答弁
 
○鈴木恒年区長 村田晃一議員の代表質問のうち、有事法制の質問に一括でお答えいたします。
 これらの法案は、武力攻撃事態という国及び国民の安全にとって、最も緊急かつ重大な事態が生じた場合における対処を中心に、国全体としての基本的な危機管理態勢の整備を図るものであると理解しております。こうした法制の整備は、平素から、国の備え、国家存立の基本となるものでありまして、政府として、緊急事態における法的手続をあらかじめ整備しておくことが重要であると考えております。
 また、今回提出されている法案は、包括的、基本的な法制を決める段階のものでありまして、総務大臣が、国会答弁で、地方公共団体にかかわる具体的な事項を詰める段階で、地方公共団体の意見を十分踏まえ、新しい法律の中に取り込むと言っておりますので、その時点におきまして、特別区長会または全国市長会を通じまして意見表明をしていきたいと考えております。
 他の質問につきましては、所管の部長より答弁いたさせます。
○石川義夫福祉部長 私からは、医療制度改革についてお答えいたします。
  健康保険法等改正案は、現在、国会において審議中でございます。改正案の目的につきましては、厳しさを増す医療保険財政の中で、将来にわたり持続可能な国民皆保険制度を守っていくところにあるものと認識しております。したがいまして、区といたしましては国会の審議を見守ってまいります。
○坂田道夫政策経営部長 私からは、足立区の構造改革戦略の考え方についてお答え申し上げます。
 足立区の構造改革戦略は、自治体としての主体的な行動として、従来の改革の手段や枠組みを超え、足立区と足立区役所の構造をもとから改め、区政の隅々にまで徹底するという考え方に立っております。そして、足立区独自の構造的問題点と資源を徹底して洗い直した上で、区政の構造改革、財政の構造改革を進め、足立区の構造的問題点を克服する。あわせて、足立区の持つ資源を活用し、足立区の協働の仕組みづくり、すなわち社会の構造改革につなげていくことを目指すものであります。
 構造不況により、区内産業や区民所得が大変厳しい状況にあることはご指摘のとおりでございますが、改革に伴う痛みや区民の皆様への影響を十分に注視しながら、改革は進められなければいけないと考えております。
 続いて、足立区の構造的問題点の把握についてお答えいたします。
 構造改革戦略素案におきましては、足立区の構造的問題点として、地域社会の問題点と区役所の構造的問題点を掲げておりますが、このような構造的問題点を克服することが足立区の構造改革戦略の目標であります。決して、区民施策を削減する方向で構造改革の目標を設定しているわけではございません。
 次に、工程表につきましてお答えいたします。
 工程表は、改革のための具体的な取り組みを明らかにしたものでございます。この工程表の中では、社会の構造改革として、子ども施策、高齢社会施策、まちづくり施策、都市型産業・雇用施策、環境施策、電子自治体施策の6つの柱をもとに、具体的な区民施策を掲げております。区民施策の削減のための工程表であるとは考えてはおりません。平成14年から16年までを計画期間として、着実に改革を進めてまいります。
 続いて、構造改革戦略において、区民施策の復活や改善が考えられるかというご質問についてお答えします。
 構造改革戦略では、区政の構造改革として、区民等の参加と協働の働きかけをするとともに、地域社会における自律性に基づく能動的な市民社会の形成を重視し、社会の構造改革を進めていくものです。
 敬老祝い事業につきまして、現在のところ、復活の予定はございません。
 戦略工程表に掲げられた事業のほか、今後の区民施策の方向につきましては、区民の皆様の積極的な参加と協働の仕組みの中で新たな事業の展開を考えてまいります。
 続いて、区政の構造改革は、現下の厳しい状況を克服し、成長期から成熟期へと移行した社会と経済の構造に対応した新たな行財政システムが必要であるとの認識で取り組んでいくものであります。これまでも、多くの成果をあげてきた行政改革を含めた区政改革を新たに展開するのは、削るだけではなく、時代に合った新しい仕組みの構築と成果を生み出していくという流れをつくり出していくことがねらいであります。
 続きまして、区が実施する公共事業は、区民生活に密着しており、区民の安全を守り、生活を豊かにし、快適性を向上させることを目的としております。また、まちづくりは、区民の皆様と長い時間をかけた協働のもとに進められる事業であり、一度、その芽を断ち切ってしまうと、再び芽生えさせるまでに多大な時間と経費、労力がかかります。
 したがいまして、たとえすぐに形として成果が見えない事業でも、継続していく必要があると考えております。そこで、厳しい財政的制限の中で、持続し、継続していく必要のあるまちづくりや公共事業を安定的に行うための新たな仕組みをつくっていくこととしたわけでございます。
 そのために、第1に、財源の大枠を設定し、その枠の中で、施設の改築や改修など、どうしても実施する必要のある事業の財源を確保した上で、新たなまちづくりや公共事業などに財源を配分するシステムを構築してまいります。第2に、まちづくり事業を、これまでの実施計画より長いスパンで調整、管理していくことといたします。第3に、事業を、事業量や実施時期などによって分類し、調整管理してまいります。こうした調整管理システムを創設することにより、投資的経費に充当する財源を確保していきたいと考えております。
 続いて、投資的経費をコントロールできず、著しくバランスを欠いた行財政運営ではないかとのご指摘ですが、財政健全化計画を策定した中で、推進すべき事業、調整すべき事業、見直すべき事業等を分類、調整を行うことにより、計画的に事業展開を図ってきました。13年度決算の赤字脱却は、こうした全区挙げての努力の結果であると考えます。
 次に、区民のためになる構造改革戦略として策定し直したらどうかとのご質問ですが、今回の構造改革戦略は、区の組織、制度を改革し、それに行政評価制度を連動させ、成果主義の観点に立って区民の満足度を高めようとするもので、まさに区民のための構造改革だと考えております。
○佃 朝明区民部長 介護保険制度についてお答えいたします。
 高すぎる保険料、利用料の負担から、介護サービスの利用抑制が行われているとのご指摘でございますが、介護保険制度において、支給基準限度額の上限までサービスを利用することを前提としているわけではございません。
 なお、サービスの利用は、今後、制度の定着化が進むことによって増加するものと予想しております。
 また、保険給付費が当初見込みを下回った主な原因は、要介護認定者の数が推定より少なかったこと、療養型病床群への転換が少なかったことにあります。
 介護保険制度は、社会保険方式を採用しておりますが、被保険者の保険料が過大にならないように、介護給付費等に連動して公費が支出されております。予算執行上、繰出金に余剰が生じた場合は、予算原則に基づいて一般会計に繰り戻しております。今後も、厚生労働省の全額免除はしない、収入だけに着目した一律減免は適当ではない、一般財源から補てんはしないという三原則を区としても堅持してまいります。
 次に、基金の活用でございますが、介護保険制度は国民の共同連帯の理念により社会全体でともに支え合う制度でございます。介護保険料につきましては、所得の状況によりまして5段階の設定が行われております。また、境界層該当認定を行うことにより保険料を軽減するなど、低所得者の負担能力を勘案したものとなっております。
 介護保険財政は、3年間の中期的財政運営期間で給付費、保険料収入を推計しております。現在策定中の第2期介護保険事業計画においては、要介護者の増加や在宅サービスの充実等が見込まれ、それらを踏まえて保険料を算定することとなります。
 給付準備基金積立金は、保険料上昇の抑止力となるものであります。介護保険財政を持続的かつ安定的に維持するために、給付準備基金積立金を活用してまいります。したがいまして、ご提案の趣旨については、現在のところ、実施する予定はございません。

再質問
 
○村田晃一議員 2点にわたって再質問をさせていただきます。1点は構造改革、2点目は介護保険についてであります。
 全体として、構造改革につきましては、制度の解説を改めて聞いたという感じで、私の質問に答えた的確なものになっていません。
 その中で、特に1点、どうしてもお聞きしたいことがございます。それは、私は、鈴木区政の開発優先の行財政運営体質こそ、足立区の最大の構造的な問題点であることを論証いたしました。この論証は、鈴木区政の実際の3年間の行財政運営の総括に基づいたものです。赤字論、財政再建団体への転落の危機論まで使って実行した財政健全化計画は、区民施策の全面的な切り下げと投資的経費の急増という結果になった。それも、年間の補正予算財源のほとんどが開発経費に使われるという著しい開発偏重主義だ。そして、3点目は、古性区政の失政を反省せず、みずから同じ体質を引き継いでいる。この体質が改善されなければ、足立区の構造改革はできないのではないかとお伺いしたのです。
 自己進化する自治体などと言っていますけれども、自己進化の前に、開発優先のみずからの体質の変革が必要で、この体質を温存して自己進化したら、足立区の構造的な問題点が構造改革を進めることになり、区役所も区民生活も大変なことになってしまうという角度でお尋ねをいたしました。みずからの体質が開発優先でないと言うならば、私が論証した3点との関係できちんと答弁をいただきたいと思います。
 2点目は介護保険でございますが、我が党の介護保険の緊急の改善を図るための具体的な提案はやらないという答弁でした。ただ、私は、減免制度が必要なのは利用抑制という大きな問題があることを再三指摘して伺っているわけです。したがって、鈴木区政が利用抑制をどうとらえてやらないと言っているのか、利用抑制についての見解がないのです。この点をお尋ねします。
 利用抑制という事態は、私は、制度の趣旨からいってもあってはならないことで、直ちに改善すべきだと主張いたしました。利用抑制が広範に常態化していることを、区民の声からも、介護保険特別会計が余って基金が累積している実態からも論証をしました。
 介護保険特別会計の中長期的な安定と言うけれども、現行の介護保険特別会計が安定しているなどというおめでたい評価でいいのかどうか。私はそうではないと思います。明らかに縮小均衡です。利用抑制が働いているために余っているのです。この財政を中長期に続けていくことは、それ自体問題なのです。制度の根本に問題があるわけで、財政の均衡論とか、厚生労働省の三原則をおっしゃいましたが、自治体に対する義務でも何でもないのです。強制力はないのです。それに座って、あたかも厚生労働省がやっていけないようなことを言って、介護保険の減免をやらないということはいかがなものかと思います。
 利用抑制について端的に伺います。どちらか2点です。利用抑制は生じていないので、改善は必要ないという立場でしょうか。それとも、利用抑制はあるけれども、改善はしないという立場か。いずれの立場なのか、ご答弁をいただきたいと思います。

再答弁
 
○坂田道夫政策経営部長 私からは、第1点のご質問にお答え申し上げます。
 まず最初に、開発優先について論証されたということでございますが、私は、先ほどから一生懸命になって聞いたのですが、どこが論証されているのか、全くわかりません。
 まず、前々から申し上げているように、我々がまちづくり、投資的経費のどこへ向かっているのかというお話を何回もしているのですが、足立区政は、例えば自然を破壊するようなダムをつくったことは一度もないし、スーパー林道をつくったこともない。私どもの投資的経費の大部分は、学校や特養に充てられているので、この辺の中身をはっきり言っておかなければいけない。国の問題と我々の問題は全然違うのだというお話を何回も繰り返しております。
 第2点目でありますが、例えば今年度の予算を見ても、学校の改築や特養に向かう投資的経費は160数億円しか組めない。片一方では、生活保護に300億円を組んでいるという予算の構造になっているお話をかなりしました。
 3点目、13年度予算に開発経費が入っていると言われているのですが、何度もご説明をしたとおり、何か新しい開発投資をやっているのではなくて、財源対策上、公社が持っている土地を買い戻したというご説明を何回もやっているわけで、ぜひ村田議員さんにおかれましては何回も繰り返している説明の上に立ってご質問をしていただきたいと思います。
○佃 朝明区民部長 先ほどもご答弁いたしましたとおり、利用抑制をしているとは考えておりません。今後とも、制度の定着化につきまして、制度の趣旨を図ることによりまして、サービスの充実に努めてまいりたいと考えております。