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●反対討論−ぬかが和子議員(2016年3月24日)
◆ぬかが和子 議員 ただいま議題となりました第14号議案 足立区職員定数条例の一部を改正する条例について、日本共産党足立区議団を代表して討論を行います。
本条例案は職員定数を大幅に削減するもので、これにより職員定数は、20年前の4,731人に対し3,279人となりました。区が退職不補充方針を持っている現業部門は、もう削るところがなくなった中で、本条例により現業職員以外の部分にまで手をつけようとしています。
その第1は、国保の外部委託による職員削減であり、36名を削っています。9割を外部委託する国保業務は、5年間で20億1,600万円の経費をかけてNTTデータに委ねるとし、取り扱う個人情報は病院歴・通院歴などの医療情報、エイズ・結核・精神医療などの特定疾病情報、区民税などの滞納情報、年金・所得情報、生活保護者リスト等だと個人情報保護審議会にかけていました。当初の契約書・仕様書は、エスカレーションなどの記載が随所にあり、戸籍業務で労働者派遣法違反だと東京労働局から指摘された内容が盛り込まれていました。そのため、1億7,000万円かけて行った業務分析結果はそのまま使えず、平成27年4月からの委託開始を見直すことになり、国保業務の外部委託を1年間凍結し、委託を見越して削った職員分は派遣職員の導入で行うとして1年が経過しました。
これも重大な問題で、派遣会社はNTTデータグループの派遣業者などで、当初NTTデータが再委託という形で丸投げする予定だった企業に、そこに随意契約で、しかも年間予算額はNTTデータのときの予算額と全く同額でした。
続いて、戸籍の是正は完了したとして、平成28年度の4月から国保業務の外部委託をするために職員を大幅削減するのが本条例案です。しかし、この外部委託には二重、三重に疑義と問題があります。区役所本体業務を民間に委ね、最も知られたくないプライバシーに関わる事務も20万人分以上のマイナンバーも、民間企業の多数の非正規労働者が手にすることになります。区自らが今定例会の我が党の代表質問に対し、取扱者の増加により情報漏えいのリスクは高まると認めているではありませんか。
それだけでなく、偽装請負逃れと言われるJV方式に勝手に契約を変更して、4月から行うというものです。JV方式により契約の相手方をNTTデータ単独ではなく、ベルシステム24、ダックスも加え、3者による共同企業体に変更するにもかかわらず、地位の移転条項を活用すれば契約変更は必要ないという異常な解釈に基づくものであり、認められるものではありません。
もともと契約における地位の移転とは、不動産等においての借主や貸主の変更や契約の相手方の破産など、業務が継続できなくなる場合などに適用する民法上の条項です。NTTデータが破産したわけでもないのに、地位の移転条項を活用し、プロポーザルで選考した契約の在り方の大幅変更を公の契約に持ち込むなど例がなく、仮に法制上認められたとしても社会通念上は認められるものではありません。プロポーザル自体が無意味になってしまいます。
受託したNTTデータが自ら事務を行えば生じない問題も、当初、区がやるとしていた再委託をすれば、労働法制上の疑義が生じます。NTTデータがベルシステム24やダックスの派遣事業者を活用すれば、二重派遣になると区自らも語っています。つまり、地位の移転を区が認めること自体が、当初の契約がいかに法令上問題があったかのあらわれではありませんか。
もともとJV方式は、一般的には建設分野でそれぞれ得意分野を分担して施工していくために用いる方法です。プロポーザル方式で決定した事業者を単独からJV方式に移転するなど例がありません。しかも、重大なのは、我が党が「JVでやるなら当然他の自治体で設けているように実施要綱をつくるのか」の問いに、区自らが「建設JV要綱があるので、これに準拠していく」と表明しているにもかかわらず、この建設JV要綱に二重、三重に反しています。
JVは、民法667条により出資配分等を明記した協定書の提出などを行い、組合を設立するものです。偽装請負逃れの手段として使われる恐れがあるから、JVについては民法上の組合の規定に適合するような厳格な用い方が求められています。当然、NTTデータ、ダックス、ベルシステム24から出資を募って企業共同体をつくらなければなりませんが、区は労務の提供で代用するとしています。つまり労務の提供割合が出資割合になり、提供割合の大きい事業者が代表構成員になるルールです。
しかし、今回の委託では、8割の労務提供をするのがベルシステム24であるにもかかわらず、NTTデータが代表構成員となり、要綱に反するものです。区の建設JV要綱では、3者JVの場合の出資割合が各社10分の2以上と定めていますが、8割がベルシステム24では、これにも大きく反します。
更に重大なのは、指名停止処分となっている事業者がその主な業務を担うとしていることです。区は、指名停止処分は新たな入札参加事業者に対するもので、既に契約している事業者には該当しないと言いますが、そのために地位の移転までして新たな契約としないのではと疑わざるを得ません。
加えて、経費的にも直営に戻した方が年間で1億7,000万円も安く済むことは、財政課のチェックも受けた我が党が提出した予算修正案の国保事業の積算によっても明らかになっています。しかも、当初、区は外部委託によって浮いた人材を他の行政課題に回すことでサービスの向上が図られると言っていましたが、これも事実と大きく異なることが本条例案の審議で明らかになりました。
区は、生活保護の適正化や徴税強化部門へ増員したと答弁しました。これ自体がサービスの向上とは言い難いだけでなく、他の部署に回した人員を上回って大幅に削減をし、区長部局全体で27名の減になっている事実は、浮いた人材を回していないことの何よりの証明ではありませんか。
以上のように、国保の外部委託を進めるために区職員を大幅削減することは区民にとって大きなマイナスであり、到底認めることはできません。
第2に、保育職員の大幅削減だけでなく、その職員定数に欠員が生じているにもかかわらず、新規採用を全く行ってこなかったことです。職員定数を満たさない欠員は、昨年は28名、今年も22名生じています。このため、公立保育園では派遣職員の導入は原則育休・病休対応で行うというルールに反し、年度当初から大量に派遣の保育士を導入して補うとしています。
小1プロブレムや中1ギャップ同様に、新しい乳幼児が大量に新生活を始める新年度の保育園現場も大変な状況であり、安定した体制で臨むのは当然のことです。この大変なときに、保護者対応もできない派遣保育士で欠員を埋めるから良いという話には、なり得ません。しかも、今は保育の人材不足であり、派遣会社でも人が集まらない、やっと決まった「補助業務なら対応できる」というような派遣保育士に、急遽あすから行ってくださいなどと派遣を行い、一人前の保育士としての部署に行くことになり、現場ではこれを補わなければならなくなります。これで何が教育大綱で言う、次世代の子どもたちの成長を支えるなどと言えるのでしょうか。
しかも、退職不補充方針でない保育現場で、8年間も新規採用を行ってこなかったことにより、公立保育園では世代の分断・偏在となり、若い正規の保育士がいなくなりつつあります。言うまでもなく、保育現場では経験のあるベテランの保育士と若い活力ある保育士がバランスよく混在していることがより良い保育の保障となります。若い保育士が一切入ってこなければ、保育経験の蓄積も継承も途絶えてしまうではありませんか。
委員会で、区は、将来の民営化を見据えて、そのときに保育士が余っていてはいけないから、今、新規採用しないと答弁しました。しかし、将来の民営化のために今の欠員状態を放置し、そして今の子どもたちに不利益を負わせることは全く道理がなく、絶対に許せるものではありません。
以上の理由により、本条例案は到底賛成できるものではありません。区は、行き過ぎた定数削減や不適切な新規採用見送りにより、子どもや区民に影響を及ぼしつつある現状や、外部委託によって人件費は減ってもそれ以上に委託経費が増大していることも直視し、姿勢を改めることを強く求めまして、討論を終わります。