1、本会議質問 代表質問「区長の政治姿勢、後期高齢者医療制度について問う」 9月21日 ぬかが和子議員 |
―質問と答弁― 学力テスト「不正」事件は、区教委の姿勢が招いた結果 ○ぬかが和子議員 私は、日本共産党足立区議団を代表し質問します。 9月11日、「学力テストの問題用紙を区教委が試験前に配布」と一斉に報道され、昨日は読売新聞が「内容漏洩の可能性」と報じました。学力テスト全般については、我が党の浅子恵子議員の一般質問で行いますが、この事件に対する区長の政治姿勢について冒頭で質問します。 マスコミでは、「名前の記入方法になれさせるだけなら、問題用紙そのものを配る必要はなく、区教委が見せかけの学力向上に執心した結果」とも指摘されています。 もともと2004年の全都一斉学力テストで足立区が23位という結果が出てから、「学力向上」が至上命題として取り組みが強化されました。そして、議会からはこの3年間「学校名を上げ公開、競争を」「しっかりと頑張っている学校にそれなりの支援を」「何が何でもなりふりかまわず学力の底上げを」「(10番台達成を)ぜひ推進していただきたい」と、競争を強化する方向での質問が与党議員から集中しました。議会からさまざまな要求がある中で、「真の学力をつけるために行き届いた教育を目指す」ことが区教委の本来の責務でした。 しかし、実際には日本共産党区議団が「試験問題は前年とほぼ同じ。この問題を6回もプレテストをやった。授業をつぶしてテスト対策をやる。これが本当の学力か」など繰り返し警鐘をならし続けましたが、区教委は「反復学習という効果がある」と開き直っていました。そして遂に「学力テストで予算に差をつける」方針まで出したのです。ある学校の周年行事であいさつに立った来賓からも、「目先の点数にとらわれず、子どもたちの未来を見て本当の力を」と批判されました。 今回の一連の事件は、一学校の問題ではなく、点数と順位のみにこだわった区教委自身の姿勢が招いた結果だと思うが、区長はどう考えるのか。 また、足立区民と子どもたちの心が大きく傷つけられています。昨日の本会議で教育長も異例の陳謝を行いましたが、区長はどう認識し、どう責任をとろうとしているのか、初めに伺います。 「格差と貧困」に対する区長の政治姿勢を問う 次に、厚生労働省の調査によると、所得の格差は過去最大を更新し、上位25%の世帯が全体の75%の富を持っていることを示し、格差と貧困が拡大しています。OECD諸国の中で日本の貧困率はアメリカに続き第2位です。この10年間で正社員が439万人減り、非正規社員は662万人ふえ、非正規労働者の8割近くは年収150万円以下の低賃金です。それに増税・負担増が追い打ちをかけています。 日本共産党足立区議団が毎年10万以上の世帯に無差別に配布している区民アンケートでは、「この1年で暮しが苦しくなった」と答えた区民が、過去最悪だった昨年を上回る75%に上り、「よくなった」と答えたのはわずか1.6%でした。生活保護水準ぎりぎりの生活をしている年金生活者、借金の返済に追われる零細業者、子どもを育てるために二つの仕事をかけ持ちしているシングルマザー……まちの中には深刻な生活実態があふれています。 依命通達では「区民生活を向上」と述べていますが、そのためには当然格差を縮小する必要があります。「所得の再分配機能を強め、格差拡大に歯どめをかけて区民生活を守り向上させる」、これが自治体の長としての役割だと思いますが、区長はどう考えるか、答弁を求めます。 第2回定例会で、区長は「広く薄く負担を求めていくことはやむを得ないが、直ちに支援を必要とする区民の方々には、現行の福祉制度を適切に活用し対応する」と答えています。現行制度で対応するのは当然ですが、対応し切れない状況があるからこそ行政の役割があります。例えばシングルマザーの生活の糧となる児童扶養手当受給者は6,800人余いますが、受給から5年が経過した場合などは、最高で2分の1まで削られます。代替策として母子支援プログラム策定や訓練給付などを受け自立を図るとしていますが、この制度の実績はわずか32件です。これ以外の方の救済策は何もありません。こういった現行制度では対応し切れない場合、新たな施策の構築が必要になると思うがどうか。 足立区の予算規模は23区で第2位、いわゆるため込み金(基金残高)は第5位と、いずれもトップクラスです。それでも財源に限りがある中、「必要な施策ではあっても何を優先するか」、その判断に区長の政治姿勢があらわれます。吉田区長時代は「区財政は厳しいが、区民生活もそれにも増して厳しい」と、区民生活支援を最優先しました。前区長は「開発や新たなまちづくりで担税能力のある区民を呼び込む」、つまりお金のある人に足立区に来てもらうとしてきました。担税力のある区民が来たからといって、いま生活に困窮する区民は救われません。区民の生活応援を最優先に区政運営を図ることについて、区長の所見を伺います。 5ヶ所同時に大型開発 次に、今議会は、近藤区長が初めて依命通達(平成20年度行財政運営方針)を示した議会です。区長は、依命通達の重点項目のトップに「大規模工場跡地などの基盤整備促進」を上げ、新田のトーアスチール工場跡、西新井西口の日清紡、梅田の三菱ウェルファーマ、千住大橋のニッピ、北千住東口のJTの5カ所の工場などの跡地で、住宅市街地総合整備事業(いわゆる住市総)の網をかけて同時に大型開発を進めています。住市総事業は、整備地区面積がおおむね5ヘクタール以上などの要件がある、国の大規模開発誘導策です。 「慎重な行財政運営をせざるを得ない」と言いながら、こんなに同時に開発を進めている自治体はありません。補助金がおりるといっても、4分の1以上は区の負担となり、この五つの開発で200億円近く、区の一般財源が必要になります。 共通しているのはUR(都市再生機構)がかかわっている点です。URが安い値段で土地を購入し、区はURを中心とする開発者のために大型開発をしやすい地区計画をつくり、学校や交差点改良工事などの用地をURから高い値段で税を投入して買い取るようになります。このような大型開発は、結果としてURを中心とした開発事業者を優遇することになります。本来、地区計画は高さ制限や日影規制をかけて大型開発による環境悪化から住民を守るためにありますが、区がやってきたことはこれとは全く逆です。いま必要なのは「まちこわし」にならないよう、住民の立場で規制を強化するなど、慎重に取り組む姿勢ではないか、答弁を求めます。 保育料の値上げ中止を 「子育て支援施策の推進」は区長のマニフェストと依命通達(重点項目)の柱です。子育て支援はどの自治体でも重要課題と位置づけ、墨田区では定率減税全廃による増税前の基準で保育料を徴収し、取り過ぎた保育料は保護者に返し、保護者負担を減らすことを決めました。足立区ではこれとは全く逆に、区長が第2回定例会で、保育料値上げについて「やむを得ない」と答弁しています。同じ子育て世代に負担増を強いて、どうして子育て支援なのでしょうか。来年の値上げにより、東京で一番高い保育料になる事態を生み出し、保育料の値上げで他の子育て支援策を拡充することは、依命通達や区長のマニフェストの立場から見ても矛盾していると思わないのでしょうか。また、今定例会で保育料負担増について若干の手直しを行いますが、抜本的な対応ではありません。値上げの中止を行う立場に改めて立ってほしいと思いますが、答弁を求めます。 区が特定事業者にいたれりつくせり ―あだち芸術センター天空劇場の不可解な使用料 依命通達では「重点項目等を担保するための取り組み」として、「区民・NPO・企業との協働を広げる」とし、そのために「基本構想の実現に向けての7項目」を着実に推進するとしています。ここには「PPPなど新たな手法も活用し、企業等との協働を進めていく」とあります。 足立区のPPP第1号は東京芸術センター(あだち産業芸術プラザ)で、「官民パートナーシップ」として鳴り物入りでスタートさせました。当時部長が「北棟・南棟の全体が産業振興センター」だと言い、権利金・保証金は全額免除を行い、地代も千住の他の施設の相場の半分以下、地価相場額の1%程度という優遇をしました。 しかし実態は、事業者言いなりで、変更に次ぐ変更を余儀なくされてきました。プロポーザルで高い評価を受けたデジタルファクトリーは大幅に縮小、黒澤 明映画スタジオ予定部分は、いまだ単なる空き室状態です。当初1・2階につくるとしていたイベント展示ホールは、産業振興やイベントに活用できる「バンケット」機能として期待されていましたが、最上階の天空ホールとなり、ケータリングは綜合商事社長の身内が経営するレストランしか認められないなど、使い勝手が悪く、期待は見事に裏切られました。いまでは、他の場所にバンケット施設を求める声が上がっているほどです。 しかも、基本協定では、天空劇場・会議室について、利用の有無にかかわらず年間営業日の6割の使用料を支払うことを保証し、毎年9,800万円余の税金を綜合商事に投入する。その利用率は監査委員からも指摘されているように、劇場は50%、会議室34%と低く、だれも利用していない劇場に1日につき34万円、会議室は9万円分を綜合商事に払う状況です。これだけ区がお金を払っていても、利用団体がない日は、区も区民も劇場のある最上階に上がることさえできません。 区が、財政支出を「最小限に抑える」といいながら、大きな負担を求められ、管理にも口出しできない施設、結局パートナーシップ事業といえるのは天空劇場と会議室の優先利用ぐらいで、産業振興センターと言えるのでしょうか。パートナーというのは、本来対等・平等であるべきなのに、綜合商事が「自分の施設だから」と、まるで区を見下しているような状況です。これが区長の言う「新たな手法」であり、着実に推進する内容なのでしょうか。本来求められていた姿に戻すことが「パートナー」としての区の役割です。「パートナーシップ」というなら、それにふさわしく、毅然とした対応をすべきと思うがどうか、答弁を求めます。 第2に、年間営業日の6割負担を空き室でも支払うやり方を、出来高払いに改めさせることなど、基本協定の見直しを行うべきと思うがどうか。 第3に、受け付け窓口を置くことを含め、区民にわかりやすい施設へ改善を図ること。また、区が借りている219日分については、せめてあいている日は天空劇場のロビーを展望施設として公開することや、食べ物の持ち込み・ケータリングは複数業者を認める等の改善を直ちに行うべきと思うがどうか、答弁を求めます。 住区センター職員の待遇改善を 次に、職員定数について「新たな考え方に立脚する必要がある」と述べています。区長あいさつでは、一人一人の区民に寄り添う福祉事務所のケースワーカーの奮闘ぶりを「情熱あふれる職員の行動」の象徴として紹介していますが、区民サービス向上のために、必要なところには新たな職員を増員してでも配置するべきと考えるがどうか。また、新年度予算編成方針の中で「事務補助Aの時給900円を基準に、臨時職員賃金について改定する」としていますが、連動して他の職種や、住区センター従事者、社協のヘルパーの待遇などの条件も改善すべきと思うがどうか、答弁を求めます。 今年度の都区財政調整交付金の当初算定が確定し、当初の見込みの941億円を大きく上回り、新たに36億円の財源が生じることになります。この財源は、従来のように年度末に積み立てるのではなく、「区民生活向上」に必要な施策に直ちに振り向けるべきと考えるが、どうか。 財源はあります―緊急提案の実現を求める 日本共産党区議団は、新年度予算編成では間に合わない課題について、8月27日、区長に緊急要望を行いました。 子育て支援パスポート事業加盟店への助成を 第1に、子育て支援パスポート事業の割引分は、いますべて商店負担となっていますが、パスポートを活用しやすくし、かつ区内商店の支援のために、せめて年末の売り出し期間、就園・就学準備の期間だけでも加盟店への助成を行うこと。 無料妊婦健診回数増の前倒し実施を 第2に、無料妊婦健診の回数増を来年待ちにせずに、年度内に前倒しして実施すること。 廃プラスチック・トレイのリサイクルを 第3に、プラスチックごみ焼却(熱回収)の来年4月の全区実施を前に、その前提である廃プラスチック・トレーのリサイクル(ステーション回収)を早急に行うこと。 第4に、区の公共施設の和式トイレを洋式に変える工事を計画的に早急に行うこと。 以上、4点について新たな財源も活用し、実行する考えはないか、答弁を求めます。 増税・負担増への対策について 次に、増税・負担増への対策について質問します。 川崎市では、生活が苦しいなどで住民税の納付が困難な住民に対し、少額所得者減免制度を実施しています。単身の給与所得者の場合は、1カ月の収入が16万円未満であれば免除されます。一方、足立区の特別区税条例では、「所得が皆無となった」区民だけを「生活が著しく困難となった者」と規定し減免を定めていますが、実際には1件も適用がありませんでした。足立区でも、所得が著しく減少及び前年の所得が一定金額以下の少額所得者も「所得が皆無となったことに準ずる区民」と位置づけ、減免要件を緩和する考えはないか。 第2に、介護保険の負担軽減制度は、総収入によって制限があります。年金など総収入は変わらなくても、税や国保料、医療費などの負担がふえ、可処分所得が大幅に減っているのが現状です。これにあわせて制限を緩和すべきと思うがどうか。 第3に、区長のマニフェストで示した「介護サービスを受けなかった元気高齢者への保険料の一部返還」をすることについて、「なるべく早いうちにスキームを報告したい」と答弁しています。しかし、その後の経過は区民にも議会にも示しておりません。新年度予算に反映しようと考えているのか。また、対象は「要介護認定を必要としない元気高齢者や「自立」認定された高齢者」と考えているのか、答弁を求めます。 64万区民唯一の区民保養所湯河原あだち荘の存続を 次に、区は第2回定例会で湯河原区民保養所を今年度で廃止・売却する方向を打ち出し、今議会に廃止条例を提案しています。湯河原区民保養所は、いまや64万区民唯一の区民保養所であり、廃止すべきではありません。 区は、廃止理由として国が「宿泊・保養施設について、廃止・民営化などを行うよう地方公共団体に要請する」と閣議決定したことを上げていますが、他の区で全部を廃止するのは、わずか5区です。条例は、その第1条で「区民保養所を設置することにより、区民の健康増進に寄与」し、「福祉の向上を図る」と目的を定めています。 廃止条例を撤回し、その目的にふさわしく健康増進に役立つ施設として、介護予防や健康づくり、心の健康のためにも、例えば「健康づくり」や「いやし」の企画を行って付加価値をつけるなど、新たな役割を持たせて存続・充実をすべきと思うがどうか、答弁を求めます。 医療改悪について問う 次に、昨年成立した医療改革関連法により、来年4月から保健・医療の枠組みが大きく変わろうとしています。65歳以上の国保加入世帯主は保険料が年金から機械的に天引きされ、分納などの相談に応じてもらえません。70から74歳の医療費の本人負担はいまの2倍に上がります。そして、75歳以上の後期高齢者医療制度は、後期高齢者という医療給付費のかかる年齢層をほかの医療保険から切り離し、高齢者がふえれば保険料が上がり、医療給付は縮小されます。医療の世界で高齢者を差別するという点で「世紀の悪法」ともいわれ、元厚労省老健局長ですら、これを「うば捨て山」と痛烈に批判しています。 後期高齢者医療について―高すぎる保険料― まず保険料についてです。年金月額1万5,000円以上の高齢者は、保険料が年金から天引きされます。いままで家族の扶養で負担がなかった高齢者も、全員が切り離され、介護保険料のように天引きされます。それ以下の方も、普通徴収という形で容赦なく保険料を取り立てられます。滞納処分も新たに課せられ、短期証や資格証明証の発行によって、命綱である保険証を取り上げられる対象になるのは、この低所得者だけです。来年からの東京の広域連合が示した保険料案は、月額平均で1万2,900円、健診と葬祭費を含み、調整交付金が30%の場合ですが、年金が支給されるたびに2万5,800円も天引きされてしまいます。いま高齢者は老年者控除の廃止や年金課税、介護の負担増などで深刻な実態にあります。この保険料を提示された東京都広域連合議会の協議会でも、「だれがこんなこと決めたんだ」「こんな案を決めたらおれは帰れない」など、驚きと怒りの声が広がったといいます。いまこそ制度の凍結と全面的な見直しをすべきです。 同時に、いま提示されている案に対し、高齢者の生活実態に合った保険料とするために、膨大な事務費は保険料に反映させない仕組みや、国庫負担金の増額、都・区から補助をふやす必要がありますが、区長はどう考えるのか。 また、「低所得者への減免措置」「機械的に短期証・資格証の発行をしない」などの対応が必要だと思うがどうか、答弁を求めます。 後期高齢者医療について―医療は差別され受けられない― 次に、医療の給付についてです。アメリカの「シッコ」という映画は、保険会社が医療を制限し、医療を受けさせない・受けられない実態を告発していますが、日本の高齢者医療では、これを政府が行うと言っても過言ではありません。 現在の医療は出来高払いが基本となっていますが、高齢者部分の診療報酬については、別立てで定額制(包括払い)になります。例えば何日入院しても、お金のかかる治療が必要でも上限が決められ、その範囲でしか保険がきかなくなります。1日入院しても30日入院しても入る報酬が同じなら、どういう結果になるかは、火を見るより明らかです。 9月4日の厚労省の審議会では、「終末期に延命治療を行わない」と家族から誓約書を多くとった医師や、死を病院でなく在宅で迎えさせた場合は診療報酬を加算されるという案まで示されました。「高齢者は高い保険料を払っても、入院・手術も粗悪医療しか受けられない」「病院を追い出される」など、高齢者が差別され、必要な医療を受けられなくなることについてどう考えるか。 健診の有料化にストップを! また、東京都広域連合は、法律で「努力義務」とされた健診の実施を決めましたが、有料化という方向性も出されています。健診が無料で受けられるように働きかけるべきと思うがどうか、答弁を求めます。 次に、特定健診については、いままで40歳以上の全区民を対象にしていた制度がなくなり、「特定健診」として、実施責任が各医療保険者に移る根底からの変更になります。現在国保加入者の受診率は26%ですが、政府は、自治体での受診率を65%にするよう求め、メタボリックの改善目標を立て、目標を達成できない場合は納付金などペナルティーも科せられるものです。 区は、区民委員会でこの健診を有料にする方向を表明しました。委員会では3割という数字も述べていますが、仮に健診単価が1万円だとしたら、1回の健診で3,000円です。これだけの自己負担を押しつけて受診率を倍以上に上げられると、本当に考えているのでしょうか。 受診率向上のためにも、無料で受けられ続けるようにすべきと思うがどうか。従来の健診で実施されてきた項目で、特定健診から外れる検査(例えば胸部レントゲン、心電図、貧血検査など)は削減せず、特定健診に上乗せして受診できるようにすべきと思うがどうか。がん検診、節目健診についても、いままでどおり行えるようにすべきと思うがどうか、以上答弁を求めます。 病院・施設のベッド大幅削減で介護難民が深刻に 次に、この医療改革で、政府は2012年までに、現在38万床ある療養型のベッドを15万床に削減し、介護型療養ベッドを全廃し、その分はケアハウスや老人保健施設、在宅などに転換するとしています。これに伴い足立区でも介護保険適用の療養型ベッド345床は全部廃止、医療保険適用ベッド850床も大幅削減が予想されます。いまも特養ホームの入所待ちは2,700人に上り、施設不足・ベッド不足による「介護難民」がさらに深刻になることが予想され、受け皿を早急に整備する必要があります。依命通達では、特養ホーム建設を例示し、「今後必要な施設整備に力を注いでいく」といっています。小規模多機能型施設整備の報酬上乗せを決めましたが、さらに整備目標を引き上げるとともに、特養ホームの増設を図るべきと思うがどうか。 厚生労働省は、医療の必要度が低い医療区分1の患者が入院している医療型病床のベッドも全廃するとしていますが、全国保険医団体連合会の調査では、医療区分1の患者の半数以上が在宅や施設では対応が困難であることが明らかになっています。いまでさえ医療行為の必要な要介護高齢者が施設への入所を断られ困っているケースがある中、医療行為が必要な人の受け皿についてはどうするのか、答弁を求めます。 介護保険について問う 次に、介護保険実施から8年目を迎えました。「介護の社会化」という当初のうたい文句とは裏腹に、高齢者の生活を「介護取り上げ」や負担増が襲っています。食費・居住費の全額自己負担化、要支援と判定された人の訪問介護利用は厳しい制限がされ、また介護度がどんなに高くても1回の訪問介護につき1時間半までしか介護報酬が出なくなりました。さらに、 コムスン事件をきっかけに給付の抑制に一層の拍車がかかっています。 要介護1から要支援1に下がった西綾瀬の女性からは「デイサービスも週1回に減った。買い物にも行けない。年寄りを部屋に閉じ込めておくだけがいまの介護保険。ヘルパーももっとやってあげたいのに、できないので苦しんでいる」との声が届いています。区内のケアマネジャーも「本来お年寄りにやってあげたい必要なことをプランに組めずに、プランの枠に人間を無理やり合わせている」と語っています。区は、介護保険導入時「介護保険導入を機に福祉施策の後退があってはならない」「福祉施策全般を高度化、前進させていく」といっていましたが、このことに変わりはないか、基本姿勢について伺います。 コムスン事件は、営利企業の参入を拡大し、行政の責任を後退させてきた介護保険制度の根本的な欠陥が噴出したものです。介護を営利追求の場にする現状を根本から変えること、それと同時に、国の負担割合をふやすことで介護報酬を引き上げ、安心して運営できるようにすることが必要と考えるがどうか。 また、行き過ぎた実施指導や給付の「適正」化はしないで、現場の実態に即したサービスの質を上げる仕組みづくりに、区として取り組んだり、現状を都に届けるべきと思うがどうか。 「生活援助」について利用できるのは、原則として独居世帯とされていますが、国は「同居家族に疾病や障害がある場合を初めとして、日中独居老人の場合も給付対象となる」としているように、例外について広く認めています。しかし、東京では「日中独居はだめ」など国の基準でも決まっていないことを、「ローカルルール」として規制する傾向にあります。豊島区では、生活援助の利用制限について、昨年9月に区民の声をもとに改善を行いました。同居家族に事情があって介護ができない場合の生活援助について、「現場が作成するケアプラン・アセスメントを尊重し、給付対象とする」と宣言しました。足立区でも、日中独居などのようなケースも、介護給付の対象になることを広く知らせ、利用制限を改善すべきと思いますが、答弁を求めます。 介護・福祉分野の人材不足は深刻です。低過ぎる介護報酬が、さらに昨年切り下げられ、福祉の分野を志しながらも、職種を変えやめていく人が後を断ちません。読売や朝日新聞でも「低賃金に福祉悲鳴、年収200万円台、ボーナスゼロ、介護報酬改定のたびに待遇悪化」「まるで官製ワーキングプア、人材逃げ崩壊危機」「介護職員の人材確保策も必要だ」と報道されているように、ホームヘルパーのみならず、施設職員、専門職であるケアマネすらも低賃金水準に置かれています。 私は、区内のさまざまなケアマネジャーの方から聞き取りを行いましたが、30歳前後で多忙な仕事、残業をしても手取りで20万円に満たない状況で、「希望が持てない」「専門職で大変な業務なのに社会的評価が低いのがつらい」と語っていました。千住桜花苑では、施設職員が確保できないために、特養の定員が100名あるにもかかわらず、20ベッドはあけたままです。「特養の入所を待っている人がたくさんいるのに、つらい」と関係者が語っていました。 人材難は、介護の質の低下につながり、公的介護制度の存続にかかわる大問題です。区も「国が直ちに国庫負担を引き上げて介護報酬を改善し、地域で高齢者を支えている介護労働者や事業者などを支援する」よう強く求めるべきと思うがどうか。 また、国の通達「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」を各事業者に徹底するとともに、区として介護現場で働く人の実態を調査し、支援策を講じるべきと思うがどうか、答弁を求めます。 日よけ・看板の道路占用料について 次に、区内業者支援についてです。 第1に、現在、区内に1万5,000件近く区道上に日よけや看板がありますが、道路占用料の徴収対象となるのは規格内の「適法」な3,900件の看板などです。歩行の妨げにもなる規格外の看板は、放置されているのが現状です。また、同じ道路上に同じ規格の「適法」な看板が設置されていても、都道は免除、区道は徴収という事態も生まれています。こういった不公平・不公正を是正する考えはないのか。区長はさきの代表質問の答弁で、「広く区民の意見に耳を傾ける」と述べました。ぜひ区内事業者の意見を聞き、現在の免除規定の見直し、免除規定を拡大するべきと考えますが、答弁を求めます。 第2に、中小企業融資についてですが、国の責任共有制度(信用保証協会が100%保証をやめ、貸付金融機関も応分の負担をする)の導入に先立ち、区は銀行から預託金を引き上げ融資制度を変更してきました。一方、国は金融機関の貸し渋りへの懸念とその対策への要望が強まる中、小口零細企業保証制度の実施を決めました。区もこの制度を活用して小口零細資金融資を10月からスタートしますが、この融資の対象外となる創業資金等についても、変更後の実績を検証し、借りやすい制度に改善するなどの対応が必要だと思うがどうか。そのためにも預託金を再開する考えはないか、答弁を求めます。 第3に、青年雇用についてです。私たちが街頭などで行った「TOKYO若者雇用実態調査」では、月収が20万円以上はわずか15%、複数の仕事を持ち生活するダブルワークや長時間労働で約半数が健康に不安を訴え、「生活が維持できるか、金銭的に不安。幾ら働いても働いても満足な生活は送れないので、子どもは欲しいけど要らない」などの声が多く寄せられました。青年雇用の深刻な実態を把握し、自治体としても対策を講じる必要があると思うがどうか、区長はどう認識するのか、答弁を求めます。 次に、政府がテレビのアナログ放送を打ち切ってデジタル化への完全切りかえをする2011年まで4年を切りました。「いまのテレビが映らなくなる」「お金がかかってテレビを買いかえられない」と不安が山積しています。欧米ではデジタル化に際し、低所得者や高齢者に支援をしています。TV難民を生み出さないために、2011年からのアナログ放送の中止を延期するよう国に求めるとともに、低所得者などに対し、受信機やアンテナの提供・補助を行うなどして負担の軽減を図る必要があると思うがどうか。 最後に、扇いちょう公園と西新井駅を結ぶはるかぜのバス停についてですが、あみだ橋手前の本木第2アパート前バス停から西新井駅まで一つもバス停がありません。西新井大師にバス停を設置することについて、区は「対応する」と答えていますがどうなっているのか、早急に対応するべきと考えるがどうか、答弁を求めまして、この場からの質問を終わります。 答 弁 【区長答弁】 ○近藤やよい区長 ぬかが和子議員の代表質問のうち、格差拡大、新たな福祉施策の構築、区民生活応援についてのご質問に一括してお答えいたします。 区政に責任を持つことが、自治体の長としての役割であり、長期的な展望を持って将来の確実な行政需要に備えることが必要であると考えております。 次に、直ちに支援を必要とする区民の方々への対応ですが、生活保護制度を初め、さまざまな福祉制度を活用してまいります。現行の福祉制度は、社会のセーフティネットとして相応の機能を果たしており、新たな施策の構築につきましては、考えておりません。 また、区民生活の応援は、当然推進していかなければならない課題であると認識しております。そのような視点から、例えば義務教育終了前の子どもの医療費について完全無料化を図ってきたところでございます。しかし、区政の課題はさまざまであり、福祉施策のみを突出するような施策展開は考えておりません。健全な財政を維持しながら、総合的に基本計画を推進していくことこそ、重要であると考えております。 他のご質問につきましては、参与から答弁をいたさせます。 ○石川義夫都市整備部長 大規模工場跡地など基盤整備促進についてお答えします。 区は、大規模工場跡地などの開発に当たっては、都市機構や民間事業者との協働により、区の負担を最小限に抑えつつ、公園や緑地を整備する等地区が抱える課題の解決に取り組んでまいりました。今後とも地元のまちづくり連絡会での意見交換などを踏まえ、環境に配慮した、区民が誇れるまちづくりを進めてまいります。 ○井ノ部美千代子育て支援担当部長 来年度の保育料改定についてお答えします。 来年度の保育料改定は、「足立区子育て支援サービス利用者負担適正化審議会」の提言を受け、すべての子育て世帯の受益と負担の適正化等を図るため実施されるものであり、妥当なものと考えております。 保育料激変緩和による平成17年度の改定時には、第3子以降についての無料化を実施し、来年度については税制改正に伴う過大な負担増の排除や多子減額の対象拡大の検討など、保護者の保育料負担軽減にも配慮をする予定であり、区長のマニフェストと矛盾しているとは考えておりません。 ○鈴木 章産業経済部長 東京芸術センターのご質問にまとめてお答えいたします。 まず、官民パートナーシップ事業である東京芸術センターの天空劇場及び会議室につきましては、区民がわかりやすく利用しやすい施設にするため、事業者と粘り強く協議を重ねてまいりました。会議室につきましては、利用当日の受け付けを1階防災センターに改めさせるなど、また、天空劇場での食べ物等につきましては、1階コンビニエンスストアの活用を可能にするなど、幾つかの改善を図ってまいりました。 また、天空劇場から千住のまち並みをごらんいただくため、この10月1日を区民開放の日としたイベントを企画するなど、芸術センター及び区民の方々に知っていただき、利用していただけるよう努力をしております。 今般平成19年度定期監査結果報告において、東京芸術センター会議室等の利用に関して、その利用促進するためさらなるPRと利用環境整備に努めるよう意見・要望をいただきました。区といたしましては、今後一層基本協定にある天空劇場・会議室の6割分の優先利用稼働率を上げるため、区民に利用しやすい施設に向けて事業者と真剣に協議を進めるなど、引き続き全力を上げてまいります。 したがいまして、20年の契約期間を定めてあります基本協定の見直しについては、いまのところ考えておりません。 次に、子育て支援パスポート事業加盟店に対する助成についてお答えいたします。 この事業は、商店街が子育て世帯を経済的に応援し、商店街ににぎわいを取り戻すとともに、商店街のイメージアップを図ることで各商店の売り上げ増を実現する目的で始めた事業です。したがいまして、区はパスポート発行やステッカーの作成による支援を行いますが、年末の売り出し期間や就園・就学準備の期間などにおいても協賛店への助成は考えておりません。 なお、現在、活用しやすくするべく加盟店の増に努めているところでございます。 次に、中小企業融資についてお答えします。 平成18年度の融資制度改定にあわせ「創業するなら足立区で」をキャッチフレーズに、創業しやすい環境を整えるため、創業資金の状況も見ながら、今年度からスタートアップビジネス助成を始めるなど、創業者に対する支援を充実してまいりました。なお、今回の責任共有制度では、創業にかかる資金につきましては、引き続き保証協会の100%保証とするなど、国においても創業者支援に力を入れているところであります。 また、預託金につきましては、平成16年度に廃止したものであり、再開する考えはありません。 次に、青年雇用につきましてお答えいたします。 国においても「フリーター25万人常用雇用化プラン」を初めとして、さまざまな若者の雇用対策を打ち出しております。 区におきましては、こうした国の施策を広く成年者層等にPRするとともに、安定した職を求める若者のハローワークへの誘導を図ることで対応してまいります。 なお、実態につきましては、今後とも「あだち若者サポートステーション」や若年者就労支援委員会等を通じて把握してまいります。 ○坂本寛文政策経営部長 私からは、職員定数削減についてのご質問についてお答えいたします。 職員定数を厳しく見直し、これにより削減した人件費を新たな行政需要に向けていくことは、引き続き本区の大きな課題であり、区長がマニフェストに掲げた15%以上の人員削減に向け、さらなる努力を継続していくことが必要であります。なお、真に必要な職員数の増要素に対しては、これを厳しく精査の上、事務事業の見直し等によって生み出された定数の減を振り向けてまいりたいと考えます。 また、賃金単価の改定につきましては、事務補助Aの改定にあわせ、他の職種につきましても単価表の改定を予定しております。なお、住区センター従事者の賃金につきましては、単価表の改定にあわせた対応を図ってまいります。 次に、お尋ねのとおり、都区財政調整交付金の当初算定により36億円余の財源が確保できました。この財源は、可能な限り早い段階で補正予算を計上し処理いたしたいと考えております。 なお、ご提案の事業に対する財源確保は包括予算制度の中で、それぞれその事業の必要性を十分精査しながら対応してまいります。 最後に、地上波デジタル放送への対応についてお答えいたします。 地上波放送のデジタル化は、放送サービスの高度化と電波の有効利用を目的に、平成13年の電波法改正により決定されたものです。したがいまして、アナログ放送の中止を延期するよう国に求める考えはありません。現在のところ、個人の残産形成につながるような援助は考えておりません。 ○黒岩京子衛生部長 妊婦検診についてお答えいたします。 健康で安全なお産のためにも妊婦健康診査公費負担の早期拡大は重要と考えております。 現在、来年4月実施に向けて、東京都五者協議会の作業部会で基本的な検査項目、都内各自治体の相互乗り入れ体制などの検討などが行われておりますが、その経過を踏まえながら、年度内の前倒しに向けて、区としての実施方法について検討を進めているところでございます。 ○小平勝夫環境部長 廃プラスチック・トレーのリサイクルに関するご質問にお答えいたします。 廃プラスチックの集積所回収は、莫大な経費を要するとともに、最終的に約半分がごみに戻ってしまうなど問題も多いため、当面、実施する考えはございません。 また食品トレーについては、製造・販売の事業者責任として、スーパー等の店頭で回収されております。 ○青木光夫資産管理担当部長 区の公共施設のトイレのことでのご質問でございますが、今年度、本庁舎の中央館1階のトイレについては、男女1カ所ずつ和式から洋式にいたします。他の施設については、施設利用者の意向を踏まえながら検討してまいります。 ○坂田道夫区民部長 私からは、3点のご質問にお答え 申し上げます。 まず、減免要件の緩和についてでございますが、市町村民税の減免は、地方税法第323条に規定されており、徴収猶予、納期限の延長等によっても到底納税が困難であると認められるような担税力の薄弱な方について、その個別具体的な事情に即して税負担の軽減免除を行うための措置として設けられているものであります。 納税義務者に与えられた徴収緩和の措置として徴収猶予の措置等もございますので、税負担の公平という見地から、減免要件を緩和する考え方はございません。 続いて、湯河原区民保養所につきましては、民間宿泊施設との価格差も僅少となり、魅力が相対的に薄れ、利用率もピーク時には98%台あったものが、昨年度は約60%にまで低下しております。また、区財政の厳しい中、区負担が平成18年度決算見込みで約6,300万円余となっております。 このような中、区民の余暇の過ごし方は多様化し、保養所での健康増進という目的も設立当初より薄れつつあり、区が保養所を保有し運営するという使命は終了したと考えております。 そのために、新たな機能を付加しての存続は考えておらず、廃止後は区民優遇の条件つきで売却することを考えております。 続いて、特定健診の自己負担金につきましてお答えいたします。 来年度、保険者として区が実施する特定健康診査の対象者は、40歳から74歳までの国民健康保険加入者となります。サラリーマンの妻など被用者保険の被扶養者、あるいは受診機会のない0歳から39歳までの国民健康保険加入者との均衡を保つため、自己負担金の導入を検討してまいります。 次に、特定健診の上乗せ項目についてお答えいたします。 ご質問にありました心電図と貧血検査は、特定健診の選択項目です。これまでの基本健康診査同様、医師の判断により、必要な方には実施します。胸部レントゲンは、その必要性を引き続き検討してまいります。 続きまして、がん検診、節目健診についてお答え申し上げます。 がん検診は、健康増進法の中で引き続き実施してまいります。また、老人保健法に基づき衛生部が実施してきた節目健診は、保険者ごとに実施する特定健康診査の中の一部に移行します。 ○柴田 壽福祉部長 介護保険の負担軽減についてお答えいたします。 第三期介護保険事業計画において、負担軽減額認定について、平成17年度税制改正の影響による可処分所得の減等に配慮した措置を講じております。さらに、制限を緩和することは、介護保険事業計画に影響することであり、考えておりません。 次に、区長のマニフェストについてお答えいたします。 マニフェストでお示ししました「介護保険のサービスを受けなかった元気高齢者に対し保険料の一部をお返し」につきましては、なるべく早いうちに報告できるよう、時期や対象を含め、庁内における検討を進めているところでございます。 次に、後期高齢者医療制度の保険料に関してお答えいたします。 東京都国民健康保険団体連合会に支払う審査手数料につきましては、補助の対象ではございませんので、保険料に反映する仕組みとなっております。 財政支援につきましては、東京都後期高齢者医療広域連合と、埼玉県、千葉県、神奈川県の一都三県の広域連合が連名で、9月12日に国に緊急要望いたしました。 保険料の軽減措置として、所得に応じて2割・5割・7割の軽減措置が政省令案に示されております。 滞納対策としての「短期証・資格証」の発行については、被保険者の個々の事情を配慮しながら慎重に行ってまいります。 次に、診療報酬の包括払いについてお答えいたします。 後期高齢者医療は、対象となる高齢者の心身の特性等を踏まえた、新たな診療報酬体系を構築するものです。したがって、診療報酬が包括払いになっても必要な医療は受けられるものと考えております。 次に、健診についてお答えいたします。 健診の自己負担分につきましては、東京都後期高齢者医療広域連合で検討中でありますので、推移を見守っていきたいと思っております。 次に、介護施設の施設整備についてお答えいたします。 小規模多機能型施設整備の報酬上乗せを決めましたが、今後の応募状況を見て整備目標を見直してまいります。 特別養護老人ホームについては、入所希望者数が約2,700人という現状からも、今後も大規模施設が不可欠と考えており、都住の建てかえなど、さまざまな機会をとらえて進めてまいります。 医療行為が必要な方の受け皿は、在宅療養支援診療所において24時間体制での往診や訪問看護で対応することになります。 次に、高齢者介護に関する基本姿勢についてお答えいたします。 介護保険は、高齢社会において、介護を家族だけでなく社会全体で支え合うために創設されました。この基本理念は現在も変わっておりません。また、高齢社会対策を総合的に推進していく基本姿勢につきましても、平成12年に制定いたしました「足立区高齢社会対策基本条例」にお示しいたしましたとおりでございます。 介護保険制度の運営についてお答えいたします。 介護保険制度につきましては、民間事業者や非営利組織など多様な供給主体の参入を認めることによって、サービス提供量の拡大を促し、利用者によるサービス選択の幅が広がりました。同時に、保険制度の枠を勘案しながら、実態に即した実地指導や給付のチェックを都と連携しながら適切に行うことによって、適正な制度運営が確保されるものと考えております。 また、介護報酬の引き上げにつきましては、現在、国において行われております検討結果を見守ってまいりたいと考えております。 次に、「生活援助」についてお答えいたします。 国では「生活援助」について利用できるのは、「利用者がひとり暮らしであるか、または家族等が障害、疾病等のため利用者や家族等が家事を行うことが困難な場合」と示しており、足立区は厳格に国の基準による運用を指導しており、適正なサービスが行われていると考えております。 次に、介護・福祉分野の人材不足につきましてお答えいたします。 介護労働者の労働条件の確保や、介護現場で働く人の実態調査につきましては、労働行政でありますので国の役割と考えておりますが、介護・福祉分野の人材の確保が現在、喫緊の課題となっていることは区としても認識しております。 国において、先ごろ見直しが図られた「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」に基づき、国、都の取り組みを注視しつつ、区といたしましては、ボランティア活動の振興や広報活動、社会福祉事業の従事者に対する研修の実施や相談体制の整備など、介護保険制度の保険者としての役割を果たしてまいりたいと考えております。 ○江口由紀夫土木部長 日除け・看板等の道路占用料については、本年4月の占用料改定後も減免措置を実施し、日除けで約6割4分、看板で最大約8割の減額しておりますので、区としては、これ以上の免除規定の拡大については考えておりません。 なお、規格外のものについては、今後も改善指導を行ってまいります。 次に、「はるかぜ」のバス停についてお答えいたします。 このバス路線は、興本・扇地区から西新井駅までの足を確保し、通勤通学や駅周辺の商業地の利用を主な目的として計画しました。 その中で、既存の西新井大師バス停は、都営バス、東武バス、国際興業バスが共同利用し、過密状態であったため「はるかぜ」の停車を見合わせていたところであります。 現在、利用者の皆様からのご要望が高まっていることから、バス事業者、交通管理者と協議して、西新井大師バス停の早期設置に努めている状況でございます。 ○齋藤幸枝教育長 一部の小学校において不適切な行為が発覚したのに加え、9月11日の報道で、担当者が「よく学習してください」などと話し、区教育委員会自身が成績アップをねらい不正を行おうとしていた可能性が出てきたと報じられました。足立区の子どもたちを初め、多くの区民の方に多大なご迷惑をおかけしましたことを心よりおわび申し上げます。当時の関係者から詳細な聞き取り調査を実施し、可能な限り事実関係を明らかにしてまいります。 不適切な一連の行為が発生した原因といたしましては、当該校や関係者の事情聴取の中ではその背景が必ずしも明らかになっておりません。しかしながら、よい意味で学校間の競争を促し、学力を向上させる教育改革の取り組みの中で、例えば数値に基づく順位の公表といったことが、一部で「短絡的に学校の順位を上げたい」といった考えに結びつき、学力調査本来の目的を見失わせる遠因になったのではないかと考えております。 また、調査問題の漏洩等はなかったとしても、誤解を招く行為を行った当時の教育委員会事務局の道義的責任を含め、管理運営責任は避けられないと考えております。 再質問 ○ぬかが和子議員 何点か再質問をいたします。 最初に、何か財政が厳しいみたいな答弁をした方がいますけれども、先ほど申し上げたように、お金がないのではなくて、施策の選択制の問題ですから、そういう言い方はしないでいただきたいと思います。 それで、区長の政治姿勢についてですけれども、(2)と(4)を一括して伺いますが、(2)について、区長が自治体の長として自分はこう思うという役割については答弁がありましたけれども、私が聞いている、この所得の再分配機能を強めた格差拡大に歯どめをかけることで区民生活を守り向上させる、この役割についてはお答えがないのですよ。答弁がないのですね。再答弁をお願いします。 それと、(4)の先ほどの答弁で、何か福祉策のみを進めることは考えていないとか、そのようなお答えがありましたけれども、私はここについては、ここに書いてあるとおり、区民の生活応援を最優先に区政運営を図ることについてどう考えていますかと聞いているのですね。これについても区長は答えていないのですね。答えていただきたいと思います。 それから、保育料のところです。保育料のところで部長の方から、前の区長時代に審議会で決めたから妥当なんだという答弁がありましたけれども、私は区長が変わったもとで、区長のマニフェストと矛盾しているのではないですか、一番高い保育料にすると、区長、これは子育て支援なのですかと聞いているのですよ。再度お答えをお願いします。 それから、福祉部の同じく区長マニフェストの介護サービスを受けなかった元気高齢者への保険料のお返し、これについて、いまの答弁は3カ月前の第2回定例会の答弁とほとんど一緒なのですよ。なるべく早いうちに報告したいって。3カ月たってなるべく早いうちに報告したいと。区長はスピーディーにいろいろなことをやっていくんだということで頑張っているんだと思うのですよ。それで、何で3カ月たっているのに答弁変わらないのですか。再度答弁をお願いします。 それから、最後に、介護保険の生活援助についてのローカルルールの問題ですね。これ、先ほどの答弁で、国が文章で書かれている部分だけをお答えになっているのですよ。でも、国会の答弁等々で、この部分については広く日中独居の場合も給付対象、つまり昼間お勤めしていて、そして実際介護の手がない、そういう人も認めるということで国はちゃんと認めているのですよ。それなのに、先ほどのお答えでいくと、ローカルルールを勝手にルール化してしまって厳格に運用していくと、これは国が言っている答弁とも矛盾しているのですね。再度お答えをお願いします。 再答弁 ○近藤やよい区長 2点お答えいたします。 所得の再分配機能を強め、格差拡大に歯どめをかけることで区民生活を守り向上させることが区長の役割である、これについてどう思うかと。 答弁が漏れているというお話でございましたけれども、私自身はお答えしていると考えておりました。 もちろん区民生活を守り向上させることは区長の役割でございます。ただし、再分配機能を強めることだけが区民の生活を守り向上することだとは考えておりません。さまざまな視点から、今後とも足立区民の生活を守り向上させることに全力を尽くしてまいります。それがまず1点でございます。 それと、4点目、区民の生活応援を最優先に区政運営を図ることについて、私の所見をということでございますが、それもいま申し上げましたように、足立区長として区民の生活応援を最優先に考えることは当然のことでございますので、それは私の義務として、これからも最優先で区民の応援を考えていけるように、さまざまな視点から施策を展開してまいりたいと思っております。 ○井ノ部美千代子育て支援担当部長 先ほど申し上げましたように、保育料の改定につきましては、子育て支援サービス利用者負担適正化審議会の提言を受けまして、すべての子育て世代の受益と負担の適正化を考えて決められたものでございます。したがいまして、区長の子育て支援を重視するという姿勢とは全く矛盾しているとは考えておりません。もちろんマニフェストと矛盾しているとも考えておりません。 ○柴田 壽福祉部長 マニフェストに対するお答えが3カ月前と同じだということですが、いま検討中としかお答えすることはできません。 次に、生活援助につきまして、私どもとしては国の方針どおりやっているということで、都のローカルルールでやっているわけではないということでございます。 |
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