2、区長提案の議案などに対する討論 平成20年度一般会計補正予算(第4号)に対する反対討論 2008.12.10 ぬかが 和子 議員 |
ただいま議題となりました第131号議案 「平成20年度足立区一般会計補正予算(第4号)」につきまして、日本共産党足立区議団を代表し、反対の立場から討論を行います。 区民の期待を2重3重に裏切る内容の補正予算 原油・原材料高騰、物価高に続く金融危機と不況の波は、区民と中小起業者を覆い、廃業・倒産もでている中、何とか年をこそうと区の緊急融資には申込者が殺到していることが、補正予算審議で明らかになり、また、非正規雇用の解雇・雇い止めや採用内定の取り消しも区民を不安に陥れています。今補正予算は、こうした区民の不安を緩和し、くらしを応援する本格的で積極的な対策が求められていました。区長は第3回定例会で「区民生活への影響については強く憂慮している。区としても区民生活に直結する施策については支援を行なってまいりたい」とのべ、具体的には12月の補正予算などで反映するとしていました。しかし、実際に編成された補正予算は、区民の期待を2重3重に裏切る内容でした。 ため込み金は935億円に 第一に、あらかじめ予定されていた決算剰余金の残や、都区財政調整交付金当初算定の残など主な歳入のほとんどを積み立て、基金総額は935億円、義務教育建設基金は40億円積み増して298億円に達しました。基金や義務教育建設基金そのものを否定するわけではありませんが、委員会の質疑で明らかになったように、学校改築にあたり、何校リファインで、何校改築するのか、総額いくらかかると見ているのか、うち補助率2分の一に増額された国庫補助はいくらになり、起債はいくらかなど、計画全体の財政規模も明らかにしていません。緊急に求められる区民施策に回すことなく、安易に積み立てに回したと言わざるを得ません。細部を見れば、1校あたり10億の一般財源が必要といいましたが、リファイン工法で行い、国庫補助や起債も行なうことを考えれば、過分な見積もりさえあります。ましてやアセットマネジメントとファシリティマネジメントにより、施設の計画配置と延命策を行なうことにより、例えばコンクリートは早めに手入れをすれば100年持つとも言われており、どの施設は早めに手をいれて延命をするのかなど、見通しを持たない中での積立は、適切とはいえません。 不急の用地購入に6億9900万円 第二に、同様なことは中央本町の用地購入についても言えます。弥生小学校の土地が狭いから隣接する土地3500uを6億9900万円余、ほぼ全額起債という借金を組んで購入する提案ですが、弥生小学校の面積は区内72の小学校のうち、27番目でとりたてて狭いわけではなく、この時期にあえて購入する必然性はありません。しかも購入する用地は、接道要件も悪く、民間では買い手がつかない用地だと、与党議員からも指摘があった土地です。教育の環境整備は大切ですが、現場や地域のニーズに合わせて充実すべきで、一方で塩漬け土地を安い値段で売りさばいている時代に、一箇所の土地を7億円近くも出して購入することは、区民の理解を広く得られるものではありません。 株式会社コミュニティアーツの解散にあたってまで、税を投入する さらに本補正予算では、シアター1010を運営する株式会社コミュニティアーツの解散にあたってまで、税を投入する予算をくんでいることも重大です。総務委員会の質疑で、区は「買い取ってほしいという事態も想定される」「株主の買取希望があれば、それに応える予算」というだけで、7300万円の内訳として、額面5万円の株を一株85726円で、区以外の株主が保有する860株全てを買取る想定で予算化したことが明らかになりました。しかし、「何人買取りの意向があるか」の質問にも答えられず、何人分買い取るかもわかりません。 しかも黒字だからと、額面より一株35000円以上上乗せした金額で予算化していますが、もともと運営に関わる費用は全て区民の税金を投入してきたもので、黒字分を「株価にのせて株主に分配する」ことや、処分にあたっても更に税を投入することは、区民の理解を得られるものではありません。区は「株主に対する区の責任」といいますが、会社法で言えば、株主が有限株主責任を負うのは当然であり、会社法にもとづく清算で、充分に株主への責任も果たせます。22名の個人と7団体の株主のために7700万円余の予算を計上するより、補正予算というならもっと他にやるべきことがあるのではないでしょうか! 一方、区民などからの要望の強い、インフルエンザ補助拡充も、1千万円で10万人が受けられる腎臓病のクレアチニン検査の復活も、他区でやっている600万円でできる子ども医療費の入院給食費助成も予算化されていません。区は委員会で「経済対策を優先したから」だといいました。今回予算化した緊急融資や公共工事の前倒し発注、学童保育室の増などについて異議を唱えるものではありませんが、与党議員からも「あえて買う必要があるかといえば全然ない」と指摘された用地購入や、29人の株主のための予算、基金積立などが、くらしを応援する事業より優先されているのです。とても経済対策を優先したといえるものではなく、認められるような補正予算ではありません。 区は、区民生活を真に応援する立場に立たれることを強く申し上げ、討論を終わります。 |
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