1、本会議質問 ○一般質問 針谷みきお議員 |
私は、まず、介護保険について伺います。 介護保険制度は、社会保障「構造改革」の柱として導入され、8年が経過する中で、貧困と格差を広げ、弱者を切り捨て「介護難民」をつくり出す事態が進行しています。 今年6月、日本共産党足立区議団が実施した第8回区民アンケートに、次のような悲痛な声が多数寄せられました。85歳のSさんは息子さんと二人暮らし、「息子は朝早く仕事に出かけ、夜11時にならないと帰ってこない。以前は週1回ヘルパーさんが来ていましたが、今は打ち切られ途方に暮れています」。Bさんは35歳、「資格を取り介護施設に勤めましたが、週2日夜勤をしても年収300万円。2年間勤めたが先行き生活できないと思いやめざるを得なくなりました。お年寄りにも好かれ、やめないでと嘆願されましたが、涙を飲んでの退職でした」。このようにして「介護抑制」「介護職員の退職・人材不足」が広がり深刻化する中で、今年度中に足立区第4期介護保険事業計画の策定が行われます。 我が党は社会的な支援を必要としていても、制度の編み目からこぼれ落ちていく「介護難民」が生まれていること、深刻な福祉の人材不足をこのまま放置すれば、地域の高齢者介護が崩壊すらしかねないという危機的な事態に直面していると考えますが、区長はどのように認識しているのか、所見を伺います。 また、事態の打開は待ったなしの課題となっていますが、「この人の介護をどうすべきか」という観点に立ち、高齢者の実態から介護保険事業計画の施策を立案すべきと思うがどうか、答弁を求めます。 区は9月5日の地域保健福祉推進協議会に次期介護保険料の算出に当たり、第1号基準保険料を420円値上げし、月額4,800円にするという提案を行いました。しかし、区民にはこの間、住民税が上がり、後期高齢者医療制度で健康保険料も上がり、原油高騰・物価高で苦しむなど区民生活を考慮すれば、保険料の値上げなどとんでもないことです。 区長は、介護保険料の値上げ案を担当課が地域保健福祉推進協議会の専門部会に提案することについて、事前に了承していたのか、あえて区長の答弁を求めます。 次に、介護保険料について質問します。 介護保険制度では、国は保険給付費等の25%を拠出することになっていますが、確実に自治体に支出されるのは普通交付金20%で、残りの5%は調整交付金とされ、足立区には全額支給されたことはありません。足立区の調整交付金の割合は、17年度2.9%、18年度2.92%、19年度2.91%です。ほぼ毎年2.1%値切られ、3年間の影響額は24億3,300万円になります。本来、国から来るべき財源が24億円余も来ていないのです。しかも18年度は5,000万円の欠損額が発生していますが、国は国全体で5%の調整交付金を超えてしまいそうなので交付できないと言うのですから、身勝手な話です。 次に、区自身の問題です。第3期介護保険会計では、介護給付費等の19%を65歳以上の高齢者が負担することになっていますが、保険料決算額は19%を大きく上回っており、06年度21.6%、07年度も21.4%、2年間で本来の負担より23億9,000万円も多いのです。つまり、区は国から値切られた調整交付金をすべて区民が納めた介護保険料で賄っているのです。しかも、拠出割合に応じて毎年、国や都、区などには、余ったからといって精算金として返還しているのに、区民には一銭たりとも返していません。国の負担すべきものを高齢者に肩がわりさせ、余ったら国も都も区も返してもらえるが、区民は返してもらえないというのは、弱いものいじめの極みと言わざるを得ません。区長は公約で「区民に保険料をお返しします」としていますが、区民が法定負担分を上回って負担している23億円余は、区民に返すべきではないでしょうか。 区は第4期介護保険料を算定するに当たっても、65歳以上の高齢者が負担する割合を20%ではなく、22.1%で見積もっており、国が値切ろうとしているお金を、またも高齢者に法定分を超えて3年間で数十億円余を多く負担させようとしているのです。また、介護保険特別会計の決算を見ると、06年度は8億円、07年度は27億円余の給付残があり、08年度は、不確定ですが約42億円余の給付残が見込まれます。その根拠は、介護利用者の抑制が進行しているため伸び率が鈍化し、介護給付費等の伸び率は2年間4.5%で推移しており、昨年度の介護給付費に伸び率を掛けると、今年度は約301億円になります。結果として42億円余り、3年間で約77億円の給付残が出ます。すると、第4期介護保険会計に回せるお金は16億3,000万円になります。区の見積もり14億円より多く準備基金が出る可能性も残されているということです。 埼玉県三郷市は第3期の最終年度の08年度、介護保険料を500円値下げしました。また、埼玉県美里町では町長が住民生活を支えるという立場から、一般財源を投入し、介護保険料を777円値下げしています。要は、自治体の長のやる気の問題です。 原油高騰で区民生活が困難になり、家計の消費が落ち込み、区内の産業・経済が停滞しているときだからこそ、区長が区民生活を支えるという立場に立ち、多く取り過ぎている第1号保険料を値下げすべきと思うがどうか。 次に、区は地域保健福祉推進協議会に保険料の負担軽減策として、現行第4段階に特例第4段階を設ける。また、現行第5段階と第6段階をそれぞれ二分し10段階にするとしています。第1段階から第3段階B階層までは、預貯金要件があるため軽減策が適用されない場合が多々あります。そこで、これらの負担軽減策については資産要件を撤廃すべきと思うがどうか。 次に、足立区の特別養護老人ホーム待機者は2,995人となっていますが、第4期計画案では、特養ホームを増やすのは3年間にわずか250床です。Aランクの待機者は1,143名とされています。本来、希望者全員を入所させる計画をつくるべきですが、少なくとも第5期計画まで、Aランクの待機者を入居させられる計画に見直すべきと思うがどうか。 また、介護保険施設計画の早期実現のため、特養ホームの建設費のうち、都が打ち切った土地購入費補助をはじめ、建設費の補助は不可欠になっています。区はどのような補助制度をつくるのか、答弁を求めます。 次に、「介護従事者等の人材確保のための処遇改善に関する法律」が成立しましたが、介護報酬の改定にとどまらず、区独自で人材確保策をとるべきというのは、与党からも質問がありました。 千代田区では、不規則な勤務ローテーションなどの労働環境の改善、人材育成、地域格差解消の手当などを実施しています。人間の尊厳にかかわる崇高な仕事に携わっているにもかかわらず、低賃金、長時間労働など、その待遇改善が急務となっており、待ったなしの課題だと思いますが、区はどのようにするつもりか。区独自の人件費補助を行う考えはないか。また、人材確保とともに定着について、事業所への運営費補助も含めて何らかの対応策を行うべきと思うがどうか、以上2点について答弁を求めます。 次に、小規模多機能型施設は、利用者の選択に応じ、「通い」「訪問」「泊まり」を組み合わせ、本人に合ったケアをすることができるので、利用者にとって評判はいいが、介護報酬が低く抑えられているため、募集しても職員が集まらないなどの困難を抱え、定員を引き下げているところもあり、施設長が身を削ってやっと経営を支えているなど、深刻な実態があります。これに対し、区として何らかの運営費補助をすべきと思うがどうか。 また、大規模改修費補助制度については、包括予算外の補助として一件算定することになりましたが、実際には施設の実態に間に合っていないというのが現状です。既に建築後10年以上経過して雨漏りや壁剥離などあらわれている施設に対しては早急に対応すべきと思うがどうか、答弁を求めます。 次に、療養病床の削減計画は、自治体や施設の強い反対の中で、22万床は存続されることになりましたが、「介護型」から「医療型」への転換に伴って診療報酬が低くなるため、新たな問題が懸念されています。 Fさんは脳梗塞で寝たきり、療養病床に入院、しかし、胃ろうのため気管切開になってしまいました。急性期治療が終わった段階で自宅に帰されましたが、胃ろう・気管切開の状態で見てくれる介護施設は見つからず、結局、奥さんが決意をして在宅ケアを始めましたが、頻回な吸引で気持ちが休まる間もなく、奥さんが持病の発作を出してしまいました。仕方なく、急性期病院に入院しましだか、またすぐ退院を迫られるのではないかと不安を抱えています。 このように在宅では無理、特養ホームや老健施設ではだめというFさんを「介護難民」にしないよう、退院後の受け皿づくりなど、区として対策をとるべきと思うがどうか。 次に、在宅サービスの拡充について伺います。 介護ベッドの取り上げや訪問介護の削減など「新予防給付」が給付抑制の手段に過ぎなかったことは、区が実施した高齢者実態調査報告書にも如実にあらわれています。要介護認定者実態調査結果で要支援1から要介護1までの軽度認定者の中で、不満に思う理由は「相談時間や訪問回数などが少ない」が50%を占めています。 介護保険の設立の眼目であった介護を社会的に保障するという原点に立ち返り、国の介護取り上げから高齢者を守り、介護の選択性、権利性を担保する立場から区独自に次の施策を実施するよう答弁を求めます。 ア、介護保険サービス利用者負担額助成制度をつくり、居宅介護費の利用者負担の軽減策をとること。 イ、06年介護保険改定で使えなくなった生活援助サービスについて、@ヘルパー派遣の1.5時間の上限化によりサービスが受けられなくなった高齢者に対し、介護保険に接続した形で30分または1時間家事援助サービスを受けられるようにする。A同居家族がいて掃除、洗濯、調理などの生活援助ヘルパーの派遣が認められない世帯に、介護保険と同様のサービスを提供する。B介護保険では認められていない同居高齢者に対する生活援助サービスを提供する。C介護保険では認められていない通院するときのヘルパー介助(病院内の見守りを含む)、散歩・近隣施設などへの外出介助サービスを提供する。 ウ、自立と認定された人でも利用できる生活援助ヘルプサービスの実施、または06年に廃止した軽度生活支援サービスを復活する。 エ、8月25日付厚生労働省の通知を徹底し「同居家族がいること」のみを理由とした給付制限を改善すること。 以上、4点について答弁を求めます。 次に、地域包括支援センターについて伺います。 地域包括支援センターは、各担当地域を持ち、高齢者の総合相談、ケアプランの作成、介護予防事業を支え活動していますが、我が党区議団は、25箇所の地域包括支援センターを訪問し、主任ケアマネさんなどの声を直接聞いてきました。いずれも、困難ケースの解決には地域包括支援センターだけでは解決し得ない実態があることがわかりました。例えば虐待のケースですが、高齢の母親を、一人の息子が年金を搾取し、1日中母親の部屋にかぎをかけて自分は外出、猛暑の中、のどが渇いた母親は水洗トイレの便器の水を飲んでいたところを発見され、警察に立ち会ってもらい緊急に老健施設に入所させたなど深刻です。そこで伺います。 認知症、虐待、ごみ屋敷、介護拒否など困難ケースが増えていますが、地域包括支援センターの3名の職員だけでは対応できないため、臨時職員を増やすことができるよう運営費補助をすべきと思うがどうか。 また、地域包括支援センターだけでは解決できないケースが多くなっています。困難ケースを所管している中部福祉事務所高齢援護係の職員を増やすべきと思うがどうか。 板橋区で実施している認知症ネットワークづくりを参考に、足立区としても医師会、地域包括支援センターなどが連携して認知症ネットワークを構築しようとしていますが、区として支援すべきと思うがどうか。 虐待防止策について、地域包括支援センターの業務となっている虐待防止については、主任ケアマネ独自の支援策を講ずべきと思うがどうか。 次に、区民の命と健康を守る施策について伺います。 まず、特定健診についてです。 後期高齢者医療制度と連動して始まった特定健診は、メタボリックシンドロームに着目して、40歳から64歳までは9月30日までにと受診期間が決められていますが、間もなく期限切れとなり、厚生労働省が設けた健診率65%を達成するには、健診を推進する体制が求められ、全国市長会では、その実行部隊として保健師を全国で1万人増やすべきと要望しています。区としても独自の対策が求められると思いますが、10月以降も希望者は受診できるようにすべきと思うがどうか。 また、受診率を引き上げるため、区の保健師を増やすとともに、医療機関で保健師を雇用した場合には、委託費の加算を行う考えはあるか、答弁を求めます。 次に、特定健診の検査項目の拡充についてです。 慢性腎臓病は糖尿病性腎症、高血圧による腎硬化症も含めた生活習慣病に起因することが指摘されていますが、これが重症化すると人工透析になる場合があります。人工透析は1人初年度1,000万円、次年度以降500万円の医療費がかかり、医療費増の要因となっていることは周知のとおりです。そこで、人工透析に至る前に、早期発見するために、単に尿検査ではわからない場合が多く、血清クレアチニンという血液検査でわかるため、医師会としても重視していると聞いています。血清クレアチニンを特定健診の検査項目に含めるべきと思うがどうか。 次に、若年者健診について伺います。 非正規雇用の拡大などで定期的な健診を受ける機会のない若者が増えるとともに、健康を害する割合も高まっています。北九州市では、市内に住む18歳から39歳の人で会社等の定期健康診断を受ける機会のない人を対象に、区役所等の集団健診及び個別健診を実施しています。足立区としても、将来ある若者を支援する立場から、若年者健診を実施すべきと思うがどうか。 次に、肺炎球菌の予防接種への補助について伺います。 インフルエンザが悪化し、肺炎を併発し死亡する高齢者の大半が肺炎球菌によるものと言われ、医師会でも予防接種を呼びかけていますが、1回6,500円程度、費用負担がかかります。肺炎球菌の場合、一度接種すると5年間は効果が持続するもので死亡率を低下させる上で効果があると言われています。区として予防接種をする人に助成を行うべきと思うがどうか。 最後に、悪臭防止まちづくり指導要綱の創設について伺います。 入谷地区には、一般・産業廃棄物業者は50者あると説明されていますが、実際にはもっと多いというのが実感です。ごみのリサイクル再資源を進めるには、これらの業者は必要不可欠な存在です。しかし、そうした業者から出される有害物質は、悪臭、トラック搬入による排ガス、更にごみ焼却による煤煙など被害は様々ですが、近隣住民にとっては耐えがたいものになっています。とりわけ、一般・産業廃棄物の処理から発生する悪臭は、夏、冬を問わず、風向き等により差異はあるものの、悪臭被害は住民の受忍限度を超えています。入谷九丁目では業者による生ごみのリサイクル生成中に有毒ガスが発生し、数名が倒れて病院に担ぎ込まれるという事件まで発生しています。 これらのほとんどが都心の企業から排出されるものであり、区長が許認可権者となっている一般廃棄物の事業所のうち、収集運搬業では23区で620者のうち、足立区内で約半数の332者が操業しております。また、処分業者では、23区32者中、足立区が8者と25%を抱えており、その大半が入谷地区など特定の地域に偏在しています。 そのほか、区内には産業廃棄物、特別管理産業廃棄物業者も多数おり、何らかの被害を地域住民に与えています。この対策を都全体の課題とし、例えば悪臭を出さない産業廃棄物処理施設をつくるため、財調の基準財政需要額に算定させるなど環境対策費を区長会で認めさせるよう働きかけるべきと思うがどうか。 足立区では2006年度に住民の要望により「足立区斎場の設置に関する指導要綱」を制定しました。指導要綱とは、法令や条例などとは違い法的拘束力はありませんが、行政が地域住民と地域環境を守る立場から設置者に対して、強い指導力を発揮し、建設すること自体にも厳しい圧力となっており、指導要綱制定後、斎場設置申請はゼロになっています。 足立区で「産業廃棄物施設の設置に関する指導要綱」を制定すべきと思うがどうか、答弁を求め、この席での質問を終わります。 答弁 ○有賀純三福祉部長 私からは、介護保険に関する一連のご質問にお答えいたします。 平成18年度の介護保険法改正は、介護予防を重視するとともに、将来にわたって制度を持続させるための改正でございました。介護サービスが必要な方には、個別のケアマネジメントを通じて適切に提供されていると認識しております。しかしながら、介護報酬の改定などにより、介護の現場での人材不足などが深刻な状況となっていることについては、十分認識をしております。また、本年、高齢者や要介護者の実態について、各種の実態調査を実施しており、調査の結果をもとに介護保険事業計画を策定してまいります。 保険料基準額案につきましては、一定の条件のもとに現時点で積算したものであり、地域保健福祉推進協議会専門部会で検討を深めていただくための素材として提案いたしました。今後、協議会に諮問し、いただいた答申を十分踏まえて基準額を決定してまいります。 次に、介護保険料についてお答えいたします。 介護保険料は、保険給付費の推計に基づき、3カ年ごとに設定いたします。平成21年度に予定されている介護報酬の改定や、今後、高齢者のみの世帯や後期高齢者の増加が見込まれることから、第4期では、保険給付費は大幅に増加することが予測されます。介護保険は社会全体で介護を支えることが基本理念となっております。制度を将来にわたって持続可能なものとするためにも、一般会計からの財源投入は考えておりません。 なお、国の負担割合につきましては、5%を調整交付金とするのではなく、負担率25%として確保されるよう引き続き国に要望してまいります。 次に、介護保険料の軽減制度についてお答えいたします。 介護保険は、40歳以上の皆様全員に支えていただき運営している保険制度であり、公平性を担保する観点から、資産要件を撤廃する考えはございません。 次に、特別養護老人ホームの建設についてお答えいたします。 介護保険施設の建設は、参酌標準という厚生労働省の基準により、平成26年度における要介護2から5の人の37%以下となっており、基準に従い計画しております。 また、施設計画の早期実現のためには、区有地の活用、UR・都住の建て替えの活用、定期借地権の活用等、あらゆる手法を視野に入れております。施設建設費の補助金は増額されましたので、区の増額分の施設建設費を用地取得費に転換することで法人への支援策にならないか、検討中でございます。 次に、特別養護老人ホームと小規模多機能型施設の介護人材確保と事業者への運営費補助について一括してお答えいたします。 保険事業の運営は、介護報酬に基盤を置いてこそ、将来にわたっての安定的な経営が確保されるものと考えます。人材確保につきましても、国や都、保険者がそれぞれの役割分担に基づいて継続的に実施していくべきものと考えております。このため、特別区長会や全国市長会等を通じて、国に対して介護報酬の改定を要望しております。また、区といたしましては、特に人材確保が困難である特別養護老人ホームに対して、職員募集の経費と職員育成の研修費の補助を検討しております。更に、職員確保のため、地域密着型の面接会等をはじめ、各種の事業を予定しております。 小規模多機能型施設につきましては、産業経済部と連携した経営指導や職員研修など、経営や人材育成の支援を行ってまいります。 次に、大規模改修についてお答えいたします。 特養の軽易な改修工事につきましては、区実施の緊急工事や小破修繕により早急に対応しております。大規模な改修につきましては、入居者の一時移転等も含めて検討中でございます。今後も、施設保全計画に基づき的確な施設状態の把握と保全に努めてまいります。 次に、療養病床廃止の影響についてお答えいたします。 厚生労働省は、在宅医療・在宅療養体制の充実を目指しております。その中心となるのが、患者の求めに応じて24時間往診が可能な在宅療養支援診療所でございます。医療と介護の連携を図り、高齢者の方が地域で安心して生活できる仕組みの構築を目指してまいります。 次に、在宅サービスの拡充についてのご質問にお答えいたします。 介護保険では、どの居宅サービスも1割の負担で利用できる仕組みとなっており、利用者負担額助成などの軽減策をとることは考えておりません。 次に、介護保険外の生活援助サービスについてお答えいたします。 今後、高齢者の増加が見込まれる中、区の財政負担が大幅に増大するなど、厳しい財政状況等を踏まえますと、区が介護保険外で独自にヘルパー派遣事業を実施することは困難であると考えます。 同様の理由から、生活援助ヘルプサービスの実施、軽度生活支援サービスの復活についても実施は困難であると考えます。 同居家族がいる場合の生活援助につきましては、「同居家族がいる」ことのみで一律に判断せず、適正な給付を行うよう介護サービス事業者に指導を徹底しております。 次に、地域包括支援センターについてお答えいたします。 担当区域の高齢者人口あるいは介護予防プランの作成数が一定数を超えた場合は、臨時職員の雇用経費を補助するため、委託料に対して加算措置を行っております。 また、困難ケースへの対応は、中部福祉事務所高齢援護係だけでなく、権利擁護センターあだちや保健総合センター、また警察や弁護士会などの協力を得ながら、組織的な対応力の強化を図ってまいります。 次に、認知症ネットワークへの支援についてお答えいたします。 高齢社会が進行する中で、限りある資源で多岐にわたる認知症対策を効率的に推進するためには、地域ネットワークを構築していくことが必要でございます。平成21年度に向け、対策等を検討しております。 次に、ケアマネジャーへの支援策についてお答えいたします。 高齢者虐待防止につきましては、平成18年6月に医師会や弁護士会、また警察等の参加を得て、足立区高齢者虐待防止ネットワーク運営委員会を設置し、地域包括支援センターへの支援を含めた虐待防止体制の強化を図っているところでございます。 また、虐待の通報による緊急の実態把握などについて、ケアマネジャーなどが時間外対応となった場合には、委託料の加算を行っております。更に、虐待防止に関する研修等に参加できるよう対応してまいります。 ○坂田道夫区民部長 特定健診の受診券の有効期限についてお答え申し上げます。 当初、約3カ月の予定でございましたが、これまでの受診率が約18%と見込まれるため、有効期限を12月末まで延長いたします。また、受診率の向上策としては、あだち広報や区ホームページなどを通じて取り組くんでまいります。区が保健師の採用数を増やすことや医療機関に対し保健師の雇用に要した経費を助成することは考えておりません。 続いて、血清クレアチニン検査についてお答え申し上げます。 国の検討会において、腎機能障害の発生リスクは、尿たんぱく検査、血糖検査、血圧測定等により把握可能であり、血清クレアチニン検査は医療機関が必要に応じて実施することとされました。当区におきましては、詳細な検査項目を検査基準対象者以外の方まで広げ実施しているところであり、現時点ではこれ以上健診項目を追加することは考えておりません。 ○中田善樹衛生部長 私からは、若年者健診と肺炎球菌感染症予防についてお答えいたします。 まず、若年者健診ですが、特定健診を受診する前の年齢の方に、保健総合センターで健診機会を提供することにより、生活習慣病の早期発見とともに、予防に関する意識を高めていただくことを検討しております。なお、18歳から39歳までの女性には、保健総合センターで、女性の健康づくり事業として、健康チェックの機会を設けております。 次に、高齢者の肺炎球菌感染症予防のための助成制度についてお答えいたします。 肺炎球菌の予防につきましては、現在、日本で認可されているワクチンが再接種を禁止していることから、一生涯で一度しか接種できないこととされております。ワクチンの効果は永続的でないことなどから、区として補助することは課題もまだ多く、今後慎重に研究してまいりたいと考えております。 ○定野 司環境部長 私からは、悪臭防止まちづくり指導要綱の創設につきましてお答えいたします。 区では現在、区内の事業所から発生する悪臭・騒音などの公害について相談窓口を設け、現場調査や指導に当たっております。足立区で「産業廃棄物処理施設の設置に関する指導要綱」を制定すべきとのご提案ですが、廃棄物処理施設の設置に関しましては、東京都が許認可の権限を有しております。このため、東京都が主体となることで実効性のある指導が可能であり、区としては要綱を制定する考えはございません。 なお、廃棄物施設への悪臭対策ですが、仮にその費用を公的に負担する場合においても、先の理由から東京都の財源で行うべきであり、財調算定になじまないものと考えます。 再質問 ○針谷みきお議員 全体として冷たいなという答弁ですが、再質問のルールがありますので、かみ合っていない、もしくは答弁していないことのみ聞いて、その他については決算特別委員会で取り上げたいと思います。 まず一つは、介護保険制度についての認識を私は二つ聞いているのですね。一つは、介護の切り下げの問題、それから、人材難の問題を聞いているのですが、答弁では、いわゆる人材難の問題はそのとおりということでお認めになっているのですが、この介護保険の介護難民を生み出しているという問題については、そういう認識は持っていないと。答えていないということは、持っていないと、介護難民などは生まれていないという認識なのかどうか、再度明確にお答え願いたいと思います。 2番目の問題は、私は区長の政治姿勢という項目を立てて、わざわざ近藤区長にお聞きしているわけです。なぜかと言えば、この地域保健福祉推進協議会専門部会に諮問したのは、区の介護保険課ですけれども、一応、区長の意思なのかどうか。保険料の値上げの提案を区長が了承したのかと聞いたので、福祉部長がそれを答えること自体が大体おかしいことで、これは明確に区長にお聞きをしていますので、近藤区長に回答を願いたい。 3番目の問題ですが、先ほど介護従事者の人材確保の問題で、るる答弁なすったのは、事業者への運営費補助については一定の前進があったなと私は評価をしたいと思いますが、私の設問は二つありまして、区独自の人件費補助を行う考えはないかということに関しては、答弁しておりませんので、これだけ大変な介護施設が苦しんでいるときに、区としては何もしないのかと、運営費補助はすると答えていますけれども、人件費補助については答えていませんので、これは明確にお答え願いたい。 最後になりますが、先ほどの地域包括支援センターの職員の問題。総合的に福祉事務所でなくて警察とかその他という答弁ですよね。ただ、私が聞いているのは、現在、困難ケースとなっている虐待だとか、そういういろいろな困難ケースを解決するには措置権が必要だと。そのためには、やはり福祉事務所の高齢援護係の職員を増やすべきかどうかと聞いているのですよ。ですから、これについては明確に、増やす意思がないということなのかどうかわかりませんけれども、明確な答弁をお願いしたい。 それから、悪臭防止についてはちょっと認識が違うので、これは私としては決算特別委員会で取り上げます。 再答弁 ○有賀純三福祉部長 まず、介護難民に関するご質問でございますが、介護サービスが必要な方には介護保険制度の編み目からこぼれることのないように、個別の十分なケアマネジメントを通じて適切にサービスを提供していると認識しております。 2点目の、介護保険料に関するご質問でございますが、介護保険料基準額案は、あくまでも現時点で想定される一定の条件のもとで積算したものでございます。これを地域保健福祉協議会の専門部会に検討の素材として区から提案したものでございます。 3点目でございますが、介護従事者への直接的な人件費補助についてのご質問でございます。介護保険事業の運営は介護報酬の枠内で対応すべきであると考えております。また、それが可能な介護報酬であるべきだと考えております。したがいまして、区といたしましては、直接的な人件費補助を行う考えはございません。 続きまして、中部福祉事務所高齢援護係の職員を増やすべきであるという質問でございますが、今後の事務量と内容、そういったものの見込みや事務の効率化、関係機関との連携、分担などを総合的に勘案し、職員の人員配置を検討してまいります。 |
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