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足立区個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例について―ぬかが和子議員
◆ぬかが和子議員 ただいま議題となりました第168号議案 足立区個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例について、日本共産党足立区議団を代表して討論を行います。
本条例案は、自治体としてマイナンバーを利用する範囲を定めるための、いわゆるマイナンバー利用条例です。
そもそもマイナンバー制度によって便利になると政府は言いますが、政府自身が全住民に送付した案内に記載しているメリットのほとんどが、1月の制度実施時には利用できません。それどころか、実際には重大な問題が何点もあります。
第1に、プライバシー侵害やなりすましなどの犯罪が常態化する恐れがあり、個人の情報漏えいの危険性が飛躍的に高まるという点です。1つの個人番号を官民共通で広く使っている国はアメリカなど少数です。アメリカでは個人情報漏えいが大問題となっており、2014年には1,760万人が総額1兆円被害を受けています。なりすましや情報漏えいの多さに、米軍・国防省は共通番号の使用をやめました。韓国ではレンタルビデオ登録にも番号カードが必要ですが、何と総人口を超える1億4,000万件の漏えい個人情報が発覚しました。日本でも、制度の運用前から、既にマイナンバーをかたっただまし取りや詐欺事件が相次ぎ、消費者庁が注意喚起をする事態になっています。
行政側からすれば、国民の所得、社会保障給付の状況を効率良く把握できる反面、国民にとっては、分散していた個人情報の収集を容易にするマイナンバーが一度外部に漏れ出せば、悪用され、個人のプライバシーが侵害される危険は飛躍的に大きくなります。特に自治体情報を集約する2カ所の中間サーバーが狙われれば、膨大な個人情報が漏えいする危険は避けられません。
第2に、人格権を侵すという点です。マイナンバー法の正式名称は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」、つまり、特定の個人を番号で識別するため国家が国民を番号で管理するというものです。
ドイツでは、一つの番号で個人の情報を国家が集約管理することは、人格の尊厳、人格権を侵害すると断じており、導入しないことを選択しています。
イギリスでも、いったん導入を決めた国民IDカード法を人格侵害への危険があることなどから廃止しました。こういった世界の流れに逆行する制度は認められません。
第3に、大企業のもうけの道具になるということです。国の初期投資だけでも3,000億円、初年度は1兆円を超す巨額プロジェクトと言われ、大企業などは数兆円規模のマイナンバー市場に沸き立っています。
マイナンバー検討委員の企業7社が関連事業の8割を独占し、厚生労働省の担当職員が収賄で逮捕されたことは、マイナンバーが利権・癒着まみれである実態を示したものです。
足立区だけでも2年間で12億円の経費のうち7億円が超過負担となります。導入に膨大な経費を要した住基ネットは無用の長物になり、新たに生じる負担は、結局、全て国民負担として跳ね返るなど、認めるわけにはいかないではありませんか。
第4に、社会保障の削減のツールになりかねないという点です。各自の収入・所得情報が単一の番号で結ばれ、預貯金情報が加わることで、一人ひとりの所得・資産の実態を掌に載せることが可能となります。政府の最大の狙いは、国民の収入・財産の実態をつかみ、税・保険料の徴収強化と社会保障の給付削減を押し付けることにあることが、国会の議論でも明らかになっているではありませんか。
加えて、2回行われた区議会総務委員会の条例審議でも、問題が次々と浮き彫りになりました。
本条例を制定することは、便利になるためではありません。
条例で規定する自治体独自の事務については、子ども医療費助成や障がい者福祉手当など国や都の制度に区の独自の上乗せがある17事務に限って条例に盛り込んでいます。
国がマイナンバー制度を導入したため、自治体が従来条例なしでできていた作業は、条例で利用できる事務として規定しないと、情報の共有や利用ができなくなってしまう。従来どおりやると法律違反になるので、条例で補うに過ぎないことが明らかになりました。
実際に自治体独自の事務を加えたり、住民の手続において、今まで行っていた庁内連携、住民基本台帳や税情報の利用、1枚の申請書類で済むような手続について、マイナンバーを介して情報のやり取りを行おうとすれば膨大な経費をかけてシステム改修を行わなければできません。ですから、区が「マイナンバーを介しての情報のやり取りは行わない」「マイナンバーの記載がなくとも住民からの申請を受け付ける」と質疑で答弁したのも、もっともなことです。
要は、マイナンバーというリスクの高い数字の記載が法制化されたために、今までの事務ができなくなることを避けるためだけです。自治体にとっては事務的にも財政的にも負担ばかりが押し付けられるだけ、住民にとっても、自治体にとってもメリットはないではありませんか。
また、マイナンバーを戸籍や国保などの外部委託の事業者に扱わせることも重大な問題です。条例案では、個人番号の利用を定めた第3条で「当該事務の全部または一部の事務を委託を受けた者も個人情報を検索や利用できる」と、あえて定めています。
戸籍・住民業務や国民健康保険など区役所の本体業務まで外部委託しているためであり、これにより、情報漏えいのリスクが飛躍的に高まることは明らかであり、重大な問題です。
さらに、我が党は繰り返し、見切り発車で進めることは許されないと指摘し、マイナンバー法が成立した後も中止・凍結を求めてきました。
政府自身が約束した11月中の通知カードの簡易書留による配達も遅れ、足立区では現時点でも33万世帯のうち3万世帯が、そして、最終的には4万弱の世帯分が本人のもとに届かずに、区役所に返送される見通しだと、本日の質疑で明らかになりました。大切に扱うことが必要な番号を知ることすらできない人が、制度スタート段階で何万人も見込まれる自体、仕組みの矛盾とほころびを浮き彫りにするものです。1月の利用開始だけを最優先するために、政府自身が定めた個人情報保護の手順も守らないでいいと政府が通達をし、システム導入を最優先してきました。
庁内はじめ区内事業者は不正確な知識で、番号の提出を従事者に求めています。いずれも十分な周知や準備期間がない、見切り発車の中での弊害です。その最たるものが本条例案をめぐる撤回・出し直しの顛末です。
当初提出された第143号議案には、本来条例に規定する必要のない事務が記載され、また、盛り込むべき事項が欠如していました。その訂正箇所は、何と4事務と42カ所にも上ります。そのままの瑕疵のある条例では、今までの事務すら滞りが生じるために、先の委員会で審議・議決した議案を撤回するという尋常でない事態となり、出し直されたのが本議案です。
制度そのものの問題点だけでなく、見切り発車による弊害や混乱の中、不安を感じる国民が8割もいるマイナンバーの利用は、凍結・中止することこそが必要だと強く指摘をしまして、討論を終わります。