4、決算特別委員会の質問 子どもを真ん中に置いた教育改革を 第6日目 さとう純子議員 |
○委員長 次に、共産党から総括質疑があります。 さとう委員。 学力テストのもたらしたものは ○さとう委員 よろしくお願いします。教育問題で質問させていただきます。 一斉学力テストにシフトした足立区の教育改革がもたらした様々な問題が明らかになりました。学力テスト自体が、企業が販売するパックになった商品を購入して、これに振り回されてきたと言えるのではないでしょうか。足立区の教育改革を進めるためのメンバーにベネッセコーポレーションの役員が入るというやり方で、これまでの教育改革は進められてきたということです。 教育改革というのであれば、まず子どもをまんなかにして、教育がよくなるのかどうか、ここに視点を常に持つ必要があると思います。 実は、毎日新聞に連載された「教育の森」という一冊の本にまとめた本があります。岩波新書のこの一部を紹介いたしますが、連日の補習授業、学力調査に合わせたカリキュラム編成、さらにはテスト中に教師が解答を教えて回ったり、学力の低い子どもを当日休ませて平均点を上げるといった不正まで行われたというものです。 これはどこのことかわかるでしょうか。 ○教育委員会事務局次長 多分、我が区のことを言っているのではないかなと思います。 ○さとう委員 実は違うんですね。これは1960年代文科省が行った全国一斉学力テストの際に起きたことなんです。これをやった愛媛県は、実は愛媛残酷物語とまで言われて、全国にこれが知れ渡りました。とうとう数年後には、この全国一斉学力テストが中止になったんです。 学力テストが中止になった経過など、ご存じでしょうか。 ○教育委員会事務局次長 いま委員がご発言なさったようなことが全国的に行われたので廃止になったというふうに理解してございます。 ○さとう委員 そのとおりなんですね。本当に学力テストというのがいかに教育をゆがめるかということが、今回の足立区の様々な問題でも明らかになったかと思います。 公明党の委員の方から、愛知県犬山市を例に出して、少人数学級についての質問がありました。 犬山市は、実は、全国一斉学力テストに参加しなかった唯一のまちではないかなと思いますけれども、そういうまちです。また、少人数学級を実施して習熟度別でなく、教え合い、学び合いと、この努力を重ねているまちなんですが、このことはご存じでしょう。 ○ 学力向上推進室長 委員おっしゃるとおりのお話を聞いてございます。 真の学力向上のため「学びあい」が大事 ○さとう委員 また、私はいつもフィンランドのことを紹介していますが、学力世界一で注目されるフィンランド、ここはどんな教育を行われているのかということなんですが、20人学級、それから習熟度別学級編制をやめて学び合いを大切にしている。一斉学力テストの中止をした。また、暗記ではなく、何のために学ぶのかを大切にする。教員に教育の専門家としての自由と自主性を保障している。また、授業時間は日本よりも短くて、夏休みの宿題などもなしで2カ月あるそうです。余暇や遊びによる人間形成を重視するということです。また、特別に支援が必要な子どもに対しては、専門的な知識を持つ教師が指導に当たり学力の底上げを図る。このようなことをやることによって、学力世界一と言われている状況です。 このような先進例からきちんと学ぶこと、これを教育改革に生かしていくことが必要だと思います。 35人学級の実現を 〇さとう委員 日本共産党は、一貫してこの少人数学級の実現を求めてまいりました。少人数指導よりも少人数学級の方が学力向上に効果があるというデータを示したり、また先進自治体の事例を紹介したりして、少人数学級は効果があると示してきました。また、議会には、毎年毎年少人数学級、30人以下学級の実現を求める請願や陳情が提出されていることも明らかなように、少人数学級の実施というのは区民の悲願でもあるわけです。区長マニフェストに少人数学級実現が盛り込まれたことは本当に大歓迎です。 本議会で、我が党の一般質問に対して、教育委員会はこのように答弁いたしました。「少人数学級につきましては、小1プロブレムや学習習慣の定着など様々な課題を解決するために、小学校低学年において実施することが効果があるものと考えております」と、少人数学級の効果を認める答弁をいたしました。 そこで質問いたしますが、区は、小学校1年生、小1プロブレムの対応として、まずは小学校1年生を35人学級にするとしていますが、来年1年生を35人学級にした場合、必要な教員数はどの程度と見込んでいるのでしょうか。 ○教育政策課長 必要なと言いますか、学級数の増でございますが、これは人数のちょっとした変動でかなり変わってまいります。ですので、来年度どうなるかは、またそのときじゃないとわかりませんが、今年度の学級の状況から見ますと、約20人強、22人程度と考えているところでございます。 ○さとう委員 区は、このことをもとにして東京都に文書を提出して交渉していると、前回のどなたかの質問に答弁していましたけれども、この文書の内容というのはどんなものになっているのか、教えてください。 ○教育政策課長 私どもといたしましては、いまお話に出ました小学校1年のみの35人学級編制ということで、約22人程度の増員が必要であるということで、これを東京都の方にお願いし、その教員の財政負担につきましては、全額足立区の方で負担したいという形での文書を出させていただいたところでございます。 ○さとう委員 東京都の職員としてということで、採用は東京都でしてもらって、その財政を負担するということですね。 ○教育政策課長 現在、その方向で協議をさせていただこうということでございます。 ○さとう委員 いま東京都は、少人数学級にするということではなくて、少人数指導をするようにという指示がありますけれども、その点についてはどのような形で要望書には入っているのでしょうか。 ○教育政策課長 少人数指導につきましては、私どもの区でもこれまでいろいろとやってまいりました。これは非常に効果があるものと私どもは考えておりますので、これは引き続きやっていくと。 ですので、そういった少人数の指導の方とは別に、小学校1年生の35人の少人数学級という形での協議でございます。 ○さとう委員 35人に少人数指導なんだけれども、35人に固定化した形でということになるのでしょうか。 ○教育政策課長 もちろんこれはこれから東京都と協議を続けていかなければいけないわけでございますけれども、東京都の方が40人という枠のことを強く堅持ということでございますので、その中で実質的にどういった方策があるのかということで、いまお話に出ましたような形も一つの方向かと考えております。 ○さとう委員 それでは、文書で要望したということなんですが、文書の中には、少人数指導を固定した形でとかそんなことは一切書かずに、財政負担を区がやるので教員を多く配置してくださいという要望を出したんですか。 ○教育政策課長 具体的に申し上げますと、小学校1学年のみ35人学級編制とし、年間を通して少人数指導を実施すると、一つの方策としてこれを明文化しまして、これを出したというところです。 ○さとう委員 私が先ほど言いましたように、少人数学級ということではなくて、少人数指導を固定化した形でということで要望を出したということですね。 加配やTTとしてクラス担任として配置してもらうということではないということですね。 ○教育政策課長 加配というのとは、ちょっとこれは違いますので、ただし、クラス担任がこのことによりまして増える分、余分に教員を配置していただけないかと、そういうことでございます。 ○さとう委員 人件費と言いますか、教員20名から22名、都に採用していただいた人を足立区が負担するとすれば、どの程度の予算を考えているんですか。 ○教育政策課長 教員の実際の給与額というのはなかなか難しいかと思いますけれども、平均的にいいまして年間約2億円程度ということで見込みまして、これも明記いたしまして東京都の方に文書を出しております。 ○さとう委員 東京都が、いまかたくなに40人学級に固定するという状況なんですけれども、その中で、文部科学省が平成15年4月1日に各都道府県委員会に対して学級編制についての地方の自主性を高める観点から現行法の範囲内で一層の弾力的な取り扱いを行ってもいいという通知を出して、平成16年9月3日に各都道府県教育委員会に送付した事務連絡では、現在少人数指導のために各区市町村の希望により加配している教員を、来年度からは国に申請することなく自由に少人数学級に配置することができるということで方向を明らかにしていますが、東京都の指導方法の改善に伴う教員配置の基本的な考え方という通達があって、その中に、少人数の学習集団を編成する場合には、学習集団を固定することなく弾力的、流動的に行うことなどが明記されているんですけれども、この辺を運用して、足立区は少人数指導を固定化した形でということで要望しているのでしょうか。 ○教育政策課長 固定化と言いますか、年間を通しての少人数指導という形での要望ということでございます。 ○さとう委員 この実施について、来年4月から実施ということになった場合、タイムリミットというのはどのように考えているのでしょうか。 ○教育委員会事務局次長 既に教員の採用計画が今年度終了してございますので、来年度から始めることは困難でございます。 したがいまして、いま東京都と調整をしながら、可能な限り早期に実現に向けて協議をさせていただいているところでございます。 ○さとう委員 私は、4月から何としても実施していただきたいと思って、準備を着々と進めていただきたいと思ったんですが、この固定した少人数学級、少人数指導を固定した形でということでいま交渉を進めているようですけれども、この交渉が決裂してしまった場合、できないということであきらめてしまうのでしょうか。 ○教育政策課長 この少人数学級を実現する方法というのが、一つ、いまお話しております東京都にお願いしている道ではございますけれども、まだこれ以外にも様々な道があるのではないかということで、万が一決裂、そういうふうなことにならないように私どもこれからもずっとやっていくわけですけれども、引き続き様々な手というのは同時に考えていかなきゃいけないと考えております。 ○さとう委員 そうですよね。様々な道を模索していく必要があると思いますし、それで、いろいろな手だてを尽くすということは本当に必要だと思います。 区の独自の考えということでは、いま様々とおっしゃいましたが、その様々な分野について検討しているということはないのでしょうか。 ○ 教育政策課長 幾つかの選択肢は当初考えておりましたけれども、当面、いま申し上げたような形での東京都との協議、これが一番優先するというふうに考えております。 区が教員の独自採用も視野に入れて都と協議を ○さとう委員 私たちは、毎年、予算編成のときに組み替え案とか修正案を提出し続けてきました。その内容というのは、少人数学級の実施として、加配教員を、これは担任にできる東京都の職員ですから、東京都の加配教員というのは担任になることができるわけですね。それを担任に回して、その分を足立区で特別講師を雇うという形をとって少人数学級は実現できないかということで提案をしています。 なぜこの提案を行ったのかといいましたら、先ほど申し上げましたように文科省の通達があります。この通達をもとにして、このような加配教員を少人数学級に振り向けるということで提案をしてきましたが、この方法をいまでも使えると思うのですが、いかがでしょうか。 ○教育政策課長 いまおっしゃった国の方の考え方でございますけれども、あくまでその国の考え方を受けて、具体的な様々な制度の実施については、基本的にはやはり東京都の方が、例えば職員配置でございますとか、いろいろ決めております。その加配をそういった形に使わないということが、東京都のいまのやり方でございまして、私どもが今回お出しいたしました協議の中の要望におきましても、現在の加配の制度と言いますか、現在の加配教員のいまの役割は当然果たすべき。先ほど申し上げましたように、少人数指導等には、それなりの非常に重要な役割と効果がございますので、これはこれで引き続きやっていくということを前提にした協議ということで、私どもは考えております。 ○さとう委員 東京都の連絡を見ますと、本当に東京都だけなんですね。この制度を使わないで40人学級に固執しているというのは、全国でも自治体としては東京都だけという状況になっています。 今回、加配教師の使い方についての申請用紙を見せていただきましたら、本年度に入ると、わざわざ東京都の教育委員会は、念を入れてか、平成20年度公立小・中学校における指導方法、工夫改善に伴う教員定数加配希望校の選定についてと書いて、その中に、次の場合は加配の対象外とするといって、小学校において学級活動等の段階から常時学級を分割することによる増時間数ということで、これには加配の教師を使ってはならぬということで、学級を固定してはならぬということで書いてあるんですけど、これをくぐり抜けて足立区は少人数指導を固定化した形ということで要望をしているのかと思いますがどうか。 ○教育政策課長 いま申し上げましたように、既存の加配の制度は、その加配の制度として私どもは基本的にこれからも利用させていただくということでございまして、委員がいまお話しなりましたこの通知につきましては、まさにその既存の加配制度でございます。 私どもが要望出しておりますのは、これとは別個の形での増員をお願いということでございます。 ○さとう委員 その加配教師を担任に回してはできないということの中で、私紹介したいのは、香川県の例なんですね。 香川県では、東京都と一緒に最後まで残った県なんですが、ここが少人数学級を実現するのには議会が果たした役割も非常に大きいんですね。ここでは、一つの新興住宅地の中で生徒が急増して、中学校1年生が119人と120人の学校ができたと。これを何とかしてほしいということで、住民から少人数学級を求める切実な要望が出されて、これは大変ということになって、実は自民党から共産党まで全部含めて与野党一致して少人数学級の実現をする決議を上げて、これを県に届けて、そしてみんなで一緒になって県と交渉して実現できたということなんですね。 この効果があって、いまでは教育力のない家庭やいじめ、それから教師への反抗、また深夜の徘回などが減って、生活の安定を図ることによって学力も向上して、教師のきめ細かい指導がしやすくなったということなんですね。 ですから、本当に一丸となってやる必要があるなと思っています。 今度は、加配の教師を担任にしてはならないと、それから正面から少人数指導を認めたままで35人学級をということで風穴があかないという場合、区として独自に採用してはどうかということなんです。 これまで全国の自治体で、独自に教員を採用して実現しているところはいっぱいあります。それらの自治体の声を聞いてみますと、皆さん子どもの教育のことに関してはあと回しにできないという立場をとってやっているわけですが、このようにほかの自治体のことを参考にするという考えはないでしょうか。 ○教育政策課長 独自の教員の採用でございますけれども、確かにこれも一つの手であることは確かでございます。しかしながら、これには様々な実務上の困難がございます。 例えば先ほど必要な人数ということでご質問がございましたけれども、22人というのが今年です。しかしながら、来年度どうなるかわかりません。かなりの人間の必要数の変化もあるかもしれません。 いまのことは一つの例でございますけれども、様々非常に難しい課題がございますので、まずは東京都の方に先ほど申し上げたような形で協議する、これが一番優先するというふうに考えております。 ○教育長 独自の採用というのは、その採用をするとしても東京都と協議が必要になります。東京都の考え方はあくまで40人学級ですので、私どもが出しました協議をしていただきたいという内容に基づきまして協議をしてまいりますので、基本的には、いまの少人数指導のあり方も全く変えません。加配の状況も変えないで、上乗せをして、しかも人件費は私どもが負担しながら東京都から回していただく、これがいまのところ最善の方法だと思っております。 TTをいただく等、そこに充てたりしますと、いままでの体制が全く崩れてまいりますので、少人数指導もできなくなります。 それと、繰り返しになりますが、区で採用というのは様々な課題があるということと、あくまでも東京都の権限の範囲内ですので、そこと協議をしてまいりたい、そういうことでございます。 ○さとう委員 様々な課題があるということで、私は他の自治体の事例を参考にしてはいかがですかというふうに聞きました。 というのも、他の自治体では、加配の教員を担任に充てるということを、方策ではなくて、独自に雇用してやっているというところを大いに参考にしていただきたいということで質問をいたしました。 それで、また人数が増えたり減ったりするから困るという点では、いま教員の異動は大変激しくて、3年たつと異動してしまう、また1年で異動してしまう人もいるということでは、足立区にきちんと根づいた教育をするという点では、区が採用して、例えば教員が余分になってしまったというのであれば特別支援教育に手当てをするとか、様々な活用の仕方があるかと思います。 そしてまた、もう一つ、身分の問題で、前に様々な課題の中におっしゃったことがあるんですけれども、例えば区立の幼稚園というか、公立の幼稚園の職員が全部東京都から足立区の職員に変わりました。そのように、やり方によってはというか、そこを突破すれば区で雇用するということも考えられると思うんですが、また費用の点についても、区が出している1人当たり900万円というお金でいくと、区で雇っても東京都に支払っても同じ金額だと思うんですが、るる述べましたが、時間がありませんので答弁をお願いいたします。 ○教育長 繰り返しになるかもしれませんが、教員の独自採用につきましては、身分の問題、それから教員の定数が要らなくなったときの措置の仕方、それと他区との交流が全くできない、それと教頭職というんですか、副校長 職、主幹等にも身分上なれません。そういう様々な課題がありますので、区で独自で採用することは、私ども、いま教育委員会としては全く考えておりません。 ○さとう委員 必要ならば、私たちも教育委員会や区長 と一緒になって頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 |
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