《付属資料》

1、区長あいさつ

○鈴木恒年区長 平成18年第4回足立区議会定例会をご招集申し上げましたところ、議員の皆様には、ご多用中にもかかわらずご参集をいただきまして、まことにありがとうございます。
 開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 本年9月26日、小泉内閣の後を受けまして安倍内閣がスタートし、「美しい国、日本」を掲げて、安倍総理の所信表明演説が行われたところであります。その中で触れられた「再チャレンジ」と「教育再生」につきましては、私も強く共鳴するところがあります。安倍総理が今後の国家運営の方向を示す所信表明演説におきまして、このことについて言及されたことは、大変意義深いものであると思っております。
 私は、第2回足立区議会定例会におきまして、健全な社会を構築していく上で大事なことは、チャレンジしたが失敗した者、運悪く成果が報われない者、様々なハンディキャップを負っている者、このような方々が社会のセーフティネットによって救われチャレンジできる仕組みの大切さを申し上げました。また、学校・家庭・地域の協働により、子どもの教育にかかわるあらゆる力を結集しまして、人間力の育成につながる学力の向上に取り組んでいくことも申し上げました。
 当区の再チャレンジに関する先駆的な取り組みは、政府においても注目されておりまして、11月6日は再チャレンジ担当の山本内閣府特命大臣が、「ハローワーク足立」とともに「あだち若者サポートステーション」を視察に訪れたところであります。
 さらに、総理の所信表明の中で述べられております財政再建と行政改革、健全で安心できる社会の実現、活力ある経済社会の構築など、すべて足立区政にとりましても大きな課題であると認識しております。今後とも様々な分野における課題解決の先進事例をつくっていけるよう、チャレンジし続けてまいります。
 次に、竹ノ塚駅付近の鉄道立体化についてでありますが、このことにつきましても、第2回足立区議会定例会におきまして早期実現をお誓いいたしました。今年度からの2カ年の予定で連続立体化事業の調査を進めているところでありますが、早期実現に向けまして、国土交通省、東京都、鉄道事業者の協力のもとに精力的に検討を進めてまいりました。その結果、「鉄道立体化」が「道路立体化」と比較して技術的にもまちづくりの面からも実現の可能性が高く、また優れていると、現時点で判断するに至りました。
 議員の皆様には、既にご案内のとおり、鉄道立体化には膨大な事業費を必要といたします。また、都市計画の変更を初めとしまして、様々な課題の解決も必要であります。国や東京都、鉄道事業者、そして地域の皆様方の強力なご支援とご協力がなければ実現は不可能であります。このたびの調査・検討の結果を踏まえまして、予定を早めて「連続立体交差事業の新規着工準備箇所への採択要望書」を、国の新年度予算編成に間に合わせるべく、先日、国土交通省に提出したところであります。
 次に、先月、来年度開業予定の日暮里から見沼代親水公園までを結ぶ新交通システムの名称と駅名が東京都から発表されました。名称は「日暮里・舎人ライナー」と決定され、開業への区民の期待もますます高まってまいりました。開業によりまして、区西部地域の交通の利便性は飛躍的に向上するものと確信しておりますが、開業の効果をさらに広げていくために、現在、各駅へつなぐバス路線の再編や駐輪場、駅前広場の整備を進めております。また、都・区及び沿線の方々との協働で策定いたしました「日暮里・舎人線沿線開発計画」の中で、具体的な取り組みとして提言されております課題の着実な実現と、さらには地域の皆様とともに、沿線の道を花と緑で結ぶ「花の散歩道」をつくる準備にも入っております。「日暮里・舎人ライナー」が通勤だけでなく観光のためにも利用していただけるよう、地域の魅力をさらに高めてまいります。
 昨年の区東部地域の「つくばエクスプレス」の開業などによりまして、足立区はここ数年で急速に交通の利便性の高いまちになりつつあります。今後とも、区民に親しまれておりますコミュニティバス「はるかぜ」の路線拡大なども進めまして、交通不便地域の解消に努めてまいります。
 次に、公共サービスの改革についてでありますが、第3回足立区議会定例会におきまして、公共サービス改革の推進に関する条例を可決していただきました。この条例を受けまして、区民事務所の窓口業務について、民間競争入札、いわゆる市場化テストを実施する予定でありましたが、端末操作の取り扱いや契約方法等につきまして国と調整がつかず、延期せざるを得ないという判断に至りました。今後とも国に対しまして新たな規制改革について提案し、再チャレンジをしてまいりたいと考えております。
 また、この条例に基づきまして、学識経験者や区民の代表などからなる「公共サービス改革委員会」を設置したところであります。この委員会では、公共サービス改革法に基づくものだけではなく、区が行う公共サービス改革の全般にわたりまして意見や評価をいただくことになっております。区民の安全・安心が確保されているか、区はモニタリングをきちんと行っているかどうか、といったことなどをチェックしていただこうと考えているところであります。このような取り組みによりまして、民間委託に対する区民の不安を払拭し、行政の責任を果たしていくことになると考えております。
 次に、子育て支援施策の進捗状況についてでありますが、子育てサロンの整備が着実に進み、昨年度は7カ所の子育てサロンで延べ約7万人の利用者を数えるまでに至りました。子育てサロンは、社会的に孤立しがちな子育て世代にとりまして、仲間づくりやアドバイスを受けることにより、育児の不安を解消する場として大変好評をいただいております。「次世代育成支援行動計画」では、平成21年度までに10カ所の設置を目標としておりますが、今年度中に8カ所目を西保木間に開設をいたします。
 また、子どもの医療費助成制度につきましては、順次その拡大を図ってまいりました。来年度につきましては、現行の入院費助成の対象を小学校3年生までを中学3年生までに拡大する方向で準備を進めております。さらに、本年10月に東京都が発表しました「義務教育就学児医療助成事業」でありますが、さらなる子育て支援の拡大を目指しまして、区としても導入に向けて検討してまいります。
 次に、いじめの問題についてでありますが、最近いじめを原因として、児童生徒がみずからその生命を絶つという大変痛ましい事件が起きており、心を痛めております。区では、このような状況を受けまして、先月、緊急対策を実施したところであります。校内指導体制の確立や児童生徒へのアンケートの実施などとともに、従来の教育相談体制を強化し、重点期間の10日間は、土日も含め夜8時まで、電話相談の受付時間を延長して対応してまいりました。今後も、いじめの未然防止に向けて全力を尽くしてまいります。
 また、区立小・中学校への特色ある学校づくり事業の予算配付に関する一連の報道につきましては、多分に誤解もあるようであります。区立小・中学校の学力向上につきましては、様々な対応をしておりますが、このたびの仕組みにつきましては、学力上位校に手厚くするというものではなく、努力している学校、頑張っている学校を支援するものであります。
 一部報道にありましたような、学力定着度の低い学校の予算を減額し、高い学校を増額するという考えは全く持っておりません。ご理解をいただきたいと思います。
 次に、「あだちエコネット事業」についてでありますが、これは、区民が手軽に参加できる環境活動として全国的にも注目され、NHKの全国ニュースでも放映されたものであります。本年7月から、ごみの減量リサイクルを推進するため、ペットボトル自動回収機を区内16カ所の大規模店舗に設置してまいりました。先月には、一部の店舗におきまして、ペットボトルを自動回収機に入れると、利用者のICカードに買い物に使えるポイントがたまる仕組みを取り入れました。また、既に小学校2校で実施しております循環型食品リサイクルモデル事業では、家庭の生ごみを学校に持参し、食品リサイクルに協力すると、有機野菜等と交換できるポイントがたまるような仕組みも導入いたしました。このような身近なところから始める活動が、これからの環境問題への効果的な対応策となるもと考えております。今後、事業の実施状況を検証しまして、順次対象地域を拡大してまいります。
 次に、補正予算について申し上げます。
 今回ご審議いただきます補正予算は、一般会計及び老人保健医療特別会計の2会計であります。
 一般会計の補正予算は、96億2,000万円余を追加計上するものであります。主な内容を申し上げますと、土地開発公社の協調融資団借入金返済のための貸付金68億2,000万円余、義務教育施設建設資金積立基金への積立金19億2,000万円余、公共施設建設資金積立基金への積立金10億円余などを追加計上いたしました。これらの財源につきましては、都区財政調整交付金、都支出金、都市再生機構からの負担金などの歳入を充てております。
 また、債務負担行為といたしましては、小中学校普通教室エアコン賃借料、千住大橋駅周辺地区足立区画街路第11号線工事負担金、地域学習センター空調設備改修工事費などを追加計上いたしました。
 老人保健医療特別会計につきましては、過年度分医療費返還金1億円余を追加計上いたしました。
 なお、現在、区の基金残高は478億円余でありますが、これは残高が1,100億円を超える特別区債の返済や、今後本格化する小・中学校を初めとする公共施設の更新、竹ノ塚駅付近の鉄道立体化の実現などのための経費であります。今後も将来の負担をできる限り軽減するため、さらなる財源の確保が必要と考えております。
 最後に、今回ご提案申し上げました議案は21件、諮問1件、報告2件であります。各議案の提案趣旨につきましては参与よりご説明をいたさせますので、慎重にご審議の上、ご決定くださいますようお願い申し上げまして、あいさつとさせていただきます。
 ありがとうございました。