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●第69号議案 足立区個人情報保護条例の一部を改正する条例について反対討論−ぬかが和子(2014年6月30日)
◆ぬかが和子 議員 ただいま議題となりました第69号議案 個人情報保護条例の一部を改正する条例について、日本共産党足立区議団を代表して討論を行います。
本条例案は個人情報保護強化の名目で、地方公務員法の適用外だった民間人への罰則を強化するものです。個人情報を守ることは何よりも大切なことですが、本改定案には重大な問題があり、反対するものです。
第1に、本条例案は区役所本体業務の強引な外部委託のほころびを繕うために改定をしようとするもので、強引な外部委託をしなければ必要ない条例改定です。
1月から始まった全国に例のない規模の戸籍業務の外部委託により、重大なプライバシーを丸ごと民間人に委ねることになりました。続いて、国民健康保険の8割から9割、介護保険業務の6割、児童福祉や税務まで外部委託を拡大することを宣言し、これにより婚姻歴や離婚歴、本人も知らない戸籍上の情報や税金の滞納情報、個人の所得情報、破産歴の有無、生活保護者リスト、通院歴やエイズ、精神医療、結核などの疾病の情報、ありとあらゆる情報の塊を民間企業が扱うことになります。
区民や議会から批判が出される中、区も個人情報保護についての懸念を認識し、区役所本体業務の外部委託実施後の今年3月に、慌てて特定委託業務調査委員会設置条例を設置し、業務の簡素化にも逆行する施策展開を行ってきました。
しかし、3名の専門家が年に数回会議を行い、現場をチェックする調査委員会ができたからといって、この間流出したようなケースを防げるものではないことを区自身が委員会で認めていました。
そこで、更に屋上屋を重ねるように急いで出されたのが本条例です。
これにより、区民の個人情報を保護するための本条例は、外部委託補完条例の側面を持つ条例へと変質することになるものです。
もともと区役所本体業務は公権力の行使が伴う業務であり、区民の人権とプライバシーを守る役割が地方公務員に与えられています。
地方公務員法により、正当な理由なく職務上知り得た秘密を漏らした場合、処罰の対象となり、退職後も生涯にわたって守ることが義務づけられた厳しいものです。これを守らなければ、単に罰則だけでなく、公務員の人生をも左右されます。これは、区民の秘密を知り得る機会の多い職務だからこその規定です。
外部委託で契約ごとに業者がかわれば、その秘密を知り得る従事者、関与者が飛躍的に広がり、情報漏えいの危機が高まります。その関与者の人事権は会社にあり、区の権限は全くありません。
「私たちの大事な情報を扱うのは公務員だから安心できる。民間にさらさないで」との区民の声にあるように、変えるべきは本条例ではなく、外部委託に突き進む区の姿勢です。
第2に、条例案の内容自体が重大な問題を含んでいます。強引な外部委託のほころびを繕うために、本条例では意図的な漏えいや悪意が全くない場合でも地方公務員並みに罰則を科すことを柱にしたことにより、逆に重大な問題点を生み出すことになります。
有期雇用終了後などに、民間従事者がたまたま知り得た情報を晩酌などで会話にすることも処罰の対象になるわけで、問題になった秘密保護法の足立区版のようなものになります。
しかも、国の法や都の条例の枠を超えた規制をすることにも疑義があります。
第3に、幾ら条例を強化しようとも、本当に個人情報を守る力にはなり得ません。
公務員は全体の奉仕者、公僕としての意識、モラルに基づいて職務を行い、区民は暮らしと人権と情報の保持が保障されています。身分も不安定な数カ月の有期雇用者、派遣社員や契約社員に罰則規定だけを強化したからといって、同等にはなり得ません。
退職後もこの条例の罰則規定を適用すると言いますが、戸籍の外部委託ではその大半が有期雇用の非正規職員であり、3カ月だけ従事した民間人多数を生涯にわたって監視するというのでしょうか。実効性がないことは、過去に個人情報保護条例違反で罰則適用された例がないことからも明らかです。
第4に、区民の声もルールも全く無視した異常な条例制定のやり方だということです。
この条例改定に当たって、委員会報告後に個人情報保護審議会やパブリックコメントを行う体裁は整えました。しかし、実際には異例尽くしでした。当該委員会には、罰則の範囲も対象も何一つ考え方は示さず、パブリックコメントを行うことを宣言しただけで、公務員並みに悪意がない場合も罰則を科すのかどうかなどの質問にも、一切具体的な答弁はありませんでした。
個人情報保護審議会でも方向性を確認しただけで、更にパブリックコメントでは通常パブコメの意見をそれに対する区の考え方とともに公表し、その後の委員会に初めて条例改定案を出すものなのに、パブコメの結果公表と条例案審議を同時に行うという異常なやり方でした。
区が考える条例改定が先にありきで、区議会委員会、個人情報保護審議会、パブリックコメントを追認機関として利用するかのようなやり方は、住民自治の仕組みを上からの押しつけのために悪用するやり方であり、許されるものではありません。
パブリックコメントには、この区の在り方を心配するたくさんの方々の声が寄せられ、その全てが区のやり方への批判と否定の意見であり、区は何一つパブコメの意見を反映しませんでした。
寄せられた意見は、「民間人に罰則を強化しても守られるとは思わない。派遣社員になると労働期間も短く、次々と人がかわれば守秘義務も守られるとは思えない。この条例改正は戸籍窓口業務の民間委託を行うために計画したものであり、条例改正は必要ない。」「今回の過ちをごまかすような個人情報保護条例の一部改正に反対である。低賃金で不安定雇用の多い民間労働者にも公務員と同じような罰則規定を設けるのは不自然である。」「区は外部化の目的は、サービス向上、窓口時間の短縮、他の施策に人と財源投入ができると説明しているが、現実の窓口は大混乱で、今後外部化に伴う経費は年間約10億円。この区民のお金が大企業に流れていくことに納得できない。我々は税金を個人企業にもうけさせるために払っているのではない。公的サービスは個人のプライバシーに深く入り込む中で提供される。罰則強化は本質的問題の解決にはならない。」「公務員の責務は、区民の相談を受け、豊富な経験と知識で対応していくこと。それでこそ適切な処理やアドバイスができる。民間委託ではプライバシー保護もできない。条例改正は必要なく民間委託をやめるべき。」どれも真剣に足立区の在り方を心配しているものです。この区民の声を受け止め、きっぱりと大もとの外部委託方針を撤回することこそが個人情報を守る最大の力だと指摘し、討論を終わります。