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第4回足立区議会定例会
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●反対討論−針谷みきお議員(2016年10月24日)
◆針谷みきお 議員 私は、日本共産党足立区議団を代表し、第118号議案 足立区基本構想案に反対する立場から討論を行います。
基本構想は区の憲法と言われている足立区自治基本条例第12条で、「区は政策の基本的方向を示す基本構想を定める」とされており、近藤区政の政策の基本的方向があらわれた基本構想案であると考えます。
反対の理由は、第1に、区長がこの基本構想について、議員や公募委員も入れて議論を重ねた答申を尊重したと発言していますが、民意の反映と言いながら、実際は事務局主導で持ち込まれた「協創力」が将来像、基本理念の中心にあるという点です。
基本構想は審議会の四つの専門部会からキーワードを持ち寄り、全体会で基本理念を検討することになりましたが、その審議会委員や各世代のワークショップでは一言も出されていない「協創力」というキーワードが、突如メインのキーワードとして打ち出されました。これによって、ボトムアップとはほど遠い区民の声を生かすことを形骸化する将来像、基本理念になりました。
もともと「協創力」の語源は、農水省のキャリア出身で在米日本大使館書記官や大企業の経営企画部長をしていた笹谷秀光氏が、「CSR新時代の競争戦略」の中で打ち出した造語です。企業の力をどう引き込むのかが鍵であり、そのキーワードが「協創力」ですと語っており、根本的な考え方は政府の「日本創生、地方創生」戦略と軌を一にしています。
もとより「協創」とか「協創力」は言葉の意味がよくわからず、人によって説明が違います。
区民は、わからないものに協力をしたり、一緒につくり出したりすることはできません。審議員からも異論が述べられ、議会でも全ての会派から疑問の声が上がったのも当然です。このような言葉がキーワードとされ、推進力とされる構想に賛成できません。
第2に、区政の現状認識の問題です。
基本構想案第1章で、足立区を取り巻く厳しい社会情勢、人口減少、少子・超高齢社会が更に進展するとして、今後、30年間で高齢者1人を2.6人で支える騎馬戦型から、1.7人で支える状況に変化し肩車型に近づいている。すなわち、担税力のある世代が減少と述べ、介護を必要とする高齢者などが急増、財政面に負担をもたらすと強調しています。
しかし、こうした肩車論は、高齢者を働かない者と一律に捉えることで、若・中年者の負担感や不安感を実態以上に高め、多様な存在である高齢者の意欲や能力を生かす上で阻害していると内閣府でさえ批判している論理です。
区長がこの指摘に対して、この点は認めつつ、「脅しの論理」ではなく、ありのままの事実を記載したもの、とはぐらかしました。しかし、人口減少、高齢社会が訪れていることに対して、打開の方向を示すのではなく、わざわざ財源論を持ち込んで、負担が大変、だから行政の守備範囲を狭め、縮小、撤退論を持ち出していることは、脅しの論理そのものではありませんか。
そもそも社会保障財源は人口で決まるものではなく、担税力があるかどうかの問題で、肩車型論は最も担税力のある企業が対象からすっぽり抜けています。メガバンクが法人税ゼロ、大企業の消費税による輸出戻し税の優遇、パナマ文書で指摘された財界・富裕層の100兆円を超える税逃れなどにメスを入れず、解決すべき課題を棚上げし、一般庶民に負担を押しつける肩車型論は、基本構想の前提にすべきではありません。
第3は、足立区の行財政運営、とりわけ基金のため込み過ぎの問題です。
最近、前東京都副知事の青山やすしが監修して「東京23区格差」という書籍を出版しました。
一番データ数が多く、トップだったのが足立区で、特に所得格差で区民の年収平均330万円という、23区最低という実態が指摘されています。こうした区民の生活実態に寄り添い、区民生活を支えるべき区政が、区民には冷たい態度をとっていることです。
特別委員会で幾つかの事例を挙げました。低所得者の保育料が23区で一番高いこと、区の施設駐車場の有料化を行い、スポーツ施設利用者から施設使用料と駐車料金を二重に徴収していること、住区センター、社会教育施設の団体利用の有料化による負担増、がん検診に自己負担3割を強いている。この四つは足立区だけですが、放射能汚染対策を求める区民の、測定器貸出しや食材検査をも拒否していることです。
一方、足立区の基金残高は1,300億円余、23区のトップクラスですが、23区で最も所得が少ない区民に対して、受益者負担を求めて基金をため込んできました。こうした基金のため込みが23区富裕論攻撃に根拠を与えてしまい、財調財源の一部国税化を強行されたのであります。
第4に、区は2015年3月、基本構想策定に当たり区民一人ひとりの人権が尊重され、心豊かに暮らせる足立を協働して築くことを目指すものとすることを基本姿勢とすると答弁したにもかかわらず、構想案には自治基本条例の一人ひとりの人権が尊重されるなどの基本理念が全く視野になく、足立区の骨格をなす基本構想としてはふさわしくないため、賛成できるものではありません。
基本構想は、我が党が提案したように、憲法、地方自治の基本に立ち、各専門部会が打ち出した多様性を認め、安心・安全な暮らし、真に豊かな生活を実現できる、住民力が生きるなど、将来像、基本理念を中心に据えるべきです。
基本構想の改定の視点として、公共の果たす役割は何かを明確にする必要があり、住民の権利からのアプローチなど、新しい概念を取り入れていく必要があります。
環境権は、人は尊厳と福祉を保つに足りる環境で、自由平等及び十分な生活水準を享受する基本的権利ですが、憲法25条の生存権や憲法13条の幸福追求権として学説上、承認されており、条例化すべきであります。
また、札幌市では子どもの最善の利益を実現するため、子どもの権利条約で重視されている意見表明権、余暇・休息、遊び、文化の権利などを明記した条例を制定しました。こうした条例に学び、学校など、あらゆる教育の場で子どもの意見表明権、余暇・休息、遊び、文化の権利などを含む条例を制定すべきです。
我が党が提案したような憲法、地方自治の基本に立ち、やさしさ、希望、魅力あふれる足立区を目指すべきであることを指摘し、討論を終わります。