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●反対討論−針谷みきお議員(2017年6月22日)
◆針谷みきお 議員 ただいま議題となりました自民党提出の、国会における憲法論議の推進と広く国民的議論の喚起を求める決議案に対し、日本共産党足立区議団を代表して、反対討論を行います。
本決議案は、一般論として、憲法論議を推進することは当然のことであるように装っていますが、提出者の自民党は、安倍首相自身が2020年までに憲法改定を目指すことを表明し、改憲草案をただき台として発表しており、その狙いは、単に、国民的論議を喚起するものでないことは明白であります。
我が党が決議案に反対する第一の理由は、自民党安倍政権が憲法9条改定に手をつけ、世界に誇る平和主義をなきものにしようとする企ての一環だからであります。
5月3日、安倍首相は、「憲法9条に第3項を設け、自衛隊を明記する。2020年までには施行できるようにしたい」と宣言しました。大体、内閣総理大臣がこうもあからさまな憲法改定を期限まで決めて宣言することが許されるのでしょうか。安倍首相の発言は、全ての公務員に憲法を尊重し、擁護する義務を課した憲法99条に反する憲法違反の発言といわなくてはなりません。
安倍首相は、「9条1項2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」と述べています。これは単に存在する自衛隊を憲法上、追認することにとどまりません。文字どおり、無制限の海外での武力行使を可能にすることになります。
これまで政府は、自衛隊を合憲としたものの、9条2項の制約から、それを自衛のための必要最小限の実力組織であって、戦力に当たらないと説明してきました。戦力に当たらないことを建前としたため、海外派兵、集団的自衛権行使、国連軍への参加はできないとしてきました。
安保法制、イコール戦争法によって、集団的自衛権行使の大きな穴があけられましたが、それでも政府は、それを限定的だと説明し、武力行使を目的にした海外派兵はできないという建前を続けざるを得ませんでした。憲法9条2項は、安保法制、戦争法をも縛る力となって働いているのであります。
ところが、別の項目を立てて自衛隊が明記されたらどうなるでしょう。たとえ、9条2項が残されたとしても、それが死文化、空文化されてしまいます。なぜなら、別の項目で自衛隊の存在理由が書かれれば、それがひとり歩きし、自衛隊の役割がとめどもなく拡大することは避けられないからです。この狙いをあけすけに発言しているのが、自民党議員の多くが加盟している日本会議の政策委員で、安倍首相のブレーンを務めてきた伊藤哲夫氏です。
伊藤哲夫氏は、「憲法第9条3項を加え、但し前項の規定は、確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するものではないといった規定を入れること」、『明日への選択』昨年9月号と提案。更に同センターの小坂実研究部長は、「戦力の保持を禁じ、自衛隊の能力を不当に縛っている9条2項は、今や国家国民の生存を妨げる障害物。速やかに9条2項を削除するか、あるいは自衛隊を明記した第3項を加えて2項を空文化させるべきである」、同誌昨年11月号としています。それが安保法制、戦争法を合憲化するだけでなく、この法制のもとでもできないとされてきた集団的自衛権の全面的行使、武力行使を目的とした海外派兵を可能にすることになることは明かではないでしょうか。
国民の目、耳、口を塞ぐ秘密保護法、物言えぬ監視社会をつくる共謀罪、安保法制、戦争法に続く憲法9条改定の企て、海外で戦争をする国への暴走をこれ以上続けさせるわけにはいきません。
反対の第二の理由は、決議案が内外の諸情勢に大きな変化が生じており、我が国の直面する諸課題に的確に対処するため憲法審査会が設置され、憲法論議が始められるとして憲法改定の方向性を示していますが、NHKが今年5月の憲法に関する世論調査で、アメリカの同時多発テロ事件の翌年の前回、2002年には「改正すべき」58%でしたが、今回の調査では、前回を15%下回り、「改正する必要はないと思う」と答えた人は、前回より11%増えています。特に憲法9条を変える必要かでは、「必要」25%、「必要ない」57%となり、2002年の前回との比較では、「改正する必要があると思う」と答えた人は5ポイント減り、「改正する必要はないと思う」は5ポイント増えているのであります。つまり、安倍政権になってから、改憲の国民世論は大きく低下していることは明白です。
自民党が提出した決議案には、こうした事実から目をそむけ、強引に改憲を進めようとする狙いがあるからであります。それは、通常国会での安倍内閣のとった態度にも共通するものがあることを指摘しないわけにはまいりません。
国会質疑における安倍総理の態度は余りにもひどいものでした。都合の悪い質問には印象操作といって答えない。議員の質問に興奮して、恫喝まがいの答弁を行いました。その上、共謀罪の審議で、与党は法務委員会の審議を打切り、本会議に中間報告を提出し、強行採決しました。憲法に関わる重大な法案について、このような乱暴なやり方をしてきたことは許されないことではありませんか。
共謀罪は、最大の問題は、何を考え、何を合意したかが処罰の対象となる、内心を処罰するということです。それは具体的な行為があって初めて処罰するという刑法の大原則を根本から覆すものです。思想や内心の自由を絶対に侵してはならないと定めている憲法19条に反する違憲立法に他なりません。
政府は、共謀罪法案をごり押しするために、国民を欺く嘘を幾つも重ねてきました。一つは、テロ対策という嘘です。更に一般人は対象とならないという嘘です。
5月18日、国連人権理事会が任命した特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏から、共謀罪法案がプライバシー権や表現の自由への過度な制限になると強く懸念する書簡が、安倍総理に届けられました。ところが、日本政府は、ケナタッチ氏から寄せられた質問に一切答えないまま、強く抗議するという問答無用の態度をとりました。日本政府は、国連人権理事会の理事国に立候補した際、特別報告者との建設的な対話を公約したはずです。国際公約を反故にしてはばからない安倍政権の態度は、世界の恥という他ないではありませんか。
共謀罪法案をめぐって、「かつての治安維持法の再来になる」との危惧が強く寄せられています。これは決して杞憂ではありません。
金田法務大臣は治安維持法について、適法に制定され、適法に執行されたと言い放ちました。それならば、治安維持法による弾圧、拷問で犠牲になった多くの人々、作家の小林多喜二の虐殺も、創価学会初代会長牧口常三郎氏の獄死も適法だというのでしょうか。国民を嘘で欺き、国際社会からの批判に耳をかさず、憲法違反の共謀罪法案を強行しようとする勢力が、現憲法の3原則を今後も維持されなければならないといっても国民は信用できるはずがありません。
それに加えて、森友、加計疑惑が大問題になっています。疑惑の核心は、安倍首相が腹心の友と呼ぶ加計学園理事長などの関係によって公正・公平であるべき行政をゆがめられのではないかということであります。岩盤規制に穴をあけると称してあけた穴が、加計学園しか通れない特別の穴だったことが問題になっているのです。
総理の意向、官邸の最高レベルが言っている、明記された文書が明るみに出され、前川喜平前文部科学省事務次官が、文書は省内で共有されていたと証言し、疑惑はいよいよ決定的になりました。
決議案に反対する第三の理由は、憲法改定のたたき台としている自民党改憲草案の内容であります。
自民党安倍政権が進める改憲には重大な問題があります。憲法改定は、法律で十分対応できない、憲法を変えないと解決できない事情があることを証明して、初めて議論になります。自民党は、他国が改憲をしているとか、アメリカから押しつけられた憲法だからという情緒的改憲論しか打ち出せず、改憲のまともな必要性は証明されていません。
更に、緊急事態条項は、権力の集中、手続の省略、諸権利の制限の3点セットで、立憲主義の存立危機事態を生み出しかねない劇薬です。執行権力に権力を集中し、国民の権利を包括的に制限するもので常に乱用の危険を伴います。
自民党の改憲草案は、緊急事態宣言を行う要件に閣議にかけてとなっています。これでは、内閣総理大臣の判断だけで宣言を認める専断的な認定になってしまいます。
改憲草案は、外部からの武力攻撃、大規模な自然災害と並んで、内乱等における社会秩序の混乱を緊急事態として挙げています。
帝国憲法は緊急勅令8条、戒厳宣言14条、天皇非常大権31条など、多くの非常事態条項がありました。緊急勅令で治安維持法に死刑を導入しました。戒厳令下の関東大震災で朝鮮人や無政府主義者などが虐殺されました。日本国憲法は、対外的には侵略戦争への反省から憲法9条を持っています。国内的には第3章、国民の権利と義務の憲法10条から40条まで人権に関する条項ですが、その3分の1の10カ条が逮捕に関する保障33条、拷問の禁止36条など、刑事手続に関する条項です。これらの条項には、戦前の権力の横暴、人権軽視の歴史への反省が投影されています。
日本国憲法の緊急事態条項の不在は、帝国憲法にあった緊急事態条項の積極的な否定を意味する「不在」なのであります。
日本国憲法13条は、公共の福祉による人権制約を認めていますが、公共の福祉とは全ての人に保障される人権相互の衝突を調整する原理と理解されてきました。ところが、自民党改憲草案は、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に書き換えています。更に、「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公共及び公の秩序に反対してはならない」として、公の秩序優先で人権制約することを明確にしました。
自民党改憲草案は、公共の福祉を公の秩序に変えた理由を、基本的人権の制約は人権相互の衝突の場合に限るものではないと明らかにしたと告白しています。他者との人権との調整を超えた、公の秩序の優先で人権の大幅な制約がまかりとおることになります。秩序の中身は、権力者の恣意的判断で決まる恐れもあります。人権保障のために、憲法が権力を制限するという立憲主義が壊され、国家優先で人権を縛る憲法に転換するのです。
自民党改憲案が全面削除を企てる97条の基本的人権の永久不可侵規定、これは最高法規の章の冒頭に示され、憲法が人権を守る法であるからこそ最高法規であることを示す重要な思想的意義を持つと理解されています。これを乱暴に削除することは、13条の個人の尊厳から「個」の1字を削ることと合わせて、個人の尊厳を守るという憲法の本質を踏みにじるものであります。
更に、99条の憲法尊重擁護義務の規定に「国民」を追加し、国民に憲法尊重を義務付けることは、まさに国家を縛る法から国民を縛る法へ逆転することを意味します。
このように、日本国憲法と近代立憲主義の核心である個人の尊厳を最高価値とする理念を否定しています。公益優先で人権を制約し、権力を縛る憲法から国民と人権を縛りつける憲法へと逆転してしまいます。憲法が憲法でなくなるもので、まともな改憲論とはいえないものです。
決議案には、こうした自民党改憲草案の本質と狙いが隠されているのです。日本国憲法は、第9条という世界で最も進んだ恒久平和主義の条項を持ち、30条にわたる豊かで先駆的な人権条項も盛り込まれているものです。
国際的な緊張が高まっているもとで憲法9条を生かすかどうかが問われている。北朝鮮の核ミサイル開発は断じて許されませんが、軍事的選択肢で解決できないことは明らかになっています。アメリカによるイラク戦争は、世界的テロ組織であるISを生み出し、世界的にテロを拡散させたことを見れば明らかです。
米国のトランプ政権がシリアへの空爆に対して、安倍政権は軍事対軍事の緊張を高める行動を支持、歓迎してきました。特に安保法制、戦争法を発動し、自衛官に米間防護の任務を付与したことは、それ自体が軍事対軍事の緊張をエスカレートさせるとともに、トランプ政権が軍事力を行使したときに自衛隊を自動参戦させてしまう、極めて危険な行為であります。
日本国民の命と安全を守る立場に立つなら、軍事的緊張を緩和し、戦争を起させない外交での解決に全力を挙げるべきであります。まさに、日本国憲法の立場での外交が求められているときではありませんか。
今、必要なことは憲法を変えることではありません。暮らし、平和、人権、民主主義など、あらゆる分野で立憲主義を守り、個人の尊厳が大切にされる日本を実現するために、日本社会の現状を憲法の理想に近付けることこそ求められているのであります。
日本共産党は、憲法が生きる新しい政治をつくるために全力を挙げる決意を表明して、私の反対討論を終わります。