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●代表質問−ぬかが和子議員(2016年9月26日)
- 新年度予算編成方針(依命通達)について
- 社会保障について
- 介護保険について
- 待機児童対策と保育の質の確保について
- 地域経済循環について
- 都市農業振興について
- 外部委託について
- 災害対策、温暖化・環境対策について
- 窓口業務の民間委託の加速化について
- じゃぶじゃぶ池について
- その他
◆ぬかが和子 議員 私は、日本共産党区議団を代表して質問します。
1.新年度予算編成方針(依命通達)について
参院選後、改憲勢力が議席の3分の2を占めましたが、国民は改憲への白紙委任を与えたわけではありません。FNNの調査では、街頭演説で「経済・アベノミクス」という言葉を321回使ったのに対して、「憲法改正」は0回と、遊説で憲法を一切語らず、徹底した「憲法隠し」で選挙をやり過ごしました。
しかし、選挙が終わるや否や態度を変え、改憲に着手すると記者会見で述べました。選挙で述べたことと、やることが違うという在り方は、あってはならないと思いますがどうか。
自民党の憲法改正草案は、9条2項を削除することや基本的人権条項の削除が盛り込まれています。憲法は、9条をはじめ、30条にわたる豊かな人権規定を持つ世界の先進です。日本が変えるべきは、憲法ではなく憲法を守らない政治であり、憲法の理想に現実を近付けることこそ必要だと考えますが、区長はどう考えるか。
次に、厚生労働省の調査によると、世帯ごとの所得格差が過去最大を更新したと、先日、報道されました。新聞社などのアンケート、世論調査では、どこでも社会保障、経済対策への希望が多いのも当然で、若者は、正社員になってもブラック企業で、従来型の賃金体系ではないため、将来の見通しを持てずに人間らしい生活ができない、卒業と同時に、有利子の奨学金返済のために数百万円の借金を抱える若者の貧困、年金だけでは最低生活水準以下になる多数の下流老人など、多くの区民が生活に困っています。この区民に寄り添った区政運営が基本となるべきと思うがどうか。
新年度予算編成方針では、景気回復とともに消費税率の引上げ効果により、地方消費税交付金が68億円増加し、154億円となったと区は述べています。消費税増税で区財政は潤いながら、そのしわ寄せが区民に寄せられていることのあらわれだと思いますが、区長はどう考えるか。
新年度予算編成方針では、今後の見込みの中で、国の景気が予断を許さないことの原因に、海外経済状況のみを挙げています。しかし、実際はアベノミクスによりデフレ脱却の名のもとに物価を上げる目標を持ち、消費税も増税し、消費が落ち込む一方で、大企業は大減税などで史上空前の内部留保となりました。その結果、大企業は3年連続で史上最高の利益に対し、働く人の実質賃金は5年連続マイナスで格差拡大、2年度連続の個人消費マイナスは戦後初めての異常事態になりました。このアベノミクスの失敗が真の要因であると思うがどうか。
予算編成の基本的な考え方では、受益者負担の見直しを実施し、区の安定的な財源となる税外収入の確保を図ると言います。しかし、他の自治体と比べても受益者負担は重く、もうこれ以上、区民に負担を負わせるべきではないと思うがどうか、以上、区長の答弁を求めます。
2.社会保障について
次に、安倍内閣は、参院選が終わったのを受けて、医療・介護の分野であらゆる世代に負担増と給付減を押し付ける改革案をまとめ、主に2017年、通常国会に法案提出をしようとしています。医療分野では、75歳以上の医療費負担の2倍への引上げ、そして後期高齢者医療保険料の特例軽減の廃止で、低所得者保険料が数倍に急増、患者選択の名で3割を超える負担に道を拓く、医療費の適正化計画を策定させて病床削減や患者を絞り込み、一般病床に光熱水費負担を導入し、食事代値上げと合わせて1カ月5万1,000円もの負担を負わせるなど、介護分野では、1号保険料を40歳以下からも徴収することや介護利用料の2倍の引上げも検討され、要支援1、2だけでなく、要介護1、2までも車椅子などの福祉用具貸与や住宅改修などの切捨てや負担増を検討すると言います。これにより、区内約8,600人の要支援者、1万900人の要介護1、2の高齢者が給付の削減の対象になり、認定者の61%に影響を及ぼしかねません。
特別養護老人ホームからも締め出された要介護1、2の人が、今度は生活援助や福祉用具まで保険から外されれば、施設でも在宅でもサービスを受けられない介護難民が大量に生み出され、首相の言う介護離職ゼロなど絵に描いた餅になります。国の社会保障審議会でも、全国老人クラブ連合会や介護団体の代表から、「重症化が進み、命に関わる」など懸念の声が相次いでいます。これらの足立区民への影響について区はどう考えるか。高齢者の生活と命を守るために、10万人を超える非課税の高齢者がいる足立区として強く声を上げていくべきと思うがどうか。
3.介護保険について
足立区でも、10月から介護予防・日常生活支援総合事業(新介護総合事業)を開始し、要支援が介護給付から外れることになります。先行自治体では、「介護外し」や「卒介護」のツールになっています。
私たちは、サービス低下にならないよう繰り返し求め、区も、介護保障の立場から新総合事業への緩やかな移行を行う、現時点では従来どおり全て要介護認定を受けられるように対応する予定です。サービスの後退にならず、地域包括ケアを充実するために、第1に要介護認定の権利を保障し、希望者などが認定を受けられるように、窓口で全ての利用者に認定が受けられることを伝え、本人の意向と同意を形骸化しないように配慮すべきと思うがどうか。
そのためにも、窓口の職員にも研修などで徹底する必要があると思うがどうか。
第2に、チェックリストの内容について、事業者の意見も聞き、内容を充実させ、サービスが受けられなくならないようにすべきと思うがどうか。
第3に、要支援者や要支援相当の人は、行政から状態改善とみなされると単価の低いサービスへの切替えやサービスの終了が求められます。介護サービスからの移行に当たっては、本人と家族の意向を尊重し、説得するなど、強制的にいわゆる「卒介護」という事態にならないようにすべきと思うがどうか。
第4に、新総合事業の報酬について、最大で12%の削減をする区の提案に、介護保険専門部会で事業者が相次いで反対の声を上げました。報酬単価を見直し、今までのサービスが確保できるようにすべきと思うがどうか。
多くの要介護者は、可能なら自宅で心豊かに最期を迎えたいなどの願いを持っています。地域包括ケアは、病院追い出しや医療費削減のためではなく、豊かな在宅ケアの実現の立場から進める必要があります。
足立区でも、地域包括ケア推進会議と専門部会がスタートしましたが、病院から在宅医療・介護への連携を一層、強める必要があると思うがどうか。
区内でも、医療連携を強めた先進的な取り組みもあります。こういった取り組みを広げ、どの地域でも安心して介護を受けられるようにすべきと思うがどうか。
2025年には、認知症患者が65歳以上高齢者の5人に1人、700万人になると予想される中、認知症ケアの一層の充実が必要です。認知症対策は、早期発見・早期介入による予防が重要です。
今年5月から、医師会がアウトリーチによる認知症同行訪問を開始し、地域包括の職員とともに医師が訪問し、開かないドアが開いたことで医療・介護の手が入ったなど、成果も生まれています。この事業を区の事業とし、区内全域に拡大すべきと思うがどうか。
生活困窮者の困難の一つが住宅です。都営住宅の平均応募倍率は23倍で、子育て世帯も一定の広さの賃貸住宅に住むには家賃の負担が重くのしかかります。
国土交通省が設置した有識者委員会は、今年8月、民間の空き家などの活用を増やすために、高齢者や子育て世帯、低所得者に貸出す制度の創設に向けた中間報告をまとめました。
高齢者などに貸出す住宅は、耐震性など最低限の居住環境が必要なため、物件を地方自治体に登録し、国が耐震化やバリアフリー化の改修費用、家賃の一部を補助する、高齢者の見守りなど居住支援のサービスも充実させる、自治体の住宅・福祉部局の連携で高齢者などが円滑に入居できるようにする、低所得者が安い家賃で入居できるというものです。
我が党は、本来、公共住宅を増設すべきだと考えますが、同時に、区内3万5,000戸の空き家のうち、2万5,000戸が賃貸用であり、この有効活用も必要です。
区が行った戸建て住宅などの空き家所有者への調査では、6割以上が条件次第も含めて利活用の意向を示し、区への期待で最も強いのが修繕・解体費用の助成です。この調査も生かし、国と連携して空き家住宅の改善を支援するとともに、区内居住の高齢者、低所得者、子育て世帯、若者への家賃補助制度などで、円滑入居、低所得が安い家賃で入居できるようにすべきと思うがどうか、以上、答弁を求めます。
4.待機児童対策と保育の質の確保について
次に、保育士の確保と育成は、待機児童対策の要です。
2001年度以降、国の構造改革が引き金になり、保育分野は人件費の抑制を目的にした民間委託が加速し、株式会社も次々と参入しました。
足立区では、平成15年には7割あった公立保育所が、今では全体の5割に減りました。この中で保育士の平均賃金は更に下がり、他の職種と比べて月額10万円の格差が生まれ、区内の公私の年収格差は、30代で151万円、50代では293万円にもなります。都の調査では、保育士を辞めようと思う理由の7割が「給与が安い」であり、改善・解決は急務です。
区は、民営化のメリットばかりを強調していますが、人件費の低さから保育士の定着率が低く、保育の質に影響が出る、保育士の待遇改善に逆行するなどのデメリットを明確にし、民営化にストップをかける必要があると思うがどうか。
また区は、公立保育園の完全民営化後の運営先を社会福祉法人に限っていましたが、今後、学校法人・株式会社などへ広げると表明しました。株式会社は利益を上げることが至上命題で、利益追求を怠れば背任行為になります。
全国の株式会社が運営する保育園では、運営費の大半を占める保育従事者の人件費が低く抑えられ、利潤獲得の最大の源です。低い人件費は、保育の質の低下につながります。利益が上がらないための撤退や、保育園での収益を他の事業に回す会社など、全国で問題が起きました。
公的保育の質の維持・向上のために、民営化そのものも中止すべきですが、少なくとも株式会社への拡大はすべきではないと思うがどうか。
保育士不足対策について、区は、全国初の保育士奨学金の返済を支援する補助や都の住宅借り上げ支援などを行ってきました。新しい都知事のもとで、東京都が保育士の家賃補助を5年未満の保育士だけでなく、全員を対象に拡大を検討しています。足立区でも、勤続年数枠の撤廃を行うべきと思うがどうか。
国も処遇改善に乗り出しましたが、来年度予算に先送りし、金額も僅か月6,000円の増額で、決して十分とは言えず、効果的な運用がされる保障がありません。金額を増やすことや、処遇改善加算を含めた人件費が確実に各認可保育園の保育士に届くようにすること、職責や職務内容に応じた給与体系になるよう事業者に義務付けるなど、改善を強く求める必要があると思うがどうか。
区内にある認可外施設において、園長がいなくなり閉鎖される事件が起きました。24時間営業の保育室で、他には預けられない夜の仕事を持つ保護者のよりどころで、12人の乳幼児がいる中での突然の閉鎖でした。
この認可外施設は、新制度の認可施設や東京都の認証保育室ではありませんが、児童福祉法24条の「その他」施設として東京都に届出し、税の軽減を受けていました。しかし、他には一切の補助もなく、保育環境は良好とは言えません。
区内には、同様の施設が13カ所あります。認可保育園の整備が進めば、このような施設に保護者が預けないで済みますが、どんなに待機児童対策を行っても、24時間型のニーズは解消されません。24時間型保育施設の整備と質の確保のため、課題を整理し、支援を国や都に働き掛ける必要があると思うがどうか。
昨年度から、民間保育園等の指導検査の権限が区に移り、今年度から指導検査が始まりました。区では基準を都に倣って設けましたが、保育の質の向上のために結果を公開することや、人件費比率が低いほうが経営の安定性があるといった見方にならないような審査を実施し、真の質の向上につながるようにする必要があると思うがどうか。
新制度で導入された短時間認定によって矛盾が広がっています。短時間認定の保護者は、お迎え時に子どもに向き合うよりも先にタイムカードを押すことが優先になり、事業者の事務も煩雑になりました。
全国には、国には区分を示しても保護者には区分をしないことで、事務の煩雑さをなくし、サービスを後退させない自治体もあります。足立区でもこういった改善を行うべきと思うがどうか、以上、答弁を求めます。
5.地域経済循環について
次に、地域経済循環は、区政の大きな柱です。公の契約において、適正な労働条件により賃金を保障し、区内業者と地域経済活性化支援につなげるという公契約条例の精神を、区のあらゆる契約に生かすことが必要です。
第1に、実施から2年が経過した公契約条例そのものについてです。全く同じ日に条例を施行した福岡県直方市では、足立区と同じように「小さく生んで大きく育てる」とスタートしましたが、既に対象工事金額5,000万円以上を1,000万円以上に拡充し、重層下請が減少したなどの効果が生まれています。
足立区では、熟練労働者・一人親方以外は、同じ職種でも未熟練だとして最低賃金並みの低い労働報酬下限額ですが、直方市では、若手を育成することが重要だからと、足立のような設定はしていません。末端の労働者にまで公契約条例適用工事であることの通知も行っていますが、わかりやすく工夫されています。
足立区においても、条例の精神を生かすために、対象金額の引下げ、末端の労働者にまで公契約条例適用工事であることの通知の改善、未熟練該当による低賃金の労働報酬下限額の見直しを行うべきと思うがどうか。
第2に、130万円以下の小規模工事希望者登録制度が発足して10年になりますが、平成26年の発注件数1,376件のうち、この制度の活用は僅か8件、0.58%と1%にもなりません。また、都内で登録期間を1年としているのが、足立区以外では4自治体、申請期間を1カ月と狭めているのは、僅か1自治体であり、苦労して登録しても仕事は来ないとの声が上がっています。
この制度の「区内に本店事務所を置く小規模事業者の受注機会拡大を図る」という趣旨の実現のためにも、登録事業者数を増やし、所管課が登録事業者を活用するようにすべきと思うがどうか。
そのためにも、他の自治体の状況もつかみ、登録期間や登録有効期間の延長など、制度改善も行う必要があると思うがどうか。
第3に、区はこの間、入札改革を行ってきましたが、一層の改革が必要だと思うがどうか。
とりわけ特定の企業が連続して受注することを防止する、受注後2カ月間の受注制限の拡大、ダンピング防止のための最低制限価格の引上げと低入札価格調査制度の撤廃、リース案件への区内業者の積極的な活用を図るべきと思うがどうか。
第4に、所得税法56条は、家族従事者の「働き分」を必要経費として認めていません。単に青色申告にすればいいという問題ではなく、家族従事者の人格・人権を認めていないことになり、中小零細事業者の暮らしを圧迫し、後継者不足の要因になっています。
国連女性差別撤廃委員会は、政府に見直し勧告を行い、政府の第4次男女共同参画基本計画でも、家族従事者の果たしている役割が適切に評価されるよう税制の在り方を検討するとなっています。
区としても、政府が配偶者控除の見直しに着手する今こそ、所得税法56条の廃止を働き掛けるべきと思うがどうか。
第5に、小規模事業者経営改善助成が9月から始まりました。この制度は、我が党が繰り返し求めて実現した「ものづくり応援助成」を発展させ、全ての小規模事業者を対象にし、経営改善を行い、元気に発展させるための支援策です。
この事業の相談に行った零細事業者は、こんなに親身に応援してくれるとは思わなかったと感激していました。この事業を発展させ、国の「小規模事業者持続化補助」同様に、車両・パソコンなどにも活用できるように改善すべきと思うがどうか。
また、希望者が予算の枠を超えた場合には、補正予算対応をすべきと思うがどうか。
6.都市農業振興について
第6に、都市農業振興基本法が制定され、都市部の農業を大切にしていこうということが明確にされました。23区でも有数の農地面積と多くの農家があり、直売所を設けている農家もあります。
区はベジタベライフ、ベジファーストなどに取り組み、野菜を食べることの大切さを伝えています。区内農業者からは、拠点となるような直売所ができれば、地産地消の取り組みももっと進めて、良質な野菜の提供、農家と消費者の架け橋になるとの意見が寄せられています。JAや農家と連携し、拠点となるような直売所の設置に向け、支援していくべきと思うがどうか。
7.外部委託について
第7に、外部委託受注企業は、ほとんどが区外大手事業者であり、労働法の関係からも「区民を従事者に」などの注文もつけられません。これは公契約条例の精神に反しているのではないか。
例えば、国保事業の主な受託者であるベルシステム24は、正社員が790人に対し、コミュニケーターと言われる非正規社員が2万5,600人で、働く環境が過酷で、1年未満で多くが退社するケースもあります。官製ワーキングプアをつくり出す委託の在り方を見直すべきではないか、以上、答弁を求めます。
8.災害対策、温暖化・環境対策について
次に、必ず起きると言われる首都直下型地震や地球温暖化で加速化する異常気象などにより、国内の災害被害も大きくなっている中、防災対策も温暖化対策も待ったなしです。今年4月に震度7が2回も襲った熊本県、台風10号による東北・北海道での水害など、各地で被害が相次いでいます。
日本共産党区議団は、今月の初めに、被害の最も大きかった熊本県益城町を訪問し、震災から5カ月近くたっても建物の解体すらままならない、つぶれたままの大量の木造家屋などを目の当たりにし、避難所を訪問、仮設住宅の居住者とも懇談してきました。
熊本は地震が起きない地域だとして、国が耐震基準の補正係数である地域地震係数を0.8から0.9と引下げていました。新耐震基準が目指すのは、震度6強から7程度の地震が来ても建物が倒壊しないこととされ、例えば、地域地震係数が0.8だった場合、震度7×0.8で、5.6の震度なら倒壊しないものの、それ以上の震度6、7には耐えられないという計算になります。
一方、静岡県では、独自に1.2倍に引上げる耐震構造の設計指針を持っています。足立区においても、避難所となる学校、庁舎等公共施設の更新時には、公共建築物整備基準によって通常の1.25〜1.5倍の地震対応力で設計していますが、民間病院や福祉施設などの特定建築物などについても、より耐震性を高めるよう指導を強める必要があると思うがどうか。
益城町では、耐震基準を満たしていない建築物がことごとく全壊し、今も再建のめどが立っていませんでした。
足立区では、耐震化率95%の年次目標まで、あと4年ですが、現在83%です。区内には旧耐震基準で建てられた耐震性のない一戸建て住宅が2万弱、共同住宅が4万4,000戸あります。自然更新と耐震補強、除却のペースは年間3,500戸程度であり、これまで以上のペースで建て替えを含めた耐震化を進めなければ、目標到達は困難で、「災害死者ゼロ」どころではありません。目標到達のために、これまで以上のペースで建て替えを含めた耐震化を進めるべきと思うがどうか。
ネックとなるのが、木造密集地域などの無接道敷地と不適格建築物です。無接道敷地については耐震化に道が開けましたが、42条2項道に当たる建物は耐震補助の対象外であり、ましてや不適格建築物は見通しがありません。対策を一層強める必要があると思うがどうか。
そのためにも、除却支援と建て替え支援の拡充で耐震化率を高めるとともに、耐震化も建て替えも除却も事実上できない建物についての対策を強め、一部屋補強の普及充実で「いのちを守る建物」にしていく必要があると思うがどうか。
熊本では、全国から支援物資が届きましたが、受入れ拠点に着いた緊急物資搬送トラックが荷降ろしまで7時間もかかる、山積みされた物資にボランティアがいても的確な指示がなされず右往左往するなどで、支援物資の避難所までのラストワンマイルが課題となりました。
足立区では、支援物資の受入れ拠点を保木間公園、舎人公園、東綾瀬公園の3カ所とし、トラック協会などと連携して輸送するとしていますが、雨風もしのげず、支援物資受入れ先の荷降ろしをはじめ、いざというときの混乱が懸念されます。
一方、さいたま市では、物流のプロであり、トラックの荷降ろしも容易にできる市内の大規模な物流会社と協定を結び、その敷地も活用し、災害時の救援物資を受入れるようになっています。足立区にもトラックターミナルや物流拠点があり、対応の充実・改善が必要と思うがどうか。
益城町では、避難所での共同生活が困難な被災者のために、トレーラーハウスの福祉避難所を設けていました。一般の避難所内も完全に間仕切りがカーテンで行われ、希望者全員が段ボールベッドが使えるようになっていました。こういった対策を強める必要があると思うがどうか。
防災無線が聞こえないことへの対策を繰り返し求める中、区は来年から平成32年までのデジタル化に合わせて、聞こえない地域の、今年度は実態調査を行うとしています。
我が党の実態調査では、5割を超える区民が「聞こえない」、「聞きづらい」と回答しています。環七以北では、学校などの公共施設にも防災無線が設置されていない空白地域が多くあります。
そこで第1に、より詳細な調査により、聞こえない地域の分析・対策を行うべきと思うがどうか。
第2に、防災無線の偏在解消、より遠くまで聞こえる防災無線放送の活用を行うとともに、聞こえない地域の対策は優先して行うべきと思うがどうか。
第3に、窓を閉め切ってしまうと聞こえない、音がしても何を言っているのかわからない、難聴で聞こえないなど、どんなに性能の良い防災無線を設置しても、聞こえない人が残されます。この対策として、戸別受信機の貸出しをはじめ、デジタル化を活用してケーブルテレビの字幕テロップ、スマホ等へ、わかりやすい緊急メール等、聞こえない人が情報を受け取れる、あらゆる対策を行う必要があると思うがどうか、以上、答弁を求めます。
次に、環境自治体会議の全国の優れた取り組みに学んで、「日本で一番地球にやさしいひとのまち」の区のスローガンにふさわしい取り組みを求めます。
千代田区では、都の無料省エネ診断と区の改修補助を活用し、中・小規模ビルの面的な省エネ支援を行っています。モデル地区では省エネ改修率が他の地区の3倍になり、コミュニティも高まり、自己負担も少なく、電気代が全体で3割減ったと喜ばれています。
省エネ改修後の建物には、資産価値を高めるステッカーも貼られています。足立区でも同様の取り組みを行う考えはないか。
省エネ機器の購入補助について、例えば冷蔵庫の消費電力は、同じ容量で10年前の3分の1に減っています。単に買換え補助を行うだけでなく、区民がその効果を認識できるようにするべきと思うがどうか。
また、飯田市では、「古い冷蔵庫を探せ」コンテストを行い、一番古い冷蔵庫所有者には、新しい冷蔵庫を景品にすることで話題になり、住民の意識も喚起されました。足立区でも同様のことを行う考えはないか。
群馬県中之条町は、エネルギー対策室を設け、自治体としてエネルギーの地産地消を目指しています。都市部の足立区でも、「省エネ」だけでなく、「創エネ」も重視し、小規模でできる太陽光発電所の設置、公共施設への電力供給などを目指す考えはないか。
1992年の国連地球サミットは、温暖化に関する気候変動枠組条約とともに、生物多様性条約を採択し、日本も批准、その後、生物多様性基本法を制定し、自治体が生物多様性地域戦略を定めるよう義務付けています。足立区も、環境基本計画の見直しとともに、計画の策定に取り組んでいます。
そこで第1に、地域戦略は、環境行政だけでなく、地域行政全般に関わるものです。種の絶滅など生物多様性の劣化は、土地改変、生物資源の過剰利用、侵略的外来種の持込みなど、様々な人間活動がもたらすものです。生物の保全といった対処療法だけでなく、例えば、野生生物の乱獲による毛皮製品、遺伝子組換え食品を避けることや、外来種の侵略を防ぐ自然とともに生きる地域の文化を大切にするなど、負荷要因である社会経済活動のありさまが転換しなければ問題は解決しません。
従来からの自然保護・保全の観点とともに、負荷の小さい調達や消費行動など、社会全体の認識や行動の転換を促していくことが重要です。こういった観点を明確にする必要があると思うがどうか。
第2に、港区では調査に基づき、2,171種の生き物が確認されているが、212種が外来種と明らかにし、注意喚起を呼び掛けています。
足立区でも、住民とともに生物多様性基礎調査を行い、区内で確認される生き物の数と外来種の数、生息拠点の孤立状況や植生動向などの分析も行い、多くの区民にとってわかる計画にする必要があると思うがどうか。
現在、区が行っている区民参加の生き物探しである「あだち自然ガイド投稿編」を見直し、多くの区民が参加できるように充実すべきと思うがどうか。
第3に、目黒区では、生物多様性のまちづくり計画をつくり、一人ひとりのチェックリストを掲載、「玄関先やベランダで緑を育てる」、「花見や七夕、月見など季節の行事を楽しむ」などの項目で、わかりやすく区民が取り組めるようになっています。自然を生かしながら都市としての魅力がアップする将来像を持ち、住民が具体的にイメージできるようにしている自治体もあります。
足立区でも、将来像を明確にするとともに、区民一人ひとりが日常的な活動の中で生物多様性に配慮できるチェックリストなどもつくるべきと思うがどうか。
また、温暖化・環境対策の要は、地域環境を考える区民の心を一つにし、ボトムアップで進めることです。区は、区民参加をEANAに集約するとしてきましたが、人口規模に見合ったものになっていません。かつての区民環境フォーラムや温暖化防止区民会議などで生まれた住民の輪や力が生きていません。これらを生かし、一層の区民参加、区民とともにつくる観点を強める必要があると思うがどうか、以上、答弁を求めます。
9.窓口業務の民間委託の加速化について
次に、政府は、骨太方針で、窓口業務の民間委託の加速化を進め、全国展開を進めるために、先進事例を示そうとしていました。
足立区もこの対象となり、区長が出向いて説明を行い、一時は先進事例として紹介されましたが、戸籍法違反や偽装請負など法令違反が相次ぎ、サービス向上にもならない事態に、当時の担当大臣が内閣委員会で池内さおり衆議院議員の質問に対し、足立の例はベストプラクティス(最善の事例)ではないと答弁しました。
その後、公共サービス小委員会が先進事例探しで全国の自治体にアンケートを行いましたが、その結果は、個人情報の取扱いや労働者派遣法との関係を理由に委託を打切った自治体の事例が並び、実施自治体の多くが、職員にノウハウが蓄積されないと課題を挙げ、いかに窓口業務が民間委託になじまないかが浮き彫りになり、関係委員からも、「これはいい、いけるとなかなかならない」と落胆の声が相次ぎました。
窓口業務の外部委託によって企業は利益を得ますが、住民にとっては、個人情報、偽装請負の懸念とともに、職員でないと判断できないケースに対応できず、業務の効率化も図れず、問題が山積みです。
住民サービスが向上している自治体は、どこも総合窓口で自治体の職員が、住民の様々な要望に責任を持って柔軟に対応しています。足立区も住民サービスの向上という原点に返り、見直す時期だと思うがどうか。
5年間で20億円以上かける国保業務の外部委託について、住民監査請求が行われ、日本各地で委託現場における個人情報の漏えいや労働関係法令違反などの報道は今もなお後を絶たない、それゆえに委託することに対する不安や誤解が生じているとの意見が付されました。
そこで第1に、個人情報問題について、監査委員は、「条例に基づき区職員と同様の罰則が適用されるので、短期の契約社員であるために危険であるとは言えない」と断じましたが、区自身が「リスクは高まる」と言ってきたことと矛盾しており、条例があっても、短期契約で離職した民間従事者を区の条例で生涯縛ることは事実上、不可能だと考えるがどうか。
第2に、引継ぎに2,000万円の税金をかけるのではなく、NTTデータが自らの費用と責任で行うべきとの主張に対し、区は、委託一時凍結により、引継ぎと研修ができなかったので、追加変更の委託料で支払う必要があるとし、その分、委託費を削減しているので問題ないとしていますが、社会通念上、業者が変わるからと言って、引継ぎにわざわざ税をかけることは通用しないと思うがどうか、以上、答弁を求めます。
10.じゃぶじゃぶ池について
最後に、まちづくりについてです。
第1に、区は、公園のじゃぶじゃぶ池について、適正配置の名のもとに減らすとし、その対象の6公園で実態調査も行いました。廃止対象に挙がった新西新井公園などでは、小規模・認証保育園がワゴン車でピストン輸送して多くの子どもたちが利用していました。幼児が気軽に水と親しめるじゃぶじゃぶ池は、減らすのではなく、空白地域には増やすべきと思うがどうか。
11.その他
また、衛生管理や紙おむつ制限などを必要としない噴水型遊戯施設を西新井さかえ公園など、利用度の高い公園に設置するべきと思うがどうか。第2に、道路交通法の改正により、自転車は車道通行が厳格化される中、平たんで自転車利用の多い足立区では、一層の走行環境の整備が必要です。自転車道が整備できない道路においての自転車レーンによって西新井大師付近などは走行が改善されていますが、区内全域をどうするのかといったプランがなく、目標も不明確です。千葉市の「ちばチャリプラン」のように、年次計画をもって計画的に整備すべきと思うがどうか。
第3に、新都知事は、住民団体による東京都の道路事業についてのアンケートに対し、地域住民の合意、地元市区町村や議会の意向などの観点で優先整備路線の位置の見直しが必要な路線もある、不適切だと判断される路線は大胆に見直しを進めていきたい、前知事が決めたからと言って、そのまま踏襲するというような硬直的な考えは一切持っていない、などと表明しています。
伊興町前沼交差点など、住民合意も議会の同意もない優先整備路線の見直しを図る絶好のチャンスです。事業化に当たっては、住民合意のある東側部分を優先し、その後、西側についても見直し、変更も視野に入れて東京都に働き掛けるべきと思うがどうか。
以上、答弁を求めまして、この場からの質問を終わります。
答弁
◎近藤やよい 区長 ぬかが和子議員の代表質問のうち、私の政治姿勢についてお答えいたします。
まず1点目、選挙で述べたこととやることが違うといった在り方はあってはならないと思うがどう考えるかについてでございます。
選挙活動、そして選挙をどのように戦うかということは、それぞれの政治家が各々の信条に従って行うものと考えておりますので、私が他人様の政治姿勢について、選挙活動につきまして、とやかく言える立場ではないと思いますけれども、そういったことが繰り返されれば、当然のことながら有権者がきちっと判断されると思っておりますし、私自身も、選挙を戦う際には、有権者の皆様方にきちっと判断していただけるような公約なり、お約束なりをして、それを実現していくのが、区長というか、私どもの使命であるという認識はございます。
二つ目の、憲法の理想に現実を近付けることこそ必要だと考えるがどうかというご質問でございます。
昨今、憲法の在り方について議論されるようにはなりましたけれども、まだまだ大勢の一人ひとりの国民が、憲法というものを身近に感じ、その重要なポイントについて理解している状況ではないと考えております。
国会の議論につきましても、枝葉の部分のみ強調されるように感じており、一体、今回の政府の考え方なりがどの部分を変更し、それがどういった国民に影響を与えるのかといった、一番幹の部分については、一人ひとりの国民にまで理解されている状況とは言えないと思います。
今後、どのように憲法が改正になるのか、改正されないのか、当然のことながら国会の議論を見守らなければなりませんけれども、これを機会に1人でも多くの国民が、憲法のありがたさ、重要性といったものをもう一度、自分のこととして考え直す必要があると考えています。
以下の質問については、他の理事者から答弁させていただきます。
◎長谷川勝美 政策経営部長 私からは、初めに、区政に臨む基本姿勢についてお答えいたします。
区においては、特に家庭の経済状況から子どもの教育格差が生じ、さらには非正規雇用や無業による生活困窮など、格差の再生産と固定化による貧困の連鎖が課題と考えております。
このため、区がボトルネック的課題と位置付ける「治安・学力・健康・貧困の連鎖」のうち、貧困の連鎖を断ち切るため、昨年度から子どもの貧困対策に正面から取り組んでおります。
例えば、放課後の居場所づくりや、ひとり親家庭対策の充実など、子どもを取り巻く生育環境と生活習慣の改善につながる施策を、ライフステージに合わせて切れ目なく着実に推進しており、区民に寄り添った区政運営を行っております。
次に、新年度予算編成方針についてお答えいたします。
確かに、景気回復と消費税率の引上げ効果により、地方消費税交付金が増加となりましたが、これまでもご答弁申し上げてきたように、消費税増税による増収分については、法律により社会保障制度の充実や安定のための経費として充てるものとされているため、消費税増税によって区財政が潤いながら、そのしわ寄せが区民に寄せられているとは考えておりません。
次に、国の景気動向についてお答えします。
新年度予算編成方針においては、国の景気が予断を許さないことについて、海外経済の不確実性の高まりを一例として示しましたが、平成28年7月の月例経済報告では、熊本地震が経済に与える影響や、個人消費が概ね横ばいである等の不安要素にも触れております。
このことからも、国の景気は予断を許さない状況にあると判断したところであり、アベノミクスが失敗したとは考えておりません。
次に、受益者負担に対する考え方についてお答えいたします。
区はこれまでも、行政サービスの対価として公平な負担を求めてまいりました。今後も、事案に応じた適切な基準を検討の上、受益者負担の見直しを実施してまいります。
次に、外部委託の在り方を見直すべきではないかとのご質問に一括してお答えいたします。
公正なプロポーザル選定の結果、区外事業者が選定されたとしても、それが公契約条例の趣旨に反するものとは考えておりません。
また、非正規社員が多いことのみをもって、その事業者に問題があるとは言えないことからも、外部委託の在り方を見直す考えはありません。
最後に、窓口業務の民間委託に関するご質問についてお答えいたします。
昨年、政府は、国の経済政策や財政運営の基本方針となる、いわゆる「骨太の方針」で、窓口業務の民間委託などに取り組む自治体数を平成32年度までに倍増させると打ち出しました。今年は更に具体化し、総務省において、モデル自治体による様々な取り組みを実施することで、窓口業務の民間委託の更なる拡大を図っております。
ご質問のアンケートにおいても、例えば、住民票の写し等の交付窓口の委託を実施している自治体が164であるのに対し、委託をやめた自治体は16であり、一方、実施に向け準備、検討している自治体が112となっております。
したがいまして、区としても、引き続き個人情報保護等の対策に万全を期しながら、適切な委託を推進してまいりますので、窓口業務の民間委託を見直す考えはございません。
◎橋本弘 福祉部長 私からは、くらしと社会保障に関するご質問についてお答えいたします。
まず、医療分野については、後期高齢者医療の保険料軽減特例の廃止はまだ決定されておりませんが、実施される場合には、半数以上の被保険者が影響を受ける見込みです。
なお、国の予算措置による特例軽減は、平成20年度の制度開始以降、毎年実施されており、来年度についても厚生労働省は概算要求に盛り込んだと聞いております。
次に、介護分野については、現在、社会保障審議会介護保険部会において、次期の介護保険制度改正に向けて、給付の在り方や負担の在り方などについて議論されており、様々な意見が出ているところです。
もし、ご質問のような制度変更が行われるとすると、区民生活に大きな影響があるものと考えられますが、詳細については決まっていないため、具体的な分析を行うことはできない状況です。引き続き国の動向を注視し、内容によっては、今後、国に意見や要望を上げることも検討してまいります。
次に、総合事業開始に伴う要介護認定についてお答えいたします。
10月から総合事業に移行するサービスは、現行の要支援のサービスのうち、訪問介護と通所介護のみであり、その他の訪問入浴介護や福祉用具貸与などのサービスは、要介護認定を申請することが必要となります。
こうしたことからも、制度の趣旨と内容を十分に説明し、ご本人の意向を確認の上で、総合事業だけで対応できるもの以外は、これまでどおり要介護認定の申請を案内してまいります。
また、申請窓口でもあります介護保険課、地域包括支援センター、福祉事務所の窓口担当者に対する丁寧な研修を行っているところでございます。
次に、基本チェックリストについてでありますが、これは国が指定した25項目を使用することが決まっており、区が独自に変更することはできません。当該チェックリストでは、生活、身体、咀嚼、外出機会、認知、うつの各項目のいずれかに該当すれば事業対象者となるため、極めて軽度な生活上の課題であっても、早期に対応できるものでございます。
次に、要支援者への対応についてでありますが、今後、高齢化が進む中で、介護予防や生活支援を充実し、要介護状態にならないための取り組みが求められております。
要支援者や要支援相当の方に対しては、更に元気でいられるための介護予防や重度化予防が必要です。総合事業開始後も、本人の状況に反して支援を中止することはなく、必要なサービスの提供を行ってまいります
次に、総合事業の報酬単価についてお答えいたします。
国によって総合事業の予算は、事業開始の前年度の当該事業費をベースに後期高齢者の伸び率を掛け合わせた額を上限として定められております。
足立区では、上限内で過去のサービス利用の伸び率を勘案して単価を算出しましたが、事業者の経営面にも配慮し、他区と比較して減額率は低く設定しております。したがって、更なる見直しにより報酬単価を上げることは難しいものと認識しております。
10月の事業開始後、介護事業者のサービス提供状況を注視し、必要があれば対応策を検討してまいります。
次に、地域包括ケアの実現についてお答えいたします。
地域包括ケアシステムでは、「重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けること」を目標としています。その実現には、医療と介護の連携を強化し、安心して在宅で生活できる環境整備が不可欠です。
区では、昨年度から医師会館にて、医療職と介護職が参加した多職種連携研修を開催しており、これまで計6回、延べ415名が参加しております。まず、医療と介護の従事者がお互いに顔が見える関係を築き、情報共有や相談できる体制構築を目指しております。
今後は、区内を5ブロックに分け、その区域ごとに研修を開催してまいります。その中で、先進的な取り組みを取上げ、地域の実情に合った連携の在り方について検討してまいります。
最後に、認知症ケアについてお答えいたします。
現在、認知症の対応につきましては、地域包括支援センターが主催する「もの忘れ相談会」を年間で計100回実施しております。また、対応が困難な認知症高齢者に対しては、東京都の認知症疾患医療センターである大内病院と連携して、訪問事業を行っております。
今後は、医師会による認知症同行訪問を取り入れ、もの忘れ相談会や地域からの情報により、研修を受けた認知症サポート医に訪問を依頼することで、早期発見・早期対処を図る必要があると考えております。医師会と連携した認知症初期集中支援事業の実施を検討してまいります。
◎服部仁 建築室長 私から、まず、住宅の負担軽減策に関するご質問についてお答えします。
区では、空き家の実態調査に基づき、空き家所有者の意向に合わせた耐震補強や除却、利活用、適正管理など、空き家の改善等に関する支援の在り方について検討を進めているところであります。
なお、区内居住の高齢者や低所得者、子育て世帯、若者への空き家の家賃補助制度の創設は、現段階では考えておりません。
次に、いのちを守る耐震化に関するご質問のうち、特定建築物等における耐震性を高める指導についてお答えします。
現在の耐震基準は、過去の大地震による建築物の被害状況などから、その都度、改正されております。
国は、熊本地震における建物被害状況の原因分析を行う委員会を立ち上げ、建築基準の在り方を含め、建築物における耐震性の確保、向上方策について検討しているところでございます。
区といたしましては、特定建築物等の耐震性を高めるよう、国や都へ積極的に働き掛けてまいります。
次に、建築物の耐震化についてお答えします。
住宅の耐震化は、いのちを守る対策として大変重要であると認識しており、平成32年度の耐震化率95%を目指し、一般緊急輸送道路沿道建築物や木造賃貸アパートなどの耐震化を進め、目標達成に向けてスピードアップを図ってまいります。
木造密集エリア内では、中南部一帯地区における不燃化特区制度や防災生活道路整備事業、並びに区独自の街区プラン制度による無接道家屋対策などの支援事業を拡充し、耐震化率の向上に努めてまいります。
最後に、耐震化などが困難な建物につきましては、一部屋補強と同様の耐震シェルター補強とともに、耐震ベッドの設置について、関係団体とも連携を図りながら普及啓発に努めてまいります。
◎大山日出夫 総務部長 私からは、公契約条例についてお答えいたします。
まず、対象金額の引下げにつきましては、条例施行後、2年が経過したばかりであり、労働条件の調査・研究は途中の段階でございます。したがいまして、当面は現状分析に努めることとし、適用範囲を拡大する考えはございません。
次に、労働者への周知につきましては、下請業者に対しましては工事着手前の説明会で、労働者に対しては新規入場時の安全衛生教育で、それぞれ元請業者が説明しております。
また、先日、実施したアンケートの集計結果でも、8割以上の労働者が公契約条例適用工事であることを認識しているとの回答がありましたので、公契約条例の周知は進んでおり、個々の労働者への通知は必要ないと考えております。
次に、労働報酬下限額は、下限額以上の賃金支払いを保証するという性質と、一方で、各人の技量に応じた賃金を支払うべきとする性質も有しており、熟練労働者と熟練労働者以外という区分は必要であると考えます。
労働者の区分は事業主の判断に任せておりますが、これまで労働者からの苦情申立てもないことから、現在のところ、労働報酬下限額の考え方について見直す予定はございません。
続きまして、小規模工事希望者登録制度についてお答えいたします。
まず、登録事業者数につきましては、電子入札制度導入から約10年が経過し、電子入札登録業者が増加する一方で、小規模工事希望者登録業者は減少傾向にあります。
23区の中では、こうした制度を設けていない区もありますが、他自治体の取り組みを調査し、制度の改善に努めてまいります。
登録業者の活用につきましては、契約実務研修等の機会を通じ、各主管課に登録業者の活用を促しており、今後も引き続き周知に努めてまいります。
続きまして、入札改革についてお答えいたします。
これまでも、地域経済活性化と公契約条例の立場から様々な入札改革に取り組んでまいりましたが、いまだ完全なものだとは考えておりません。よって、その必要性を判断しながら、より一層、入札改革に取り組んでまいります。
ご質問のうち、まず、入札参加制限につきましては、区内事業者の要望を受け、本年9月より、予定価格6,000万円未満の工事について、受注後1カ月間の受注制限の拡大を試行実施しております。来年度以降の対応は、試行実施の結果を踏まえ、検討してまいります。
次に、最低制限価格は、公契約条例の施行とともに、設定範囲の下限を予定価格の70%以上から80%以上に引上げたばかりであります。今後も、東京都など他自治体を参考にしながら、ダンピング入札の防止に努めてまいります。
また、低入札価格調査制度は、総合評価方式や議会案件など慎重な判断を要する案件に適用しております。工事の品質確保や適切な履行を図るためには必要な制度であり、存続すべきものと考えております。
最後に、リース案件につきましては、リース専門会社と区内業者との価格差が大きいことから、案件や内容に応じて区内業者の活用を検討してまいります。
◎鈴木伝一 区民部長 私からは、まず、所得税法第56条の廃止に係るご質問にお答えします。
事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例に関するこの規定につきましては、夫婦でそれぞれ別の事業を営む場合であっても、本規定の要件を満たす限り、その適用があるべきとの最高裁判例がある一方、生計同一に係る個々の判断等については、国の税務行政においても、一部で議論があると聞いており、この動向については今後も注視してまいります。
私どもは、法の規定に従って特別区税の賦課事務を行っているところであり、現段階では廃止を働き掛ける考えはありませんが、税務署や税務団体と協力しながら、不利益が生じないよう正しい申告知識の普及啓発に努めてまいります。
次に、国保の外部委託についてお答えします。
従事者の守秘義務に関しましては、足立区個人情報保護条例第43条等で、離職後においても罰則が適用される旨、規定されています。
事業者においては、採用時に誓約書を徴取することに加え、退職時にも誓約書を徴取しております。その際、ヒアリングにより、将来にわたって守秘義務が課される旨の説明と同意を得ており、実効性の高い対策を講じております。このことは、短期の契約社員に対しても大きな抑止力となっており、守秘義務につきましては、区職員と同様、事実上も将来にわたって守っていただけるものと考えています。
次に、事務引継ぎに対する委託費の支出についてお答えいたします。
事務引継等の委託の主なものは、まず、戸籍業務の是正状況を踏まえ、平成26年度に納品された業務マニュアル・業務フローの更新作業、次に、マイナンバー法施行に伴う個人情報の取扱いの変更、さらに、研修がございます。
研修につきましては、平成27年度の国保業務委託を停止したため、足立区独自の運用ルールや事務の進め方、システムの操作方法などの研修を行うことが別途、必要となりました。
平成28年4月から委託業務を円滑に開始するために、事前に引継ぎや研修を実施することは、住民サービスを滞りなく行う上でも重要なものです。したがいまして、それに伴う必要な経費を適正に支出するものですので、社会通念上も妥当と考えております。
◎石居聡 産業経済部長 私からは、まず、小規模事業者経営改善助成についてお答えいたします。
本補助金は、経営改善を目的とした設備投資に対して助成を行っているものです。自動車やパソコンは、汎用性が高く、目的外使用になり得るため補助対象とはしておりません。
また、本事業は今年度、新規に事業化したものでありますが、応募件数の予測は困難な状況となっています。今年度は予算の範囲内での対応とし、応募状況によって来年度以降、計画的に対応してまいります。
次に、農産物の直売所についてお答えいたします。
JA東京スマイルに確認しましたところ、足立支店駐車場内において常設直売所を開設すべく検討を深めているとのことでありました。「出荷量や品目など、販売に向けた調整事項が山積しているが、来年の春から、初夏の頃に開設できるようにしたい」とのことでした。
区といたしましても、直売所の設置は喜ばしいことでありますので、開設周知などにおいて側面支援をしていきたいと考えております。
◎川口弘 危機管理室長 私からは、災害時における物資供給体制の充実についてお答えします。
平成28年熊本地震の教訓を受けて、区では、来年度から避難所備蓄品の増備・更新を計画しておりますが、災害時物資供給体制をより一層、強化するためには、区災害備蓄倉庫に加え、支援物資受入れ先及び地域内輸送拠点とその運営体制の整備について更なる検討が必要であると考えております。
今後、ご質問のさいたま市の事例を参考に、区内の物流事業者との人材確保も含めた協定締結等、物資供給体制の充実を図ってまいります。
次に、避難所における要配慮者への対応についてお答えします。
第一次避難所となる小・中学校等においては、様々な理由により体育館での共同生活が困難な方のために、畳又はカーペット敷きの教室を要配慮者の居室とすることを避難所運営訓練等で確認しております。
また、間仕切りや段ボールベッドにつきましては、かさばる点が課題ですが、現在、備蓄毛布の圧縮により避難所の備蓄スペースの捻出を検討しており、その実施に合わせての導入を視野に入れてまいります。
次に、防災無線放送についてお答えします。
現在、防災行政無線デジタル化実施設計業務において、電波及び音の伝わり状況の調査を詳細に行った上で、屋外放送設備の偏在解消を含めた再配置を計画するとともに、長距離まで音声が届くスピーカーの導入を検討するなど、聞こえない地域の解消を重視した取り組みを進めております。今年度内に実施設計業務を終え、来年度からの無線設備更新事業を着実に進めてまいります。
次に、屋内にいる方や難聴の方にも防災無線の内容を伝達する方策についてお答えします。
現在は、防災無線を補うサービスとして、A−メール、テレフォン案内、NHKデータ放送を用いたLアラート(災害情報共有システム)がありますが、今回の実施設計業務では、更なる対策として、例えば、FMラジオで受信できる仕組みの他、聴覚障がい者にも配慮したインターネットを活用した文字情報による伝達などを検討しております。
◎三橋雄彦 環境部長 私からは、温暖化・環境対策についてお答えいたします。
まず、既築中小規模ビルへの省エネ支援についてお答えします。
建築物の省エネ性能を高めるためには、省エネ診断と合わせて、省エネ改修を実施することが効果的であると考えます。しかし、住宅建築物が多い足立区においては、まずは個人住宅の省エネ化を優先し、都の無料省エネ診断事業を実施しているクール・ネット東京との連携を検討してまいります。
次に、省エネ機器の購入補助についてお答えいたします。
区では、省エネ効果の高い5つ星家電製品の購入者に対し補助金を支給しておりますが、購入の際に区民が省エネ効果を認識できるような取り組みにはなっておりません。今後、区民が節電効果を認識できるよう工夫してまいります。
また、省エネ機器の買替えの際、足立区ではどういった取り組みが効果的なのか、飯田市の事例も参考に検討してまいります。
次に、足立区での太陽光発電所の設置についてお答えします。
群馬県中之条町では、メガソーラー発電所や小水力発電所を設置し、電力の地産地消に取り組んでいます。
太陽光は、足立区内で手軽に利用できる再生可能エネルギーと考えており、各家庭で余剰電力を売電する太陽光発電システムの設置に対し補助制度を設け、創エネの普及に取り組んでおります。
しかし、太陽光発電所については、費用対効果や設置場所等の課題があり、区として設置することは考えておりません。
次に、生物多様性地域戦略についてお答えします。
足立区の生物多様性地域戦略につきましては、第三次足立区環境基本計画に包含する予定で、現在、策定作業を進めているところでございます。
生物多様性の喪失をはじめ、地球環境問題の多くは人類の活動に起因するものであるため、社会全体の認識や行動の転換を促し、持続可能な社会を構築していくことが必要であると認識しております。そのため、こうした観点を踏まえて、生物多様性地域戦略の策定作業を進めてまいります。
次に、区民にとってわかりやすい生物多様性地域戦略の策定についてお答えいたします。
現在、生物多様性の考え方は、区民の皆様にまだ十分に普及していないと認識しております。そのため、生物と触れ合う機会の提供や区民参加型の生物調査など、生物への関心を高め、生物多様性を身近に感じていただくような取り組みを生物多様性地域戦略に盛り込むことを検討しております。
さらに、生物多様性の認知度向上と理解の促進を図るため、啓発パンフレットの作成やキャンペーンを実施し、区民にとって「わかる」計画としてまいります。
「あだち自然ガイド投稿編」につきましては、区民から寄せられる様々な情報を施策に活用する必要性が全庁的に増加傾向にあるため、広報室と協議しながら、あだち自然ガイド投稿編の充実施策について検討してまいります。
次に、足立区の生物多様性についての将来像につきましては、他自治体の事例や足立区の特性を踏まえ、生物多様性地域戦略に盛り込んでまいります。
また、生物多様性に配慮できるチェックリストにつきましては、生物多様性の理解を深めるためのツールの一つとして検討させていただきます。
次に、温暖化・環境対策における区民参加についてお答えいたします。
地球温暖化をはじめとする環境への対策は、既に環境活動を行っている区民団体が核となり、区民参加を促し、環境活動の輪を広げていくことが効果的と考えます。
かつての区民環境フォーラムや温暖化防止区民会議実行委員会は、環境問題に関心ある事業者団体や区民団体などで構成され、活発な活動を行ってきました。しかし、組織の構成員が固定化されるなど、活動の広がりという面では課題があったため、解消し自由な参加を前提に、参加団体が環境をテーマに情報交換や交流を図ることで、参加者同士が緩やかに連携する組織としてEANAを発足いたしました。
今後は、しっかりとした体制づくりに配慮しつつ、EANAを区民参加による環境活動の輪を広げる区民団体の一つとして活用するとともに、区が把握してない環境活動団体等の情報も集め、データベース化し、新たな担い手として活用し、より多くの区民による身近な環境配慮行動の実践につながるよう検討してまいります。
◎土田浩己 みどりと公園推進室長 私からは、じゃぶじゃぶ池のご質問についてお答えいたします。
昨年度、区が管理する区立公園内の全てのじゃぶじゃぶ池につきまして、利用状況や利用者アンケート調査を実施し、利用者数が少なく、利用圏域が重複している箇所を、適正配置の検討を行う必要性が高い施設として、6施設を抽出いたしました。
今年度は、更に詳細な利用者アンケート調査を行いましたので、その結果をもとに、じゃぶじゃぶ池の空白地域への新設や統合も含めた適正配置計画を策定してまいります。
次に、西新井さかえ公園など利用度の高い公園に噴水型遊戯施設を設置すべきとのご質問についてお答えいたします。
本年7月、新たに西新井さかえ公園に設置いたしましたドライ型ミストは、公園利用者のアンケート結果から好評をいただいており、来年度以降も継続実施してまいります。
今後、噴水型遊戯施設の導入につきましては、パークイノベーションの魅力ある地域の公園づくりの中で、じゃぶじゃぶ池の適正配置計画や費用対効果も踏まえながら、設置の可能性について検討してまいります。
◎工藤信 都市建設部長 私からは、自転車走行環境の整備に関するご質問についてお答えいたします。
当区においては、自転車利用が多いことから、更なる自転車走行環境の改善が求められています。
このため、自転車走行環境整備の方針や整備路線及び整備手法などを示した自転車利用環境整備計画の今年度中の策定を目指してまいります。
この計画に基づき、自転車利用の集中する主要駅周辺でのナビマークの整備、また、都市計画道路整備や道路の大規模改修等に合わせた自転車レーンの整備などを計画的に推進してまいります。
◎高橋茂 鉄道立体推進室長 私からは、都市計画道路の優先整備に関するご質問にお答えします。
都市計画道路の整備につきましては十分、地元の意見を聞きながら進めてまいります。
補助第261号線の伊興町前沼交差点につきましては、地域の皆様から概ねのご理解が得られたものと認識しております。
交差点東側につきましては、鉄道高架化事業に合わせた竹ノ塚駅周辺地区のまちづくりを進める上で非常に重要な路線であるため、東京都に対し早期整備を要望してまいります。
西側につきましては、東京都に対して地域の皆様に十分、説明していくよう働き掛けてまいります。
◎鳥山高章 子ども家庭部長 私からは、まず、公立保育園の民営化についてお答えいたします。
公立保育園の民営化に当たっては、保育サービスの向上と継続的かつ効率的な保育行政を確立するために、国の公定価格における処遇改善等加算の実績確認や指導検査等による保育の質の確保を確実に行います。今後も、民営化については計画に基づいて進めてまいります。
また、株式会社への対象の拡大についてですが、3年以上の保育事業の実績があるところを対象とするとともに、さらに、プロポーザルの際には、幹部職員の社会福祉事業に関する知識、経験や、経営が単なる利潤追求になっていないか審査を行います。
既に運営を開始している民設民営園では、実地調査や保育士の待遇、財務状況等をチェックすることにより、保育の質の維持、向上を図るとともに、運営が不安定にならないよう努めております。
区といたしましては、こうした手順を着実に踏むことによって、社会福祉法人に限らず、学校法人や株式会社など多くの事業者の参入を促し、その中からより良い事業者を選定してまいります。
次に、保育士の家賃補助の勤続年数枠の撤廃についてお答えします。
住居借り上げ支援事業は、国及び都の制度を活用し、区の要綱に基づいて実施しております。この制度は、事業者が住居を借り上げることで、保育士が安定して働ける環境づくり、継続雇用につながると考えております。
現在、東京都が対象の拡大を予定しており、区といたしましては、その内容を踏まえ、その拡充を検討していく考えです。
次に、保育士の処遇改善でございますが、公定価格に定められた処遇改善等加算に加え、都はキャリアアップ補助金を社会福祉法人に対しては直接補助し、株式会社等については区市町村を通じて補助しています。いずれも職責や職務内容に応じた給与体系が前提となっています。
さらに、区も職員給与改善費などの人件費上乗せを行っております。
区では、確実に保育士に届くようにするため、公定価格の処遇改善等加算や区が株式会社等を対象として行っているキャリアアップ補助金について、申請受付の段階で、計画内容が不十分な場合は計画を見直すよう求めております。また、実績報告書提出の際には、給与台帳の提出も求め、確認をしております。
こうした取り組みを行っておりますが、職員間の給与額に相当な乖離がある園に対しては、保育士の処遇改善につながる方策を導入するとともに、事業者選定の条件に給与水準や離職率などを加味する効果的な方法も検討してまいります。
次に、区内における認可外施設の閉鎖事件の教訓についてお答えします。
24時間保育施設について、ニーズのあることは認識しておりますが、そのニーズの量や内容については、入所している児童が必ずしも区民とは限らないことや、都の管轄であり、区が関与していないため、十分な把握ができていないのが現状です。
24時間保育施設の運営については、コスト面、従事する保育士の確保など、多くの課題がございます。加えて、子どもの生活リズムや親の働き方とも関連しますので、その整備は慎重に判断する必要があると考えております。
現段階では、東京都が巡回指導の強化を表明しておりますので、区としましても、質の担保に全面的に協力してまいります。
次に、指導検査についてお答えいたします。
民間保育園等の特定教育・保育施設への指導検査につきましては、施設等における運営、保育、会計について、本年9月より、区が作成した指導検査基準に基づいて適正な運営及び保育の質が確保されているかの視点で実施しております。
今年度は小規模保育事業所5カ所と家庭的保育事業者10カ所で実施し、来年度は私立保育園にも対象を拡大します。検査の結果及び改善報告書の概要は、全件まとめて今年度中に議会へ報告するとともに、区ホームページで公表してまいります。
また、事業者選定に当たっては、人件費比率を含めた経営の安定性について、税理士による財務診断をもとに適切な審査を実施しております。
これらの取り組みを通じ、保育の質の維持、向上に努めてまいります。
次に、子ども・子育て支援新制度で導入された短時間認定についてお答えいたします。
短時間認定の対象となる世帯は、原則として保護者が求職活動中、育児休業中、あるいは就労時間が月120時間未満の場合です。
一方で、短時間認定となった保護者の方々から、家庭のご事情などにより短時間では当てはまらない場合があるというようなご意見が寄せられております。
今後、ご意見の内容について分析と取りまとめを行うとともに、課題を整理した上で解決に努めてまいります。
再質問
◆ぬかが和子 議員 何点か再質問いたします。
決算もあるので絞っていますが、何点かありますので、よろしくお願いします。
一つは、最初の区長の政治姿勢の中の政策経営部長が答弁をした区政に臨む基本姿勢について、2番目のところです。ここで私は、政治姿勢として、生活困難な区民に寄り添った区政運営が基本となる、そういう政治姿勢が必要なんじゃないですかと姿勢の問題で聞いているんですよね。それに対して今の答弁というのは、行っていると答弁したんですよ。私、行っているか、行ってないかって聞いてないんです。姿勢としてこれ基本じゃありませんかということを聞いていますので、きちんと再度、答えていただきたいと思います。
2番目に、住宅の負担軽減策です。この住宅の負担軽減策では、先ほどのお答えの中で、区がやった空き家の対策の実態調査の結果のこと、そういうことを答弁されたとともに、いわゆる家賃補助制度などでの安い家賃で入居できるようにするという考えはないと、そういうお考えだということでの答弁だったんですね。
私の質問の中では、国がこういうことを考え出していて、家賃補助も含めていろいろなことをやっていく必要があるということを国土交通省が指し示していると。だから、この国と連携して、そういう改善や補助を検討したらいいんじゃないでしょうかというのが、今までの質問と違う点なんですよ。ここについてきちんと答えていませんので、答えていただきたいと思います。
3番目に、地域経済循環のところです。地域経済循環の最初の公契約条例について、これについては、この間ずっと、区のほうに改善を求めますと、「まだ1年半たったばかりだ」、こういう回答だったので、私たちは同じ日に施行した自治体調査に行ったんです。同じ2年たったばかりなんですよ。そういうところでも改善しているじゃないかと。だから、改善に向けていろいろなことを考えていったらどうですかという意味での質問なんです。だけれども、それに対して2年たったばかりだからという、これでは質問に対してきちんと答えていただいていないと言わざるを得ないと思います。再度、答弁をお願いしたいし、苦情申立てがないからこの労働報酬下限額の見直しを行う必要はないんだというお答えだったんだけれども、それは全く逆で、地域経済循環の観点から見て、検証していろいろなことを考えていくということが必要なんだろうと思いますので、そこも合わせて答弁お願いします。
それから、小規模事業者経営改善助成についてですけれども、これについて汎用性が高いので車両、PCなどは対応していないという答弁だったんですね。でも、私、対応していないのはわかっているから、対応したらどうですかと質問しているんですよ。それは汎用性が高いかどうかじゃなくて、真に経営改善に役立つかどうか、そういう観点で対象を見ていかなきゃいけないんじゃないか、そういうつもりでの質問ですので、ちゃんと質問には答えていませんので、再答弁をお願いします。
同じ地域経済循環の最後ですけれども、外部委託の受託企業の問題です。これについて、先ほど公正な審査をしているから公契約条例の精神に反していない、こういう答弁だったんですよ。でも、実際にどうかと言うと、公契約条例があるから、契約案件については、例えば、条件付一般競争入札もやっているわけですよ。地域の育成もやるわけじゃないですか、そういう観点と、外部委託で審査したら全部、大企業ばかり取っちゃうと。こういうことは公契約条例の区が目指す在り方と違うんじゃないですかということで質問しています。再度、答弁をお願いします。
再答弁
◎長谷川勝美 政策経営部長 最初の1点目、区政に臨む基本姿勢についてということでございますが、先ほども答弁申し上げましたけれども、貧困の連鎖を断ち切るということを区政の基本姿勢としておりまして、それを今、区民に寄り添った形で実施をしているというふうに答弁をさせていただきました。
それから、最後のご質問ですけれども、公契約条例の趣旨に反するのではないかということで、外部委託の見直しのことについて再質問ございましたけれども、こちらも、先ほど来、答弁申し上げたとおり、公正なプロポーザル選定の結果、仮に区外事業者が選定されたとしても、それは公契約条例の趣旨に反するものではないというふうに答弁申し上げました。
◎服部仁 建築室長 ぬかが議員ご指摘のとおり、国や東京都が住宅の負担軽減策とか、あるいは空き家に関する支援の在り方、いろいろメニューを出してきております。区といたしましても、それらを注視しながら検討を進めていきたいと考えております。
◎大山日出夫 総務部長 まず、1点目の公契約条例見直しについてでございますが、いつの時点でその見直しを図るのかというのは、その自治体ごとの状況というのもありますので、私どもとして、今回アンケート調査も実施させていただきました。その中で見えてきた課題もございます。
また、私自身も現地に行って現場での調査、こういったことも必要かと思います。今後、小さく生んで大きく育てるという趣旨自体は私も尊重しているつもりでございますので、今後、見直しに向けては考えていきたいと思います。
あともう1点、未熟練の区分ということでございますけれども、お話のように地域経済の活性化という視点、当然、大事だと思いますが、やはり熟練かそうでないかという賃金の区分というのは必要なんだろうというふうにご答弁させていただきましたけれども、この区分の考え方についても、労働者側の代表も出ていただいています労働報酬審議会というところで検討もさせていただいています。そういったご意見があったことも踏まえて、またその中でも議論させていただきたいと思っております。
◎石居聡 産業経済部長 小規模事業者経営改善助成につきましては、設備投資に対する助成ということを引き続き実施してまいりたいと考えています。