2、区長提案の議案・条例案・補正予算案に対する討論など

平成20年度足立区一般会計補正予算に対する反対討論 ぬかが和子議員
 ただいま議題となりました第97号議案 平成20年度足立区一般会計補正予算(第3号)、第99号議案 平成20年度足立区介護保険特別会計補正予算(第1号)について、日本共産党足立区議団を代表し、反対討論を行います。
 本補正予算は、19年度決算が確定したことにより、歳入に4億2,500万円余の繰越金があります。区も認めたように、19年度の決算の繰越金は77億円となり、その半分は財調基金と減債基金に積み増しをすることで、区の基金(積立金)総額は史上最高記録を更新し、880億円に到達します。残り半分の繰越金38億円のうち、当初予算で10億円、今回4億2,500万円余を予算化しても、更に24億円も顕在化させない保留財源があり、都区財政調整交付金の確定により、当初の予想を上回って入ってくる分、36億円と合わせると、60億円も顕在化させない保留財源があります。
 このような豊かな財源の一部を活用して、私たちも要求していた「保育園の遊具の安全対策」「公共施設の緑化」「新型インフルエンザ対策」などが盛り込まれたのは、当然のことで、否定するものではありません。
 しかし、補正予算は、本来、年度途中で必要性が生じた事業や施策に対応するものです。本補正予算は、与党議員からも指摘があったように、区民にとって必要な施策を補正予算化しているとは、到底思えません。
 第1に、生活に困難を抱え、更に原油・原材料物価高で困窮の度を強めている区民への支援・対策が全くないことです。今、区民は給料や年金は上がらないのに、相次ぐ増税、保険料の値上げ、医療費などの負担増に加え、原油高騰の影響でますます苦しくなり、高齢者の中には、1日2食に削り、この先1食にしようかと考えている人もいる状況です。灯油も昨年でさえ高くてストーブをつけずに我慢していたのに、今年は更に18リットル缶で3,000円を超えるのではないかとの不安の声が寄せられています。
 8月1日、我が党は区長に対して、「原油・物価高で苦しむ区民への緊急対策を是非、補正予算に盛り込んでほしい」と、具体的に足立区でできる提案を緊急要望しました。政府でさえ、原油高騰対策と生活支援策を補正予算で講じています。「福祉灯油支援」など、自治体がきめ細かく実施する対策へ財政支援をするとしています。当然、足立区がこの時期に組む補正予算には、何らかの生活応援策が盛り込まれるものと思っていましたが、何もありません。一体どういうことなのでしょうか。
 総務委員会の質疑で「何か対策は盛り込んでいるか」の問いに対し、「補正予算では何も盛り込んでいない」と答弁しながら、この時期に補正予算案を提出する近藤区長の区政運営には、区民の生活を応援する視点が欠けていると言わざるを得ません。
 第2に、保育園の産休・育休代替に派遣社員を導入する問題です。今補正予算によって、保育園で保育士として働く派遣社員が、更に増えて40人になります。委員会の質疑でも明らかになったように、育児休業は最長で3年、平均でも2年の長い期間です。保育課と派遣会社が契約し、その契約条項の中で、指揮命令者は各園の園長と明記され、それを守らなければなりません。派遣法の縛りで、園長以外の人が指示を出せない、現場に不慣れな派遣社員の保育士に対し、一緒に働く保育士が指示を出すことが契約違反になります。法令を侵さなければ安心の保育ができない不正常な状態に置かれることになります。
 区は、来年度新規に15名の保育士を採用すると言いましたが、これは退職者の分であり、それでは派遣労働は解消できないではないかと、与党議員からも指摘があったとおりです。「子ども」を重視するという近藤区長の方針とも矛盾しているのではないでしょうか。
 第3に、介護保険も19年度の給付実績が確定したことにより、補正予算で65歳以上の高齢者から徴収した1号保険料分の余った分、5億9,000万円余は給付準備基金に積み立て、区の法定負担分12.5%などの余った分、1億8,000万円余は一般会計に繰り戻しをしています。どちらも昨年の最終補正に次いで2回目の減額修正です。
 この要因は、区も「第3期の改定は、制度の大きな変更があった」と認めているように、生活援助のヘルパー派遣が大幅に縮小されるなど給付抑制につながる改悪が行われたことの結果です。高齢者から、近隣区よりも高い保険料を徴収する一方で、サービスは削られ、介護保険会計のお金は余らせる。余っても徴収した保険料分は積み立てて返さないのに、区から介護保険に入れたお金は一般会計に戻す。こんなお金の使い方は到底認められるものではありません。
 せめて、区の一般会計に戻す分を活用して、議会でも議決している高齢者施設の食事代補助、緊急性が求められる人材確保策、渋谷区などで行っている介護保険外での生活支援ヘルパーの派遣などを行おうという考えはなかったのでしょうか。
 今、区民の生活実態を直視すれば、緊急に取り組むべき課題は山積しています。区民の願いに耳を傾け、区民生活を応援する区政運営を行うよう強く求めまして、反対討論を終わります。