか。それと、足立区の医師会の集団契約の見通しはどうか、お伺いします。
○医療制度改革室長 集団契約に入る見通しでございますけれども、東京都の保険者協議会におきましては、大体、一般の健保組合ですと、区民委員会でもご答弁したように7割から8割程度ではなかろうかと見込まれております。
 また、区医師会の対応でございますけれども、東京都保険者協議会で集合契約の話がまとまれば、区医師会の方もその契約に乗るものと見込まれます。
 以上でございます。
○ ぬかが委員 7割から8割は参加してもらえるということは少し安心なんですが、やはり残りの3割の保険者もこの集団契約に参加していただけるように、それは東京全体の問題でもあるのですが、ぜひ積極的に働きかけをしていっていただきたいと思います。

区外の病院でも健診が受けられるようにすべき
 それと、もう一つ、ほかの区に近接している、例えば新田、小台、宮城、千住、綾瀬地域などでは、かかりつけ医が荒川区や北区、葛飾区などほかの区内の病院という方もたくさんいらっしゃいます。今後は、その病院で健診を受けることができなくなってしまう、そういう問題があります。ですから、自治体の枠を超えて受診できる仕組みが必要なんですけれども、本会議では、それは困難だという答弁だったんですね。
 区民の健康に思いを寄せて、あきらめずに、この実現に向けて働きかけを行っていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
○医療制度改革室長 今回の集合契約を結ぶに当たりましても、当初、東京都医師会と東京都が健診の単価、健診項目を統一しようという方向で話を進めておりました。ただ、いろいろと問題がございますので、集合契約につきましても、従前どおり区市町村と各医師会との交渉になる見込みでございます。
 やはり健診単価、あるいは健診項目を統一しないと隣接する区と健診は難しいと思われますので、このことにつきましては、引き続き東京都保険者協議会、あるいは23区の課長会等々を通じまして、都医師会、あるいは東京都に要望していきたいと考えております。
○ ぬかが委員 そうなんですね。まだ単価も決まっていないという、こういうガタガタの中で、本当に大変だなと思うのですけれども、ぜひあきらめずに頑張っていっていただきたいと思います。

介護保険のお金で健診実施?!−保険料に跳ね返る
 次に、この健診費用に関するお金の流れなどを見ていきたいと思います。
 予算説明書の306ページですが、介護保険特別会計、介護予防事業費の介護予防特定高齢者施策事業費、この予算が、昨年から2億9,000万円ふえまして4億5,485万円になっています。
 この主な要因と内訳はどういうことでしょうか。
○高齢サービス課長 今回、この4億5,000万円のうち、4,000万円が筋トレの方の金額で、4億1,000万円の方が生活機能評価に係る部分でございますけれども、今回、健診部分の方が介護保険の方から出すという形になっております。
 例えば問診、計測、診察でございます。これと貧血、心電図ですね。この費用が介護保険の方から出すと、ダブった場合、そういう形になってございます。
○ ぬかが委員 そうなんですね。私も本当に驚いたんですけれども、65歳以上の方々の健診費用がここに隠れていたんですね。筋トレ、わずか4,000万円なんですよ。それをちょっとだけ表にしてみました。

各会計項目 予算額 対象・内容
国保会計 特定健診 9億716万円 75才未満の国保加入者
後期高齢者医療特別会計
後期高齢者健診
1億2578万円 75才以上の高齢者
一般会計 詳細項目 3億7895万円 必須項目からはずれたX線、心電図・眼底・
貧血検査―対象は必要とする区民全員
介護保険特別会計
5款 地域支援事業
1項 介護予防事業費
1目 介護予防特定高齢者施策事業費
4億5485万円
(昨年比2億9000万円余増)
4000万円余が筋トレ、
4億1000万円余が健診。25項目の生活機能
調査+健診セット受診の65才以上は全員介護保険会計に入る

 国保会計では、特定健診、75歳未満の国保加入者ですね。9億円ちょっとです。それから、後期高齢者医療特別会計、ここで健診全部入っているのかなと思ったら、これは1億2,578万円、健診費用です。一般会計の方で、詳細項目ということで、必須項目から外れた心電図、眼底等々、これが3億7,000万円ちょっとなんですね。
 で、いまお話がありましたように、この介護保険特別会計によって、このうちの4億1,000万円が健診費用、生活機能評価の費用ということだったんですね。この生活機能評価が、65歳以上の部分は介護保険とダブるから介護保険の会計で対応するというふうには聞いていたんですけれども、あんまりにも金額が多いので驚いたんですね。
 これがその生活機能評価のチェック項目で、ちょっと大きくしてみました。こういうチェック項目で、15分続けて歩けますかとか、いろいろそういう問診的なものですよね。これがそんなに4億円もかかるのかなと思ったら、先ほど答弁にもあったように思うのですが、実はこれとセットで健診を受けたりする、そのお金は、全部介護保険会計で見るということになるんでしょうか。
○高齢サービス課長 先ほど言いましたように、3割ぐらいが貧血と心電図でございますけれども、すべてではございませんけれども、ダブった部分はこちらの方が優先して支払うという形になってございます。
○ぬかが委員 そういう中で4億1,000万円、だから、高齢者健診、後期高齢者会計で1億2,000万円しかないに介護保険では4億1,000万円だということなわけですよね。
 これは足立区だけでなくて、国の仕組みとして全国でそういうふうになっているんですよね。
○高齢サービス課長 ご指摘のとおりでございます。
○ぬかが委員 65歳以上の方の健診の費用を介護保険で負担させるという、それが国がやろうとしている仕組みだということなんです。
 介護保険の側から見れば、一方で介護給付は抑制して、サービスは削減して、高齢者も事業者も大変な思いをしている。介護保険会計給付も、最終補正で10億円削減しました。一方で、地域生活支援事業、介護予防事業は、高齢者のニーズに合わない部分もたくさんあるのに、給付総額の3%予算を組まなきゃいけない、そういうふうになっているんですね。で、この地域支援事業に高齢者の健診事業まで潜り込ませて、そして介護保険会計を食う。で、保険料額にも当然はね返っていくということになるわけで、本当にひどいなと思います。

やっぱり中止・撤回しかない、後期高齢者医療制度
 いままで医療改革関連で、変化する部分の一部について質問をずっとしてきました。結局、改革と言いますけれども、高齢者にとっては、負担増や給付抑制、差別医療による格差が拡大をすると。それから、自治体にとっても、介護保険と比べても準備期間も短くて、いまだ報酬単価も確定していない。制度改編のために膨大な事務量をこなしながら、区民の混乱や苦情の声を一手に受けるのは、制度を強行実施した国ではなくて、自治体の担当者だと思うんですね。実際に、区の財政負担も減るわけではありません。
 後期高齢者医療制度はやっぱり中止撤回すべきだと私たちは思いますし、そのことを指摘して、次の質問に移りたいと思います。

高齢者や介護関係者の実態に目をむけ
国の不十分さを補う立場に立つべき


福祉の分野を志しながらも職種を変えやめていく人が後を絶たない
―千代田区のように介護人材不足解消の支援策を―

 介護福祉分野の人材不足の問題です。
  人材不足が大変深刻で、低過ぎる介護報酬などで低賃金、きつい仕事内容、それから夜勤を含む複雑な勤務体系など、そういう状況の中で、福祉の分野を志ながらも、職種を変えてやめていく人が後を絶ちません。介護職に従事する方々の目の前の一人を大切にしたいという思いや、それから良心にたのみ、犠牲の上に成り立っている、これが現状です。
 ある特養ホームでは、12月と3月に60人の職員中10人が離職する、こんな話も聞きました。特養ホームでは、職員数が満たなければ法違反の状態になってしまいますから、施設でも本当に必死で、放置できない大きな問題です。
 また、ほかの施設や在宅介護に係る施設でも、こういった職員がやめたりとか、そういうことがどうなのか。この3月、4月で各施設どのぐらいやめて、入る方はどういう見込みになっているのか。自治体として、把握をして、実態をつかむことが大切だと思いますが、いかがでしょうか。
○高齢サービス課長 施設連絡会で調査をして対応を考えたいと思います。
○ぬかが委員 ぜひ実態をつかんで、必要な対策を検討していっていただきたいと思います。
 千代田区では、介護現場の人材不足を解消するために、区内の介護施設が職員の働く環境を改善した場合に、区独自の助成を行うことを決めました。その内容は、介護施設の非正規職員への格上げとか、パート職員の時給引き上げなどの人件費の補助です。施設が職員を確保し、定着しやすくすることが目的です。
 ほかにも介護職員の住宅手当や資格取得、技能向上のための費用助成、精神面の負担軽減のためのカウンセリングの費用の補助も行うそうです。
 根本的な解決は、介護報酬単価の改定にかかわりますが、2009年4月の改定まで待つのではなく、区として早目に手だてを講じて、介護サービスの質の維持向上につなげるためにも、こういった千代田区の施策、ぜひ実施していただきたいと思いますが、そういう考えはありませんか。
○高齢サービス課長 いま介護労働者の定着を図るために、社会保障審議会介護給付費分科会で検討しております。介護報酬のみでは問題の解決策が上がらない、幅広く検討していくということでございます。
 また、新人材確保指針も出ておりますので、それらの推移を見て対応を考えたいと思います。
○ぬかが委員 本当に確保と定着と、両方の支援が必要だと思うんですね。
 私たちが提案した予算修正案では、千代田区同様のことが行えるように施設への人件費補助も盛り込んでいます。やる気になればできることだと思っています。
 しかし、残念ながら区は、新たに新年度予算で見ますと、補助をするどころか、特養ホームの補助3,770万円、これを全額カットしまして、また在宅サービスセンターの補助4,060万円、これも全額カットを行って、新田の施設は閉鎖を余儀なくされるというような、まさに事業者に追い打ちをかけるような仕打ちがこの新年度予算の中であらわれているというふうに思います。

同居家族がいる場合の生活援助サービス、この半年に大きく前進
 次に、いわゆる日中独居、同居家族がいる場合の生活援助サービスについてなんですが、半年前の代表質問のときには、区はこう答えたんですね。「生活援助が利用できるのは、利用者がひとり暮らしであるか、または家族等が障害疾病のため利用者や家族等が家事を行うことが困難な場合厳格に運用を指導している」と、こういうふうに半年前答弁されました。それは違うよと私たち言ってきました。
 そして、その後決算委員会で、疾病障害だけじゃなくて、その他という項目もあり、日中独居でも適切なケアマネジメントのもとで認められ得ることを私たちは確認してきました。そして、今議会の答弁では、こういう答弁されるようになったんですね。
 「同居家族がいる場合における生活援助サービスの取り扱いは、一律に介護給付の支給の可否を機械的に判断しないよう、必要な方に必要なサービスが提供されるよう、事業者連絡会、個々の事業者、利用者からの相談等を通じて趣旨の徹底を図っていく」と、こういうふうになりました。
 本当によかったなと思っているんですが、機械的に対応しないということは、確かに、個別のケースで今までも対応していたのは私もわかっているんですけれども、この機械的に対応しないということを、実際に居宅サービス計画に反映させていく必要があると思うんですね。

 ケアマネにすると、いままで給付抑制や監査のことを考えて厳しい機械的な対応をしがちだった、機械的に判断しないといっても、どういうケースが認められたのかわかるようにしてほしい、こういう話もありました。当然のことだと思います。
 実は、そういうのを書いてあるものはないかと、いろいろ探しました。幾つかの自治体、いろいろホームページ工夫しているんですが、川崎市では、介護保険課のホームページが非常に充実していまして、これが介護保険課のトップページなんですけれども、ここで、事業者の方々向けのページはこちらですと書いてあって、これをクリックしますと、今度は介護保険事業者の皆様へということで、必要な最新情報が全部出ているんですね。
 それで、その中に、介護保険事業者向けQ&A集というのもあるんですね。で、このQ&A集というのを今度クリックすると、いろいろなサービスについての、国の通知をもとにしたものですが、Q&Aでこういう場合はどうなのかというのが一目瞭然で判断基準とかわかるようになっているんですね。本当に事業者やケアマネがすぐに最新情報を取り出させる。
 そこでお伺いしますが、第1に、こういったホームページの改善や充実、これをぜひ足立でも図っていただきたいと思いますが、どうかということと、第2に、実際に区の介護保険課にケアマネジャーからたくさんの問い合わせがあると聞きましたけれども、こういう場合にこういう回答をした、こういう内容は認めたなどの事例をQ&Aにして掲載すれば、居宅サービス計画をつくるときにも利用しやすくなるし、ひとしくみんながいろいろプランつくられるということで、そういう考えはないでしょうか。
○介護保険課長 ご家族のいる方の生活援助につきましては、国も都も区も、姿勢としては全く一貫しております。考え方か変わったということは、この半年の間にございません。
 ただ、最終的に、昨年の12月に国の方から、一律に扱わないようにという文書が改めて出されたことは委員のおっしゃるとおりでございます。
 また、ホームページの件でございますが、わかりやすい形でのホームページというのは常に心がけているところでございますので、事業者の皆さんが使いやすいようにという部分も含めまして、検討はしてまいりたいと思います。
○ぬかが委員 変わってないって、確かに国は変わっていないんだけれども、その解釈が違っちゃっていたから、足立区の介護110番なんかでも、日中独居はだめですと書かれちゃうわけですよ。絶対だめというんじゃないんだけど、そういう過ちが起きていたんです。だから、この問題質問してきたんですね。
○ 委員長 あと2分です。
基金は過去最高の852億円。財政状況は、「介護保険外の生活援助サービス」を拒否する理由にはならない。
○ぬかが委員 あと1点、次の質問に移りたいと思いますが、18年4月の介護保険法改正による給付抑制もあり、いまではどんなに介護度が重くても生活援助は1日最高1.5時間、同居高齢者がいると食事準備や共同スペースの掃除は認められない。窓ふきは内側だけ、散歩外出が必要であってもそんなケアプランは組めない。介護保険では認められていない通院するときのヘルパー介助など、使い勝手の悪い制限がたくさん設けられています。
 先日、本会議代表質問で針谷議員が、こういった部分を補う渋谷区の例を紹介し、介護保険外の生活援助サービスの実施を迫ったところ、厳しい財政状況で独自実施は困難だという答弁でした。
 予算委員会初日に明らかにしましたように、基金は過去最高の852億円、厳しい財政状況を理由に拒否する問題ではありません。要は、施策の優先度、やる気の問題です。予算修正案でも提案していますが、ぜひ実施を検討すべきと思いますが、どうでしょうか。
○高齢サービス課長 生活援助の内容につきましては、90分の範囲内で行っていただくということで設定されたものでございます。
 したがいまして、現在におきまして、生活援助のヘルパーの上乗せを考えてはございません。
○ぬかが委員 大体、国の介護報酬基準そのものに矛盾がたくさんありまして、通院介助の帰り道にお店があって、そこで買い物が必要でも認められない。だから、本来は1日のヘルパー派遣で済むのに、通院日と別の日に買い物の生活援助サービスを入れなければならない、これも介護報酬の矛盾です。
 区の介護保険課などが、高齢サービスも含め頑張っているのはよくわかるんです。でも、金科玉条のように国の言い分に従うのではなく、社会介護の実現、在宅介護支援という介護保険本来の理念から高齢者や介護関係者の実態に目を向けて、国の不十分なことに区が補う、そういう立場に立つことを強く求めて、質問を終わりたいと思います。