4、予算特別委員会の質問等(3月3日〜3月11日)

「教育の充実、後期高齢者医療など」
第6日目(3月11日)鈴木けんいち議員

○鈴木(け)委員 共産党最後の質問です。よろしくお願いいたします。
 初めに、教育についてお伺いをしたいと思います。
 まず、教育の目的、取り組む角度として生きる力をはぐくむこと、人間として成長すること、あるいは社会に参加できるようにしていくということがあると思いますが、どうでしょうか。
○教育指導室長 まさしく教育は将来大人になっても自分の生活をよりよくし、また社会に貢献できる人間を育てていく、そこなんだなと思っております。

学力テスト 順位つけた結果公表の過ちくりかえすな
○鈴木(け)委員 学力についてですが、学力もその生きる力の一つであるのかなと、そういう点で大変重要だと思います。しかし、全数調査、いわゆる学力テスト、これが本当に学力をつけるものなのか、この学力テストをめぐっては足立区でも事件があり、順位をつけた結果の公表を足立区はやめました。全国学力テストでも結果の公表をしないという方針をとっていますけれども、理由は何でしょうか。
○教育指導室長 ただいまご指摘いただきましたけれども、全国学力調査につきましては、全体の平均と、そして課題等をホームページ等で公表しておるところでございます。
○鈴木(け)委員 足立区でも以前は順位もつけて公表していましたが、それをやめた理由は何ですかと聞いたのですが。
○教育指導室長 失礼いたしました。より区民の皆様にわかりやすくする公表はないかというところで、分布図を活用して公表しておるところでございます。
○鈴木(け)委員 結局全数調査、テスト全部がだめだということではなくて、本当に授業の改善とか、子どもたちが学力をつけるのであれば、例えば担任の先生が教室で学んだことに基づいてテストをする、こういう形でテストをすれば、どこまで理解できたのか、どこまで身についたのか、あるいは課題は何なのかがわかる。そして、これが次につながるわけですね。これが学力として身についていく。そういうテストは日常的にやられているし、大事だと、しかし、学力テストというのはなかなかそうならない。全数調査、これが日本でやられている学力テスト、イギリスでもやられていましたが、結局これは学力の向上にならないどころか、序列化や過度の競争が生じるおそれがあると。その実例の一つが足立区の事件だったのではないかと思います。
 私どもは、学力テストそのものの中止を求めていますけれども、市町村や学校別の結果公表をしないことは、弊害を少なくするためには必要な措置だと考えているわけです。

自己肯定感をはぐくむ教育を大事に
 次に、自己肯定感をはぐくむ教育というのが大事だと思うのですが、区はこの自己肯定感の問題についてはどのように考え、どのようなことをやられているでしょうか。
○学校教育部長 基本的には、子ども施策3カ年重点プロジェクト推進事業の基本理念でありますたくましく生きる力をはぐくむ、その最もベースになるものだという認識を持ってございます。
 そのためには、例えばでございますが、子どもたちがみずから遊び、あるいは集団で共同作業をやる、あるいはさまざまな体験をする、そういう体験の中から感じ取っていただくもの、あるいは地域の大人、特に高齢の方々との接触というのは、かなり生きる力をつけるのに非常によいという報告なども出されております。
 そういった意味では、交流体験をベースにしつつ、子どもたちの自尊感情といいますか、自己肯定感をしっかりつけていく、そういった趣旨の施策が21年度予算の中には幾つかの事業で組み込ませていただいているところでございます。
○鈴木(け)委員 ある意味で子どもが成長する上でベースになるとも思います。子ども施策の中にも位置づけられているということであります。
 次に、質問を変えたいと思います。

後期高齢者医療で新たな負担増も
 後期高齢者医療特別会計についてお伺いをしたいと思います。
 保険料の均等割にかかる軽減対策について説明してください。
○高齢医療年金課長 今年度につきましては、年金収入168万円までの方につきまして8.5割軽減ということで実施をしました。来年度につきましては、その168万円以下の世帯のうち、世帯全員が80万円以下の年金収入であるいは9割軽減ということになりますが、それ以外の方につきましては、本則の7割軽減によるということでございます。
○鈴木(け)委員 そうしますと、年金収入が80万円超から168万円以下の方については、軽減幅が少なくなる、保険料が高くなると思うのですが、そういう理解でいいですか。
○高齢医療年金課長 委員のおっしゃるとおりでございます。
○鈴木(け)委員 そうすると、いま軽減割合が少なくなる方は、足立区では何人ぐらいいらっしゃいますか。
○高齢医療年金課長 19年の所得ベースで推定してございますが、大体足立区内で約1万1,000人程度の方が7割の本則に戻ると見てございます。
○ 鈴木(け)委員 わかりました。こういう大変な経済状況の中でも本則に戻すという形ではありますが、軽減策をなくして負担をふやすという内容だと思います。

国のモデル事業でも2割の人は介護度が下がる
 次に、介護保険についてお伺いをしたいと思います。
 初めに、73歳で肺がん末期で入退院を繰り返す独居の男性、車いすを使っています。現在、要介護1で訪問介護週2回、ヘルパーが週に9回、介護タクシー週2回を利用しています。現在要介護1ですが、これが要支援2に下がり、ヘルパーが週3回に減るので食事、排せつ、入浴、掃除の援助が不足し、生活が破綻する。
 もう一人紹介します。68歳で先天性股関節症などがある女性。何かにつかまって数十メートルの歩行がやっとである。現在は要介護1でヘルパーが週10回。これが要支援2と下がって、病弱な夫と要介護状態の母と同居しているのですが、ヘルパーを週3回しか利用できなくなり、3人の生活が危機に陥る。
 これ実は4月から始まる予定の要介護認定の新方式に基づいて実際に検証をした中の、実際の例であります。このような結果が出ているのですけれども、区としてはどう思いますか。
○介護保険課長 昨日も中途半端なご説明になってしまいましたけれども、このたびの要介護認定の見直しにつきましては、全国的なばらつきをなくすという趣旨で入っている部分がございます。一部に介護が全く必要のない重度の方が自立という表現がありまして、そこのところで大変な反響を呼んでいる部分がございます。
 しかしながら、全体で認定を考えていくということでございますので、昨日も申し上げましたように、国では新しい解釈を比べて、7割の方が変わりがなかったと発表しております。的確な判断をしていくように、私どもも努めてまいりたいと思います。
○鈴木(け)委員 いま7割は国の方でも変わらないと言いますけれども、それ自体がちょっとおかしいですね。国の方でも平均でも2割は下がるのですよ。これは厚生労働省が昨年3万人を対象にモデル実施をしたものですね。
 しかも、その2割の方が、全体から見たらわずか2割だという問題ではなくて、その方々一人一人がこれまで受けられていたサービスが受けられなくなって、そして、さっき述べたような事態が起きるのですよ。起きようとしているのです。そのことについてどう思うかと聞いているのです。
○介護保険課長 最初に例に出されましたがんの末期の方というのは、特に症状が短期で動く方が多うございます。区分変更という手段もございまして、容体の変化にあわせて申請をし直していただくということも、私どもも早目な対応を心がけてまいりたいと思っております。
○鈴木(け)委員 区分変更といいますけれども、例えばこの方、がんの末期で入退院を繰り返している、車いすを使っている。認定の変更といえば、それなりにまた手続が必要なわけですよ。何とかいままでの状態であれば週9回、そのほか訪問介護、介護タクシーを使って何とかやっているけれども、なぜ状態が変わらないのにこうやって要介護度を下げてしまって危機に陥らせるのか、このままでいいと思うのですか、それは結果を見ていればいいということなのですか。
○福祉部長 今回の介護認定調査の改定につきましては、あいまいな定義を見直して、より効率的で簡便な方法に見直すというものでございます。
 ただ、個別の事例につきましては、詳細なことをお聞きしないと答えられない場合もありますので、ご相談いただきたいと思います。
○鈴木(け)委員 きのう聞こうかと思ったら、きのう介護保険課長は、はっきり聞こえませんでしたけれども、「大丈夫です。安心してください」ということを言いましたから、それはちょっと違うんじゃないかと聞かざるを得ないのですよ。
 これ自体は国が決めたことです。そして、こうやってテキストもつくって事細かにこうしろと言っているわけです。そういう意味では足立区の責任ではないです。国がこんなひどいことをやるのは、しかも1カ月そこそこですよ。4月から始まるのにやっと2月から徹底が始まったという、こんなのは中止すべきだと思います。
 しかし、区もそういう認識をしないで安心ですということで、してくださいということでやるんだったら、これは区の責任も問わざるを得ないですね。どうですか。
○介護保険課長 失礼いたしました。昨日申し上げましたのは、心配ないという表現でお気にさわった面もあるかと存じますが、国の方が説明に当たりまして心配ないという表現を使っております。私どもも適切に判断をするよう努力してまいります。
○鈴木(け)委員 実はこれは3月9日の東京新聞、この新聞でも、介護保険で受けられるサービスの量を決める要介護認定が4月から大きく変わる。そして介護の現場からは要介護度が軽い方に変更され、サービスを削られる人が続出するのではないかと心配する声が上がっている。
 実際ケアマネジャーさんたちの会合あって、そこから説明したら一堂にえっという声が上がって、それはひどい、みんな下がってしまうではないかという声が上がったという記事です。
 これは立教大学のコミュニティ福祉学部の服部さんという教授は、国のねらいは要介護認定を軽度に変え、介護保険の給付を抑制すること、事務を軽減するというけれども、いままで重視されていた資料を省いて実態に沿った判定にならないのではないかということも言っています。専門家も介護認定を見てきた方も言っている。
 こういう状態の中で4月からこれが実施されようとしている。ですから、私これは重大な問題で、本当にいまでも中止すべきだと言っておりますけれども、どうしても実施されるということであれば、これは足立区がそういう状態に陥らないように、できることをやるということで対応していくことがどうしても必要だと思うのですけれども、これは区長に聞きたいぐらいの大問題だと思うのですが、どうですか。
○委員長 時間です。
○ 鈴木(け)委員 終わります。