8、付属資料

A区長あいさつ

【議会初日】
 平成21年第1回足立区議会定例会の開会に当たりまして、所信の一端を申し上げます。
 昨年8月に通達した行財政運営方針の中で、「区政を取り巻く経済情勢もより厳しくなることが予想され、今後の行財政運営は十分な危機意識のもとに進める必要がある」と申し上げましたが、その後、我が国の経済動向は急激に悪化の一途をたどってまいりました。区財政も主要な歳入である財政調整交付金が、平成20年度実績に比べて約69億円の減額見込みとなるなど、5年ぶりに一般財源が縮小するという、大変厳しい状況となりました。
 そのような中で、平成21年度当初予算編成に当たりましては、国や都の施策と連動した的確な緊急経済対策を実施し、少しでも区民の皆様に安心感を持っていただくこと、また一方で、大学や新線など急速に進んでまいりました社会資源を最大限に生かして、更なる発展を遂げるため、昨年8月に策定いたしました「重点プロジェクト」に沿った施策を着実に展開していくこと、この2点に特に配慮し、めり張りのある資源配分を心掛けたところでございます。
 平成21年度の一般会計当初予算額は2,333億円、対前年度比159億円で7.3%の増額となっており、その主な要因は、学校の改築・改修や道路整備等の公共投資100億円余、社会保障費となる扶助費22億円余でございます。歳出予算の増額に伴い、財源不足を補うため、13年ぶりに100億円を超える基金を取り崩して対応いたしております。
 それでは、当初予算の概要をご説明申し上げます。
 第1に、たくましく生き抜く力を育む「子ども」施策でございます。
 「子ども施策3カ年重点プロジェクト推進事業」に基づき、全庁を挙げて取り組んでおりますが、乳幼児期からの基本的な生活リズムの確立は、子どもの健やかな心身の成長と学力向上の基礎となり、大変重要なことと考えております。このため、「早寝・早起き・朝ごはん推進事業」の充実に一層力を入れてまいります。
 小学校1年生には、実質的35人学級を実現し、今まで以上にきめ細かな指導を行うため、副担任講師を配置いたします。
 また、基礎的・基本的な学力の定着を図るとともに、学習意欲を向上させる「体験プログラム」も重視してまいります。
 本年度末までに26校の導入が進んでまいりました「あだちキッズぱれっと」でございますが、平成21年度中には更に26校の開設を準備中であり、22年度の全小学校開設に向けて、全力で取り組んでまいります。
 なお、経済動向の悪化等により共働き世帯が増加し、今年の4月の認可保育園の申し込みが急増しております。そのため、地域によっては相当数の待機児が生まれることが予想されておりますので、この状況に対し、早急な認証保育所の整備など関係機関と協議を進めているところでございます。
 第2に、健やかな安心の暮らしを支える「くらし」施策です。
 国民健康保険では、糖尿病など生活習慣病の受診者の数が、ほとんどの年齢層で23区内でワーストワンとなっていることなどから、区民に対する健康意識の啓発は、当区にとって緊切の課題であると認識しております。そこで来年度は、40歳からの特定健診・特定保健指導の受診につなげ、若い時期からの生活習慣の改善や食育推進を働き掛けるため、35歳を対象とした若年者健康診査事業を開始いたします。
 介護保険料につきましては、地域保健福祉推進協議会答申を最大限尊重しつつも、昨今の非常に厳しい経済情勢を踏まえ、現行の保険料を維持するため、介護予防への取り組みを総合的に行ってまいります。
 また、福祉人材確保・育成支援補助の充実や、医療と介護の連携を図るための「認知症連携担当者」の配置などを通じて、制度の健全な実施を支援してまいります。
 次に、環境対策でございますが、公共と民間の緑の施策を一元化するため、「みどりと公園推進室」を新たに設置するとともに、「緑の基金」を創設し、ふるさと納税等の寄附制度を生かして植栽する「ふるさと桜」や「ふるさと公園」事業の展開を通じ、「一人の百歩より百人の一歩」の精神で、区民の皆様との協働で着実に緑化を図ってまいります。
 さて、刑法犯の認知件数につきましては、大変残念ながら都内ワーストワンを更新する結果となりました。しかしながら、前年比減少件数は1,331件と、減少件数では都内最大であり、4警察署をはじめ、区民の皆様のご協力のたまものと心から感謝申し上げます。これを弾みに、更に21年度は綾瀬地域をモデル地区といたしまして、施策を集中的かつ重層的に展開し、「ビューティフル・ウィンドウズ運動」の実を上げてまいりたいと考えております。
 第3に、安全で活力のあるまちをつくる「まちづくり」施策です。
 まず、大学連携でございますが、個々の大学との連携は、今後開学する帝京科学大学や東京電機大学も含め、既に様々な形で始まっております。先日開催された「企業を変える21世紀の経営戦略フォーラム」では、東京電機大学の産学交流センター長が、「『センターを我が社の研究室』と考えて気軽に利用してもらいたい」と話されました。今後は区内事業者のニーズを的確に大学側に伝えながら、本格的な連携を進めてまいります。また、大学同士の連携も視野に入れ、各大学の学長会議の開催を予定しております。
 次に、都市更新・都市再生についてでございますが、竹ノ塚駅付近連続立体交差事業は、平成23年度の事業着手に向け、新年度は鉄道施設の概略設計や環境影響評価調査などに取り組んでまいります。
 第4に、信頼と協働の区政を実現する「経営改革」についてでございます。
 資産のストック管理の面から、アセットマネジメントに引き続き、ファシリティマネジメントシステムの開発に着手し、庁内一括して統一的に、より計画的かつ効率的な運用を実施してまいります。また、協働をより進化させるため「協働パートナー基金」を設置いたします。寄附者がその使途を希望することができるこの基金は、足立区を応援していただける方々の寄附と区の拠出金によって、公益活動を行っていくための資金として活用されることになります。寄附者の意思と公益活動を支える方々を橋渡しすることにより、協働の一層の推進を図ってまいります。
 次に、緊急経済対策について申し上げます。
 我が国の経済状況は、今後更に一段と厳しさを増すことが予想され、また、当区に対する景気悪化の影響は、税収が少なく扶助費が多いなどの財政構造から、他の自治体よりも長引くものと考えております。
 このため、今回の「足立区緊急経済対策」は、平成20年度からの3カ年計画としておりますが、年度内の対策とともに、平成21年度当初予算にかかわる対策を取り急ぎお示しいたしました。
 「危機を乗り越え、未来に踏み出そう」をサブタイトルに、「中小企業支援」「雇用創出・就労促進」「受注機会の確保」「消費拡大」などを柱に、総額95億円余の計画となっております。
 特に、昨今の急激な経済・雇用環境の悪化を踏まえ、国・都の施策に連動して、直ちに追加的対策を講じられるよう対策費2億円を、産業経済費として計上いたしております。
 なお、区発注工事に関する前払い金制度の拡充と、中間前払い金制度の新設につきましては、2月1日以降の契約案件から既に実施しております。緊急経済対策につきましては、今後も景気の動向を注視しつつ、実績を踏まえ、適宜迅速な対応を図りつつ、内容の見直し、充実にも努めてまいります。
 新年度は、「子どもに未来を!くらしに安心を!まちに活力を!」を基本に、「重点プロジェクト」に沿って、施策を推進してまいります。今後ともご理解とご協力をよろしくお願いを申し上げます。
 最後に、平成20年度最終補正予算案について申し上げます。
 今回ご審議いただきます補正予算は、一般会計第5号補正が6億9,000万円余の増額補正でございます。なお、今後の厳しい財政状況を考慮し、竹の塚鉄道立体化や高齢者・障がい者施設整備、区営住宅の耐震補強工事などの財源確保を図っております。国民健康保険特別会計は35億6,000万円余の減額補正、介護保険特別会計は41億7,000万円余の減額補正、後期高齢者医療特別会計は1,000万円余の増額補正、老人保健医療特別会計は11億7,000万円余の減額補正でございます。
 また、「定額給付金」と「子育て応援特別手当」につきましては、一般会計の第6号補正予算として追加提出させていただきました。
 以上、平成21年度当初予算案及び平成20年度最終補正予算案につきまして、ご説明申し上げました。
 今回ご提案申し上げます議案は76件、報告6件でございます。各議案の提案趣旨につきましては、参与より説明をいたさせますので、慎重にご審議の上、ご決定くださいますようお願いを申し上げます。

【議会最終日】
○近藤やよい区長 平成21年第1回足立区議会定例会の閉会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 平成20年度の補正予算案に重大な誤りがあり、撤回の上、再提出という不手際を招き、議会運営に多大なご迷惑をおかけいたしました。
 また、同時に、区民の皆様の信頼を大きく損ねるという結果を招き、改めて深くおわびを申し上げます。
 ミスのない人間はおりませんが、一人のミスを組織としてカバーもしくはフォローし、最後までミスとして残さないような組織体制を整えることが喫緊の課題でございます。
 一刻も早い改善のため、現在多角的に対策を進めているところでございます。今後、このような事態を招かぬよう、全庁挙げて再発防止の意識を高めるとともに、具体的な防止策をなるべく早くお示しするよう進めております。
 本会議並びに各委員会を通じまして承りました委員の皆様方の貴重なご意見、ご要望につきましては、私をはじめ、幹部職員一同その意を十分に体しまして、今後の区政運営に臨んでまいります。
 また、21年度予算でお示し申し上げました各事業を的確かつ効果的に執行することを通して、厳しい経済状況下におきましても、常に前進する足立区を目標に全力を傾注してまいります。
 議員の皆様の一層のご指導をお願い申し上げまして、閉会のごあいさつとさせていただきます。
 ありがとうございました。