4、予算特別委員会の質問等(3月3日〜3月11日)

「就学援助と育英資金の改善を」
―すべての子どもたちが安心して学べる環境を−
第3日目(3月5日)さとう純子議員

○さとう委員 よろしくお願いいたします。
 私は、初めに就学援助について伺います。
 就学援助とは、経済的理由で就学困難な小中学生の学用品や給食費、修学旅行費などに対して援助するものです。16年度から、まだ年度途中ですけど平成20年度までの就学援助の受給率で、小学校、中学校とあわせた数字を教えてください。
○学務課長 受給率でございますが、済みません……。
○委員長 学務課長、すぐ出ませんか。
○学務課長 直近はすぐ出るんですが、16年度からというのがちょっといま手元に。
○さとう委員 16年が42.5%なんです。平成16年が42.5%で、平成20年は38.2%、きちんと課長から答えていただきたかったんですよ。
 それで、人数でいうと1万9,861人から1万7,918人ということで、この間約2,000人、1,943人が減っているんですね。
 私は非常に驚いていまして、こんな経済状況が悪化しているもとで、ふえると思っていたら逆に減っていたということなんですが、なぜなのか、理由はわかりますか。
○ 学務課長 就学援助の認定に際しまして、基準というのは基本的に前年度の所得をもとに換算しておりまして、ここ最近の急激なのはともかくといたしまして、20年度までは19年度までの所得を基準にしておりましたので、その堅調な安定的な上がり方に比例して、経済状況もその間安定しておりましたので、人数的には下がっていた。それとまた全体的な子どもの数も減っている、その2点だと考えております。

給食費が払えない子どもがないようにすべき
○さとう委員 間違えていますよね。なぜ率で聞いたのかというと、パーセントでいっても非常に下がっているということなんです。人数が減ったかどうかが問題じゃないのね。
 それで、この間の低減率の導入ということで、基準が下げられているんです、国の方での。それまで受けられた人も、この基準によって受けられなくなった方がいる結果だと思われます。
 それから、貧困が拡大して年収が200万円以下の世帯や生活保護世帯がふえているのはご存じのとおりですが、この間の子育て世代の収入の状況から見ても暮らしがよくなったとは思えないんです。
 実は、先日、「ストップ、くらしと雇用の破壊、なくそう格差と貧困、2.25区民集会」というのが区内で行われました。ここでの発言で、足立の子どもたちの実態が報告されました。
 その中で、子どもたちが毎日楽しみにしている給食ですが、ある学校では給食費の未納が50万円を超え、このままいけば3日間給食ができなくなる非常事態になるということで、担任や栄養士が電話をしたり、家庭訪問をしたりして、取り立てまがいの仕事をしなければならない状況になっていますというものです。
 このような状況を教育委員会は把握しているでしょうか。
○学務課長 給食費のいまの未納の話に関してでございますけれども、その部分につきましては、まだ今年度の決算終わっていませんが、前年度までの決算で言えば、少しはふえているという状況でございます。
 ただ、全体的に、未納率というのは極めて率も0.3%前後で、低いものと認識しております。

就学援助の申請書は全員配布、全員回収すべき
○さとう委員 給食費の回収にこんなに先生たち困っているのに、0.3だから少ないかなみたいな発言というのはいかがなものかと思いますけれども、この報告にある給食費の未納の児童生徒の中で、経済的な理由で支払いができない世帯があれば、就学援助を受けて支払いができると思うんですね。
 私は、子育て世代の収入が減っているのに受給率が減ってきた原因には、ほかにもあるかと思っています。
 足立区では、いじめなどの問題にも配慮して、入学すると同時に全児童生徒に就学援助の申請書を配布する、そして申請の有無を記して全員から回収をするということをやっていました。しかし、区は平成19年から申請の方法を変えて、学校で全員に配布はするけれども、申請者のみ学校を通さずに教育委員会に4月20日必着で郵送するという仕組みに変えてしまいました。家庭状況を把握している学校には、後日申請者がわかるという内容になっています。
 私たちは、このやり方は申請を抑制するものになる可能性があると指摘して改善を求めてきましたが、この申請方法を変えたことも、申請者が減った原因の一つにあると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○学務課長 申請方法を19年度からそのように変えさせていただいたわけですけれども、原則申請主義にのっとりましてそういった形、それから事務の効率化とか、学校事務職員の負担軽減を図るという観点からさせていただきました。
 結果として、その申請率が下がったという数字はございますが、これがどの程度関与しているのか、私が先ほど申し上げましたように、経済状況そのほかいろいろな要素があると思いますので、単純に結びつけるわけにはいかないと考えております。
○さとう委員 児童生徒の家庭の状況一番つかんでいるのは教職員なんですね。全員回収することによって、回収されない家庭にも一つ一つ丁寧に聞くことができるわけです。
 ある学校では、外国の方がふえる中で、通訳のできる人も加えて申請書を書き込む丁寧な指導もできていたと聞いています。以前、私は質問で、外国の方にもそれぞれの母国語の申請書をつくるように要望しましたが、どのようになって活用されているでしょうか。
○ 学務課長 外国の方向けに、ハングル語のもの、中国語のもの、英語のものというものをご用意させていただいております。

年度途中に急激な収入悪化した家庭への対応をすること
○さとう委員 その配布は、結局は、先生たちがこの方にはこの申請書が必要だろうという配布の仕方になりますよね。ですけど、申請になると、その人の判断で申請というふうになってしまいます。
 年度の当初のきめ細かな対応はもちろんなんですけど、現在の社会状況の中で、年度途中で急激に収入が少なくなった、そのときの対応についても即効性が必要だと思うんですけれども、年度途中の配布も、きちんと配布という形で実施すべきと思うんですが、いかがでしょうか。
○学務課長 急激な収入悪化によりまして、例えば特別申請とかそういった申請ございますので、年度途中でも申請措置というものは、学校を通してもちろんご相談があれば学校からもお渡しできますし、学務課にご相談いただければいつでも配布できるようにしております。
○さとう委員 いつでも受けられますよというんじゃなくて、積極的に、いまの状況を考えて、配布をしていくという必要が私はあるかと思っています。
 滞納分の回収のために学校の教職員が督促状を出したりということで、先ほど申し上げましたとおりなんですが、授業や学習指導に専念する上で、教職員がこういうことをやることの実態について、これでいいと考えていらっしゃるのでしょうか。
○ 学務課長 教職員の先生方の本来的といいますか、もちろん授業とかそういったものに専念していただく時間が多ければ多いほどいいわけでございますけれ、先ほど逆に委員がおっしゃられていましたように、現場で子どもの姿を見て、なおかつご家庭の様子を一番わかっている先生方が、そのケース・バイ・ケースに応じて適切なアドバイスなり案内をしていただく、そして場合によっては学務課にお声がけをしていただくことで私どもも連携をとって協力していく、そういった形が一番いいのかなと考えております。

学校の区職員は1032人(H2)→49人(H21)激減
○さとう委員 いま学校の教員以外の職員は、激減しているんですよね。区の職員の平成2年から平成20年の足立区の所属別定数の推移を見ると、小学校、中学校の区の職員は、平成2年度は1,032人いました。平成20年は68人になっているんですね。21年度はさらに19名減って、学校の職員は全校に1人もいない状況もあって、49人になってしまうわけです。
 こんな中で、先ほどの質問にもありましたけれども、1月20日には小学校の先生が教室で倒れて亡くなっているんですね。教職員に多重な負担がかかっていると思いますが、これを改善していく、そういう考えを持っていただきたいと思います。
 次の質問もありますので、本当に……
○教育政策課長 いまお話の途中でございますけれども、教員が亡くなったことと、区の職員の人数が減ったこととの相関というのは、特に立証されているわけではございません。
 私どもは、区の職員の削減については、業務の民間委託、それから事務の削減等を退職不補充の観点から実施してきたものでございます。
○ さとう委員 私は、そういう関係ありませんということではなくて、教員がこんなに負担をするような仕事がいまやられているんですよという意味で言いました。もちろん区の職員をふやすことも必要ですし、こういう現場で、本当に健全な教育ができるのかということをきちんと考えていただきたいなと思うんです。

お金がないために進学をあきらめたり中途退学がないように
 次に、育英資金について伺います。
 中学校では、経済的な理由で都立高校しか受験できない子どもが急増しているということなんですが、先週の土曜日に私はある学校にちょっと用事があって行きましたら、1次試験がだめだった生徒が3人、2次試験のために学校に来て勉強していました。先生は、ぜひ都立高校の2次募集の枠を広げて、あの子たちを高校に行かせてあげたいとおっしゃっていました。足立区の子どもたちのためにいますぐ、間に合うかと思いますので、東京都の教育委員会に2次募集の枠を広げるように要望していただきたいんですが、お願いできるでしょうか。
○学校教育部長 既に、2次募集、ご案内のとおり公表されてございまして、また区教委として改めて2次募集の枠を広げようという考えはございません。
○さとう委員 私、足立区の子どもたちを入れろと言っているんじゃないんですよ。いま都議会では、我が党は東京都全体の枠を広げなさいということをきちんと教育委員会に申し入れもしております。
 それから、育英資金の貸し付け条例について伺いますが、初めに、20年度の申請者数ちょっと聞きたかったんですが、時間がありませんのでこっちで言いますが、高校、大学と貸付枠は35人とか、申請者数だけ教えてください。20年度の大学、高校の申請者数を教えてください。
○学務課長 20年度の育英資金申請者数は、高校で35名、大学で29名でございます。
○さとう委員 それ違うと思いますよ。それは貸し付けのできる人数ですよね。申請者数はもっと多かったと思います。これまでも、私たちは枠の拡大とか、貸付金額の増とか、通念貸し付けなど改善を求めてきたんですけれども、申請者が多くても、貸し付けできる人数が予算との関係で決まっていて、それ以上は断るしかないというのがいまの現状だと思うんです。それに育英資金の申請というのは、年1回、6月のみで、21年度はもう締め切っちゃっているわけです。
 そういう点では、申請者数に応じた貸し付けができるような仕組みにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○学務課長 20年度につきましてでございますけれども、申請者数は先ほど申し上げたおりでございますので、その範囲を全部貸し付けられるだけの枠というか、予算も含めてご用意させていただきました。今後も、できる限り多くのお子様が親の経済上の理由から進学をあきらめたりすることがないように、柔軟ないろいろな方策を考えていく必要があると認識しております。
○さとう委員 柔軟な対応といまおっしゃったので、ぜひお願いします。
 それと、年度途中、いまのこの経済状況で、本当に急に仕事がなくなるという方がいらっしゃいますので、このような年度途中で予想もつかない事態となった方にも、年度途中で育英資金を貸し付けるようにしていただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。