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●「『足立区立小・中学校の適正規模・適正配置の実現に向けて』に関する請願」不採択についての反対討論(2009年10月23日)
○ぬかが和子議員 私は、日本共産党足立区議団を代表して、ただいま議題となりました「『足立区立小・中学校の適正規模・適正配置の実現に向けて』(ガイドライン)に関する請願」の不採択に反対し、採択を求める立場から討論を行います。
この請願は、「現在計画している適正規模・適正配置計画において、本木東小学校の統廃合を拙速に決定せず、父母及び地域住民と十分な話し合いを」求めるものでした。
計画は、今年5月に決定した適正配置ガイドラインにより、第3、第4ブロックの栗原小・千寿第五小、本木東小が統廃合の対象となったものです。栗原小学校は「西新井駅周辺開発により人口が増えたからなくす」「千寿第五小は老朽化したから」などと、もともと理由もばらばらで筋の通った計画ではありませんでした。本木東小についてガイドラインで決定したのは、「最もよい解決策」を講じることであり、本木東小をつぶすことではありませんでした。具体的な計画案すら出されていない段階で、本木東小だけは説明会などを先行させ、地域ではあたかも決定事項のように説明をしてきました。その上で10月になって、本木東小学校の統廃合実施計画(案)が出されました。
本木東小学校の廃校を拙速に進めるな
この間、狭い地域から約2,000名もの「統廃合をしないで」「なくさないで」の署名が区長・教育長に提出されていることは、ガイドラインでいう「最もよい解決策」ではないと多くの方が感じていることの何よりの証明ではないでしょうか。
区教育委員会は、「本木東小は過小規模校なので解消する必要がある」と言いますが、小さい学校には小さい学校のよさがあることは、文部科学省も「小規模学校には教職員と児童・生徒との人間的触れ合いや個別指導の面で小規模学校としての教育上の利点がある」との通達を出しているように、だれもが認めることです。だからこそ、不登校児童もここ数年ゼロであり、ひどいいじめの報告もありません。さらに、本木東小は、学校と地域の共同で足立区初の「サタデースクール事業」を生み出し、人権尊重教育推進校でもあり、30年もの間、研究と実践を重ね足立区の人権教育に貢献してきた唯一の学校です。
区は、「運動会ができない」「クラスがえができない」と言いますが、「人間関係上トラブルがなってもクラスがえによる解決ができないからこそ、トラブルや不和と己が向き合うことにより、自分と違う相手を理解しようとする力・優しさ・思いやり・忍耐力・お互いを認め合う力を育てている」とPTA役員が語る本木東の教育のよさが見えないのでしょうか。「運動会だって全員が役割を持って生き生きとやっている。見に来てほしい」という声が聞こえないのでしょうか。
世界基準では小規模校があたりまえ
国連の機関である世界保健機構(WHO)も、学校は「小さくなくてはならない……生徒100人を上回らない規模」とはっきり述べており、ヨーロッパをはじめ主な国々のほとんどが、100人以下や100人規模の小規模校が当たり前となっています。児童数が100人に満たない本木東小こそが、世界基準での適正規模校とも言えます。
統廃合の進め方にも問題
今回の統廃合計画は、従来の統廃合と違う点が何点もあります。
第1に、学校選択の自由化のもとでの統廃合ということです。保護者や子どもは「小さくてきめ細やかで目が届く」と小規模校であることを承知の上で本木東小を選択しているのです。小さな学校を選択肢として残すことも必要ではないでしょうか。学校選択の自由化を保障すると言いながら、その選択権を否定し、小さな学校だからつぶすというのは、区教委が学校選択の自由化で意図的に過小規模校をつくり出し、学校を統廃合しているとの指摘を免れません。
第2に、従来は千寿第一小と千寿旭小を統合し千寿本町小学校が誕生して以来、2校が統廃合の対象となり、どちらの学校を残すのかや校名も含めて検討してきました。もちろん統廃合そのものを認めるつもりはありませんが、今回は、今までのやり方よりもひどく、最初から本木東小1校をやり玉に上げ、つぶす計画であるということです。現在の学区域の半数以上の児童は関原小に、残りは本木小に児童はばらばらになり、学校を廃校にするのです。しかも、その跡利用も未定であり、地域の財産、貴重な拠点をただ単に奪うことにつながりかねません。
また、この統廃合のために、本木小の子どもも犠牲になります。24年度から2年間かけて本木小を改築する計画ですが、区内で3番目に狭い本木小では、自校内での改築が不可能なため、その間、本木小の児童400人も2年間本木東小に通うことになります。計画どおりに進めると、現在の2、3年の本木小生は、本木東小学校で卒業式を迎えることになります。本木小には西新井や関原小の学区域からも子どもが通学していますが、子どもも親も2年間更に遠い本木東小に通うことを承知で本木小を選択したわけではありません。この点でも、学校選択の自由化のもとでの重大な約束違反です。改築についても、本木小は古い校舎でも昭和40年代の建築ですが、区内には昭和30年代の学校が20校残っており、統廃合のためにもっと古い学校・校舎を後回しにする、統廃合するために最優先するご都合主義ぶりです。
足立区は人口増加、学校統廃合は将来に禍根残す
しかも、適正配置ガイドライン計画は、その前提条件が大きく崩れつつあります。人口減少社会という前提により人口推計をして計画を立てていますが、人口が減るどころか、今では66万人になり、20年後も66万人近くの人口であると区も報告しているではありませんか。古い人口推計による計画は直ちに見直すべきです。今でさえ、少人数指導やティーム・ティーチングにより教室が足りないなどの学校があります。区長も子ども重視と言っています。ましてや政権もかわり、世の中全体が子ども施策を充実しよう、30人学級も視野に入れて取り組もうというときに、30人学級を想定していない計画にしがみつき、学校をつぶす必然性は全くありません。30人学級になれば、更に教室が不足します。一度学校をつぶしたら再建するのは不可能に近く、目先だけ見てつぶそうという教育委員会の姿勢は将来に禍根を残すものです。
文教委員会では、「統廃合すれば、その分、余った教員をほかの学校に回せて全体の教育の充実につながるから統廃合に賛成」という旨の委員の発言もありましたが、学校の教員は、配置基準によるものであり、統廃合したからといってその分を他に回せないことはだれもがわかることであり、統廃合を進める理由にはなり得ません。
私は、地域の町会長が目を潤ませて語った、「孫たち、未来の子どもたちに、地域・本木東小を守るため大人は頑張ったと言えるようになりたい」という言葉が忘れられません。
この請願は、「拙速に決定しないで」「父母ほか地域住民と十分な話し合いをして」というささやかなものであり、民意の反映という点でも当然のものです。役人が上から決めて押しつけるやり方は、もう改めるべきです。本木東小学校の統廃合計画は、まだ案の段階であり決定ではありません。文部科学省(旧文部省)も「学校規模を重視する余り無理な学校統合を行い、地域住民等との間に紛争を生じたりすることは避けなければならない」と通達していますが、このままでは、地域に重大な亀裂が生じてしまいます。議員各位におかれましても、保護者や地域の願いを受けとめた態度を表明されることを心から願いまして、討論を終わります。