2、日本共産党の提案した条例案

区民施設の廃止、統合及び売却に関する住民投票条例案の提案趣旨説明   針谷みきお議員

 ただいま議題となりました議員提出第14号議案 足立区における区民施設の廃止、統合及び売却に関する住民投票条例について、提出者を代表して提案理由の説明を行います。
 本案は日本共産党足立区議団所属全議員が提出者となり提案するものであります。
 平成16年度12月、区の憲法ともいえる自治基本条例が全会一致で可決され、自治の基本理念並びにこれを実現するための区政運営の基本原則及び基本的な事項が定められました。自治基本条例は第11条で区の存立にかかわること並びに区民の生命、身体及び財産に著しい影響があることその他の区政の重要事項について、区民の意思を直接確認する必要があると認められるときは、住民投票を実施することができるとしています。具体的には、それぞれの住民投票について、条例化することになっています。
 本案は、この規定に基づき、区民施設(学校、地域学習センター、住区センター、区民保養所等)の廃止、統合及び売却に関して、区民の意思を把握し、区行政の民主的かつ健全な運営を図ることを目的としています。
 住民投票は、スイス、アメリカで広範に実施されていますが、発議権、住民投票権、リコールの3つの要素から構成される直接民主主義の一形態であります。
 住民投票は立法過程に直接、住民参加を認めることであり、議会が住民二―ズや要望に敏感に対応することができ、かつ、住民が究極の主権者であることを明らかにする意義を持っています。
 直接民主主義の発揚は議会の権能を侵害するという主張がありますが、間接民主主義は、その代表者が真に主権者の声を代弁し続けているという主権者の信頼があって成り立っていく制度です。主権者と代表者の意思に乖離が生じたと感じたときに、直接民主主義を発揚することは重要であります。

 とりわけ、前議会での那須区民保養所の売却について、条例が廃止されてもいない段階で、ルールを破り、区民の意見や要望を聞くことなく、行政の勝手な都合が優先され、区民の貴重な財産が処分されました。
 現在、区民保養所は湯河原区民保養所だけが、条例として残っていますが、区はこの施設も廃止の方針を明らかにしていますが、区民保養所は、地方自治法の趣旨に沿った公共施設であり、その廃止・売却を区民に聞くことなく、議会の議決だけで判断すべきではないと考えます。まさに区政の重要事項であります。
 また、区は、基本計画に基づき公共施設配置のあり方の再構築を検討しており、今後、区が施設の再配置を行う上での課題や新たな施設の態様等について審議するため「足立区公共施設再配置審議会」を設置し、今日まで10回の審議を重ねてきましたが、ここでいう公共施設とは学校、地域学習センター、住区センターの3つの施設を対象としています。
 区政の最大の責務は住民の安全、健康、福祉に寄与することであり、これらの3つの施設はその責務を具現化し、推進するコミュニティの核となる施設であります。これらの施設の廃止、統合はまさに区政の根幹にかかわるものであり、自治基本条例で定めた住民投票で区民意見を聞くにもっともふさわしいものと考えます。
 議員各位におかれましては、本条例案の趣旨にご賛同いただきまして速やかにご決定くださいますようお願い申し上げ、提案理由の説明と致します。

議員提出第14号議案

 足立区における区民施設の廃止、統合及び売却に関する住民投票条例
 上記の議案を別紙のとおり、地方自治法第112条及び会議規則第13条の規定により提出する。

 平成18年12月1日
提 出 者          
足立区議会議員  針  谷  み き お
同        鈴  木  けんいち
同        ぬ か が  和  子
同         大  島  芳  江
同         伊  藤  和  彦
同         渡  辺  修  次
同        鈴  木  秀 三 郎
同         橋  本  ミ チ 子
同         さ と う  純  子
同        三  好  す み お
同        松  尾  か つ や

足立区議会議長  しのはら 守 宏  様

(提案理由)
 足立区自治基本条例第11条の規定に基づき、区政の重要事項について、区民の意思を直接確認する必要があるため、本案を提出する。


足立区における区民施設の廃止、統合及び売却に関する住民投票条例

 (目的)
第1条  この条例は、足立区における区民施設(学校、地域学習センター、住区センター等をいい、区民保養所等の区外施設を含むものとする。以下同じ。)の廃止、統合及び売却に関して、区民の意思を把握し、区行政の民主的かつ健全な運営を図ることを目的とする。

 (区民投票)
第2条  前条の目的を達成するため、区民施設の廃止、統合及び売却に関する区民による投票(以下「区民投票」という。)を行う。
 区民投票は、区民の自由な意思が反映されるものでなければならない。

 (区民投票の実施及び措置)
第3条  区民投票は、区長が実施する。
 区長は、地方自治の本旨に基づき、区民投票における有効投票の賛否いずれか過半数の意思を尊重しなければならない。

 (区民投票の執行)
第4条  区民投票は、区長が執行する。

 (区民投票の期日)
第5条  区民投票の期日(以下「投票日」という。)は日曜日とし、区長は投票日の10日前までに告示しなければならない。

 (情報提供)
第6条  区長は、区民投票を行う者の参考に資するため、区民施設の廃止、統合及び売却に関する必要な情報を、区の広報およびホームページ等により、区民に対し積極的に提供しなければならない。

 (投票資格者)
第7条  区民投票における投票の資格を有する者 (以下「投票資格者」という。)は、投票日において足立区に住所を有する者であって、前条に規定する告示の日(以下「告示日」という。)において足立区の選挙人名簿(以下この条において「選挙人名簿」という。)に登録されている者及び告示日の前日において選挙人名簿に登録される資格を有する者とする。

 (投票資格者名簿)
第8条  区長は、投票資格者について、区民投票資格者名簿(以下「資格者名簿」という。)を作成しなければならない。

 (秘密投票)
第9条  区民投票は、秘密投票とする。

 (一人一票)
第10条  投票は、一人一票とする。

 (投票場所においての投票)
第11条  投票資格者は、投票日において自ら区民投票を行う場所(以下「投票場所」という。)に行き、資格者名簿又はその抄本の対照等の手続を経て、投票しなければならない。
 前項の規定にかかわらず、身体の故障等の理由により、自ら投票用紙に○又は×の記号を記載することのできない投票資格者は、規則で定めるところにより投票することができる。

 (投票の方式)
第12条  投票資格者は、区民施設の廃止、統合及び売却に賛成するときは投票用紙の投票欄に○の記号を、反対するときは投票用紙の投票欄に×の記号を記載して、投票箱に入れなければならない。

 (投票の効力の決定)
第13条  投票の効力の決定に当たっては、次条の規定に違反しない限り、その投票をした者の意思が明白であれば、当該投票を有効とする。

 (無効投票)
第14条  区民投票において、次の各号のいずれかに該当する投票は、無効とする。
 (1) 正規の投票用紙を用いないもの
 (2) ○及び×の記号のいずれも投票用紙の投票欄に記載したもの
 (3) ○又は×以外の事項を投票用紙の投票欄に記載したもの

 (投票結果の告示等)
第15条  区長は、区民投票の結果が判明したときは、速やかにこれを区の広報に掲載することにより告示するとともに、区議会議長に通知しなければならない。

 (投票運動)
第16条  区民投票に関する運動は、自由とする。ただし、区民の自由な意思が拘束され、又は不当に干渉されるものであってはならない。

 (投票および開票)
第17条  投票時間、投票場所、投票立会人、開票時間、開票場所、開票立会人その他区民投票の投票及び開票に関しては、公職選挙法(昭和25年法律第100号)、同法施行令(昭和25年政令第89号)及び同法施行規則(昭和25年総理府令第13号)の規定の例によるものとする。

 (関連行政事務の取扱い)
第18条  この条例の施行後、区民投票の開票結果の確定までの間、区民施設の廃止、統合及び売却に係る行政事務は停止する。

 (委任)
第19条  この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
 前項の規則は、この条例の施行の日から30日以内に制定しなければならない。
   付 則
 この条例は、公布の日から施行する。