3、区長提案の議案などに対する討論

平成18年度足立区一般会計補正予算(第2号)」に対するの反対討論  針谷みきお議員

 ただいま議題となりました第124号議案「平成18年度足立区一般会計補正予算(第2号)」について、日本共産党足立区議団を代表し、反対の立場から討論いたします。
 本補正予算は、96億2262万円余という大型の補正予算ですが、その内訳は土地開発公社の借入金返済に68億2千万円、各種基金に29億4600万円余の積み立てをあわせると補正予算総額を上回るなど、区財政を優先した補正予算です。
 その他は各種契約差金等で、区民施策といえるものは教育費のステップアップ講師18名以外は皆無といわざるを得ないものです。
 ここに鈴木区政の政治姿勢が如実にあらわれている補正予算ということができます。
 全国的にも話題となった就学援助について、申請方法を変更しようとしていますが、申請主義を建前に、これまですべての生徒・児童の保護者から学校ごとに提出させていたやり方から、申請者のみが区教委に直接、郵送する方式に改めるというものですが、すでに今年度から同様の申請方式を採用した葛飾区では8月末現在の申請率が低下していることが明らかになっています。
 この申請方式の変更は就学援助の受給率をさげることにつながるのではありませんか。

 今、区民は今年から実施された定率減税の半減に加え、住民税の増税などで生活がかつてなく厳しくなる中で年末を迎えようとしています。
 本補正予算はこうした区民に手をさしのべ一歩でも二歩でも暮らしと営業を支える姿勢が求められていました。
 昨年10月から介護保険法の改定で施設利用者のデイ・サービスの食費が全額徴収されることになり、高齢者も、事業者にも負担が重くのしかかり苦しんでいます。
 この負担を少しでも軽くするために他の自治体で実施しているような負担軽減策を実施することもできましたが、区は、区議会で請願が採択されているにもかかわらず、あれこれの理由をつけて、実施を先延ばししてきました。
 食事代補助をどのように実施するか試算さえしていなかったこと、区長が何の指示もしていなかったことも審議の中で明らかになりました。
 お金がないわけではありません。バブル期に匹敵するほどの積立金が478億円にもなっているではありませんか。こうしたお金を活用して区民施策にまわすことは充分にできたはずです。
 また、わが党が提案してきた税制改定等で収入が増えないのに非課税から課税になった高齢者に増収で潤った区財政を活用して「痛み和らげ手当」も実施する意思もないことが明らかになりました。ここには区民生活を思いやるやさしさも暖かさも欠けている冷たい政治姿勢といわざるを得ないものです。
 さらに道路占用料の取り立てが強化され、最終補正では大幅増額となることが明らかになっていますが、これも商店街などから減免制度の拡充を求められているにもかかわらず、応えようとしない鈴木区政の冷たさを示したものであります。
 また、中小企業への仕事確保のため、契約差金などを活用して、緊急工事なども前倒しし、補正予算で組むべきでした。ところが区は、改修が求められている各学校の改修や旧東部障害者センター(イーストウェーブ)配水管の改修要望にも応えていません。
 これらは、区財政あって区民生活なしの補正予算といわざるをえません。

 さらに補正予算には23区清掃一部事務組合が廃プラスチックを焼却し、そのエネルギーで電気を生み出す「サーマルリサイクル」事業のために、合弁会社を設立する予算が計上されていますが、この事業は大企業が大量生産・大量消費する廃プラスチックの再利用負担を免がれる狙いがあり、かつ、ごみの分別収集に水を差し、廃プラの焼却による有害ガスの発生による環境破壊をもたらすリスクがあります。
 しかも、新会社の供給電力不足が生じた場合には東京ガスの子会社から電気を購入することになっており、東京ガスの儲けを保証するしくみになっていることも問題であります。
 サーマルリサイクルは国ですら包器リサイクル法にもとづく包器の減量を前提としているのに、それも行わずに踏み出すことはサーマルリサイクル先にありきであります。
 「何でも燃やせばいい」という風潮が強まり、23区のゴミ行政を根本から歪めるもので認められません。
 こうした問題点のある補正予算を改め、区民の生活実態に目を向け、区民の暮らしを第一に考える予算にかえることを強く求め、反対討論を終わります。