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●討論−ぬかが和子議員(2021年3月23日)
◎ぬかが和子 議員 ただいま議題となりました第19号議案 足立区生きがい奨励金支給に関する条例を廃止する条例案について、日本共産党足立区議団を代表し、多くの高齢者の声を代弁し、存続を求めて反対討論を行います。
生きがい奨励金について、今議会で「敬老金を23区が廃止したが、足立区は名前を変えて存続」と発言をした議員がおりましたが、事実は大きく異なります。23区で唯一敬老金を廃止したのが、足立区でした。当時、毎年、敬老金が高齢者に届けられていましたが、足立区だけが廃止する中、熱海の伊豆山の老人ホームでは、毎年、敬老の日に各自治体からの敬老金を手渡す中、足立区の高齢者だけがもらえない、これではかわいそうだと、市長がポケットマネーで祝い金を出してあげたなど、足立区の高齢者への冷たさの象徴でありました。
区長選では、当時の古性区長への批判票が相次ぎ、住民の運動も高まる中、平成2年に名前を変えて復活したのが生きがい奨励金でした。しかし、区は、「これは敬老金の復活ではない、生きがいを奨励するための資金だ」と繰り返していました。
その後、東京都の敬老金への補助がなくなり、23区では敬老金を次々廃止しましたが、足立区は生きがい奨励金だったので存続して今に至りました。足立区だけが実施していることはマイナスではなく、誇るべきことです。だから、「足立区で老後を過ごしてよかった」「区が区民を思いやる気持ちの現れと感じてうれしい」「たかが3,000円だが、区が高齢者に心を寄せている証と思っていた。廃止と聞くと、年寄りは邪魔なのかと思ってしまう」という声が多数寄せられているのです。
生きがい奨励金には、多くの住民の願いや喜びがたくさん詰まり、反映され、今に至っています。この生きがい奨励金の廃止を知った区民からは、廃止しないでの署名、一筆一筆手書きの区長への広聴はがき、僅か1か月足らずで合わせて6,000人近くが届けられました。区内の高齢者団体が、生きがい奨励金がどう生かされてきたか、声を集め記録しているので紹介します。
「ぼけないように手芸をやっている、編み棒やいろいろな色の手芸糸を買っている」「孫に毎年プレゼントを買ってあげている」「果物が好きで普段買えないおいしいフルーツを買うのが楽しみ」「年に1度だけ、夫婦でおすし屋さんに行ってぜいたくな気分を味わう」「毎回、運動靴を買って、なるべく歩いて健康で医者にかからないようにしている」「同封されていたギャラクシティのコンサートに行っていた」。コロナ禍で集団の活動が著しく制限されている中、正に外に出て地域とコミュニケーションを取れる、事業目的をそれぞれの形で発揮しています。
区民委員会で山中議員が明らかにし、区長も認めたように、70歳以降になると1年1年が大切で、若いときよりも1日1日の寿命の大切さを実感、衰えていくスピードも少しずつ速くなるのを実感しています。そういう70歳以上の全ての人たちへの唯一の給付事業を廃止し、13万4,000人の毎年の楽しみを奪ってしまうのです。
ある高齢者は、「年を取っても支払うものが多くて、毎日つつましい生活をしている私たちにとって、年に1回の生きがい奨励金は、子どもがクリスマスプレゼントやお年玉をもらうようにうれしいこと。是非続けてほしい」と語っていました。この声を受け止めるべきではないでしょうか。
生きがい奨励金は、単に楽しみだけではありません。コロナ禍の生活の糧にもなっています。本会議代表質問で、浅子議員が生きがい奨励金を廃止すべきではないと求め高齢者の声を紹介したときに、議場の与党席からどよめきが起こりました。あたかも、「3,000円を削るのに大げさな」と言っているかのようでした。
区議の皆さんの収入からすれば、たかが3,000と感じているのかもしれませんが、高齢者の61.3%、10万7,000人は住民税非課税、国民年金受給者は最高額で6万5,000円しか月収がありません。
生きがい奨励金廃止を知った高齢者に話を伺うと、「年金が四、五万円で生きがい奨励金の3,000円の割合はすごく大きいのです。ですから、毎年自分のために大切に使っています。それをなくすのはとても残念です」「夫婦で6,000円になるから1,500円ずつ4回に分けてお米が買える」「3,000円とはいえ奨励金は生活の一部です。安売りの店を悪い足を押して探す毎日です。3,000円節約するのがどんなに大変か分かってほしい」など、たくさんの声が上がっています。「このコロナ禍で削るなんて冷たい」との声が上がるのも当然です。
今回、廃止のきっかけとして、平成27年の区民評価における委員からの財政への圧迫をもたらしているから見直しが必要という評価を挙げていますが、区が期待する利用モデルケースをウェブサイトで紹介したらどうかなどの評価もありましたし、廃止が必要とは言っていません。区民評価のせいにすべきではありません。
区民評価を受けての事業評価でも、前向きな改善提案や「生きがい奨励金は、生涯学習への参加だけでなく、地域活動や福祉活動の参加支援も目的としている。本人、もしくは代理の方が買物に出ていただくことで、地域と触れ合う機会を持っていただくことが、これにつながる」との意見も出されています。廃止先にありきで、事業評価の恣意的な運用をすべきではありません。
与党議員から、予算特別委員会で高齢者施策の再構築であって廃止ではないかのような発言がありましたが、現に廃止案を議論しているわけで、何を言おうが廃止は廃止です。
区は、新年度予算案の特集を、例年3月初めの広報誌に掲載していますが、今年は驚くべきことに、生きがい奨励金廃止の言い訳を高齢者施策の再構築と特集し、全面に展開しています。しかし、そこには二重三重にごまかしがあると言わざるを得ません。
65歳以上のインフルエンザ無料化は、今年度、都の補助を使って実施済みの事業で、新年度も都の補助が付いた場合、子どものインフルエンザ予防接種に充てると言っており、これでは高齢者事業の組替えにはなりません。
紙おむつの支給要件を緩和しても、所得制限が厳しく入院時の即利用もできないため、断トツの23区最低から葛飾区と並んで23区最低に変わっただけです。しかも、緩和と高齢者増で増えたのは6,000万円で、数字もまやかしです。
77歳1回の敬老祝金を追加しましたが、毎年もらえたことの代わりにはなりません。元気応援ポイントの上限引上げですが、1,000名前後のポイント申請者のうち上限に達しているのは6割であり、生きがい奨励金受給者の僅か0.4%です。介護施設や地域活動、ボランティア活動など、386団体に関わっていますが、コロナ禍で74%の施設が受入れを中止しています。コロナで中止に追い込まれ、解散を余儀なくされた団体に関わり、読み聞かせなどを行っていた方からは、「こんなときにポイントの上限引上げなど、的外れ」と怒りの声が上がるのも当然です。
広報では、新規事業として4事業を上げ、新規拡充を合わせて4億6,000万円の事業で再構築だと言います。しかし、高齢者のエアコン購入費補助は、昨年夏に出された令和3年度当初予算の各部包括予算編成状況の環境部の予算編成方針に出されており、実際は省エネ家電製品購入補助の終了や補助件数を見直しで予算を捻出した事業です。このことを我が党はたの議員が予算特別委員会で指摘すると、区はおっしゃるとおりと認めているではありませんか。
高齢者の住まい確保のための寄り添い支援も、住宅セーフティーネット法施行に伴い、何年も掛けて議論を積み上げてきた事業で、生きがい奨励金廃止の引換えに実施したのではありません。
はるかぜの車両等購入費補助は、昨年途中で補正予算で決定しました。幅広い区民が使うコミュニティバスはるかぜ支援を高齢者施策の再構築に入れ込んで、廃止の口実にすべきではありません。
花畑周辺地区のバス路線検証運行は、与党議員からも、生きがい奨励金廃止とは関係ない、長年議論を積み上げて実現したもの、生きがい奨励金を廃止して実施したなどと言うべきでないと批判の声が上がっているではありませんか。
広報では、特養ホームの増設までも再構築の一番下に入れ込んでいますが、これは昨年9月に、令和2年度から11年度足立区特別養護老人ホーム整備方針として、生きがい奨励金の廃止が出される前に議会に報告されている事実をはたの議員が予算特別委員会で指摘すると、「おっしゃるとおりです」と区が答弁しています。
以上、結局、廃止の理由として挙げている高齢者施策の再構築は、単なるこじつけではありませんか。そもそも高齢者施策の再構築を言うようになったきっかけは、高齢者の紙おむつが介護保険から適用が外れ一般財源化したことであり、昨年の本会議で区は、再来年度には区の財源で実施せざるを得ない見込みであるため、その時期に合わせ抜本的な見直しを検討と、繰り返し答弁をしています。しかし一般会計に戻ったことで、区の独自財源を問題視するのは間違っています。
一方で、高齢者の介護保険料に見合った区の介護給付負担も6億5,000万円を一般会計に繰り戻しているではありませんか。これを活用すれば、おつりが来るほどで、生きがい奨励金の廃止は必要ないではありませんか。
区は、区民委員会で冒頭に、高齢者の数の増加により支給者数が年々増加し、事業費が膨らんでおり、新型コロナウイルスの影響で財政状況が不透明だからと廃止と言いました。結局、再構築による充実ではなく、高齢者が増え財政が圧迫すると自ら語っているではありませんか。財政状況が不透明だからと、高齢者を犠牲にする区でいいのでしょうか。
しかも、新年度の当初予算では、新型コロナウイルスの独自財源は、昨年よりも少ない26億円しかなく、基金残高は今年度末で1,750億円、財調基金は396億円あります。
区民が区長への広聴はがきに寄せた「高齢者が増加するのは喜ばしいことなのに、増えたからと財源が足りなくなると言って、この事業を廃止にするなんておかしい」、こういう声を真摯に受け止めるべきです。
生きがい奨励金の廃止は、高齢者だけでなく区内商店にとっても打撃です。足立区の共通商品券のうち9割が生きがい奨励金によるものです。だから区商連の毎年の予算要望のトップは、生きがい奨励金の存続です。この廃止は、区内の商店と高齢者の対面によるコミュニティの場を奪うもの、デジタル化にも追い付けない多くの商店に高齢者が足を運ぶ機会を奪うものです。
区の昨年の事務事業評価調書でも、区内商業活性化を図る普及効果がある、継続していくために加入店舗の増加と商品券の使用率の増加と明記されています。高齢者からの、「生きがい奨励金をなくさないでください、地元の商店で買物をするのが楽しみです、商店主の方も待っているのです」という訴え、商店主の「お年寄りは商品券を持って地域の地元の商店に買物に来てくれるので、これがなくなったらとても困ります」という、この声を受け止めるべきです。
区民委員会では、部長が商店街の産業振興は別にしっかりやっていく旨の答弁を行いました。正に縦割りの弊害です。高齢者の生きがいや外出行動やコミュニティを生み出すことと、区内商店を活性化する施策と、二重の効果がある一石二鳥の施策として正当に評価していないことが問題です。
一般的なプレミアム商品券事業では、若い世代は大型店やチェーン店の購買行動。近所の身近な商店に足を運んでくれる高齢者の代わりにはなりません。区が目玉としているデジタル化も販路拡大も、多くの零細商店は無関係です。代替策を考えるといっても、高齢者が多く商店に足を運ぶ事業を考えていないではありませんか。あだち30買い物券も今年限り、廃止を打ち出した時点で高齢者みんなが対象になる生きがい奨励金の恒久的な代替策もありません。以上、生きがい奨励金の廃止は二重三重に道理がありません。
昨年の生きがい奨励金の支給時、区長の短いメッセージを同封していました。そこには手書きで「新型コロナウイルス感染拡大に伴う様々な規制により不安やストレスをお抱えの毎日だったと察します。生きがい奨励金でほんの少しでも気持ちの負担を軽くしていただき、役に立てれば幸いです」とありました。昨年11月の支給で、このような温かいメッセージを送りながら数か月で廃止を決めるのは、区民、高齢者への裏切りです。削るべき施策はほかにあります。もし強行すれば、将来に禍根を残します。
議員の皆様が賢明な判断をされることを心から願い、討論を終わります。