2、本会議質問

一般質問 教育基本計画、学校選択制、障害福祉計画の見直しなどについて問う
6月12日 鈴木けんいち議員

○鈴木けんいち議員 私は初めに、教育行政に関して伺います。
 最初に、足立区教育基本計画について伺います。
 足立区は2000年を教育改革元年として、学校統廃合、学校選択制、一斉学力テストと結果公表などを次々実施。こうした格差と競争を拡大する方向での「教育改革」の中で、2006年10月、教育予算にも差をつける方針を打ち出し、2007年度実施しました。同時に、学力テストでの不正が発覚しました。
 格差予算や学力テストは、区民の批判を受ける形で一定の是正措置はとられましたが、2006年4月策定の足立区教育基本計画は、このような不正を誘発した遠因となる施策も含めた「これまでの足立区の教育施策の集大成」と位置付けられています。また、「今後の教育の芯となる仕組みを提案するもの」と述べ、新しいメニューを体系化する内容となっています。それは、中教審答申で明らかになった改定教育基本法に基づく教育振興基本計画案と照らし合わせてみれば、その先取りと言える部分も少なくありません。
 具体的には、学校を経営体として位置付け、全校が民間の経営システムである「P・D・C・A(計画・実行・評価・改善)の流れをつくり、効果的で有効な人、物、金(経費)の全体経営を行うサイクルを位置付けていく」ことが上げられます。このPDCAについて、区教委は2007年度に13校でモデル実施し、2008年度は16校に拡大、そして、改定学校教育法に位置付けられたこともあって、2009年度全校実施を目指しています。
 しかし、PDCAサイクルとは、製造業や建設業などの生産管理や品質管理のために提唱されたものです。多様で柔軟であるべき教育活動に一つの物差しを当てはめ、物品のように管理することは無謀と言わざるを得ません。しかも、このサイクルは企業経営システムとしても職場の人間関係や向上心を阻害するなど、弊害があらわれ取り消した企業もあるものです。本来、民間企業の経営手法であるものを学校に適用・導入することは、学力テストの不正など「ひずみ」を生み出すことにつながることは避けられないと思うが、どうか。
 市場原理・競争原理の徹底を内容とする新自由主義的「教育改革」は、子どもの成長を阻害し、健全な発達を妨げると考えます。区は、憲法の精神にのっとり、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間を育成するため、教育現場の声を重視し、自主性を尊重したどの子も伸びる学びあいの教育へ、教育基本計画を見直すべきと思うがどうか伺います。

地域で育てようにも地域に子どもがいないー学校選択制度について
 次に、学校選択制度は、2002年度新入生より本格実施され、7年が経過しました。学校が自由に選べると言いますが、本来どの学校でも十分学べるはずの義務教育で、応募者数は最大で26.3倍の格差が生まれ、受け入れ可能数を超えた人数は、7年間で3,642人に上っています。
 第1に、学校選択制度のもとで小学校では抽選校が初年度の1校に対し、2007年度は4校に、受け入れ可能数を超えた人数は、初年度20人に対し99人となりました。また、中学校は初年度の2校に対し2007年度は9校に、人数は126人から956人になるなど、抽選校となる学校数と受け入れ可能数を超える児童・生徒数は増える傾向にあります。こうした傾向について、区教委は是と考えるのか、希望しても入れない子どもたちがいることについてどう考えるのか。
 第2に、抽選校や受け入れ可能数を超える応募者数が増える一方で、応募者が減少し一けたになる学校や、中には前年100人以上の入学者がいたが、翌年は10分の1以下に減った学校もあります。これほどの減少や変動は、クラス運営、学校運営に影響し好ましくないと思うがどうか。区は、こうした児童・生徒の減少の先に学校の統廃合を考えているのか。
 第3に、一斉学力テストは学校を選ぶ際の基準の一つになっています。区は学校ごとの平均点の公表はやめましたが、学校選択に役立てるとして正答率分布図などを公表しています。一斉学力テストと結び付いた学校選択制は、競争と格差拡大助長のてことして作用しているのではないか。
 第4に、義務教育の学校は、本来、子どもを真ん中に置いて、保護者と教職員と地域が助け合いながら子育てと教育の営みを進める地域の共同センターです。区も地域コミュニティの基盤を生かし、地域の子どもは地域で育てるという観点から、開かれた学校づくり協議会の支援を強化するなど重視しています。しかし、「クラスの3分の2は別の中学校に行っている」など、地域で育てようにも「地域に子どもがいない」「ばらばらになっている」状況をつくる学校選択制のもとでは、それも困難になっています。学校選択制は見直すべきと思うがどうか、答弁を求めます。

少人数学級、学校図書館司書、特別支援教育について
 次に、教育条件の整備について伺います。
 足立区の少人数学級の実施に区民の期待が集まっています。区教委は3月の議会で、2009年度の少人数学級の実施について決意を示しました。また、区長も「都に出かけて行って直談判するぐらいの決意はあるか」との質問に答えて、「当初からそのくらいの決意がないとマニフェストには書き込めない」と表明しました。少人数学級の実施に向けて、区はその後どのように行動し、どこまで進んでいるか伺います。
 中学校は今年度10校で、学校図書館に司書資格を持つ学校図書館支援員が配置されることになりました。長年の願いが実現へ足を踏み出し、今後3年間で全中学校に配置される予定です。調べ学習など司書配置は小学校にも重要です。小学校にも司書資格を持つ学校図書館支援員を計画的に配置すべきと思うがどうか。
 2007年度から本格実施となった特別支援教育は、区民の期待や国際的流れに沿うものですが、国は数十万人に及ぶ発達障害の子どもへの支援を打ち出しながら、教員を増やさず、「特別支援といっても具体的な手だてがない」「現在の教員の時間軽減が必要」という状況があります。地方交付税不交付団体である東京都においては、国からの財政措置が全くなく、足立区は独自に原則週1回の特別教育支援員を3カ月派遣していますが、学校現場から教員の増員を求める声は多い。区はどのように考え、どのように行動しようとしているのか伺います。

生涯学習センターは指定管理化すべきでない
 次に、生涯学習について伺います。
 区は、生涯学習センターと総合スポーツセンターの管理運営について、生涯学習振興公社の優先指定をやめる方向で検討していると聞きます。また、区直営のギャラクシティ(こども科学館)などを指定管理者に指定する方向も示されています。いずれも民間事業者に管理運営を委託する点が共通しており、生涯学習のあり方にかかわる変更です。
 まず、生涯学習は、戦後制定された教育基本法に社会教育が書き込まれ、社会教育法が制定されて学校教育とともに社会教育を公教育制度として確立する方針が固められました。また、ユネスコ(国連教育科学文化機関)などの国際機関で生涯学習の理念が提唱され、1985年には学習権宣言が採択されるなど発展してきました。生涯学習は、権利としての国民の自己教育を保障するものとして、行政は場の提供にとどまらず、充実した内容の形成、維持、発展に責任があると思うがどうか。
 指定管理者企業の多くは、その出発点として生涯教育についてのノウハウを備えているわけではありません。公教育制度としての確立・発展させるべき生涯教育を、一律に指定管理者にゆだねることは、生涯学習のあり方に反します。第三次足立区生涯学習基本計画の策定に関する答申でも、今求められている学習として、「孤立しがちな家庭の支援につながる学習」など9点を上げているように、生涯学習に果たす行政の役割はますます大きくなっています。地方自治法の改定で、これまで管理委託されていた公の施設は、指定管理者に指定するか直営に戻すかが義務付けられましたが、学習・教育やスポーツ科学など人間形成を図る生涯学習施設は直営に戻し、その目的の実現に行政が役割を果たすべきだと思うがどうか、答弁を求めます。

障がい者自立支援法見直しに現場の声を届けよ
 次に、障害者施策について質問します。
 障害者自立支援法は法施行3年後の改定に向けて見直し作業が始まっています。区内のある障害者団体の代表は新年のあいさつで、「障害者自立支援は応益負担による障害者の負担増、月割りから日割り計算による収入減で、施設運営に大きな影響を与えている。一定の改善の動きはあるが、施設運営に携わるものとして、また、障害のある子どもを持つ親として、これからの福祉に一抹の不安を感じずにはいられない」「福祉を支える人材不足は当法人も例外ではない。家族だけでは支えきれない重度障害者に対して、支援者が安心して働き将来の夢を持ち自己の成長を障害者と分かち合える環境が必要」と述べました。
 また、区内の視覚障害者支援NPOからは、地域生活支援事業の事業者が受け取る単価が低く抑えられていることや、利用者は地域生活支援事業を利用すれば負担が増すので利用を控えている実態をつづり、「本当に事業者にとってはほぼ無給の日々で、今後この事業を継続できるか不安です」と訴えるメールが届きました。区はこうした実態を踏まえ、次のような要望について国に意見を上げる考えはないか。
 (ア)介護保険との統合を前提とせず障害者施策としてあるべき仕組みを構築すること。
 (イ)応益負担を廃止し応能負担に戻すこと。低所得者の負担を更に軽減するなど負担の応能的な性格を一層高めること。応益負担のもとで食材費と利用料を合わせた自己負担が、受け取る工賃を上回る「逆転」した体系を抜本的に改めること。
 (ウ)サービスの質の向上、良質な人材の確保と事業者の経営基盤の安定を図るため報酬の額を改定すること。報酬の日額制を月額制に戻すこと。
 (エ)障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現に向けて、地域の受け皿づくりや入所施設の拠点的な役割を重視した基盤整備を進め、利用者の立場に立って簡素でわかりやすい制度体系を目指すこと。
 (オ)就労継続支援B型は、過去に就労を経験したことが条件であることや、職員配置基準が従来の7.5人に1人から10人に1人とされたこと、報酬体系が外出・園外活動や生活介護との併用ができないものとなっているなど、実態に合わない。また、入所施設では日中の報酬が1万880円なのに対して夜間の報酬が2,890円と低くて、大幅な減収となり、職員賃金のベースアップを考えれば毎年減収幅が広がる。今でさえ低賃金で人材確保が難しく、研修などスキルアップを行う余裕もなくローテーションをこなしている状況であり、これらを改善すること。
 (カ)障害程度区分制度を抜本的に見直し、知的障害者、精神障害者の実態にあった制度に改めること。
 以上、答弁を求めます。
 足立区第一期障害福祉計画は、2006年度から2008年度までを計画期間としており、2009年度からの第二期計画策定に向けて今年が見直しの年となっています。実態を踏まえ、三障害一元化の実現の立場から、精神など遅れている分野の引き上げ、障害者の日中活動の場の保障、不足が予想される通所施設やグループホームの増設など、重視して取り組むべきと思うがどうか。
 鉄道駅には、聴覚障害者のための文字電光表示板が設置されていない駅があります。聴覚障害者団体が昨年4月から11月にかけて行った調査では、区内19駅のうち、4駅は電光表示板がありません。また、電光表示板はあるが、改札口とホームそれぞれに発車時刻、遅延情報、振替輸送情報が表示されるのは2駅のみです。筆談ボードはあっても、そのことの表示がわかりにくいとか、筆談用具がすぐ使えるようになっていない、駅員が少なくて緊急時には細かい対応はできないのではないか、などの状況もあります。障害者の自立と社会参加を理念とし、そのためのサービスの計画的整備を目的とする本計画に、こうした点を改善する聴覚障害者の施策を盛り込むべきと思うがどうか。

障がい者のための「公的保証人制度」を創設すべき
 精神障害者の退院促進事業が進められていますが、精神の障害特性として、アパート暮らしをしようと思っても、次の日には怖くなってしまうなどの状況があります。アパート暮らしを体験できるスペースがあれば、ちょっと見に行くだけでも大分違います。そうしたスペースを確保すべきと思うがどうか。また、アパートを借りる場合の公的保証人制度を創設し、生活保護受給者以外も、保証人がいなくても安心してアパートを借りられるようにするべきと思いますが、答弁を求めます。
 綾瀬七丁目の都有地を利用して建設が予定されている障害者通所施設は、当初2010年度開設の予定でした。そして、それまでの施設不足については、葦の会作業所の改築に伴う13名の定員増もあり、現状施設の定数増で対応するとしていました。しかし、開設が当初計画より2年程度遅れることになったことにより、現状施設の定数増では対応できないのではないか。特別支援学校卒業者の日中活動の場を保障するため臨時施設の整備などの対策が必要だと思うがどうか、答弁を求めます。

綾瀬駅下りホームのエスカレーターはじめ交通バリアフリーを
 次に、交通バリアフリーに関して伺います。
 綾瀬駅は、上り方面ホームにはエレベーターがありますが、下り方面(亀有方面)ホームにはエレベーターがありません。障害者対応エスカレーターはありますが、車いす使用者はもちろん、足の悪い高齢者、ベビーカーの若い世代など多数が駅と電車の利用に困っています。亀有駅まで行って電車を乗り換えて綾瀬駅に戻っておりている人もいるほどです。下りホームにもエレベーターをつけてほしいという要望は非常に多く、なぜエレベーターを付けないのかと怒りの声を寄せる人もいます。私は、区民とともに署名を集め、昨年12月東京メトロ本社に462名分、今年5月には足立区に685名分の署名を届けました。駅の構造上、エレベーターを設置する場所がないという説明は受けていますが、構造上の問題は必ず解決できるものと考えます。綾瀬駅は乗降客も多く、早急に下り方面ホームにエレベーターを設置すべきと思うがどうか。
 また、東武線堀切駅は、通院患者や高齢者の利用が多い駅ですが、エレベーターがありません。堀切駅にもエレベーターを設置すべきと思うがどうか。
 足立区役所前の国道4号線にかかる歩道橋を渡るのが大変という問題は、バス利用者については庁舎ロータリーにバスが入るようになりましたが、その他の来庁者は、やはり高い歩道橋を上り下りすることに変わりはなく、根本的な改善とはなっていません。エレベーターを設置して区民のための区役所として来庁者へのバリアフリーを進めるべきだがどうか、答弁を求めて、この場からの質問を終わります。
 
答弁

○有賀純三福祉部長 障害者施策のうち、福祉部所管のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者自立支援法の見直しについて一括してお答えいたします。障害者自立支援法施行後、3年目を迎え、国は様々な見直しの準備を進めておりますので、今後ともその動向を注視してまいります。なお、全国市長会及び8都県市からも国に要望しており、区としては要望を考えておりません。
 次に、障害福祉計画についてお答えいたします。
 第二期障害福祉計画は、平成21年度から23年度を対象として、本年度中の策定を進めているところでございます。国からも各自治体で現状把握と分析を十分に行うよう、方向性が示されております。区といたしましても、現状を精査し、施設をはじめ、必要なサービス量とその確保の方策について計画に盛り込んでまいります。
 鉄道駅の障害者施策の充実につきましては、今後とも事業者に働きかけてまいりたいと考えておりますが、障害福祉計画に盛り込む考えはございません。
 次に、綾瀬七丁目の障害者通所施設の開設予定が変更になったことについてお答えいたします。定員の不足につきましては、現在、既存施設の定数増など対応策を検討しております。今後とも、特別支援学校卒業後の日中活動の場の確保に努めてまいります。
 次に、交通バリアフリーのうち、駅のエレベーター設置についてお答えいたします。
 綾瀬駅は、鉄道事業者から、構造等課題が多いと聞いております。区といたしましても、エレベーターの設置が必要な駅であると認識しておりますので、引き続き鉄道事業者に対しエレベーター設置を要望してまいります。
 堀切駅につきましても、鉄道事業者から課題が多いと聞いておりますが、設置が望ましいと考えておりますので、引き続き鉄道事業者に対し、エレベーターの設置を要望してまいります。
○中田善樹衛生部長 私からは、精神障害者のアパート暮らし体験についてお答えいたします。グループホームを利用することでアパート暮らしの体験宿泊ができます。入院中の方には、東京都事業として体験宿泊できるグループホーム活用型ショートステイ事業がございます。また、在宅の方であれば障害者自立支援法によりグループホームを利用することができます。必要とされる精神障害者の方には、このような制度の周知に努めてまいります。また、アパートを借りる場合の公的保証人制度の創設ですが、現状として民間賃貸住宅を借りる場合は、民間の保証人協会の利用が普及してきておりますので、公的保証人制度の導入は考えておりません。
○清水 忠資産管理部長 私からは、国道4号線を渡って本庁舎に出入りするためのバリアフリーを目指した改善についてのご質問にお答えいたします。幾つかの方法が考えられますが、歩道橋へのエレベーターの設置につきましては、課題が多く、他の方法も含め関係機関と協議の上、更に検討してまいります。
○齋藤幸枝教育長 教育条件の整備に関するご質問にお答えいたします。35人学級の早期実現に向け、東京都に対し粘り強く交渉を行っておりますが、東京都の姿勢は一貫して変わらず、なかなか進展が見られません。近々、東京都の教育長がかわりますので、改めて足立区の要望を伝え、その実現に向けて引き続き交渉してまいります。なお、状況の推移を踏まえ、区長からの要請も行ってまいります。
○鈴木一夫学校教育部長 私からは最初に、教育基本計画関連のご質問にお答えいたします。
 学校におけるPDCAによる経営手法についてですが、足立区教育基本計画は、各学校が独自の経営方針・教育目標を明確に打ち出し、学校と保護者・地域が力を合わせて、「学校を経営する」という視点に立ったものであり、今後の学校経営、教育活動の充実・改善には不可欠な取り組みであると考えます。したがいまして、学校へのPDCAによる経営手法の適用・導入が、学力テストの不正など「ひずみ」を生み出すことにつながるとは考えておりません。
 次に、「足立区教育基本計画」は、平成18年4月に策定され、生涯学習の理念を基盤とした学校教育施策や改革の方向性、更には4年間の教育目標・学習戦略が示されております。したがいまして、平成21年度の現計画期間中は、着実な施策の推進と計画の具現化に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、学校選択制度に関するご質問にお答えいたします。
 教育委員会といたしましては、各学校の教室数などにより、希望者全員の受け入れが困難な学校の現状については十分認識しており、ハード面での制約がある以上、選択制度の一つの結果として受け止めております。ご案内のとおり、当区の学校選択制度は、学区域内の希望者を受け入れた上で、更に受け入れ可能な場合に選択できる制度でございまして、受け入れ数を超えた場合には抽選により入学者を決定していることについてのご理解と周知を、引き続き徹底してまいります。
 前年に比べて希望者が極端に減少することは、学校運営上、好ましいとは考えておりません。しかしながら、こうした極端なケースについての原因は、特別な事情等による一時的なものと認識しております。したがいまして、一時的かつ特別な事情等に起因する児童・生徒の減少による統廃合は想定してございません。
 学校選択制において、学校を選ぶ理由といたしましては、「学校が近く通学しやすい」「友達が行くから」あるいは「好きなクラブ活動がある」といった多様な理由が上げられております。また、学力調査の結果もその一つの要素となり得ますが、ご質問のような競争や格差拡大を助長しているとは考えてございません。
 学校選択制の導入に伴いまして、学区域以外から通学している子どもが多くなり、地域の方々のかかわり方が難しいというご意見があることは承知しております。しかし、一方では、多くの子どもたちから選ばれた学校として、地域の誇りとなっている面や、地域に支持される学校にしようという緊張感から、学校の活性化につながるという意見もございます。そうした地域の声を真摯に受け止めながら、制度のなお一層の安定と定着化に向けて努力してまいります。
 次に、教育条件の整備関連のご質問にお答えいたします。中学校放課後学習推進事業は、今年度から始まる事業でございます。したがいまして、この事業の実施状況、効果等を検証することがまず必要であると考えます。また、ご案内のとおり小学校では、図書館の活用も視野に入れた「あだちキッズぱれっと」事業の全校展開が進められているところでございまして、図書館の活用状況等も踏まえた事業全体の推移を見守っているところであり、現在のところ小学校への配置については考えておりません。
 次に、通常の学級に在籍する発達障害等のある児童・生徒に対しましては、学習支援講師を最長6カ月間派遣し、臨床心理士等の専門家チームによる助言を受けながら個別指導を行っております。また、介助員や専門家などの人的支援による財政負担は年々増加していくことが見込まれ、国は各学校に100万円の地方財政措置を行ったと聞いております。区といたしましては、同様の対応を都区財政制度の中で創設するよう特別区教育長会から東京都へ要望してきているところでございます。
○岡野 進生涯学習部長 生涯学習行政につきまして一括してお答えいたします。
 生涯学習の推進に当たっては、場の提供にとどまらず、学習情報や学習機会の提供、指導者の育成、自主学習グループの育成などに取り組む必要があると考えており、これらの内容の充実に努めてまいりました。
 また、生涯学習施設につきましては、官業の民間開放を促進することや、多様化する住民ニーズに柔軟に対応するなど生涯学習の推進を一層図るため、原則として指定管理者制度を活用する方針であり、区の直営による管理運営は考えておりません。

再質問

○鈴木けんいち議員 幾つか再質問をさせていただきます。
 教育行政のところで、教育基本計画については、現在この計画期間はあるわけですが、その計画期間を前倒ししてやめろということではないのです。今、この計画のもとに足立区の教育行政は進んでいると思うけれども、計画期間が終わるに当たって、こういう競争と格差を拡大する方向での内容については見直すべきではないかということで、見直すべきかどうかというところをお聞きしておりますので、それについてお答えをいただきたいと思います。
 それから、学校選択制も同じなのですが、安定と定着化を図るというのは、一つの区教委の見解としてはわかりますが、私が質問しているのは、答弁でも、いろいろと問題があると言っているわけで、そこは一致したわけですね。そういうのを踏まえて見直すところは見直すべきではないかということを聞いておりますので、その点、ご答弁をお願いいたします。
障がい者の日中活動の場の確保のため新たな対策を
 障害者施策ですが、綾瀬七丁目の通所施設、2010年度までの場合は、それで何とか現状施設の定数増で対応できるかもしれないと、その点は私も申し上げているわけです。ただ、ちょっと事情が変わったので、それではその方法だけでは無理だろうと言ってお聞きしていますので、場の確保には努めていくと言いますが、新たな確保策を考える必要があるのではないかということをお聞きしていますので、その点についてお答えいただきたいと思います。

再答弁

○鈴木一夫学校教育部長 まず、第1点目の教育基本計画でございますが、当然計画期間終了時点におきましては、現計画の検証、更には、現在区で進めてございます長期計画の見直し、あるいは教育振興基本計画の策定、あるいは中身の推移等を検証して、現計画の基本的考え方、理念を踏襲した形で改定に入るということで考えてございます。
 なお、学校選択制度につきましては、基本的には13年度の学識を入れました検討会の中で、入れない場合ですとか、様々な課題については、制度スタート前に既に十分把握をされている。その上でなお効果があるだろうということで実施をされたと、私どもも認識してございまして、そういった意味では、様々課題はございますし、これまでも制度安定のために改善等を工夫してきてございますので、今後ともそういった形で制度の定着に一層努めてまいりたいと考えているところでございます。
○有賀純三福祉部長 障害者の通所施設の定員の不足につきましては、既存施設の定数増のほか、就労支援など様々な対応策を更に検討してまいります。