3、議案などに対する討論や修正案など

②足立区職員定数条例の一部を改正する条例の反対討論
 3月24日 ぬかが和子議員

 ただいま議題となりました第13号議案 足立区職員定数条例の一部を改正する条例について、日本共産党足立区議団を代表して反対討論を行います。

区の職員5221名→3600名により、身近な区民サービスが低下
 区の職員数は、平成2年度には5,221名いましたが、平成3年の第1次定員管理適正化計画以来、毎年職員の定数削減を続け、20年度ついにピーク時の69.9%と7割を切りました。そして、本条例改定により、68%、3,600名になります。区民の人口は65万9,000人に増えている中で、必要以上に区の職員を減らすことは、身近な区民サービスの低下につながり、賛成できるものではありません。

学校の区職員は3032名→49名に。区職員が一人もいない学校も
 実際に、その弊害が様々な分野にあらわれてきています。
 第1に、区民に身近なサービスを提供する学校や保育などの現業職員についてです。教育分野では、3,032名いた区の職員が、今条例で学校の用務員を19名削減し、何と総勢で49名になりました。学校現場では、教員、栄養士、学校事務の県職員以外は、用務員などの職員が1人もいない学校の方が多くなってしまいました。学校の事務量も以前と比べ増えている中、教員の負担も増えています。学校の教室で倒れ、死亡した教員もいると聞きます。学校は教員だけで成り立つのではなく、多くの職員の支えがあり、子どもを見守る目が必要です。

公立保育園には派遣社員の保育士
 保育園でも、民営化と合わせて保育士を減らし続け、不足する保育士を派遣社員まで入れて補う中、今回も、常勤保育士を34名、非常勤保育士を23名削減しています。保育園は、待機児童が急増し、入所できなかった子どもの保護者から悲鳴のような声が上がっています。これでは、子ども施策を重視するという区長の発言は、絵そらごとでしかなく、逆行しているのではないでしょうか。

事務職員も23区で一番過密した仕事を抱える中、重大なミスも発覚
 第2に、事務職部門でも、必要な職員を10年間で約200名も減らしています。骨まで削っていると言わざるを得ない状況の中で、職員1人当たりの区民の数は、23区平均は124名ですが、足立区は182名で、ずば抜けて多い。つまり23区で一番過密した仕事を抱えるようになっています。
 例えば以前は、係長は係内の仕事全体をチェックし遂行させることが仕事でしたが、今は、ほとんどの係長が自分の仕事を大量に抱え、また非正規の職員も増えた中、仕事も教えなければならないのに、その余裕もなくなっています。
 そういう中で、今議会で30億円に及ぶ国保会計の算定ミスも発生しました。補正予算5議案を議会運営委員会で撤回し、急遽つくり直した最終補正予算案を審議するため本会議や総務委員会などを開催するというのは、前代未聞の事態です。行き過ぎた職員の削減がひずみにつながったのではないでしょうか。

自治体自身がワーキングプアを生み出す
 また、定数の行き過ぎた削減は、自治体自身がワーキングプアを生み出すこととも一体であり、重大です。職員の削減で開いた穴を埋めるために、委託費を増やして一層の外部化を進めることや、非常勤はじめ非正規の派遣職員などで補って、区が大量の官製ワーキングプアを生み出しているのです。
 昨年の読売新聞や東京新聞などで、一斉に官製ワーキングプア問題が報道され、新たに設けられた国の地方公務員の非正規雇用に関する研究会の担当者は、「行革で開いた穴を単に非正規で埋めればいいという論理は、一般職員の存在価値も脅かす。国の制度、法律改正を期待したい」と指摘しているほどです。

栄養士も司書も学童保育も、若者が資格をとっても区の正規採用はゼロ
 実際に、区内の学校栄養士は、正規職員と要綱専門非常勤職員が半数ずつ混在していますが、求められる仕事量も内容もほとんど変わりません。
 地域図書館では、指定管理化されたところで図書館の館長が解雇されましたが、仕様書どおりに学校の読み聞かせや図書館だよりを発行し仕事を進めたら、残業が多過ぎる、仕事をするなと人件費を低く抑えるためと思われる解雇のやり方でした。栄養士、図書館司書、学童保育の職員など、若者が必要な資格を取っても、足立区では非正規の職員募集しかありません。保育士の資格を持っていても、多くは派遣社員や非正規の仕事です。

もうこれ以上の削減は限界
 21年度に向けた依名通達の中で、定数削減について「これまでの手法による限界も見えている」と区も認め、それを理由に一層の外部化を図るとしていますが、もうこれ以上の職員定数の削減は行うべきではありません。新たに職員を採用し、人材を育成することこそ必要です。
 区民サービスの向上のために定数管理方針を改めることを指摘して、討論を終わります。