5、定数削減問題に関して

@「足立区議会議員定数条例の一部を改正する条例」にたいする質疑
3月27日 本会議 大島芳江議員

○加藤和明議長 これより質疑に入ります。
 本案について発言の通告がありますので、これを許します。
 19番大島芳江議員。
[大島芳江議員登壇]
○大島芳江議員 私は日本共産党足立区議団を代表し、ただいま議題となりました議員提出第8号議案「足立区議会議員定数条例の一部を改正する条例」について質問いたします。
 地方議会は、その基本的機能として、それぞれの地域住民の意思を代表し、条例の制定や予算の議決など、自治体の行政の基本を決める機能を持ち、また、行政執行機関を監視し、公正で民主的な行政が行われるよう、批判、監視する機能を持っています。このように、直接選挙で選ばれた議員が、住民に代わって政治を進めるという重要な権限を持つ議会の議員定数をどのように決めるのかは、まさに議会の根幹に触れる重要事項であります。だからこそ住民の代表の数を減少させるかどうかは、議会制民主主義と民意反映の上から特に慎重を期すべきものです。
 これまで各派幹事長会のもとに設置された「議会制度のあり方検討委員会」で検討されたとはいえ、この委員会は非公開のもので、住民はもとより、議員の傍聴も規制され、その具体的な審議の内容は区民の前に全く明らかにされてきませんでした。そこで質問します。
 地方議会は住民の最も身近な議会として住民の声を自治体に反映する住民の代表機関です。ところが、昨日の議会運営委員会では、この議員定数を論議したという「あり方検討委員会」の結果報告が、議会運営委員会の議題となる前に、議員定数削減条例が提案されるということが議題となっていました。議員定数の議論は、民主主義にかかわる重大な問題であるからこそ、区民や議員が傍聴できる議会運営委員会で「あり方検討委員会」の報告に基づいて慎重に議論されるべきであったと考えます。
 このように、主権者である区民にも知らせず、突然定数削減を提案することは、住民の意思を反映することにも反するのではないか、答弁を求めます。
 次に、この「あり方検討委員会」では、議員定数問題について、何をどのように議論したのでしょうか。また、「全会派の意見は一致しなかった」と議会運営委員会に報告されましたが、各会派の意見は一体どのようなものだったのでしょうか。議論の経過と各会派の意見を明らかにしていただきたい。

議員定数を削減する根拠はどこにあるのか
 議員定数については、従来、人口規模に1999年の地方自治法の改正により、地方議会の議員定数の上限を、それまでの法定数から大幅に減少させ、2003年1月1日から施行しました。しかも、議員定数は条例で定める条例定数制度となりましたが、それでも依然として法律で上限値ではありますが、自治体の規模と定数の目安が規定されています。それは政治と地域住民の要求との結びつきを強め、住民の多様な意思をより多く反映するために必要だからです。地方自治法で定められた議員定数の上限は、人口50万以上90万未満の市は56人で、人口63万の足立区では56人となります。足立区議会では、2000年に議員定数を56人から50人へと削減を強行しましたが、今回、さらに削減数を5人とするその理由は何か。また、議員定数が少ない方がよりよいとする理由は何か、2点についてお答えください。
 行革や経費削減を言うのであれば、我が党が再三にわたり提起してきた費用弁償の見直しや、議員報酬の10%削減などは、やる気になればすぐにでも実施できるものです。ところが議員報酬等のあり方については、あり方検討委員会の報告でも、今後の検討課題として先送りしています。いま、この定数削減条例を可決したとしても、実施できるのは、次の区議会議員選挙です。なぜ行革や経費節減にすぐにつながらず、3年後でなければ実施できない定数削減を優先し、定数問題を区民の立場で議論する時間は十分あるのに、ことさら急いで決めようとする理由は何か、伺います。
 「議員を減らせ」の住民の声があることも承知していますが、本来、自分たちの声を代弁するはずの議員を減らすという声が住民の中からあがるのはなぜでしょうか。このような声は議員の不祥事などが報道されたときに特に高まります。また、増税負担増による将来不安や税金の無駄遣いなどで「議員が何人いても自分たちの暮らしは変わらない」と感じるなど、まさに住民の政治不信のあらわれと理解すべきではないでしょうか。
 議員1人あたりの住民の数は、定数50人では1万2,615人だったものが、45人になれば1万4,016人となり、1,500人以上も増えてしまいます。これは世田谷区、江戸川区に次いで23区で3番目に多い人数で、それだけ住民との声が届きにくくなるのではないでしょうか。いま必要なことは、議員の数を減らすより、議員1人当たりの住民の数を減らし、きめ細かに住民の意思を議会に反映させることこそ必要と考えるがどうか、お聞きいたしまして、この場所からの質問を終わります。

答 弁

○加藤和明議長 49番、長塩英治議員。
[長塩英治議員登壇]

具体的な削減数の根拠について結論は出ていない
○長塩英治議員 大島議員の質問にお答えしたいと思います。
 議員定数の削減も含めた議会制度改革というのは、いまに始まったことではございません。なかんずく足立区では、先ほども申し上げましたとおり、8年ほど前に、平成11年、1年をかけて足立区の定数問題が議論されたところでございます。そのときにも、いま大島委員がご質問したことも含めた議論が活発に行われたことを私は記憶いたしております。そこでも議論された一つに、6人減らすという、減らす数がはたして何を根拠にするか、それらも議論になりました。というよりも、本来、議員の数というのは、いかにあるべきかというところまでも議論されました。しかし、これらのことについては、具体的に根拠というものがはたしてどこまであるのかにつきましては、結論が出ないまま、そのときにも6名定数削減で結論が出たというふうに記憶いたしております。
 それはそのときにも議論があったのですけれども、同じ23区の中でも、例えば千代田区は現在、4万5,461名という人口を数えている中で、25名という定数を維持しています。逆に言えば議員1人当たり1,818名、これが代表される議員の数ということになります。しかし、一方では同じ23区の中で、例えば足立区に置き換えれば、63万、そして50名という定数ですから、1人頭に対する人口だけを勘案したときには、千代田区では1,800人にもかかわらず、足立区は1万2,000名、では千代田区の25名の根拠は一体どこにあるのだろうか。同じ23区の中でも、そうした絶対人口数の違いに対する議会の定数とのバランスは、議論されたけれども、先ほど申し上げたように、これといった根拠に対する議論は結論が出ないままきておりました。しかし、いま足立区を中心にした元の江東ブロックだけを考えてみましても、例えば葛飾、江戸川、江東── 江東は44名、葛飾は40名、江戸川は足立区よりも人口が多いにもかかわらず44名、これも昨年の選挙のときに46をさらに44に減らしている。こういう実態もございます。いずれにしても、去年の選挙に向けて、23区の中で定数を削減した区が7つありました。私どもは8年ほど前に6名定数削減を実施いたしましたけれども、そのときにもこれで十分であるというふうな結論には至っておりません。さらに今後も議員定数の削減については、議会改革の一環として議論を重ねていこうということで、いわばペンディングになっているということを思い起こしていただければ、今回の定数削減が急に議会の中で惹起されたことでないということをご理解いただけると思います。
 なお、先ほどあり方検討委員会の中身についてのご質問がございましたけれども、まさに大島委員がお触れになりましたように、あり方検討委員会というのは、運営委員会、あるいは幹事長会をスムーズに運ぶための、いわばそれを補うべき非公式の会議でございまして、非公式にする理由は、自由な議論をそこで展開しようということであえて非公式にしているわけでございまして、その非公式の会合で議論されたことを、こうした本会議場で詳しく報告しろというのは、議会の本来のあり方からしてみても、私はふさわしくないと思っておりますし、またあり方検討委員会には共産党の代表の諸君もずっと入っているわけですから、もしわからないのでしたらば、その代表の方にお聞きになれば、おのずとはっきりしていると私は思っています。
 いずれにいたしましても、いま、時代はどんどん変わっております。私が申し上げるまでもなく、この2月には、あと10年後に向けて道州制というのがすでに議論されています。この道州制が具体的にどう実現されるかは、まさに今後の推移を見なければわかりませんけれども、しかし、この道州制導入に向けての根拠は何かと言えば、これまでの国家統治機構というものをいよいよ変えなければならないという時代に差しかかってきたからということだと思います。まさに国と道州と基礎的自治体が、国は外交、安全保障、司法などを特化して行う機関として、基礎的自治体はいままでやってきたことをさらに充実させて、本当の意味での地方分権に対応できるような仕組みをつくろうということ、したがって、それにはまず自治体自身の体力強化をしなければならない、行財政運営の効率化、それが基盤の強化として条件と付されているのは、私がここで申し上げるまでもありません。事実、20年11月1日、この秋ですけれども、1999年、平成11年に全国で3,232あった市町村が、この秋には1,793、まさに1,800ぐらいの市町村が合併されてなくなっているというのが実態であり、それはなおいまも進行しているということが経過としてあるわけです。私はむしろ思いをいたすとすれば、いま、ご発言の民主主義、議会の権能あるいは市民の声という話がありましたけれども、こうした合併の流れの中で、いわば姿、形を消してしまった自治体、しかもその一つひとつの自治体には議会もあったはずです。しかし、これらがそうした国の一つの方向付けの中で、いよいよ合併を進めていかなければならない事情というのは、いま申し上げたように、本当の意味で地方自治というものが、これからいよいよ地方分権の中で責任とその能力を持つためには、それぞれが基盤を強化しなければならないというところに大義があったからだと思います。その中で新たに構築された議会が、新たに合併された地域の中にあって、まさに市民、有権者の人たちの声を代弁する機能が補完されていくのだろうと思っております。
 日本の国というのは、まさに古い歴史の中で、伝統と、その地域、地域に根ざした、まさにコミュニティというものがよそから持ち込まれなくても、きちんと充実した形で特化できる国だと思っております。足立区の場合も、変じて申し上げますけれども、私どもが議会に出させていただいたのは30年前のことですが、そのときに初めて制度改革がなされて、区長公選制というのがまさに実施されたのです。しかし、その後も特別区という制度が相変わらず区の独立した自治体となっていないという現状はいまでもそんなに変わっていないのです。しかし、道州制が導入されていく過程の中では、23区の再編は避けて通れない問題だと思っています。
 元に戻りますけれども、この定数の削減をなぜ急ぐのか、なぜするのかと問われるならば、たった一つ、それが区民の声、それが区民の願いだからです。足立区の2,000億の一般会計のうち、いまもってその45%は財政に頼らざるを得ない。そういう意味では非常に軟弱な財政状況であることは変わりがないのです。そういう状況にあって、ただ単に人口割で議会定数を理屈で理屈づけてみても、私は意味がないというふうに思っております。まさに足立区も縄文時代から弥生時代に変わりました。大きな変革の時代をいま迎えています。我々はいよいよ足腰をしっかりさせて、1割議員の数を減らすということは、その分だけ1人ひとり議員の発言する時間、責任が増えるということを新たに自覚していただきたいと思います。区民の声あるいは住民の声は、昔と比べれば溢れるばかりに氾濫している。毎日のように、区長室に直接届いてくる区民の声、そして我々議会にもたくさんの声が入っています。気をつけなければいけないのは、私たち議会が相変わらずパフォーマンス先行の、劇場型の政治や、あるいはワイドショー的な発想に基づく政治活動をしている限り、区民の皆さんは、まだ議員の数は多いと指摘されても、私どもはそれに対して、区民の皆さんに全く言い訳がつかないということを心配しております。共産党の諸君におきましても、前回も今回も反対です。反対の理由は8年前と全く同じ理由であります。時代が変わっているのですから、その辺のことをよく理解をいただいて、今回の定数削減をご認識いただきたい。

再質問

○大島芳江議員 長塩委員からいま、答弁をいただいたのですが、私が聞いたことにまともに答えていないというような印象でした。ただ、全部聞き直すわけにいかないので、一つは根拠についてですが、5名削減する根拠について、先ほどの答弁だと、根拠がどこにあるのかということはないのだけれども、結論が出た、こういう答弁なのです。少なくとも、例えば千代田区の例を出しましたが、千代田区は、これは地方自治法に基づく上限数でありますけれども、その定数は26、そして現在25ということで、さほど変わっていないのです。そういう点で言うならば、いま足立区は先ほど言いましたように56、これが50になっていて、さらに5名を減らすというわけですから、その根拠はないというのはまさに不自然であると思います。それが1点、再度答弁をいただきたいと思います。
 もう一つ、あり方検討会のことについて質問いたしました。これは非公式なものなので、なぜ非公式にしたかと言ったら、自由な意見がそこで言える。つまり、区民の前に出たら自由な意見が言えないということになると思うのです。そして私たちが指摘しているのは、区民の中にこのような定数削減の問題など、一切明らかにしない、それで突然、条例という形でここに提案され、その議論する場にも、議員も含めて自由に傍聴できないようなところだった。これでは一度もこの問題について、区民の前で論じていないということになるのではないか。これが民主主義の問題と、住民の意思を反映することになるのかということでお聞きしたわけです。さらに議員定数が少ない方がよりよいとする理由も、スリムなというようなお話もされていたが、行革や経費節減ということを言うのであれば、なぜ3年たたなければ実行できない議員定数をいま決めるのか。それならばもっとスリムにするために、私たちが再三提案している費用弁償の見直し問題や議員報酬の問題、こういったものこそ先に議論してここに提出するべきものではないかというふうに思いますが、この順番の違いについて再度ご答弁いただきたいと思います。

再答弁

○長塩英治議員 一つだけ申し上げておきますけれども、この議員定数削減は、1年ほど前からすでに議論されておりますが、この問題を提起したときに、一躍、私たちは定数削減には反対です、中身の議論をする前にすでに反対の意見のご発言なさったのは共産党です。中身の議論に入る前に反対ということで、すでに議論するきっかけすら持てなかったというのが実情でありますし、そしてそのことは8年前から何も変わっていないのです。むしろ私どもが聞きたいのは、なぜそんなに定数を維持したがるのか、そのことがちっとも明らかではありません。
 いま一つ、あなた方はいつも経費云々と言いますけれども、今回の定数削減はそれと直接リンクしたものではありません。しかもあなた方は、だったらば、そのことをもっと発言なさればいいのに、いままで一度だって私は議会の方針を下げろとか、何をどうしろというようなことを積極的に発言されたという記憶はございません。もしありがたいことですが、そういうお考えをお持ちならば、これからもっと積極的にご提示いただきたいと思います。