4、決算特別委員会の質問

人材難で介護サービス提供できない事態の改善を
第6日目 鈴木けんいち議員

○委員長 鈴木けんいち委員。
○鈴木(け)委員 介護報酬の削減に関してお伺いしたいと思います。
 介護の職員が集まらなくて施設の維持が難しくなっている。それから、介護職の離職率は06年度で20%、全産業平均を上回る。資格を持っている人で介護職についているのは8分の1だ。人材確保は難しくて、福祉人材センターやハローワークに求人を出し続けてもいるが集まらない。区内の特養ホームでは、施設職員が確保できないため、定員 100人なのに80人しか入所を受け付けられない。
 このような状況については、区も承知しているでしょうか。
○高齢サービス課長 委員ご指摘の点は桜花苑だと思いますが、承知しております。
○鈴木(け)委員 このような状況の背景を見ますと、国が設定した介護報酬、昨日いろいろ述べましたけれども、この介護報酬が低くて、介護の職場で働く人たちの賃金がその仕事の大切さに比べて余りにも報われないことがあると思います。
 政府の統計でも、全労働者の平均賃金が約33万円であるのに対して、介護労働者は21万円となっています。しかも、政府が、この介護報酬を03年度に2.3%、それから06年度にさらに2.4%と、二度にわたって引き下げました。これによって、賃金水準が一層押し下げられております。時給制のヘルパーだと月収10万円未満の人が多いというのが実情です。
 介護につきましては、本当に精神的にも、そして肉体的にも重労働、しかし実際そこに働く人たちはヘルパー自身がワーキングプアの状態、これではやりがいがあっても続けられないということであります。
 しかも、厚生労働省の2005年の調査でも、介護報酬の収入だけでは訪問介護では月2万5,000円の赤字、訪問入浴では16万円、ケアプラン作成では12万円と、いずれも赤字という調査の結果でした。
 そして、ヘルパーさんを見ますと、平均月収は月17万円、特養ホームでは都内の46.4%が赤字に陥っていて、職員1人当たりの給与費は下がり続けている。
 介護職員の確保が難しいという状況、区も承知しているということですけれども、そういう背景にこうした事情が、介護報酬の引き下げによる影響があるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○介護保険課長 介護報酬につきましては、3年に一度見直しをされることとなっております。厚生労働省の方も、そうしたいろいろな現在の状況を認識しておりまして、具体的な改定の作業に入っております。実際、事業者などからヒアリングするようなことも始めていると聞いております。
○鈴木(け)委員 介護報酬の引き下げがこのような事態を生んでいるという認識はお持ちだということで、国の方でもいま検討を始めたというご答弁でしたけれども、実は、この検討の中心としては、福祉人材確保指針の改定の中で検討がされているということかと思います。
 この指針の改定の議論を見ますと、いろいろ議論はされたんですが、結果としては、事態は重大だという認識は一致したようなんですが、しかし、給与の改善とか、それから介護報酬を引き下げるということについては、明記がされませんでした。
 そういう点では、やはりネックとなっている給与自体が低い。そして、それを引き上げるには介護報酬を引き上げなければ事業者として何ともしようがないという、この点について区としても要望していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○介護保険課長 東京都におきましても、地域格差があると、都市部においては特に単位の引き上げが必要であるというような申し入れを国の方に行っていると聞いております。
○鈴木(け)委員 都を通じてということですね。ぜひこれからも、様々な機会をとらえて介護報酬引き上げを求めていくべきだと思います。
 同時に、この介護報酬の引き上げをただ待つのではなく、実際には、いまお金があっても介護が受けられない。ヘルパーさんがいないとか、施設に入れない。それから、介護認定を受けてもそういう状況ということですので、ただ介護報酬の引き上げを待つのではなくて、区としてできることを行う必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○高齢サービス課長 人材の育成につきましては、年に1回、足立区では2級のヘルパーの養成講習を行っております。今回は、研修終了後に社協主催の施設の就職の説明会を行います。また、来年度につきましては、事業者の推薦のある方を優先的にするなど、要するに資格だけを持っているペーパーヘルパーをなくすようにしたいと思っております。
 それから、施設における一日職場体験、インターンシップ、ボランティアコーディネーターの配置、庁舎ホールでのガイダンス、学校が冬休み中の体験ボランティア等を施設連絡会といま協議中でございます。
○鈴木(け)委員 いろいろやろうとされているというのはわかりました。
 ただ、いずれも、それぞれいまある状況、介護報酬の中での対策ということで、事業者が自助努力という感じなんですね。いま事業者が、お金がなくてお給料も上げられないという状況ですので、やはり区として人材確保のための事業者への支援、こういうことを考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○介護保険課長 10月から地域独自の介護報酬を設定することができるようになりまして、小規模多機能の施設でございますが、足立区として独自報酬の申請をし、認められたところでございます。
 今後も、そうしたことを努力していきたいと考えております。
○ 鈴木(け)委員 ぜひお願いしたいと思います。

障害者施策―応益負担の撤回を

〇鈴木(け)委員 次に、障害者施策についてお聞きしたいと思います。
 障害者自立支援法のもとで、サービスの利用抑制とか、施設運営の影響、深刻な影響があらわれています。政府は、この制度のスタートに当たって、様々な軽減制度を設けたので負担は可能だと説明していましたけれども、とうとう特別対策という形でさらなる軽減策を設けました。しかし、それでも応益負担が変わらないというもとでは、利用者の負担、施設の減収などによる障害者の苦しみは解決されませんでした。そして、自立支援法の撤回を求める声は一層高まっております。
 区内の施設の会報、いろいろお話を聞きますけれども、きょうはちょっと会報を紹介したいと思うんですが、ある施設では、利用者の応益負担、施設報酬の日額制によって家庭、施設両方が打撃を受けました。欠席の方が多い月はかなりの減額になりました。職員 数も減らす方向で、17年に行動別に分けたグループ、これは障害者の行動別ですね。分けたんだけれども、時代の流れに沿ってそれも変えざるを得ません。支援員 の確保が困難な時代に、構造も変える必要があります。結局、いろいろ取り組んだけれども、これはいいと思ってやろうとしたこともできなくなりましたということなんですね。こういう状況です。
 区は、このような状況を踏まえ、国に対して自立支援法の撤回を求めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○福祉部参事(障害福祉担当) 今回の障害者自立支援法においては、基本的に、それまで措置あるいは支援制度として特定の障害者に与えられていたサービスを障害があればだれでも一元的にサービスを受けられるという、大きな視野に基づいて制定されたものと思われます。利用者負担が出てきていること、あるいは施設の報酬が変わってきていることなど、戸惑いや問題点もありますが、それらをかんがみても、障害者自立支援、就労支援を強化していることや、どういった障害者もサービスを受けられるという窓口を広げたことについては大いに評価しているところでありますので、必ずしも国の方にこの法の何とかを求めるつもりはありません。
 なくて、ごめんなさい。
○鈴木(け)委員 多少の戸惑いはあるかもしれないというお話がありましたけれども、戸惑いにとどまらない事態が発生しているわけですね。
 国会では、ご存じだと思いますが、この利用者1割負担、応益負担の凍結を求める法案が提出をされました。この法案では、自立支援医療の部分が含まれていません。そういう限界はありますけれども、障害者や家族、それから関係者にとっては、その願いを実現する方向だということで、私どもも歓迎をしたいと思っています。
 次に、五反野駅のエレベーター設置に関してお伺いいたします。
 このエレベーター設置につきましては、私たちは署名を集めて実現を求めてきました。いよいよ設計、工事という段階で、障害者の団体からも、あるいは私どもが直接障害者の方から聞いたお話としては、スロープをもっと広げていただきたいということ、それから新しくつくるトイレには、大人でも使えるようなベッド、トイレの中のベッドですね、そのような声が寄せられましたけれども、これについてはどのようになっているでしょうか。
○福祉部参事(障害福祉担当) 五反野駅のエレベーター設置、あるいはだれでもトイレ、両方の設置の工事なんですが、この件につきましては、障団連という介護団体からもご要望いただいておりました。
 そちらからのご要望では、どういう工事になるのか事前に私たちに知らせてほしいということと、その中で要望があればぜひとも東武に伝えてほしいと、その2点でした。したがって、図面をもって皆さんに検証していただきました。
 その中で、東武の方では、余裕があるので、ベビーベッドを大人でも使えるベッドにしたいということは、東武の方も受け入れてくれています。
 なお、スロープに関しては、車いすで上れる車両には限界があって、五反野の駅の状況であれば、ああいった曲がりくねらないと、真っすぐだと車いすでは自立では上れないという状況があって、やむを得ないというふうに聞いております。
○鈴木(け)委員 わかりました。
 それから、区内でエレベーターがついていない駅には、せんだって竹ノ塚もありましたけれども、それから綾瀬駅の下りホームにエレベーターがついておりません。設置を要望する声は非常に強くて、これも先日駅前で署名を集めましたら、次々と署名が寄せられました。
 この綾瀬駅の下りホームへのエレベーター設置については、どのようになっているでしょうか。
○福祉部参事(障害福祉担当) 下りホームのみエレベーターがついていない現状があります。区といたしましても、メトロの方に要望しました。
 メトロから返ってきた答えは、上りホームと比べて下り側のホームはホーム幅が狭くて、1階と2階をつなぐ縦の垂直線のエレベーターを配置するスペースがなかなかとれない状況があるということで、設備的、構造的な問題が大きいというふうに聞いております。
○鈴木(け)委員 大変要望の多いことですので、構造的な問題であればこれは必ず解決できますので、ぜひ要望を続けていただきたいと思います。
 終わります。