1、本会議の質問等

一般質問 
竹ノ塚駅付近鉄道高架化事業の促進と青年雇用支援について
12月5日 松尾かつや議員

○松尾かつや議員 私は、まず区の交通政策について伺います。
 最初に区が「足立区を施工者とする竹ノ塚駅付近の鉄道連続立体交差事業の19年度新規着工準備採択の要望書を国土交通省に提出した」ことについて伺います。
 これは足立区民にとって長年の悲願であり、我が党も早期実現を目指し、推進してきました。今回、区が提出した要望書が認められれば、都内で初めて区市町村単位が事業主体となる事業となり、このあり方が今後の前例となる極めて重要な意味を持っています。
 すでに区市町村単位が事業主体となる事例としては、鹿児島市を事業主体としてすすめられているJR指宿枕崎線谷山駅付近連続立体交差化事業がありますが、ここでは県が負担するお金は河川改修事業に関わる部分のみで、これは全体の総事業費からみれば、わずか数%にすぎず、鹿児島市の負担が重くなっています。
 足立区としては、国や都、鉄道事業者に対し、都内で初めて行われる事業であるとの強い姿勢で臨み、都施行と同等の負担を求める立場で望むべきと思いますが、検討会で負担割合をどのように検討しているのか、お答えください。

交通権は憲法22条などで位置づけられる人権
 次に、交通権保障に対する区の考え方を伺います。
 現代社会において移動することができないことは、買い物、通院、生涯学習といった社会生活を困難にし、大きな障害となることは言うまでもありません。フランスの国内交通基本法は、基本的人権として交通権が明記され、アメリカでは交通上の差別を禁止したアメリカ障害者法が制定されるなど、すべての人が自由に安全に移動できる権利としての交通権という考えは世界の流れとなっています。日本国内においても、1986年に交通権学会が誕生し、交通権は憲法第22条(居住・移転および職業選択の自由)、第25条(生存権)、第13条(幸福追求権)など、関連する人権を集合した人権であると定義しています。区は先の決算特別委員会で交通権の考え方は大切との認識を示していましたが、区の交通施策において、この交通権保障の考え方をどう反映させていこうと考えているのか、伺います。
 関西STS連絡会が04年2月に行ったシンポジウムは、大阪府羽曳野市の調査で、高齢者、障害者だけでなく、けがをした人や妊産婦など一時的に移動困難となる人も含めて25%を超える人が何らかの交通困難を抱えている実態を明らかにしています。交通権を保障していくために必要なことは、こうした広い視野に立って公共交通を必要とする人の実態を把握し、これを区の交通政策に位置づけることです。足立区にはこうした交通困難者がどのくらいいると推計しているのか。また、どう交通施策に生かしているのか、答弁を求めます。
 次に、区が、交通政策の推進を図ってきた、都市交通懇話会メンバーは、大学教授、区とバス事業者、各警察署となっています。これでは利用者の声は間接的なものとなってしまいます。
 先の決算特別委員会で我が党は、懇話会メンバーにバス利用者代表を入れることを要求しましたが、区は「十分コミュニケーションをとっている」から「すぐに加える考えはない」と答えました。しかし、行政と事業者の関係に終わらせるのではなく、ここに利用者の声を直接反映させ、柔軟な対応をとることは極めて重要と考えます。区として公共交通利用者の声を直接反映させる仕組みづくりを構築し、懇話会メンバーに、とりわけ公共交通が必要と考え得る高齢者団体の代表、障害者団体の代表などを入れる考えはないか、答弁を求めます。
 次に、国の税制改定により、収入が変わらなくても、住民税が非課税から課税となり、シルバーパスが1,000円から一気に2万510円にはね上がる負担増が押し寄せました。経過措置によって、18年度から住民税が課税となる方については1,000円でシルバーパスの交付を受けられていますが、あくまで18年度限りの措置です。区として都に対し、例えば所得に応じて3,000円、5,000円パスを導入するなど、改善要求すべきと思うがどうか、答弁を求めます。

公共交通整備基本計画の見直しについて
 次に、足立区公共交通整備基本計画の見直しの問題についてです。先の定例議会で区は、この計画の見直しを考えていることを明らかにし、基本的視点として「利便性、魅力あるまちづくり、人と環境に優しい公共交通の構築を考えるとしました。この見直しは、今後の足立区の交通政策の指針に関わる大事な問題です。見直しのスケジュールをどのように考えているのか、明らかにしてください。
 今ある計画のもとで区は、これまで交通困難地域とされてきた区内交通網の拡充に取り組んできました。来年度は日暮里・舎人ライナーの開業が予定され、区の公共交通網が大きく変化する転換期となります。開業後のバス路線網整備の計画について、現在、どのように検討が進められているのか。また、同一経路を運行する都バス「里48系統」存続の声が寄せられていますが、都にこうした住民の声を届け、要望すべきと思うが、答弁を求めます。
 区の交通政策について、平成16年10月に改定された基本構想は、「2新線の開通を契機としてバス路線を拡充するなど、鉄道交通を補完する移動手段の充実を図る必要がある」と述べ、基本計画もバス交通の利便性を高める施策の指標は運行実現化路線数増などに視点をあてています。同時に重要なことは、公共交通の利用を計画的に増加させる取り組みを図ることにあります。とりわけ足立区にとっては、バス利用者が増えることは、バス事業者の経営を安定させ、このことが結果として新規のバス路線開業への展望、既存バス路線の運転本数等の充実につながることは明らかで、だからこそ区自らも基本計画の中で「バス利用者の需要を推進する上からも…バス事業者への支援が課題」と述べ、今年6月の特別委員会の中でも私の質問に対し「より公共バスに乗っていただけるような仕組みづくりを考えていかなければならない」と答弁していました。区の交通施策の柱に、区内バス路線利用者増を据え、シンポジウムの開催や利用促進運動による区民意識啓発を図るなど、区として果たすべき役割を構築すべきと思うが、答弁を求めます。

バス路線網の拡充について
 平成16年1月に中部地方交通審議会は、どんな点が改善されれば公共交通を利用するようになるかという調査結果をまとめ、55%にのぼる方が、運行回数が増えることを望んでいることを明らかにし、改善された場合の利用頻度の向上が期待できるとまとめています。区もかつて「バス路線網再編計画策定調査」を実施しましたが、この中で区内公共交通の目標とすべきサービスレベルを設定し、バス運行本数については、おおよそ往復100本程度としてきました。現在、区内バス路線については、例えば西新井駅東口から旧日光街道を経て竹ノ塚駅方面に走る竹14系統は、いまだに平日5本、休日4本といった実態にありますが、こうした区の定めた運行本数サービスレベルに達していないバス路線は何路線あるのか。また、これらの路線については、速やかに目標を達成するよう力を尽くすべきと思いますが、区はどう考えているのか。同時に区は、バス停距離のサービスレベルとしておおよそ300mを目標値としてきましたが、区内公共交通網の現状と今後の展開をお答えください。
 区の交通政策全体の推進を図る上で、全庁的視点に立った連携も重要です。例えば環境面から見ても、1997年12月に採択された京都議定書は、二酸化炭素を08年から12年で6%削減を義務付けており、足立区としても、平成16年改定の環境基本計画において「自動車交通需要をより公共交通に転換させていくことが必要」と述べています。環境との連携という側面から見れば、現在、浜松市ではバス事業者が公共交通利用による環境保護への貢献を、ポイントとして還元する取り組みなどがあります。足立区における取り組みの現状と今後の展望を伺います。
 公共交通整備基本計画の見直しに伴い、これまでの計画に位置づけられた施策をどう受け継ぐかは極めて重要です。この計画のもとで区は、公共交通の利用促進・環境対策として運賃収受システムの導入・改善を掲げて推進し、例えば西新井駅から綾瀬方面を走るコミバスと、綾瀬駅から亀有駅間を走るコミバスを乗り継ぐ際の乗り継ぎ券発行が始まりました。これを他路線に普及促進していく問題も重要です。また、昨年、区が行った区政モニターアンケートには「どの会社でもバスカードが使えるようにしてほしい」との声が寄せられていましたが、来年以降、スイカ、パスモ、バスカードのICカード化による相互利用が始まります。これに区内コミバスの参加支援をどうやっていくのか等、今後も引き続き推進すべき課題は数多くありますが、こうした施策の推進をどう図っていくのか、お答えください。
 また、公共交通ネットワークの情報提供としてバスロケーションシステムの普及も進められてきましたが、今後の推進をどのように考えているのか。
 さらに松山市などでは、役所の中に各バスの待ち時間・接近状況が一目でわかる「電光掲示板」式のバスロケーションシステムが設置されていますが、これは有効な施策と考えます。区としても、区役所など公共施設内に設置すべきと思うがどうか、答弁を求めます。

青年雇用支援について
 最後に青年雇用支援への取り組みについてです。青年の就労支援は、この間我が党も提案し、今年から「足立若者サポートステーション」が開設されました。同時に就職したあとの青年の置かれている実態に目を向けた取り組みも求めてきました。区も労働法セミナーに取り組むなどしていますが、こうした取り組みはますます重要になっています。我が党に寄せられた実態の中にも深刻な事例があります。ジーパンの売り子をしていた区内在住の20代男性は、会社の方針で最先端のファッションデザインを売り込むために必ずベルトをきつく締めるよう言われ、そのために腰が痛くなり、病院で検査を実施、圧迫骨折していたことがわかり、そのことを会社に伝えたら、即「使い物にならないのはいらない」と言われ、辞めざるを得なくなったなど、労働法を知らなかったがために泣き寝入りをするケースも少なくありません。
 先の決算特別委員会で、区は青年への労働法周知の必要性について、「効果を考えながら、必要な人に必要な情報を与える手段を検討していきたい」と答弁していましたが、その検討状況について伺います。
 青年労働者の健康実態は極めて深刻となっています。今年の「週刊スパ」7月18日号は「若年自殺者急増の謎を追う!」との特集を組み、20代から30代の自殺理由のトップが「健康問題」であり、この理由は労働環境にあるとのジャーナリストの見解を紹介しています。区は先の決算特別委員会で、青年労働者の健診の狭間が生まれていることを認めましたが、独自にメンタルケアを含めて制度の構築を図るべきと思うがどうか、答弁を求めまして、この場での質問を終わらせていただきます。

答弁

○岡野賢二市街地整備・立体化推進室長 竹ノ駅付近の鉄道立体化に関するご質問にお答えいたします。
 ご質問の「竹ノ塚駅付近道路・鉄道立体化検討会」では、竹ノ塚駅付近の道路と鉄道の立体化のあり方について、技術的な面及び将来的なまちづくり方針との整合性の面などから検討を行い、鉄道立体化が最適であるとの結論に至りました。
 従来、区施行の連続立体交差事業は想定されていなかったため、現在、区施行の場合の都と区の事業費負担のルールはございません。したがいまして、今後、事業費に関する協議の場の設定や負担のあり方について早急に協議してまいりたいと考えております。
○小平勝夫土木部長 交通権についてお答えいたします。
 区では公共交通手段の充実のため、新線の導入・バス路線網の拡充・都市計画道路の整備に加え、各施設のバリアフリー対策に力を入れ、着実に成果をあげてまいりました。交通権の考え方につきましては、今後の交通施策の研究課題とさせていただきます。
 次に、交通困難者ですが、ご質問のような調査は実施しておりません。
 次に、都市交通懇話会への各種団体の参加ですが、現在、個別にご意見・ご要望をいただいておりますので、構成メンバーに加える考えはございません。
 次に、足立区公共交通整備基本計画につきましてお答えいたします。
 計画の見直しにつきましては、日暮里・舎人ライナーの開業後の動向を見ながら対応していきたいと考えております。
 次に、バス路線里48系統の存続でございますが、東京都交通局内部で検討していると聞いております。
 次に、バス利用促進の区民意識啓発は重要と認識しております。このために広報紙、ホームページ、チラシ等によるPR活動を積極的に行っております。
 次に、バス利用者の増加は、運行本数と密接な関係にあります。サービスレベルが目標値に達していない路線があることは認識しておりますが、バス事業者の経営が大変厳しい状況にありますので、目標の達成は困難な状況です。一方、バス停距離の目標値については、概ね達成されております。
 次に、自動車交通から公共交通利用への転換は重要と考えております。先進事例も調査し、研究課題とさせていただきます。
○丸山 亮福祉部長 シルバーパスについてお答えいたします。
 シルバーパスは東京都が高齢者の外出支援策として、東京バス協会に委託して行っている事業です。税制改正に伴う経過措置の来年度以降については、東京都からの説明はございませんが、ご提案の内容を都に伝えてまいりたいと思います。
○小平勝夫土木部長 先ほど答弁漏れでございました。
 バス共通カードの推進につきましては、設備投資を伴うため、バス事業者間での大きな課題となっております。今後の動向を注視していきたいと考えております。バスロケーションシステム等の普及につきましても、事業者の多額の投資を伴うもので、困難と思われます。
労働法周知冊子の配布の検討約束
○鈴木 章産業経済部長 青年雇用支援についてお答えいたします。
 現在、高校等を卒業し、就職を予定している青年を対象にわかりやすい労働法をまとめた冊子を検討しています。また、東京都と区の共催により、区内の都立高校の就職予定生徒を対象にした就職セミナーを年度内に行いますが、その際、東京都による労働法等の説明を行うよう予定しております。
○黒岩京子衛生部長 青年労働者の健診についてお答えいたします。
 労働安全衛生法による健診が受けられない場合、保健総合センターの一般健康相談で、有料にて健診を受けることができます。メンタルケアが必要な場合は、精神保健相談で対応させていただいております。平成20年度には大きな健診制度の見直しが予定されており、制度改正に合わせて区民の健診のあり方についても検討してまいります。

再質問

○松尾かつや議員 今、答弁を聞いていて、あまりにも交通の分野に関する区の政治的な姿勢は骨がないというふうに感じています。今、幾つか答弁がかみ合っていないと言うか、答弁漏れがありますので、お答えいただきたいと思います。
 一つは都市交通懇話会のメンバーに加えるという問題について、個別の要求を聞いているから、加える考え、それは決算特別委員会のときの、コミュニケーションを十分とっているというのと変わらない。私はその答弁を踏まえた上で、なおかつ必要がないのかということで、加えろということで要求しているので、その答弁を踏まえた上でのご回答をいただきたいと思います。
 もう一つはバスロケーションシステムの問題、事業者の多額な負担ということで、考えはないということですけれども、もう一つ区役所内とか、公共施設内における設置についてはどうなのかということについてはお答えがないので、これはお答えいただきたい。
 最後に青年の健診の問題ですけれども、これも有料でできますと、事業紹介を聞いているのではなく、構築を図る必要があるのではないかと聞いているので、それに対して答えていただきたい。以上3点についてお願いいたします。

再答弁

○小平勝夫土木部長 交通懇話会に代表を加えるということにつきまして、決算特別委員会でもお答えしました。また、今回も、さらに検討を重ねた上こういうお答えでございまして、今のところ入れる考えはございません。
 それから、区役所内へのロケーションシステムでございますが、有効性は当然、認めておりますが、今のところ研究課題とさせていただきます。
○黒岩京子衛生部長 先ほどもお答えいたしましたが、平成20年度には、大変大きな健診制度の見直しが予定されております。その制度改正に合わせて、区民全体の健診のあり方について検討していきたいと考えているところでございます。
○しのはら守宏議長 以上で質問を終結いたします。