3、議案などに対する討論

A「プラスチックごみの分別・資源化に関する陳情」の可決を求める討論 
 伊藤和彦議員

 私は日本共産党足立区議団を代表して、ただいま議題となりました「プラスチックごみの分別・資源化に関する陳情」の不採択に反対し、採択を求める立場から討論を行います。
 本陳情は、地球温暖化の深刻な影響が広がり、世界各地で大きな問題となっている中で、
温室効果ガスの削減のため、資源としてリサイクルできるプラスチックごみを足立区も分別回収して資源化することを求め提出されたものです。
足立区は4月からプラスチックごみの分別をやめて「燃やすごみ」として回収し、ペットボトルとトレー以外は燃やすサーマルリサイクルを実施しました。
 これについて陳情は、地球温暖化防止に逆行するものではないかと指摘し、委員会質疑の中でも取り上げられました。区は答弁で「サーマルリサイクルでプラスチックごみを燃すようになったのは逆行ではなく、着実な前進」とのべましたが、2つの点で正しくありません。
 第一に区民の分別の意識形成が後退、逆行することを軽視している点です。いままで30年以上かけてプラスチック等を分別する意識を培い定着してきました。  
 それが今では、区長もホームページで「ペットボトルを可燃ごみとして出している方が増えた」と嘆いているとおりです。
 学校ではごみ問題を勉強し分別することが大事と教えて、家ではいっしょに燃やせでは、どう考えていいか分からないと言う状況も生まれています。
 「日本で一番地球にやさしい人のまち」にするというなら、4月の時点で、「混ぜて燃やしていい」とするのではなく、容器包装リサイクル法に基づきプラスチックを分別する方向にすすむべきだったのではないでしょうか。
 もうひとつは、区の言う「CO2の排出量はあまり変わらない」との根拠となっている比較がプラスチックごみを燃やした場合とリサイクルした場合の比較ではないということです。
 区の比較しているのは、埋め立てた場合はメタンガスが発生し、燃やした場合と温室効果ガスの発生はあまり変わらないということであり、燃やさずにリサイクルした場合には温室効果ガスが減少することは区も認めているとおりです。
 こうした事情があるからこそ、区はプラスチックごみの焼却を当初、「最適だ」と言っていた立場から、廃プラスチックの再資源化は「資源循環型社会を構築するうえで不可欠」「必ずやります」という立場を表明するに至っているのではないでしょうか。
 委員会質疑の中では、議員から「リサイクルするにも資源を使う」「学者によっては現時点では燃やすことがいいと言っている」との発言がありましたが、 
 先日開かれた「環境サミットin足立」で、宇部市長が「プラスチックを燃やさなくなったことがCO2削減に一番効果があった」と述べたように検証されていることがらです。だからこそ区も削減効果を認め、リサイクルに向けて歩みをすすめているのではないでしょうか。
 プラスチックごみ分別・資源化は、全国で過半数の自治体が取り組み、東京では多摩地域はほぼ全自治体で、23区でも半数が実施しています。
 焼却に回してしまえばそのままCO2の発生につながるプラスチックごみを、燃やすのではなく回収することによって、マテリアルリサイクルで約5割、ケミカルリサイクルを含めれば98・8%再生・再利用されています。
 足立でも「一日も早く足を踏みだしたい」、これが1800人を超す陳情者の願いです。
 
 議会は本来こうした流れを促進する立場で動くべきなのに、不採択にするということは、区民の立場にも、区の立場にも反するものではないでしょうか。
 議員各位におかれましては、地球温暖化防止に一歩でも2歩でも参加したい、足を踏み出したいという区民の立場に、議会としても立つべきことを申し上げ討論とします。