1、本会議質問 一般質問 ぬかが 和子議員 子ども施策と医療について問う |
@子ども施策3ヵ年重点プロジェクト推進計画について ◆ぬかが和子 議員 私は、まず、子ども施策3カ年重点プロジェクト推進事業計画について質問します。 従来の子育て支援も重視すべき 区は、「今回の計画は、従来行ってきた子育て支援策とは異なり、子ども自身に焦点を当てたもの」としています。以下の基本的な考え方について、区長の答弁を求めます。 第1に、今回の計画と従来の次世代育成支援行動計画との整合性はどうなるのか。子育ての経済的負担の軽減や保育園・学童保育の待機児童解消、安心して出産・育児ができる仕組みの支援など、従来行ってきた子育て支援策の充実も、重視して取り組んでいく必要があると思うがどうか。 自己肯定感を培うことが大切 第2に、計画では、「たくましく生き抜く力を育む」ことをスローガンに掲げています。近年、様々な少年事件が起きていますが、その背景の一つに、自分を大切な存在と思う感情、子どもの自己肯定感情が深く傷つけられている問題があることを、多くの関係者・専門家が共通して指摘しています。子どもたちが、自分が人間として大切にされていると実感でき、自らの存在を肯定的なものと安心して受け止められるような条件を、家庭でも地域でも学校でもつくることが切実に求められています。 「たくましく生き抜く力を育む」ためには、その前提として、こういった自己肯定感や達成感を培うことが必要であり、計画全体にもその精神を貫くことが必要と考えるがどうか。 第3に、子ども自身に焦点を当てた施策展開について伺います。 子どもを主人公にすえた施策展開を 「子ども自身に焦点を当てる」と言うなら、子どもの最善の利益を図り、自ら考えて行動する、子ども自身の意見を尊重するなど、子どもを主人公に据えた施策展開が必要と考えるがどうか。 また、区は、去る11月19日に予定していた子ども議会を中止しました。開催の目的を選挙の啓発に置き、選挙のない年に選挙管理委員会が主催して行うとしたため、解散・総選挙の可能性が高まったので中止を余儀なくされたと言いますが、子ども議会の開催は、大人の事情で左右されるべきではありません。急に中止になった学校からは、「参加を決め、企画・質問内容をつくり、真剣に取り組んできた。大人の都合で中止は問題。延期でもいいから実施してほしかった」との声も上がっています。 練馬区では、毎年子ども議会を開催し、「ガンバレ商店街」「いじめなくし隊」など10のテーマごとにグループをつくり、自主的に調査し、グループごとに提案・質問を行っています。足立区でも、子どもの意見表明と反映の場として、子ども議会を定期的に開催する考えはないか。 川崎市では、市の重要施策決定に際して、とりわけ子どもの生活や将来に多大な影響を及ぼす事柄を審議する場に、子どもの意見を反映する仕組みを整え、子どもの活動場所の運営には、子ども自身が参加しています。また、公募による子ども会議を年間30回前後開催し、毎年、市長への提言や報告会、様々なイベントを行っています。足立区でも、子どもの社会参加を促進し、子ども施策や地域の将来計画など、子どもの生活や将来に多大な影響を及ぼす事柄について、子どもたちが主体的にかかわれるようにすべきと思うがどうか、以上答弁を求めます。 次に、計画では、「基本的な生活リズムを身に付ける」「遊びや実体験を通して学ぶ力を身に付ける」「心と体の成長を支える安心の仕組みをつくる」ことを三つの重点目標に据え、138の事業を展開するとしています。 まず、「遊び・実体験を通して学ぶ力を身に付ける」ことについて4点質問します。 青少年センターの充実・発展を 先日、杉並の青少年センター「ゆう杉並」の調査に行きました。「ゆう杉並」では、中高生自身が運営委員会をつくって、管理・運営にも携わり、約50の企画事業を行っています。また、区内の中高生がだれでも企画書を出しバックアップを受けられる中高生自主企画も、33事業行いました。自らが企画を立て成功させる、そのプロセスと達成感は得がたい体験です。職員は、直営だからできると語っていました。一方、足立区では、青少年センターに指定管理者制度を導入し実質的に丸投げをする、これは計画の重点目標とは矛盾・逆行しているのではないでしょうか。 青少年センターは子ども施策のかなめであり、豊かな遊び・実体験ができる場として、区が直接企画・運営に携わり、充実すること、青少年自身が企画・運営に携わることで、子ども自身が達成感を味わえる取り組みこそが必要と思うがどうか。 廃止した塩原林間学園の有効活用を 第2に、計画では、宿泊型の体験学習施設を整備し、ものづくり体験、ボランティア体験、自然・農業体験などを行うとしています。そのために、統廃合等により廃校となった学校等の用地を活用するとしていますが、具体的な計画を伺います。 また、廃止した塩原林間学園は、まさに豊かな自然環境に恵まれ、様々な体験のできる施設です。この間、区は売却に固執し、15億円かけてつくった林間学園を、約2億円から8,000万円台に値下げしても売れませんでした。ついに区は、我が党の質問に答え、用地の売却を前提とした活用方針全体を見直すと表明していますが、塩原林間学園の方針変更には至っていません。売却方針を撤回し、宿泊型の体験学習施設として有効活用していくべきと思うがどうか。 体験活動の充実を 第3に、計画では、区内小・中学生を対象に体験学習事業を実施するとしています。犬山市では、学校・家庭でできない体験、感動と達成感の場を提供する目的で「子ども大学」を開催しています。参加費は無料で、火おこしや石器づくり、縄文土器づくりなどを行う「原始人クラブ」「数のふしぎ〜コンピューターで遊ぶ〜」「国際理解 世界の名シェフ・アーティストになろう」「君もエジソンになれる」「日本文化にふれよう、お花・お茶」など22の講座を、土日を活用して行っています。年に一度、合同の体験発表会も行い、子どもたちからは、「いろいろな体験をしてたくさんの感動を味わった」、パッチワーク講座の講師からは、「買えば何でも手に入る時代、でも自分だけ特別なものがほしい、自分でつくろう、こんな子たちがたくさんいたらファッション界の将来も楽しみ」と感想が述べられていました。足立区でも、様々な体験講座を集約し、子ども自身がやりたいことを選び、参加・体験できる「子ども大学」を開催する考えはないか。 キッズパレットと学童保育はそれぞれの目的にとって拡充を 第4に、計画に盛り込まれている足立区版放課後子ども教室の「あだちキッズぱれっと」と学童保育は、連携を持ちながらも、それぞれの目的に沿って拡充する必要があると思うがどうか、答弁を求めます。 安心・安全な公園へ実態調査を 次に、第3番目の柱について質問します。 計画では、安全で安心な公園・道路・施設などの環境を整えるとしていますが、公園については、遊具の安全確保の事業しか盛り込まれていません。公園は死角などによっては危険な場所になります。公園の死角や危険箇所及び利用者の多い公園とそうでない公園の違いなど、利用者の実態把握と調査を改めて行うべきと思うがどうか。 また、従来の公園、既成の遊具のある遊び場と違い、一見無秩序のように見えて、子どもたちが想像力で工夫して遊びをつくり出せる場である「プレイパーク」や青少年がスケートボード、フットサルなどを楽しめる広場の確保を、未利用公有地も活用して進める考えはないか、答弁を求めます。 子どもショートスティの充実を 計画では、特に配慮が必要な対策の充実についても特記しています。区内の児童養護施設において、保護者の緊急時などに対応する施設型の子どもショートステイが再開されました。周りに頼れる人がいないひとり親家庭などが緊急時のよりどころとなる施策であり、見知らぬところに預けられ不安を抱える子どもに最善の処遇を行うことは、特に配慮が必要なことです。利用率が高く4名の定員を超えることも多く、6名を受け入れざるを得なかった実態もあります。定員枠を増やすとともに、支援を拡充する考えはないか、答弁を求めます。 虐待対策の要、子ども家庭支援センターの充実を 区の虐待相談窓口、こども家庭支援センターに寄せられた相談件数は、2年間で倍増しています。計画ではこのことを直視し、対策を充実するとしています。児童相談所に送致するケース以外は、すべてこども家庭支援センターが担っていますが、センターの相談員は実質わずか四、五人の職員で、すべての虐待通報・相談の受け付けから、訪問、安全確認、在宅支援、そして解決まで一人ひとりの相談に乗りながら、また、企画や啓発活動の中心を担う重要な役割を果たしています。移動に使う車も1台しかなく、充実が必要です。相談件数の増に見合った職員の増員と、専門性を高める人材育成や機能的に行動できるよう支援の拡充を行うべきと考えるがどうか、答弁を求めます。 世界一高い日本の学費、「お金がない」を進学・通学を断念する家庭を生まない支援策を また、計画では、低所得者世帯の高校進学率が低いことを直視し、高校進学等の支援強化をするとしています。読売新聞でも、「非正規雇用が増え、不安定な親の生活の影響を受ける子どもが増えた」「そもそも人生のスタートラインに立てていない」と報道されました。どの子にも教育の機会を均等に保障し支援することは、本当に大切です。 現在、区内の子どもの全日制高校への進学率は95%を超えていますが、生活保護世帯の進学率は7割です。区は、高校進学等支援プログラムで、全日制高校進学率を90%以上にする目標で取り組むとしています。NPOと連携し、不登校や引きこもりがちな若年者への戸別訪問や、学力をつけるための支援も行っています。親が働けない生活保護世帯の子どもの困難はそれぞれ異なるため、一律にマニュアルを当てはめずに、当事者の立場に立って、一人ひとりきめ細やかに支援していくことが大切と考えるがどうか。 また、中退せずに通学を支援することも大切です。日本の学費、教育費は世界で一番高いと言われ、教育費を家計が負担する割合は、OECD諸国の平均が26.9%ですが、日本は66%となっています。 区の無利子奨学金である育英資金は、申し込み締め切りが7月と早く、期間も短いため利用しにくく、公立高校入学準備貸付金は7万円が上限です。入学前に必要なお金は入学金だけでなく、制服一式、体育着、白衣、柔道着、教科書、副教材など15万円前後もかかります。高校の通学を保障する区の育英資金について、いつでも受けられるように募集期間の延長、入学準備金の上限額など、現状に見合って見直す考えはないか。 8月から始まった生活安定化総合対策事業として、低所得者への塾や受験費用を貸し付け、高校や大学に入学すれば返済は免除されるチャレンジ支援貸付事業を実施しています。しかし、要件が厳しく、年収200万円以下がワーキングプアと言われるのに、130から150万円を超えると利用できません。この事業は3年の期限事業となっていますが、期限の延長や要件の緩和など、より使いやすい制度への改善を都に強く働きかけるべきだがどうか、答弁を求めます。 医療問題について問う 次に、医療問題について質問します。 地域医療崩壊の危機 急増する受診抑制、入院患者の追い出し、深刻な医師・看護師不足。国民の命と健康を切り捨てる医療構造改革により、今、日本の医療は崩壊の危機にさらされています。 医療の計画や基盤整備は、基本的には東京都の仕事です。しかし、社会保障審議会は、住民に身近な市町村の役割を強調し、地域の特性を生かした保健・医療・福祉のまちづくりや、総合的な計画づくりについて、市町村が果たすべき重要な役割であると述べています。ここには、国が医療費適正化の名による医療費削減の観点から、医療と介護の連携の強化などを強調している背景があり、都も、医療費適正化計画や地域ケア体制整備構想などで、各自治体で在宅医療へのシフトによって医療費を削減することを迫っています。 これを受け区は、医療抑制に走るのではなく、地域医療とそのネットワークづくりを中心として、医療と介護の連携強化などを盛り込んだ、総合的な医療体系、自治体でやるべきことを計画として積極的に位置付けるべきです。実際に、小児救急医療、救急医療ネットワーク、在宅療養支援・かかりつけ医制度など、自治体の中での医療分野の比重が高まり、各基礎的自治体において医療担当管理職も置かれています。 区としても、安心して受けられる地域医療の課題を正面に据え、区民が健康で生き生きと生活できるよう支援を広げることが求められていると考えますが、答弁を求めます。 お産ができる病院21→7に激減 次に、墨東病院で起きた妊婦死亡事件をきっかけに、産科・周産期医療が社会問題になっています。根本には、政府の医療費抑制政策がもたらした医師の絶対不足があります。東京産婦人科医会発行のニュースによれば、「東京の周産期救急搬送状況は全国平均を大きく下回る。特に患者受け入れに至るまでの電話照会回数が10回以上に及ぶ頻度は全国一高い」状況です。 足立区でも、出産のできる医療機関が大幅に減っており、8年前には産婦人科が21ありましたが、今では出産ができるのは7箇所しかありません。区民が安心して区内でお産ができるよう、区としてできることを行う必要があると思うがどうか。 まず、区内の地域ごとの医療ニーズや実態をきめ細かく把握し、都や各機関の対策に反映していくべきと思うがどうか。 深刻な看護士不足 次に、深刻な医師不足の実態が繰り返し報道されていますが、看護師不足も深刻で、地域医療の崩壊につながりかねない事態です。雑誌「週刊東洋経済」では、足立区を含む東京東部地域ルポとして、「看護師不足が招く経営危機、町の病院が消えていく」と特集されたように、足立区でも深刻な状況になっています。 2006年、国は、看護師の配置基準を18年ぶりに改定し、患者7人に看護師1人を配置した医療機関に報酬を加算して手厚い看護体制を促す仕組みをつくりました。ところが、看護師が絶対的に不足している上に、構造改革で診療報酬全体が大幅に削減されたため、看護師争奪戦が激化し、中小の病院の多い足立区で看護師不足が一層深刻化する事態が起こっています。 看護師会の東部地区の理事を中心に行った調査では、各病院で、1年間で平均9名の常勤看護師が退職をし、看護師が足りずベッドを縮小している病院は22%、看護師不足を理由とした病棟の閉鎖をした病院は36%という実態です。 区内に3箇所しかない看護学校の一つは、学生を集めるのも大変、卒業しても都心の大病院に就職してしまうなどの理由で、来年度新規募集を中止するそうです。足立区医師会病院部総会でも、「看護師の欠員で病棟が一部閉鎖している。充足している病院は一つもない」とのあいさつがありました。先月25日には、区内の多くの医療法人の看護部長が、その実態を衛生部長に訴えたとも聞きました。 区はこの間、介護の人材不足対策に取り組んできましたが、看護の人材不足対策、再就労支援についても、直接責任を持つ東京都と連携しながら積極的に取り組むべきと思うがどうか。とりわけ区としても、人材の掘り起こしの支援、就職説明会、就職活動支援、再研修・再教育への支援、区内の看護学校支援などに取り組んでいくべきと考えるがどうか。 また、女性医師や看護師の働きやすい環境づくりを側面から支援する考えはないか。具体的には、院内保育所の整備・充実を東京都と連携して取り組むことや子育て支援の情報提供など、医療機関のニーズを把握しながら行うべきと思うがどうか、答弁を求めます。 療養病床の削減。医療難民を生まない対策を 最後に、政府は、2006年の医療改革法に基づき、38万床ある療養病床を22万床に削減する方向を打ち出しました。高齢者の病院からの追い出しとの強い批判の中で軌道修正され、東京都は医療型の療養病床を増やす計画を持ちました。 しかし、療養病床に入院する患者の医療の必要度を区分し、軽度とされた人の診療報酬を大幅に引き下げて退院に追い込む診療報酬改悪も行われ、今でも病院を出される高齢者が続出しています。 すい臓がんで黄疸が出て入院をしたある認知症の高齢者は、短期で退院を迫られましたが、療養病床もいっぱいでどこにも行き場がなく、区内の有料ホームにも入れず、結局1カ月25、6万円かかる区外の医療と連携をしている有料ホームに入りました。施設探しに奔走した妹さんは、命が尽きるか、金が尽きるかだと嘆いていました。 今後、更に区内の介護型療養病床は医療型への転換か廃止を迫られており、このままでは、たくさんの医療・介護難民が生じかねません。 療養病床削減の受け皿については、老健施設やサテライト型などの施設整備とともに、在宅のネットワークづくりが重要です。 区は、第3回定例会で、24時間往診が可能な在宅療養支援診療所が中心となると答弁しました。しかし、在宅療養支援診療所任せでは、行き場のない退院者は実際には支えられません。現在、区内には、認知症や糖尿病、救急医療などのネットワークづくりがスタートしていますが、在宅医療のネットワークづくりも医療機関と連携して行うべきと思うがどうか答弁を求めて、この場からの質問を終わります。 答弁 ◎近藤やよい 区長 ぬかが和子議員のご質問にお答えいたします。 子ども施策3カ年重点プロジェクト推進事業の基本的な考え方についてのご質問でございますが、具体的な論点につきましては、後ほど参与から答弁させますが、私からは、基本的な考え方についてご答弁させていただきます。 このプロジェクトが、「子育て」支援ではなく「子育ち」を支援することに重点を置いた理由には、2点ございます。 1点目は、近年の子どもを取り巻く状況の変化でございます。子どもの人とのかかわり方が希薄になったことや、遊ぶ時間が減少し、遊び方の少人数化、屋内化への変化がコミュニケーション能力を低下させ、子どもの孤立化を進めていると認識しております。このような傾向が、ひいては不登校や引きこもりなどの原因になっていると考えております。 2点目は、足立の子どもたちの多くが、様々な意味で大変厳しい家庭環境の中で生活し、そのことが子どもたちの生活や進学に大きな影響を与えていると考えておりますので、一歩踏み込んだ子ども支援が必要であるという認識のもとで、重点プロジェクト推進事業を立ち上げたところでございます。 教育委員会を含めた全庁による子ども施策推進会議での議論を経て、子ども自身に向けた子どもの成長のための支援策に重点を置いていくことといたしました。 そして、子どもたちには、たとえ厳しい家庭の状況の中にあっても、たくましく生き抜いてほしいとの願いを込めて、基本理念を「たくましく生き抜く力を育む」としたものでございます。また、この「たくましさ」の根幹には、自己肯定感は不可欠の要素と考えております。本来ならば、こうした自己肯定感は、家庭の中で、特に両親とのかかわりの中で自然に醸成されるのが理想と考えておりますけれども、先ほど申し上げたように大変厳しい環境の中で、本来ならば家庭の中で得られる生活の安定、経済的なことも含めて精神的な安定が得づらいお子さんが多い、そういう認識に立っておりますので、この自己肯定感を子どもたちに身に付けさせるということにつきましては、他区以上の配慮が必要であると認識しております。 他の質問につきましては、参与から答弁させていただきます。 ◎日比谷松夫 子ども家庭部長 私からは、初めに、子ども施策3カ年重点プロジェクト推進事業計画と次世代育成支援行動計画との関係についてお答えいたします。 本計画は子ども自身への支援を主な目的とした計画であるのに対して、行動計画は少子化対策としての子育て環境の整備を主たる目的としています。平成22年度から実施予定の第2期次世代育成行動計画は、子ども施策3カ年重点プロジェクト推進事業計画と統合する方向で検討しております。 次に、自己肯定感や達成感を培うことと本計画についてお答えします。 自己肯定感は、人間関係の中で承認され、賞賛される経験を通して形成されることが多いと言われています。また、達成感は、試行錯誤を経た様々な体験を通して得られるものです。家庭生活の中で身に付ける生活リズムと、様々な遊びや体験を通して自己肯定感や達成感を含めた子どもたちの心身の発達と成長が図られるものと考えており、本計画に反映されております。 次に、子どもを主人公に据えた施策展開についてお答えします。 本計画は、子どもの発達と成長に着目して、主に子ども自身が主人公となる事業を中心に計画しました。子どもたちが、考える力、学ぶ力を育み、自分自身の意見を形成して、主体的に社会を生きていくことができるように、様々な遊びや体験の場と機会を設けてまいります。 次に、こどもショートステイ事業の拡充についてお答えします。 現在、施設型のこどもショートステイ事業の利用率が高いことは事実であり、対応方法について運営法人と協議を進めてまいります。また、増加する需要に対応すべく、協力家庭によるショートステイ在宅型の育成にも努めてまいります。 次に、児童虐待相談の拡充についてお答えします。 相談件数の増加は、昨今のマスコミ報道や啓発活動、支援事業などにより、潜在化していた児童虐待について社会の理解や認知が高まってきたためと考えられます。これら急増する相談に的確に対応するため、職員の増員について検討してまいります。 また、相談の内容も複雑で多岐にわたっているため、児童相談所や福祉事務所、学校など専門機関と一層の連携強化を図るとともに、専門性の高い職員の育成に努め、支援・解決能力の向上を図ってまいります。 次に、院内保育所の整備・充実についてお答えします。 区内には、院内保育所が11箇所ありますが、区といたしましては、事業所内保育所整備に対する東京都補助制度の活用を含め、院内保育所を計画している医療機関等に対し、都と連携した支援を行ってまいります。また、一時保育等の子育て支援に関する情報の提供についても努めてまいります。 ◎宇賀潔 土木部長 私からは、公園に関するご質問にお答えいたします。 公園利用者の実態調査やアンケート調査については、改修予定公園を優先して行っておりますが、順次、公園全体へ拡大してまいります。その際、死角や危険箇所についても、合わせて把握に努めてまいります。プレイパークや青少年が楽しめる広場の確保については、今後策定予定の公園整備計画の中に位置付け、検討してまいります。 ◎有賀純三 福祉部長 私からは、まず、高校進学支援についてお答えいたします。 平成17年に生活保護世帯の高校進学が認められて以来、被保護生徒の高校進学率向上を目指して、進路希望の把握と個々の生徒に合わせた相談・助言をしております。また、平成19年度からは、高校受験を控えた中学3年生に対し、NPO法人との協働により、本人の学習意欲と習熟度に合わせた学習指導を実施しております。平成19年度の全日制高校の進学率は76.07%となっており、平成17年度の69.65%、平成18年度の73.47%と比べ、着実に成果を上げているところでございます。引き続き、目標達成に向けて本人の意欲喚起を図りながら、きめ細やかな支援を行ってまいります。 次に、生活安定化総合対策事業についてお答えいたします。 この事業は、東京都が今年度から3カ年の緊急対策事業として実施しているものですが、当初より事業の対象となる要件が厳しいとの意見があり、区でも要件の緩和を要望してまいりました。これを受け、12月から、賃貸住宅の家賃相当額を月7万円、年84万円まで収入から控除できるようになっております。その結果、例えば2人の扶養親族がいる方の場合、収入が最大404万円の方でも利用できるように改善されております。引き続き利用しやすい制度となるよう、都と連携を図りながら実施してまいります。 ◎中田善樹 衛生部長 私からは、衛生行政についてお答えいたします。 足立区は、区市町村として取り組むべき一次救急である平日夜間小児初期救急や、休日・準夜間応急診療に取り組んでまいりました。今後とも、区民が安心して生活できるよう、基礎的自治体で取り組むべき医療体制の整備に努力してまいります。 次に、周産期医療体制についてお答えいたします。 妊産婦が安心して子どもを産み・育てるためには、周産期医療の体制が確保されていることが重要であると認識しております。脳内出血の妊婦の救急搬送が難航した問題を受けて、国においては、周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会を設置しました。東京都では、東京緊急対策として今年度から、周産期母子医療センター機能の確保と周産期連携病院の新たな指定を行います。また、周産期医療協議会を11月5日に開催し、今後の周産期母子医療体制について検討を開始したところです。特別区長会においても、11月10日に周産期医療体制の充実に関する緊急要望を舛添厚生労働大臣に行いました。当区といたしましては、今後、国と都が実施していく対策に積極的に協力し、周産期医療の充実及び区民への情報提供に努めていきたいと考えております。 次に、看護師不足に対する支援についてお答えいたします。 看護師の確保対策として、東京都は、ナースプラザを拠点に、再就業に向けた研修や就業相談、就職のあっせんなどを行っています。また、区内に平成22年度開校予定である帝京科学大学に看護学科が設置される予定と伺っております。当区といたしましては、こうした都や区内大学等の取り組みに協力してまいります。 次に、在宅医療のネットワークづくりについてお答えいたします。 今年度から、豊島区と墨田区で東京都が医師会に委託してモデル事業を実施しておりますので、その動向を見ながら在宅医療のネットワークを研究してまいります。 ◎齋藤幸枝 教育長 子ども議会と子どもの参加について、一括してお答えいたします。 子どもたち一人ひとりが公共のルールを身に付け、主体的に社会参加することは、教育の大きな目標の一つでもあり、大切なことだと考えております。 教育委員会では、子どもたちの思いや意見、そして考え方等について直接コミュニケーションを図る場として、小学生を対象に子ども教育委員会を実施しており、12月10日には4回目の開催となります。また、中学生につきましては、今年度は、先日、生徒会交流会に参加させていただきましたが、来年度以降は、中学生版「子ども教育委員会」の実現に向けて検討しているところです。 教育委員会といたしましては、まずは、こうした取り組みの定着を目指しつつ、テーマの設定や会議運営上の工夫等を重ねながら継続していきたいと考えております。 なお、子ども議会といった形式にはこだわらず、可能な限り子どもの意見を把握する機会と場を設けていくため、庁内連携を図ってまいります。 ◎岡野進 生涯学習部長 私からは、まず、青少年センターの指定管理者制度の導入に関連したご質問にお答えします。 青少年センター及びこども科学館では、子どもたちが遊びや実体験ができる場として、各種の事業を実施しております。今後、施設の管理・運営と施設を活用して実施する事業に限り、民間のノウハウや人材の活用と効率性の観点から、指定管理者に管理代行させる予定です。 指定管理者制度導入後は、民間の創意・工夫を取り入れながら、現在実施している利用者懇談会を継続し、利用者のご意見を伺いながら運営してまいります。また、青少年自身が企画・運営に携わる事業の実施も検討してまいります。 このように、指定管理者制度を導入しても、遊びや実体験ができる場としての役割や機能は十分果たしていけると考えております。 次に、「あだちキッズぱれっと」と学童保育事業についてお答えします。 両事業は、現時点ではそれぞれの目的と役割を持った事業でありますが、どちらの事業も同じ地域の子どもたちを対象として、地域の皆様のご協力により運営している点では同様でありますので、今後、連携を強めながら一層推進してまいります。 ◎鈴木一夫 学校教育部長 私からは、まず、宿泊型体験施設についてお答えいたします。 教育委員会では、「たくましく生き抜く力を育む」という基本理念にのっとり、現代の子どもたちに欠けている交流と体験を身近な場所で実現すべく、廃校となった学校等を活用した体験交流センター構想を検討しております。今回検討しております構想では、地域の高齢者と児童・生徒との交流を想定しておりますので、日帰り利用も可能な身近な施設の活用を考えております。したがいまして、塩原林間学園の活用につきましては、現在のところ考えておりません。なお、今後の検討に当たりましては、現下の厳しい財政状況も十分踏まえてまいります。 次に、「子ども大学」の開催についてお答えいたします。 区内小・中学生を対象とした体験学習事業の計画として、従来の社会教育事業の充実に加え、新たな取り組みとして、学校教育における多様な体験学習活動を検討しております。何よりも重要なのは、児童・生徒の学習活動に直接結び付く体験事業であること、そしてキッズぱれっとや土曜事業等のように、開かれた学校づくり協議会との連携など、地域の教育力を生かした体験事業を子どもたちに提供していくことであると考えます。したがいまして、まずは、学校・地域との連携の中で、それぞれの地域特性等を踏まえた体験プログラムの実施等を支援してまいりますので、現段階では「子ども大学」を開催する考えはございません。 最後に、育英資金についてお答えいたします。 現状に見合った制度運用が必要なことは、ご質問のとおりです。先の育英資金貸付審議会におきましても、委員の皆様から幾つかのご意見、ご指摘をいただいているところです。経済状況や償還金の負担、他の奨学金等の動向、更には基金残高を総合的に考慮しながら、必要な方に、より利用しやすい育英資金となるよう、引き続き検討してまいります。 再質問 ◆ぬかが和子 議員 何点か再質問します。 まず、1点目の一番最初の質問ですけれども、次世代育成支援行動計画と今回の計画との整合性の関係で、次世代育成計画の方に統合していくというお答えがありましたけれども、ここでクエスチョンしています経済的な負担の軽減とか保育園、学童、待機児解消とか、こういう従来の子育て支援策の充実も重視していくべきじゃないですかと私聞いているんですけれども、そこについてはお答えがありませんでしたので、再度答弁を求めます。 それから、医療の関係なんですけれども、一つには、医師・看護師不足の(1)の部分、周産期医療からの部分ですけれども、ここでも、私のクエスチョンの中では、まず区内の地域ごとの医療ニーズ、区民の方々のニーズ、それから実態、そういうものをきちんと把握して、それを還元していく、こういうことが必要じゃないかということで聞いているんですけれども、ここについてもお答えがありませんでしたので、再度答弁を求めます。 それから、この通告の同じページですけれども、看護の人材不足対策の部分なんですけれども、ここでも私は、先ほどのお答えの中では大学に看護学部ができるとかそういうお話がありましたけれども、安心できる地域医療というのは、本当に行政と議会も力を合わせて取り組むべき課題だと思っていまして、特にこの看護師不足については、例えば医師会も、看護師さんの有資格者の4割しか今仕事していないんだと、だからその掘り起こしをしてほしい、そういうことが必要なんじゃないかということを言っていまして、そういう点での具体的なここに述べているような質問の部分についてはお答えがありませんでしたので、再度答弁を求めます。 再答弁 ◎日比谷松夫 子ども家庭部長 子ども施策3カ年重点プロジェクト推進事業計画と次世代育成支援行動計画との関係に関する再質問でございますが、当然、子育て支援策も重視してまいります。 ◎中田善樹 衛生部長 再質問についてお答えいたします。 個別の地域ごとの医療ニーズ等の把握ということでございますけれども、区としても、今まで医療は国や都の役割ということでしたが、国と都の役割はそれぞれ果たしていただいた上で、区でできることをやっていきたいと思っております。周産期医療の充実及び区民への情報提供に、区として努めていきたいと考えております。個別の課題につきましては、その中で検討してまいります。 それから、もう1点の看護師の確保対策でございますけれども、こちらも東京都の役割として、ナースプラザを拠点に再就業に向けた研修や就業相談、就職のあっせんなどを行っております。区としても、こうした都の取り組み等に協力して、区でできることをやっていきたいというふうに考えております。 |
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