2、日本共産党の提案した条例案

足立区障害者自立支援に係る利用者負担額に関する条例の提案理由の説明   三好すみお議員

 ただいま議題となりました議員提出第15号議案「足立区障害者自立支援に係る利用者負担額に関する条例」につきまして、提出者を代表して提案理由をご説明いたします。この条例は、日本共産党足立区議団所属議員全員が提出者となって提案するものです。
 本条例は、障害者または障害児の保護者に対し、障害者自立支援法の規定による障害福祉サービス及び補装具を利用した場合に支払うべき費用を助成することにより、福祉サービスの利用を促進し、もって障害者および障害児の福祉のよりいっそうの増進を図るものであります。 
 障害者自立支援法の実施によって障害者団体や自治体の各種調査でも、通所やホームヘルプ・ガイドヘルプの利用の断念・抑制、生活費を削る等、予想以上の深刻な影響が出ていることが明らかになっています。
 自立支援法が、トイレや食事、外出など基本的な生活を支える支援、あるいは日中・就労活動や生命に関わる医療の利用を「益」とし「応益負担」を求めたことから、障害の程度が重い人ほど負担が重くのしかかる状況を生み出しています。

 車イスを利用しながら自立をめざして事業を営んでいる区内在住の62歳の男性の場合、障害者自立支援法のもとでの費用負担が2万4,600円、重度用の電動車いす購入のための借入金80万円の返済が月額1万7,500円かかるようになりました。毎月の20万円の収入から4万円が消えていくことになり生活が大きく圧迫されています。
 また、作業所や授産施設に通っている障害者の場合、月に1万円程度の工賃を受取ることは、『お金を稼ぎにいっている』というプライドにもなっていましたが、応益負担の導入で、『お金を払って働きにいく』『働かせてもらっている』というものに変わってしまいました。
 自立支援法によってこのような苦しい生活を強いられ、さまざまな日常の生活が抑制される。これが『応益負担』を導入された現場の実態です。

 今回のわが党の提案は、障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス受給者及び補装具利用者への負担軽減を行うもので、低所得者1および2の非課税世帯は負担なしとし、区民税課税世帯で均等割りのみ世帯は一律1,000円、所得割り世帯は国の負担上限額の半額の18,600円とするものです。こうした措置をとることにより、課税世帯でも負担を軽減することができ、所得の低い障害者も安心してサービスを利用することができるものです。

 議員各位におかれましては、趣旨にご賛同いただき、すみやかにご決定いただけますようお願いいたしまして、提案理由の説明を終わります。


議員提出第15号議案

 足立区障害者自立支援に係る利用者負担額の助成に関する条例
 上記の議案を別紙のとおり、地方自治法第112条及び会議規則第13条の規定により提出する。
 平成18年12月1日
提 出 者          
足立区議会議員  三  好  す み お
同        鈴  木  けんいち
同        ぬ か が  和  子
同         針  谷  み き お
同         大  島  芳  江
同         伊  藤  和  彦
同         渡  辺  修  次
同        鈴  木  秀 三 郎
同         橋  本  ミ チ 子
同         さ と う  純  子
同        松  尾  か つ や

足立区議会議長  しのはら 守 宏  様

(提案理由)
 障害福祉サービスの利用を促進し、障害者の地域での自立した生活を支援するため、本案を提出する。


足立区障害者自立支援に係る利用者負担額の助成に関する条例


(目的)
第1条  この条例は、障害者又は障害児の保護者に対し、障害者自立支援法(平成17年法律第123号。以下「法」という。)の規定による障害福祉サービス(以下「福祉サービス」という。)及び補装具を利用した場合に支払うべき費用(以下「利用者負担額」という。)を助成することにより、福祉サービスの利用を促進し、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図ることを目的とする。

(助成の対象者)
第2条  助成の対象となる者(以下「助成対象者」という。)は、次の各号のすべてに該当する者又は次項若しくは第3項に該当する者とする。
(1)  本区の支給決定を受けた障害者又は障害児の保護者であること。
(2)  障害者自立支援法施行令(平成18年政令第10号。以下「政令」という。)第17条第1項第2号又は第3号の規定に該当するものであること。
(3)  本区の支給決定に係る障害者又は障害児が施設入所支援又は法附則第20条に規定する旧法施設支援を受けていないこと。
 前項第1号及び第3号並びに政令第17条第1項第1号のいずれの規定にも該当する者であって、福祉サービス及び補装具を利用した月の属する年度(福祉サービス及び補装具を利用した月が4月から6月までの場合にあっては、前年度)分の地方税法(昭和25年法律第226号)の規定による特別区民税が均等割のみの課税者。
 第1項第1号及び第3号並びに政令第17条第1項第1号のいずれの規定にも該当する者であって、福祉サービス及び補装具を利用した月の属する年度(福祉サービス及び補装具を利用した月が4月から6月までの場合にあっては、前年度)分の地方税法(昭和25年法律第226号)の規定による特別区民税が所得割の課税者。

(助成の範囲)
第3条  助成対象者に助成する額(以下「助成額」という。)は、助成対象者が法に定める指定障害福祉サービス事業者、基準該当事業所及び補装具製作業者(以下「事業者」という。)に支払う次の各号に掲げるものに係る利用者負担額(高額障害福祉サービス費及び社会福祉法人等による生計困難者に対する利用者負担額等減免事業による負担額の軽減があるときは、その額を控除して得た額とする。)の、前条第1項に該当する者にあっては全額、同条第2項に該当する者にあっては自己負担1,000円を除く額、同条第3項に該当する者にあっては2分の1に相当する額とする。
(1) 介護給付費
(2) 訓練等給付費
(3) 特例介護給付費
(4) 特例訓練等給付費
(5) 補装具費

(助成の方法)
第4条  助成は、助成額を助成対象者に支払うことによって行うものとする。
 前項の規定にかかわらず、区長が必要があると認めたときは、当該助成額を事業者に支払うことにより助成を行うことができるものとする。
 前項の規定により助成を行ったときは、助成対象者に対し、助成額の支払いがあったものとみなす。
 助成は、月を単位として行うものとする。

(受給者証)
第5条  助成を受けようとする者は、区長に申請して助成対象者であることを証する書類の交付を受けなければならない。

(助成費の返還)
第6条  偽りその他不正な行為によって助成を受けた者に対し、区長は、その者から既に助成した額の全部又は一部を返還させることができる。

(譲渡又は担保の禁止)
第7条  助成を受ける権利は、他人に譲渡し、又は担保に供することができない。

(委任)
第8条  この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
 付 則
この条例は、平成19年4月1日から施行し、同日以後の福祉サービス及び補装具の利用について適用する。