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●高齢者福祉と子どもの貧困対策について−山中ちえ子議員(2015年9月29日)
◆山中ちえ子 議員 私は、初めに高齢者福祉について質問します。安倍政権は、国の骨太方針2015で社会保障費を毎年5,000億円削減する一方で、公的サービスは産業化を拡大し、公的保険外のヘルスケア産業を10兆円市場に先導しようとしています。
こうした方向が推進されれば、更に貧困と格差が高齢者に広がり、自治体の高齢者福祉に大きなしわ寄せが押し付けられることになります。足立区として、区民の命の尊厳を最大限に守るため、骨太の方針2015による社会保障の集中削減などの撤回を国に求めるべきと思うが、どうか。
2025年には、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になることから、介護保険は大きく立て直しが必要です。ところが、今、進められている介護保険改革ではサービス削減や介護報酬の引下げなど、全くの逆行となっています。今、介護問題にどう立ち向かうのか、どういう役割を果たしていくのか、住民の暮らしと福祉を支える自治体としての覚悟が問われています。
介護保険の発祥の地とされるドイツでは、公的介護制度が福祉と保険の二本立てで、保険で対応し切れない貧困者、困難ケースは、福祉制度で給付されています。
足立区でも福祉施策の充実が必要ですが、区として、医療、介護、福祉の再構築をするため、基本構想の見直しの中で、福祉職員の増員、地域包括支援センターの体制強化、介護保険サービス以外のサービスなど、福祉施策の充実を図るべきと思うがどうか、答弁を求めます。
次に、要支援1、2と認定され、介護サービスを受ける人の8割以上が訪問介護、通所介護、通所リハビリを利用していましたが、改定によってこれを廃止し、地域支援事業に新たなメニューを設け、要支援者に代替サービスを提供するとしています。
これには人員基準、運営基準もなく、全て自治体の裁量任せ。しかも、事業予算には上限が付けられ、自治体は国から給付費削減が義務付けられています。サービスが後退するのは、火を見るより明らかです。
2014年5月の衆議院厚労委員会で、京都のヘルパー連絡会代表世話人の浦野喜代美氏は、軽度者と言われるが、要支援者こそ要介護が潜在しており、専門的なケアが必要。その方の疾患、悩みに寄り添い、ただの家事代行ではない家事援助をする。信頼関係を日々のケアの中で育み、問題を解決していく。その中で利用者は安心して自分でできることを一つずつ、自分でやろうとする。それが自立なんだと強調しています。
しかし、要支援者のサービス利用単価を低くしてしまっては、サービス事業所が要支援の利用を制限しかねません。全ての要支援者に移行後も介護予防訪問介護、通所介護などを提供できるよう工夫すべきだが、どうか。
また、区として多様なサービスAなど、ボランティアなどが主体となるサービスについては、現行基準を緩和せず、指定事業者の基準は現行予防給付と同一とし、緩和した基準によるサービスは導入するべきでないと思うが、どうか。
総合事業への移行に当たって、住民ボランティアなどのサービスは、現行サービスの利用を維持した上でプラスアルファとして新たなサービス、資源をつくるという方向を堅持すべきだが、どうか。
介護保険サービスの利用の相談があった場合には、基本チェックリストだけではなく、これまでと同様に要介護認定申請の案内を行うべきだが、どうか。
総合事業を希望する場合でも、要介護認定申請を受け付けた上で、地域包括支援センターへつなぐようにすべきだが、どうか。
総合事業へのケアマネジメントについては、現行の予防給付のケアマネジメントと同様に、居宅介護支援事業者への委託を可能とし、現行額の委託料を保証するべきだが、どうか。
また、簡素化マネジメント、初回のみマネジメントは導入するべきではないと思うが、どうか。
参議院厚生労働委員会の附帯決議にもあるように、地域支援事業への上限を理由にした利用者の相当サービスの抑制はしてはならないと思うが、どうか。
以上、答弁を求めます。
次に、国際アルツハイマー病協会では2014年、認知症予防の報告書を公表しました。認知症は予防することが可能であり、認知症を防ぐためには、第1に糖尿病、高血圧の対策と治療を行うこと、喫煙を避けることも認知症予防につながります。
第2に、記憶をつかさどる脳の海馬の萎縮を抑える有酸素運動を行うこと。
第3に、原因物質と考えられる脳の老廃物、アミロイドβは睡眠によって排出されることがわかってきました。そのため、きちんと睡眠をとることが大切です。
第4に、和食中心に牛乳などの乳製品を一定程度摂取することが認知症のリスクを下げることがわかってきました。
これらの対策をきちんと行えば、認知症を5割削減されると報告されています。以上の予防の基本を広く周知させ、発症を抑えるとともに、認知症になっても早期治療につながることができれば、多くの人が大幅な症状の改善が見込まれるという将来展望や認識に立って、総合的に取り組むべきと思うが、どうか。
次に、認知症の前段階である軽度認知機能障がいの時期が5年から10年の期間があるとわかってきました。しかし、正しい認識が広がっていないため、この時期における専門ケアの利用者は決して多くありません。
こうした状況に鑑み、広く正しい予防知識を普及させるとともに、認知機能低下予防につながる対策を講ずるべきだが、どうか。
専門スタッフがいる認知症カフェは、認知症のケアが必要な方々が憩い、家族を含む負担軽減、孤立も防ぐことにつながる大切な機能を持ち合わせ、重要になっています。
区内全ての地域包括支援センターごとに認知症カフェを設置できるよう場所を確保するなど、財政的支援を行うべきだが、どうか。
グループホームは認知症の専門ケアができる施設サービスですが、介護保険法上、補足給付の対象ではないため、利用料が高く、入れない利用者も多いのが現状です。区として、グループホームに補足給付を適用するよう国に対して要望するべきだが、どうか。
認知症の家族会などから、認知症がある場合は要介護1以上と認定するシステムを導入して欲しい。特に、認知症の利用者など難しい相談には事業者の利益とならなくても、真に必要な専門ケアサービスをケアマネが相談者に案内できることが重要になります。
このため、ケアマネがサービス利用前の相談に応えただけでも、ケアマネジャーに報酬を出して欲しい。区として、これらの要望を関係機関に働き掛けるべきと思うが、どうか。
認知症のケアでは関わり方次第で良くも悪くもなるため、疾患の特徴やその関わり方の知識を地域で1人でも多く広げることが大切となります。
現在、区で行われている認知症予防サポーター養成講座を医学の進歩に合わせ、内容を発展させること、講座受講は1回のみではなく、回数を増やし、多様な担い手との協力体制を強め、すそ野を広くしていく必要があるが、どうか。
以上、答弁を求めます。
次に、地域包括支援センターはこれまでも高齢者福祉相談の窓口など9つの事業、役割を担ってきました。困難な利用者などの相談業務等に加え、今後、改正により更に役割が加わった、認知症の方々のその家族などの相談、支援、連携の要となる役割、総合事業などの調整的役割、チェックリスト業務などにも、これまで以上に役割が発揮できるよう、人員の増員を更に一歩進めることは足立区の高齢者福祉全体の中心を強化することとなり、必要不可欠と思うが、どうか。
総合事業でも医師、家族も含めた担当者会議を義務化し、状態が悪くなった方に必要なサービスが必要なタイミングで受けられるよう、適切な時期に区分変更申請ができる体制づくりが必要と思うが、どうか。
地域包括ケアシステムにおいては、在宅での医療と介護の連携の強化が重要です。これまでのケアカンファレンスを強化し、在宅での各サービス担当者、病院、看護師、医師、ご家族が情報を共有でき、療養に必要なことを必要なタイミングで在宅でのサービスが実施していけるような体制をつくる必要があります。
そのために区は、ケアカンファレンスの全各サービスへのインセンティブを検討する考えはないか。また、在宅でのケア、入退院を繰り返している方に関して医療を充実させ、サービスの質の向上、効率化のためにも医療、介護の各担当者の連携が確実にケアに届く必要があります。
例えば、血圧、脈拍、呼吸など数字のデータが患者の命、健康の大切なバロメータとなります。褥瘡や中心静脈栄養など、退院後も継続する必要のあるケースは状態の情報交換、必要なケアの注意点など、多くの必要な連携があります。
これらが必要な際に、アクセスしたら届くようなコンピュータでの情報のネットワークづくりは、医師、看護師、各サービス担当者などが質の良いケアを提供したいと強く求めています。区が応援する必要があると思うが、どうか。
以上、答弁を求めます。
今年の6月に行った我が党の区民のアンケートでは、施設やサービスが増えても、働く介護職が減っている状況では、どのサービスでも命の尊厳にこだわったケアが受けられなくなるのではないかなどの意見が多く寄せられました。
看護、介護職が働きやすい環境を整え、役割がしっかり果たせるよう介護職を増やし、利用者の尊厳が守られるケアへの支援が必要と思うが、どうか。
介護報酬は過去最悪の引下げが行われ、介護保険サービスの事業所の存廃が問われる事態となっています。認知症グループホームでは3割が赤字と報道されています。
看護強化型訪問看護ステーションなど、医療、介護に必要な連携をケアマネ報酬の集中減算の対象から外すことと、2.27%の介護報酬の引下げをもとに戻すなどの再改定を行うよう国に求めるべきと思うが、どうか。
高齢者福祉の問題として、住宅対策も焦眉の課題となっています。UR団地の借り上げを行い、高齢者に低家賃住宅を供給してはどうか。また、都営住宅の新規建設を関係機関に要望するべきと思うが、どうか。
日常生活動作は安定しているけれど、1人での暮らしに不安なケースは多いんです。シルバーピアやケアハウスの増設を推進するべきだが、どうか。
以上、答弁を求めます。
次に、区長は今年を、子どもの貧困対策元年と位置付け、全庁的な取り組みを開始しました。区の取り組みにとって、1人でも多くの子どもたちの未来が拓くことを願い、質問をします。
貧困の連鎖を断ち切るためには、経済的な負担、不安を取り除き、安心して子育てができるようにするべきです。
また、区は対策として教育を重視すると言いますが、単にテストの点数を上げることに終始するのではなく、子どもたちが将来を展望できることが学習意欲につながります。そのためにも、親が子どもに向き合える時間を保障し、信頼関係を構築していくことが必要です。区長の考えを伺います。
対策の基本方向として、職の保障、学習権の保障、高校だけではなく、大学などの進学保障、労働生活への連結施策、この4つの方向が必要と考えるが、どうか。
支援は要保護世帯のみならず、働きながら子育てをしている低所得者層も対象に取り組む必要があるのではないか。以上の考え方を盛り込んで、全国に先駆け、子どもの貧困削減条例をつくる考えはないか。
また、世田谷区では子どもの居場所づくりや若者支援の事業に当たり、個々の状況に合わせた意見表明の機会を創出し、当事者である子ども、若者の意見を事業の実施計画に反映させるための取り組みがされています。
日本では政策決定の際、子どもに影響を与える全ての事柄について、子どもの意見の尊重や参加が促されていない状況であり、国連・子どもの権利委員会からも指摘されています。
子ども・若者育成支援推進法をつくる際に参考とした、イギリスの子ども・若者支援施策では子どもの声を聞くこと、子どもの声を施策に生かすこと、これが柱の1つとなっています。
足立区でも区の計画策定、居場所づくりや個々の施策に当事者である子ども、若者の参加を盛り込むべきと考えるが、どうか。
以上、答弁を求めます。
次に、具体的な施策のうち経済的な負担を減らし、親が子どもと向き合える環境についてです。
第1に、実質賃金が減り続けている昨今、子を持つ親が2人で家計を支えている世帯が増えています。労働環境の悪化も重なり、我が子に向き合う時間が減っている状況が多くあります。子育て中の親子にこの時間の保障をすることこそ、大切ではないでしょうか。
親が関わる学習支援が学力向上に大変効果があるとの統計も出ています。小・中・高校の子育て中の親、労働者は、夕方には仕事が終わる社会への法整備を求める必要があると思うが、どうか。
第2に、ひとり親世帯への区独自の支援である親に対しての学業、就労支援は問合せがあっても、なかなか使うに至らないケースが多いと聞きます。
その理由として、子どもの預け先である保育園の入所が困難との状況があります。子ども重視の働き方ができるような支援を個別に丁寧にできるようにすべきと思うが、どうか。
第3に、高校中退の若い親がひとり親となり、困難な生活を送るケースも多く、この打開策の一助となりますが、高校卒業程度認定試験合格支援事業も相談が多いのに、利用に至るケースは少ないのが現状です。
切迫した貧困の上、小さい子を1人で見ているとなれば、自立に必要な学業に目が向きづらいのではないでしょうか。
加えて問題なのは、この事業は研修が終わった時点でかかった額の30%しか給付されない。その後、試験に合格すれば残り全部が支払われますが、これでは途中で経済的に困った場合には辞めざるを得ない判断を招きやすいのではないでしょうか。暮らしに必要なだけの給付金の増額が必要と思うが、どうか。
この試験に合格すれば、国家試験合格を応援する高等職業訓練促進給付金事業の支援が利用できます。しかし、学費が高ければ、実際には賄い切れない状況となっており、改善が必要と思うが、どうか。
第4に、給付制の奨学金制度を国に求めるとともに、区独自でできる支援を行うべきと思うが、どうか。
子どもたちの食の保障が必要です。イギリスは2020年までに貧困の子どもを根絶すると宣誓し、昼食だけにとどまらず、朝食クラブといって朝食の提供を小・中学校において、登録制で行っています。貧困対策という角度からも、思い切って食の保障となる給食費の無料化で、負担軽減を検討してみてはどうか、答弁を求めます。
次に、居場所づくりについてですが、居場所を兼ねた学習支援とひとり親家庭の学習支援において、学生ボランティアの果たす役割は重要です。
子どもとの愛着関係、信頼関係をつくれることにより、その子の未来も拓けていきます。そのためにボランティアの活用と質を高める計画も同時に重要と思うが、どうか。また、専門家との相談体制が必要と思うが、どうか。
スクールソーシャルワーカー、SSWは声なき声を拾い、福祉の視点を学校に導入する大切な役割を持っています。SSWの活動により、給食費未納、不登校、ネグレクトがあるケースに母親の真のニーズを探り、主体性に焦点を当てた支援で母親がボランティアに参加するまでになった例があります。
また、先日の区主催の勉強会で示された日本社会事業大学大学院特任教授による川崎の男子生徒殺害事件の分析は区民の命、心を預かる責任あるものに対して貧困が招く、子どもを巻き込んだ問題を打開するためには、SSWの役割が重要だと強烈なメッセージが込められていました。
しかし、足立区においてSSWは現在3人のみであり、しかも、毎日の勤務体制ではありません。他の自治体では、SSWの正規職員を11人採用するなど、実績をつくり始めています。計画的にSSWの養成支援と同時に、思い切った増員を考えるべきだが、どうか。
居場所づくりは、子どもの居場所を点在化する有機的なネットワークをつくる、居場所につなぐ人を探す、居場所で人と人をつなぐ、居場所があることで孤立を防ぐ、以上の角度から心ある地域の有志との連携により、区内各所に居場所づくりを進めるべきと思うが、どうか。
小学校に行くことが困難な児童の支援をしている民生委員は、副担任先生が待ち受けてくれたから、安心だった。しかし、いなくなってから、子どもの心のつながりのネットワークがなくなってしまったと話します。余裕を持って一人ひとりの生徒と向き合い、寄り添える体制づくりが必要です。
SSWとともに担任の先生が一緒になって困難を抱える子どもに向き合えるよう、30人学級の実現が必要と思うが、どうか。また、副担任制度の復活をすべきだが、どうか。
以上、答弁を求めまして、この場からの質問を終わります。
[拍手する者あり]
○高山のぶゆき 議長 再度、傍聴人に申し上げます。傍聴人は傍聴席において拍手をしたり、発言をすること、また、席を離れたり立ち上がったりすることは規則で禁止されております。ご注意申し上げます。
答弁
○高山のぶゆき 議長 再度、傍聴人に申し上げます。傍聴人は傍聴席において拍手をしたり、発言をすること、また、席を離れたり立ち上がったりすることは規則で禁止されております。ご注意申し上げます。
◎橋本弘 福祉部長 私からは、まず、国の骨太の方針2015についてお答えします。区はこれまでも調整交付金の適正化や特別養護老人ホーム等の用地取得費、介護人材の確保・定着など、特別区長会を通じて、国に対し要望してまいりました。
今回の骨太の方針2015につきましては、周辺自治体とともにその対応について検討してまいります。
次に、福祉施策の充実についてのご質問ですが、当区においては平成30年頃を境にサポートを必要とする方の割合の多い後期高齢者と前期高齢者の数が逆転します。また、生活保護や障がい福祉などの分野においても福祉需要が高まっていくものと思われます。
基本構想、基本計画には、こうした福祉需要に対して安定的に必要とされる福祉サービスを提供し続けるための道筋を示す必要があると考えております。
福祉職員、地域包括支援センターにつきましては、需要に見合った体制を検討するとともに、介護保険外サービスをはじめ、福祉施策全般につきましても時代の要請に合わせ、メニューの再構築を図ることで充実してまいります。
次に、介護予防・日常生活支援総合事業について一括してお答えいたします。
介護予防・日常生活支援総合事業への移行は、利用者が必要とするサービス水準に合わせたサービス提供体制を整えるものであります。国が提案しておりますサービス提供体制は、規制を緩和したものやボランティアなどによるものを含め、多様な担い手による柔軟なサービス提供体制であり、利用者が一概に不利益を被るものではありません。
介護予防・日常生活支援総合事業に移行した後にも、現行の介護予防訪問介護、介護予防通所介護を利用されている方のうち、現行サービス相当が必要な方には、そのサービスを利用していただいてまいります。
ボランティアなどによる多様なサービス提供は、担い手の生きがいづくりにもつながることから、重要であると考えておりますし、利用者側からも必要で、期待されるサービスであると考えております。
ボランティアによるサービスを介護予防日常生活支援総合事業の枠外とし、プラスアルファとするかも含め、提供体制の構築の中において緩和した基準によるサービスの在り方について検討してまいります。
次に、介護認定の申請権についてお答えいたします。介護予防・日常生活支援総合事業の利用を希望される方につきましては、地域包括支援センターでご相談をお受けしていますが、相談の内容などにより認定が必要と判断される場合は当然、介護認定申請をお勧めいたします。
一方、ご本人が希望されない場合でも、介護認定申請を勧めることは今回の制度改正の趣旨に反するだけではなく、ご本人にとっても負担となりますので、不必要な干渉を行うことは考えておりません。
次に、介護予防・日常生活総合事業におけるケアマネジメントの在り方につきましては、現在、検討を進めておりますが、利用者及び関係者が混乱しないよう配慮すべき事項と認識しております。
簡素化マネジメント、初回のみマネジメントの導入については、自治体が判断することとなっておりますが、サービス利用者の負担、事業者の負担、また、適正なサービス提供体制の確認など、様々な点に配慮しつつ、その導入の可否も含めて検討してまいります。
なお、委託料についても国の基準に基づき、適切に判断してまいります。
介護保険制度の運用においては、地域支援事業の上限は定められております。上限を理由としたサービスの抑制は考えておりませんが、貴重な限られた財源を大切にし、適切なサービス体制の構築を進めてまいります。
次に、認知症に関する質問にお答えします。認知症に関する研究は日々進歩しており、認知症予防のためには区民の皆様にお伝えする情報が非常に重要であると認識しております。
今年度から各地域包括支援センターに認知症専門員を配置し、様々な取り組みを実施しておりますが、早期発見、早期治療のためにも適切な情報の提供が重要でありますので、最新の情報を収集し、発信できるよう取り組んでまいります。
次に、軽度認知機能障害に関するご質問についてお答えします。軽度認知機能障害の予防につきましては、早期発見、早期治療が重要であります。
区では、軽度認知機能障害についての普及啓発のため、昨年度、東京都が作成した「知って安心認知症」の足立区版を作成しました。この知って安心認知症を、認知症サポーター養成講座、介護予防教室等、区民が集まる場で広く配布し、正しい知識の普及とともに、自らが認知症の症状に早く気が付いて行動できる普及啓発を進めています。
また、各地域包括支援センターにおいて、もの忘れ相談事業を実施しておりますので、気軽にご相談いただけるよう周知してまいります。
次に、認知症カフェに関するご質問にお答えします。認知症の在宅介護において、認知症を患っているご本人の居場所の確保、また、ご家族の孤立化を予防、解消することは重要であります。認知症カフェは、認知症の方とその家族介護者が一緒に利用できる居場所を提供するもので、区内では現在5カ所のカフェが設置されております。
今後、各地域包括支援センターに配置された認知症専門員を中心に、それぞれの担当地域に1カ所ずつ整備するよう進めてまいります。
次に、グループホームの補足給付についてでございますが、グループホームや有料老人ホームは施設サービスではないため、補足給付の対象となっておりません。区として、グループホームへの補足給付の適用を国に要望する考えはありません。
次に、制度改定の要望についてお答えします。要介護度につきましては、定められた基準に基づき審査が行われています。したがいまして、認知症であることだけをもって、要介護1以上にすることは適切ではないと考えております。
また、介護サービスの利用前は介護保険制度の対象となっていないため、ケアマネジャーに報酬を出すことは困難でございます。小規模多機能型居宅介護サービスにつきましては、地域包括ケアシステムの1つのツールとしての利用が期待されており、今回の改定により加算が新設されています。したがいまして、これらのことについて国に要望する考えはございません。
次に、認知症サポーター養成講座についてお答えします。現在、区で行っている認知症サポーター養成講座は、認知症に関する基礎知識を習得、認知症の人やその家族への支援の在り方などについて、全国キャラバン・メイト連絡協議会作成の標準教材を用い、区が実施主体となり開催しております。
昨年度は1年間で82回、2,252人の方に受講していただきました。今年度は区内警察署も含め、8月末現在、48回、1,720人の方に受講していただいております。今後も様々な団体等と協力し、認知症サポーターの育成に取り組んでまいります。
次に、地域包括支援センターの強化についてお答えします。各地域包括支援センターには、本年4月から認知症専門員として新たに1名を追加配置しております。
後期高齢者人口が増加し続ける中、認知症関係者だけではなく、様々な困難事例が寄せられております。地域包括ケアシステムの構築に際しても、各地域包括支援センターが中核的な役割を担うことから、担当地域の在り方、配置人数の在り方など、様々な角度から機能強化のための検討を進めてまいります。
また、地域包括支援センターのバックアップ機能を持つ基幹地域包括支援センターの強化にも努めてまいります。
次に、区分変更申請の体制づくりについてお答えします。これまでも介護サービスが必要な方には、適切なタイミングで介護認定の区分変更申請を勧めてまいりました。今後の総合事業の中でも引き続き、区民の皆様に適切なサービスが提供できるよう関係者の皆様と連携し、取り組んでまいります。
次に、ケアカンファレンスについてお答えします。在宅における医療・介護の体制を確実なものとするためには、退院時も含めた定期的なケアカンファレンスが重要であります。今後、医療・介護連携を推進していく中においても重要課題の1つであり、しっかりと取り組んでまいります。
しかし、医療・介護ともに厚生労働省がそれぞれの報酬体系を整えていることなどから、区が単独でインセンティブを付与することは考えておりません。
次に、クラウドシステムの構築についてお答えします。クラウドシステムの構築は医療・介護連携を進めていく中では重要な課題であり、厚生労働省もその導入を進めております。
既に足立区医師会が東京都の補助金を活用し、クラウドシステムの研究を進めており、区もその会合に参加しております。システム運用の主体の在り方や他の自治体との連携の在り方など、不透明な部分もありますが、導入に向けて検討してまいります。
次に、福祉人材の確保についてお答えします。介護施設や介護事業所で働く方の中には、60歳を超えても元気に働くスタッフも2割から3割程度いると聞いております。
しかしながら、10年後、20年後を見据えた場合、更に介護人材が不足することが見込まれるため、新たな介護人材確保策が必要であると認識しております。区では、介護のしごと相談・面接会を開催しておりますが、その他の人材確保策についても介護事業者等と検討してまいります。
また、高齢者の方が安心して生活できる環境を整えるためには、介護スタッフの確保、スキルの向上が不可欠であります。介護サービス事業者連絡会など関係団体と連携し、介護における職場環境の整備、能力向上策などを検討してまいります。
次に、報酬改定についてでございますが、平成27年度介護報酬改定については、介護保険制度を維持するために必要なことであったと認識しております。
今回の報酬改定は引下げの一方、地域区分調整額が18%から20%に増加したことや、介護職員処遇改善加算の充実、サービス提供体制強化加算の拡大が実施されておりますので、一定の緩和があったものと考えております。
介護報酬の引下げをもとに戻すことや集中減算からの除外について国に要望することは、現段階では考えておりません。
次に、ひとり親世帯の親に対する修学支援に関して一括してお答えします。
高校卒業程度認定支援事業及び高等職業訓練促進給付金事業を利用するに当たっては、事前相談の際に、授業料や生活費の確保について十分に相談に応じております。
また、ひとり親世帯に対しては、児童扶養手当や児童育成手当を支給しております。必ずしも仕事の休業を余儀なくされるのではない、高校卒業程度認定試験の学習中における暮らしのための給付金の増額は考えておりません。
次に、高等職業訓練促進給付金事業につきましては、利用に当たり、授業料に対する奨学金や貸付金を案内しております。さらに、東京都では看護師等に関して、卒業後一定期間継続して指定事業者で働いた場合には、奨学金の返還を免除する制度を設けておりますので、合わせて周知を図ってまいります。
給付金の奨学金制度については、現在、国において、ひとり親家庭に対する支援策の充実が検討されておりますので、現在のところ、国に要望する考えはございません。
次に、子どもの居場所づくりにおけるボランティアの活用と質の向上についてお答えいたします。子どもと年齢の近い学生ボランティアがメンターとしてマンツーマンで対応することにより、子どもの相談相手になり、徐々に自己肯定感や社会生活習慣を育みながら、将来の夢や希望を持たせることは大切なことであります。
本事業は、学習支援に実績のあるNPO法人に委託し実施しており、NPO法人が活動目的と行動規範をボランティアに対して徹底させるとともに、適宜、研修を受講させ、子どもとの関わり方や子どもに適切なアドバイスができるよう、質の向上に努めております。
次に、専門家との相談体制についてお答えします。居場所に通う子どもたちの中には深刻な悩みを抱え、家庭や親への支援が必要なことも考えられます。ボランティアが家庭や親への支援の必要性を認識した場合には、管理運営しているNPO法人のスタッフと生活支援課が起点となり、福祉事務所、学校、保健所などと連携し、支援していく体制を構築してまいります。
◎工藤信 都市建設部長 私からは、住宅対策についてお答えいたします。
初めに、UR団地の借り上げについてですが、区内における都営住宅は23区で一番多く、セーフティネット機能は充実しております。このためUR団地を借り上げ、高齢者に低家賃住宅を供給する考えはございません。
次に、都営住宅の新規建設についてですが、都営住宅については老朽住宅の建て替えを優先に東京都と協議しており、23区における偏在解消に努めてまいります。
次に、シルバーピアやケアハウスについては、増設する考えはございませんが、今後、在り方を検討してまいります。
◎秋生修一郎 子どもの貧困対策担当部長 私からはまず、子どもの貧困に対する基本的な考え方についてお答えします。
足立区の子どもの貧困対策は、子どもたちが自分の人生を切り拓き、生き抜く力を身に付ける支援をすることが重要だと考えております。しかし、経済的な保障については、基本的には国の施策として取り組むべきものと考えております。
教育につきましては、基礎学力の定着は重要な施策ですが、それとともに様々な体験活動や異世代交流などによる学びの意欲の向上、自己肯定感を育むことも、子どもたちが生き抜く力を身に付ける上で重要なことと考えております。
合わせて、子育ての不安解消や負担感の軽減を図るための親の支援、親子が触れ合いを深める施策についても充実させていきたいと考えております。
次に、対策の基本方向についてのご質問にお答えします。ご指摘の4つの方向はどれも重要と考えておりますが、区が単独でできることには限界がございますので、国や東京都、NPO、関係機関との連携、協力を図りながら、対策を進めてまいりたいと思います。
また、支援の対象につきましては、要保護世帯だけではなく、子育てをしている低所得者層も対象と考えておりますので、実施計画の中でお示ししていきたいと思います。
続きまして、子どもの貧困削減条例についてお答えします。現段階で制定の考え方はございませんが、現在、策定中の子どもの貧困対策実施計画に基づき、切れ目のない対策を進めてまいります。
次に、計画に子ども、若者の参加をとのご質問でございますが、基本構想の策定に際しましては、中学生、高校生、若者世代のワークショップを実施し、多くのご意見をいただいております。
また、子どもの貧困対策実施計画の策定に当たりましては、パブリックコメントを実施する予定です。さらに、居場所づくりをはじめ、個々の事業についても区内の実績のあるNPOやボランティアとして既に活動している大学生の意見、参加者の需要等も把握し、その中で可能な限り、子どもや若者の意見を取り入れてまいりたいと考えております。
次に、子どもの居場所づくりについての区内各所に居場所づくりを、についてお答えします。ご指摘いただきました6点を含め、子どもたちが生き抜く力を育み、成長していくためには安心していられる様々な居場所づくりが必要であると考えております。
また、地域社会における孤立を防ぐ居場所づくりのためには、区だけではなく、地域や関係団体の様々な人材の育成や資源の活用を図るとともに、それをつないでいく必要があります。
既に地域の関係団体やNPOから問合せや相談をいただいておりますが、今後はそのような関係団体とも連携を図りながら、更なるネットワークの拡大を図り、居場所づくりを推進してまいります。
◎井元浩平 地域のちから推進部長 私からは、親が子どもと向き合える環境と法整備についてお答えをいたします。
国やフレックスタイムの導入や短時間正社員制度など、雇用環境に関する整備を進めております。一方、足立区では労働効率を上げることで、労働時間の短縮を実現するというワーク・ライフ・バランスの区内企業への波及に力を入れております。このように制度改正は進んでおりますので、直ちに法整備は必要ないと考えております。
◎伊藤良久 子ども家庭部長 私からはまず、ひとり親家庭支援制度の利用のための子どもの預け先確保についてお答えします。
保育施設については、申請者の状況によって指数を算出し、より保育を必要とする世帯から順に入所していただいております。ひとり親世帯については、指数の加算を行うことにより、就労状況などが同一であれば、保育施設に入りやすくなるよう配慮しております。
次に、スクールソーシャルワーカーについてお答えいたします。今年度、子どもの貧困対策の一環として3名のスクールソーシャルワーカーを採用し、モデル地区7校を中心に活動しています。今後については、今年度の成果を分析、評価した上で計画的な配置、育成を検討してまいります。
◎宮本博之 学校教育部長 私からはまず、給食費の無料化についてお答えいたします。給食の食材費の負担は学校給食法第11条に基づき、保護者負担が原則とされており、無料化を実施する考えはございません。
なお、現在、小・中学生の約34%に就学援助制度の中で給食費の援助をしており、今後も引き続き、経済的に厳しいご家庭に対しては給食費の援助を実施してまいります。
続きまして、30人学級の実現と副担任制度の復活についてお答えいたします。現在、小学校1年生は国基準により、また、小学校2年生と中学校1年生については、都基準により35人学級を実施し、その他の学年は40人学級となっております。
今のところ、新しい情報はございませんが、引き続き、特別区教育長会等を通じて、少人数学級の拡大を国や都に要請してまいります。
また、副担任制度は平成26年度末をもって終了し、平成27年度からは学力向上のための新たな取り組みとして、そだち指導員や生活指導員などの講師制度を導入いたしました。
現在、学校現場のヒアリングを実施しながら、新制度の検証を行っているため、現段階では副担任制度の復活は考えておりません。
○高山のぶゆき 議長 5番山中ちえ子議員。
再質問
◆山中ちえ子 議員 私の質問に対して、その答弁が少しすれ違った内容であったと思われる2点についてご質問します。
安倍政権における骨太方針である社会保障の大幅削減、毎年5,000億円ずつ削っていくと、その一方で、ヘルスケア産業には10兆円の市場に先導しようとしている。これがこの足立区も含めた自治体に対してぎゅうぎゅうに締め付けるといったことを招いているわけです。
そういった角度から、多大な区民に命にまつわる多大な負担をかけていると言わざるを得ません。ですので、改めてここはしっかりと答弁していただきたいと思っています。
あともう一つは、補足給付の問題です。グループホームの問題ですが、認知症は予防ができると言われて、適切な時期に適切なケアをすれば良くなっていく。グループホームは動けるうちに使えるとか、そういった特殊な認知症の、本当に専門的なケアができる施設である唯一のところです。
ですので、ここはしっかりと今後、認知症のケアを柱としてやっていこうとしている足立として、補足給付に限らなくてもいいんですけれども、グループホームを使いやすい状況にしていくといった内容で頑張っていただきたいなと思っています。ですので、ここも改めて答弁を求めます。
再答弁
◎橋本弘 福祉部長 まず1点目の骨太の方針2015についてですが、これは国の基本方針を示すものと受け止めておりますので、具体的な政策とは受け止めていません。したがって、直ちに撤回を求めるのではなく、周辺自治体と内容を検討するとご答弁いたしました。
この方針に基づいて区の福祉行政に見過ごすことができないような政策が示された場合には、他の自治体、特別区と協議して、場合によっては国に意見を上げていくことがある、その可能性もあるかとは思っております。
認知症グループホームについては、決して答弁が漏れているとは思いませんが、認知症のことについてはグループホームも含めて、区の政策としてきっちりと取り組んでいきたい、こう思っています。