3、区長提案の議案などに対する討論

A住民税の負担軽減条例の可決を求める討論
  10月19日 ぬかが和子議員

 ただいま議題となりました、議員提出第9号議案「足立区特別区税条例の一部を改正する条例」について、委員会の否決に反対し、原案の可決を求める立場から討論を行ないます。
 本条例改正案は、収入がふえなくても各種控除の廃止などで増税となり苦しむ区民が増えている状況を目の当たりにし、この目の前の区民を行政として何らか救済する手立てはないものかとの想いから、現在の法制度のもとで可能な住民税の減免制度の拡大を行うため日本共産党足立区議団が提出したものでした。足立の税務概要によると、収入が少ないことによる非課税者(条例第10条2項該当者)が倍に増え、区民の収入が減っているにもかかわらず、区の税収だけは増加しています。これは、過酷な増税が区民にのしかかっていることの、表われではないでしょうか。
 こうした中で、地方税法323条では、災害とともに貧困により住民税を減免することができると、定めています。これにもとづいて、足立区税条例は第32条で、疾病・失業や生活困窮時については、その年に所得が皆無となったため生活が著しく困難となったもの、または、これに準ずると認められる区民を、減免対象としています。しかし、この規定では生活保護を受給した場合の適用がありますが、それ以外は1件も適用されず、区民生活の現状に合っているものとはいえません。しかも、区はさらに、減免処理要綱や減免の判定に使われる基準表で実際の運用を厳しく制限し、今年部長決定した解釈基準では、ついに「65才以上か重度の障害者」でなければ、減免されない制度にしてしまいました。その改善をはかるため、本条例案は、区税条例36条の1項を若干改め、課税段階での減免を区民の生活実態に即して行えるようにするものでした。
本条例改正案で提案しましたように、減免対象に、「所得が著しく減少」または「一定金額以下の少額所得者」を加え、区民の生活実態に合わせて減免できることは、当然のことです。区民にとっては、住民税は前年の所得にかかるため、収入が病気などで激減しても、前年の収入が高ければ、高い税を課せられる。―こういった問題が解決されます。住民税が実態に即して軽減されれば、国民健康保険や介護保険料も軽減される―。これが、納税段階での、徴収猶予や執行停止などの措置との大きな違いです。区にとっても、執行停止などによる不能欠損を減らすことになります。
委員会では、区民部長が、与党議員の質問に対し「所得だけで減免すれば、『貯金が1000万円あって所得ゼロ』『豪邸に住んでいて所得だけはない』など極端な資産や貯蓄要件の例を持ち出して、石原知事も実施を断念したなどと、答弁しました。これは二つの点で全く筋違いの議論であり、話になりません。第一に、今回の提案は、一律に減免する石原提案とは全く違い、申請により減免される区税条例36条の減免規定を若干改定することで、より区民生活に現実的に対応できるようにする提案です。第二に、資産や貯蓄要件は、現に部長決定の解釈基準でも申請資格を確認するものとして、「預貯金の通帳及び有価証券の証書」「固定資産税の納税通知書」の提出を求めているではありませんか。これを理由に拒否することは、部長自ら決定した文書を否定することになります。
本条例改正案の対象になるのは、「がんばって働いてきたり税や保険料を納めてきた」区民の方々です。様々な負担増が区民を襲う中で、収入が一定以下だったり、大幅に減ったときに、「今は、税金は課税しませんよ」と激励する温かい姿勢こそが必要ではないでしょうか。
議員のみなさまに置かれましては、こういった実現可能な当然の減免規定の整備によって、区民のくらしを応援する立場に立たれ、委員会での否決の結果に反対されるよう、心から願いまして、討論を終わります。